もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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久しぶりにあの人を出してみました


午後の授業

 一夏君が居なかった午前中、私は山田先生から代表代理を申し付かったのだが、結果は散々だった。私語は増えるし立ち歩くし黙ってトイレには行くし……私には一夏君の代理なんて荷が重かったんですよ……なんで私を指名したんですか~!

 

「(午後は来てよ……)」

 

 

 保健室で気を失っているオルコットさんと篠ノ乃さんの様子を見てる為に一夏君は午前中の授業を休んだのだ。

 それが本人の提案なのか先生方の提案なのかはさておくとしても、一夏君なら教室に居ながらでも監視出来たんじゃ無いのかと思ってしまったのだ。

 

「鷹月さん、何だか疲れてる?」

 

「日下部さん……ちょっとね」

 

 

 一夏君を通じて最近仲良くなった日下部さんが私の事を心配してくれる……それはつまり目に見えて疲れてると言う事なのか……帰ってきたら怨むからね、一夏君。

 

「織斑君って教室に居るだけで抑止力になってなんだね、改めて凄いと思ったよ」

 

「そうね……一夏君が居ればそれなりに教室も大人しい雰囲気になるものね」

 

 

 本人も偶に寝たりしてるけど、それ以外はしっかりと授業を聞いてるし、周りが騒がしかったらそれとなく注意したりしてるもんね……しっかりと代表をしてるんだと改めて思った。

 

「午後は来るのかな?」

 

「分からない……電話してみようか」

 

「えっ、でも篠ノ乃さんたちが寝てたら迷惑じゃないかな……」

 

「う~ん……あの篠ノ乃さんがそれくらいで目を覚ますとは思えないんだけど……」

 

 

 黙ってれば繊細とも見えなくは無い外見をしているが、中身は結構ガサツっぽいし、物音1つで目を覚ますほど神経過敏でも無さそうなんだけどな……でも日下部さんの言ってる事も一理あるし、メールにしておこう。

 

「何々~何の話をしてるの~?」

 

「一夏君が午後は授業に来るのかって話だけど」

 

「おりむ~ならさっき職員室に行くのを見たよ~」

 

「お昼を一緒にと思ってたんですが、用事があるようでしたので……残念です」

 

「お兄ちゃんは忙しいからね」

 

 

 いつの間にか会話に加わってきた3人だが、私がほしい情報を持っている可能性が高い3人だったのでそのまま会話を続けた。

 

「それで、午後は教室に来るのかな?」

 

「多分来ると思うよ~」

 

「授業中の酷さは一夏様にも伝わったでしょうしね」

 

「あれは本当に酷かったもんね」

 

「ゴメン、私が不甲斐ないばかりに……」

 

 

 別に責められた訳では無いのだが、何だか責められてるように感じてしまい卑屈になる……

このクラスを纏められるのは一夏君か織斑先生のどっちかしか居ないと身を持って体験したらこう言う感じになってしまうわよね……

 

「別に鷹月さんが悪い訳じゃないよ~」

 

「授業中ずっとおしゃべりしてた本音様が慰めても、効果は無いと思いますよ?」

 

「須佐乃男もしゃべってたよね?」

 

「マドマドだっておりむ~の事が気になってずっとウロウロしてたじゃん」

 

 

 慰めてくれてたのは分かってたけど、言われてみれば問題ありの人たちだったわね……他人事のように話してたからつい忘れてたわ。

 

「鷹月さん、織斑君来るといいね?」

 

「そうね……これは私の手に余る仕事だわ」

 

 

 唯一心から心配してくれる日下部さんに感謝しながら、私はガックリと肩を落としたのだった……

 

「何の話で盛り上がってるんだ?」

 

「一夏君が午後の授業に……ん?」

 

 

 返事をしかけてふと首を傾げる……今、男の子の声だったよね? 私は俯いていた顔を上げ話しかけてきた相手の顔を確認する。

 

「一夏君……」

 

「何だよ?」

 

 

 感動のあまり、泣きそうになった私を見て、一夏君はちょっと苦笑い……それでも私は嬉しさのあまりに一夏君に飛びついた。

 

