もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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戦闘シーンまで行かなかった……


盛り上がるおしゃべり

 織斑君の乱入があったけど、この模擬戦は私の勝ちで良いのでしょうか? 結果的に私は一撃も喰らいませんでしたし、篠ノ乃さんにはダメージを与えましたから。

 

「一夏さん、何事ですか!」

 

「そうだぞ一夏! 邪魔をするな!!」

 

 

 織斑君に撃ち堕されたオルコットさんと篠ノ乃さんが再び上昇してきて織斑君に掴みかかろうとしています。

 そんな事して、また堕とされても知りませんよ……

 

 

「真面目にやろうとしないお前らが悪いだろ」

 

「私の邪魔をした箒さんが悪いんですわ!」

 

「周りを確認しないで乱射してたセシリアが悪い!」

 

 

 また互いが互いを責め合って騒ぎ出してしまいました。あぁ、そんな事してるとまた織斑君の機嫌が……

 

「山田先生」

 

「は、はい?」

 

「ちょっと須佐乃男を呼んできてください」

 

「えっと織斑君? 須佐乃男さんを呼んできて何をするつもりなんですか?」

 

「専用機を呼ぶのに、一々理由が必要ですか?」

 

「ヒィ!?」

 

 

 口調だけは何時もの織斑君だったのですが、その目が、雰囲気が、呼んでこなかったら如何なるかを雄弁に語っていた。

 

「すぐに呼んできます!」

 

 

 スラスターを全開にして、出せる中の最高速度で観客席に居る須佐乃男さんを呼びに行きました。

 だってまだ死にたく無いんですもの……

 

「あれ、山田先生。如何かしましたか?」

 

「えっと、須佐乃男さん」

 

「何か用ですか?」

 

「織斑君が呼んでるので、ピットからアリーナに出てください」

 

「一夏様が?」

 

 

 不思議そうに首を傾げる須佐乃男さん。如何やら彼女にも呼ばれる理由に心当たりが無いようですね。

 

「呼んでるのなら直接呼んでくれれば良いのに」

 

「直接? 大声出すのも大変だから私に伝言を頼んだんじゃないんですか?」

 

「一夏様と私は繋がってますからね。声に出さなくても念じれば伝わります」

 

「それじゃあ私が伝言を頼まれたのって……」

 

「避難させる為の口実かと……」

 

 

 避難って……それほどあの場所は危険だと言うのだろうか? 確かに怒った織斑君は非常に危険なのは、身を持って体験しているので良く分かるのですが、それでもISを纏っている私を逃がすほどでは無いと思うのですが……

 

「須佐乃男、頑張ってきてね!」

 

「おりむ~の戦闘が久しぶりに見れるかもね~」

 

「戦闘って……何回かは授業でやってますよね?」

 

 

 織斑君は生徒の中でもずば抜けてるので、良く実習前に手合わせや制限付きの戦闘なんかを手伝ってもらってるのですが……

 

「遊び心無しの結構本気の戦闘は珍しいんですよ~」

 

「それだけお兄ちゃんは自分にリミッターを掛けてるって事ですよ」

 

「あぁ……」

 

 

 そう言われれば夏休みの時に、織斑君が本気で怒った時がありましたね。その時の織斑君はもの凄い動きをしてましたし……あの千冬さんですら対応出来なかったんでしたっけ。

 

「今回はリミッターを掛けたままですけど、本気のおりむ~が見られるかもしれないですよ~」

 

「お兄ちゃんの本気、私も見た事無いな~」

 

「一夏様の本気に付き合わなければならないこの私の気持は、誰も分かってくれないんですか?」

 

 

 須佐乃男さんが泣きそうになってるのを見て、織斑さんと布仏さんは楽しそうに近寄っていきました。

 

「頑張ってね~」

 

「後でケーキ奢ってあげるから」

 

「そんなんじゃ満足出来ないくらい大変なんですからね! まぁ驕ってもらえるものはもらいますけど」

 

 

 もらうんだ……

 そんな事では満足出来ないって言っていたので、てっきり驕ってもらわないのかと思ってましたが、その辺りはしたたかなんですね。

 

「そろそろ行かないと織斑君が怒っちゃいますよ……」

 

「一夏様に怒られるのは勘弁願いたいですね。それじゃあ気は進みませんがいって来ます」

 

「頑張ってね~!」

 

「しっかりと見てるからね~」

 

 

 布仏さんと織斑さんに見送られて、須佐乃男さんは移動し始めました。

 

「山田先生は、多分邪魔になるからこっちに来た方が良いですよ~」

 

「えっ、邪魔?」

 

「お兄ちゃんの動きについていけるんですか?」

 

「