「「「あぁ!?」」」

 

「如何した静寂、お前らしくも無い」

 

「あんな事があれば泣きたくなるわ!」

 

「はぁ……聞いてた通りの悲惨さだったんだな」

 

 

 一夏君は山田先生にも同じように泣かれそうになったと話してくれた。そっか先生も泣きたかったんだ……凄く気持ちは分かるわね。

 

「一夏君の代理なんて私には荷が勝ちすぎてるんだよー」

 

「そんな事言われてもな……静寂に代理を頼んだのは山田先生なんだし」

 

「模擬戦の時だってそうだったじゃない」

 

「あれはナターシャ先生が機械が苦手だって言ったからで……スマン」

 

 

 あれこれ言っていた一夏君だったが、最終的に謝ってくれた。私も何とか気を持ち直して一夏君から離れた。

 

「私こそ、泣きついちゃってゴメンね」

 

「俺は別に気にしてないんだが……」

 

「?」

 

「後ろ」

 

「後ろ?」

 

 

 一夏君が指差す方向に目を向けると、クラス全員がなんとも言えない目をしていて、特に凄いと思えるような目をしてるのが3人……織斑さんと布仏さんと須佐乃男だ。

 

「お兄ちゃんに抱きつくなんて……」

 

「私ですら滅多に出来ないのに~……」

 

「これはもう戦争って事で良いんですよね?」

 

「ちょっと待ってよ!?」

 

 

 物騒な事を言われさすがに焦る……専用機持ち2人とISそのものに戦いを挑まれたら勝てる訳が無いじゃないのよ!

 

「まぁ頑張れよ」

 

「せめて一夏君は味方してよね!」

 

「静寂も知ってるだろ」

 

「何をよ……」

 

「俺は面倒事には首を突っ込まない主義なんだ」

 

「当事者! 一夏君だって当事者でしょ!!」

 

「俺は飛び込んできた静寂を受け止めただけだ。それ以上でもそれ以下でも無い」

 

 

 今あった出来事を的確に表現してるようで、唯単に面倒事はお断りと怠けているだけの一夏君を何とか説得しようと試みようとしたところで、授業開始のチャイムが鳴ってこの場は何とか治まった。

 

「後で覚えててよね」

 

「こうなったら楯無様やかんちゃんも交えて話し合う必要がありそうだね」

 

「一夏様! 千冬様の開放を要求します」

 

「止めてよ!?」

 

 

 ただでさえ荷が重いのに、生徒会長や日本代表候補生、それに加えてブリュンヒルデまで相手にしなきゃいけないような事をした覚えは無いんだけど……それだけ一夏君が愛されてるのかも知れないけど、さすがにやり過ぎじゃないかな?

 

「そんな事より後で話があるから部屋で待っててくれ」

 

「何で一夏君は冷静なの!?」

 

「ん? 何かあったのか?」

 

「今の話無視なの!?」

 

 

 全てのやり取りを無かった事にしている一夏君に、クラス全員が驚愕した。目の前で繰り広げられていた事を全く触れることも無く終わらせてしまったのだから……

 

「お兄ちゃんに言われたなら待ってるけど……」

 

「何かあったの~?」

 

「まさかまた怪我でもしたんじゃないでしょうね!?」

 

「それは無いから安心しろ。別に物騒な話をしようとしてる訳じゃねぇから」

 

「一夏様、口調が……」

 

「ん? 別に構わないだろ」

 

 

 珍しく教室で崩れた口調で話す一夏君に少し驚いた様子の須佐乃男……まぁそれ以上にクラスメイトが驚いてるんだけどね。

 

「兄上もそのようなしゃべり方をなさるんですね」

 

「俺も男子高校生だからな、これくらいは普通だろ」

 

「では、普段からそのようにしゃべらないのは……」

 

「ん? 単純に怖がらせる恐れがあったからな。ただでさえ男子と関わる時間が少なかった女子ばっかだったんだ、見た目だけじゃ無くて口調でまで怖がらせたら悪いからな」

 

「兄上は見た目では恐れられてません。むしろ……もが!?」

 

「何を言うのかな~ボーデヴィッヒさんは」

 

「余計な事は言わなくて良いんだよ~?」

 

「もが……」

 

「何やってるんだ、アレ?」

 

「一夏君には分かってほしく無いと思うよ?」

 

「……そう言う類のものか」

 

 

 察しの良い一夏君は女子たちが慌てだした理由が分かったようだったけど、あえてその事は口にしなかった。

 

「あの~……」

 

「はい?」

 

「そろそろ授業を始めたいんですが……」

 

「「「「「あっ!」」」」」

 

「気付いて無かったのか?」

 

 

 何時の間にか教室に来ていた山田先生が、泣きそうな顔で私たちを見ていた……そう言えば一夏君もシレっと座ってるし……気付いてたのなら教えてくれれば良いのに。

 

「良いんです、どうせ私は影が薄いですよだ……」

 

「ちょっと先生、ガチで落ち込まないでくださいよ!」

 

「ほら、真耶ちゃん授業! 授業しよ?」

 

「先生の授業楽しみだな~」

 

「無理しなくて良いですよ……どうせ私は誰とも付き合えずに死んでいく運命なんですから……」

 

「誰もそんな事言ってないよね!?」

 

 

 本格的に落ち込み始めた山田先生だったが、一夏君が何か耳打ちしたら人が変わったかのように元気になった……何を言ったのだろうか?

 

「それじゃあ授業を始めます! さっきみたいにウロウロしたりおしゃべりしたりなんて許しませんからね!」

 

「本当にマヤヤなのかな……」

 

「何だかキャラが違うよね……」

 

「はいそこ!」

 

 

 明らかに人が変わったとしか思えないような声で、山田先生は私語をしていた女子たちを指差していく……本当に何を言ったの、一夏君?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 山田先生の授業は驚くほど順調に進んでいき、あっという間に終業のチャイムが鳴った。

 

「それじゃあ今日は此処まで。何時もこれくらい静かだとやりがいがあるんですがね~」

 

「やっぱおかしいって……」

 

「織斑君に催眠術でも掛けられたんじゃない?」

 

「そんな事出来るのかな……いくら織斑君が優秀だからって、そんな事まで会得してるとは思えないんだけど……」

 

「あの~聞いてます?」

 

「あっ、キャラが戻った」

 

 

 授業が終わって嫌味の1つを言った山田先生に対して、クラスメイトが無視して憶測を話し合っていたら元のオドオドキャラに戻った。

 

「兎に角、これからも授業中は静かにお願いしますね」

 

 

 そう言って山田先生は教室から出て行った。それと同時にクラスメイトの大半がお兄ちゃんの周りに集まって行く……正直出遅れた感ハンパ無いんだけど。

 

「織斑君、マヤヤに何を言ったの?」

 

「催眠? それとも脅し?」

 

「何でその二択なんだよ……」

 

「じゃあ何て言ったの?」

 

「ん? 今度誰か紹介しましょうかって」

 

「織斑君の友達ってあの赤髪の人?」

 

「いや、別に友達じゃ無くてもそれなりに知り合いは居るからな。その中から興味ありそうな人間をピックアップすれば良いと思ってる」

 

「またいい加減な……」

 

「別にいい加減じゃないぞ? 向こうも彼女ほしいとかぼやいてたし」

 

「でも山田先生にも選ぶ権利があると思うんだけど?」

 

「別にこっちから押し付けるつもりは無いぞ。写真か何かを持ってきて見せるだけだ」

 

 

 人垣の外から聞いていたが、お兄ちゃんはそんな事を山田先生に言ったんだ……でも良かった。お兄ちゃんが恋人になる訳じゃ無くって。

 

「私も彼氏欲しいな~」

 

「うん、自力で見つけてくれ。これ以上面倒見切れん」

 

「これ以上って、織斑君他にも彼氏紹介したの?」

 

「頼まれてな……榊原先生に紹介した」

 

「え、誰を?」

 

「さっき話題に出た赤髪の友人を」

 

「「「きゃー!」」」

 

 

 噂好きな女子高生の格好の餌になりかねない事を、お兄ちゃんはそれと知らずにばら撒いた。

 

「これは後で榊原先生を突撃取材しなきゃ!」

 

「あれ? 何で黛先輩が此処に?」

 

「ネタの匂いを嗅ぎつけて!」

 

「……執念ですね」

 

 

 何時の間にか紛れ込んでいた黛先輩を見て、お兄ちゃんが呆れている……周りにもその事は伝わっているのにも関わらず、呆れられた本人は全く気付いていなかった。

 

「学生と教師の禁断の愛……これはネタになるぞー!」

 

「そっとしてやってくださいよ」

 

「私がご飯食べれなくなっても良いって言うの!?」

 

「……また商売してるんですか?」

 

「あっ! そ、そんな事してないよ?」

 

「私この間黛先輩から写真買ったけど……」

 

「んな!?」

 

「ほう? 黛先輩、後ほどゆっくりとお話を聞かせてもらいましょうか。もちろん虚さんも一緒にですが」

 

「言っちゃマズかったかな?」

 

 

 クラスメイトの子の証言で、彼女のこの後の予定が決まったので、ちょっと気まずそうに人垣から離れていく……別に悪い事をしてたのは先輩なのだから気にしなくても良いと思うんだけどね。

 

「それから榊原先生の方も騒ぎ立てるのは止めてあげてください。今は順調らしいので、周りがつついて駄目にしたら可哀想ですから」

 

「駄目になるの前提なんだ……」

 

「相手が相手ですからね……今のところ大丈夫みたいだが、アイツが最後までもつかどうか」

 

「一夏様、少しは親友を信じてあげては如何です?」

 

「親友? 誰の事だ?」

 

「相変わらずですね……なら悪友をと言い換えれば分かりますか?」

 

「まぁ言い換えなくても何となく分かってるんだがな」

 

「だったらとぼけないでくださいよ!」

 

「鈴に聞いても同じ事を言うと思うんだが、アイツを信じて良かったと思えた事なんて無いぞ。試験に然り約束に然りだ」

 

「何があったんですか……」

 

 

 それは私も気になるな……お兄ちゃんの友達ってだけで結構気になるのに、そんな面白そうな話……じゃ無くって、興味深い話があるのなら是非聞いてみたいな。

 

「マドカ……」

 

「な~に?」

 

 

 人垣の向こう側からお兄ちゃんに話しかけられて、私は首をチョコンと傾げる。今まで気付いてもらってないと思ってたけど、お兄ちゃんはちゃんと私の事に気付いてくれていたんだ。

 

「誰も聞いて無いんだから言い直す必要は無いぞ」

 

「え!?」

 

「「「「「?」」」」」

 

 

 お兄ちゃんの言った事に、周りのクラスメイトは一斉に首を傾げ、私は驚きのあまり大声を出してしまった。まさか心を読まれるとは思って無かったからだ。

 

「マドカは分かりやすいからな」

 

「だって見えないでしょ?」

 

「いや、見えるぞ」

 

「嘘!?」

 

 

 私からはお兄ちゃんの姿が何となく見える程度で、心はおろか表情だって見えやしないのに、お兄ちゃんは私の姿も心の中も見えると言うの!?

 

「さてと、そろそろ次の授業の開始のチャイムが鳴るから、さっさと戻った方が良いぞ。次はナターシャ先生の授業だからな」

 

「ねぇお兄ちゃんってば!」

 

「お前に嘘吐いて如何するんだよ」

 

「それもそうなんだけどさぁ……」

 

 

 何だか誤魔化されたような気もしたけど、お兄ちゃん相手にこれ以上追求したところでのらりくらりとかわされて精神的に疲れるだけだろうから諦めよう。

 

「はーい席に……着いてるね。さすが一夏君」

 

「俺は別に何もしてませんが?」

 

「居るだけでクラスが引き締まるって事だよ」

 

「そんなものですかね……」

 

 

 お兄ちゃんが首を傾げてるけど、クラスの皆は頷いていた。お兄ちゃんが居るクラスでふざけようなんて猛者は居ないもんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一夏さんからのメールで空き教室に呼び出され、今は目の前に正座してる黛さんと仁王立ちしている一夏さんを見て何事かを理解しました。つまりまたって事ですよね。

 

「メールでは詳しい内容は書きませんでしたが、虚さんならもう何となく分かってますよね?」

 

「この状況ならお嬢様でも分かると思いますけどね」

 

「楯無さんだってそこまで疎くないですよね?」

 

「聡くも無いですけどね」

 

 

 お嬢様は良くも悪くも人並みの勘しか持ち合わせてませんしね……それに一夏さんと比べれば誰だって鈍いって事になりそうですがね。

 

「なるほど、たっちゃんは普通の勘の持ち主……っと」

 

「この人は何回注意すれば大人しくなってくれるんでしょうね?」

 

「1度本格的に怒ったら如何ですか?」

 

「本格的って……具体的には?」

 

「そうですね……織斑先生を交えるとか」

 

「布仏先輩は私に死ねと言うんですか!?」

 

「あの人を呼べば、俺があの人に説教したくなるので駄目ですね」

 

「ほっ……」

 

「それでは一夏さんが本気で怒るとか?」

 

 

 一夏さんが本気になれば地獄の鬼ですら怖がるでしょうしね。

 

「それなら虚さんが怒ってくださいよ。俺は今日色々あって疲れましたし」

 

「話は聞いてますが、一夏さんならそれくらいで疲れませんよね?」

 

「ぶっちゃけるとその後も大変だったんで……」

 

「何があったんですか?」

 

 

 その後一夏さんから聞いた話は、確かに疲れてもおかしくは無いぐらい波乱に満ちていた。1日でどれだけの体験をしてるんでしょうか……

 

「兎に角、怒るならさっさと怒ってくれないかな……私もそっちの方が楽なんだけど」

 

「開き直ってますね、この人」

 

「貴女に選択出来るとでも思ってるんですか?」

 

「すみません、調子に乗りました!」

 

 

 私と一夏さんの冷たい目線を浴び、深々と土下座をする黛さん……そこまで脅えられると此方がへこむのですが……

 

「布仏先輩だけでもキツイのに、織斑君まで加わったら脅えますよ!」

 

「あれ? 私声に出してました?」

 

「小さい声でしたがね」

 

 

 一夏さんに苦笑いをされ、ちょっと恥ずかしくなってきました……自分が気付かない間に愚痴ってたなんて恥ずかしい以外考えられませんよ……

 

「兎に角早く開放してもらえるとありがたいんだけどなぁ~」

 

「何か予定でも?」

 

「榊原先生にアポ無しインタビューをしようかと……」

 

「却下で」

 

「榊原先生に? 何かあるんですか?」

 

 

 黛さんの言葉に私は少し興味を引かれた。あの先生は彼氏に散々振り回されて最終的に振られるって有名らしいですし……また男性絡みでしょうか?

 

「織斑君の友人が彼氏になってるらしいので」

 

「そうなんですか……」

 

 

 そう言えばそんな事を聞いたような聞いて無いような……ですが周りがとやかく言う事では無さそうですね。

 

「私も黛さんの意見は却下ですね」

 

「興味ありそうだったのに!?」

 

 

 驚いた黛さんの事は無視して、これから如何やって反省してもらうか考えなきゃいけないんですよね……反省文や罰掃除じゃ反省しないでしょうし、かと言ってそんなに重い罰を与えたら余計に反抗されそうですし……

 

「如何しますか?」

 

「そうですね……じゃあこれで」

 

 

 そう言って一夏さんが取り出したのは錘……錘?

 

「何をするんですか?」

 

「膝の上に置いて正座してもらいましょう」

 

 

 そう言って膝の上に錘を載せていく一夏さん、さすがは無自覚サディストですね恐ろしいです……

 結局合計で30kgの錘を載せられた黛さんは、泣きそうな顔でもうしないと約束してくれました。あれをやられたら誰でもそうなりますよね、そんな事を思っていました。




次回、一夏の部屋にナターシャが訪問します

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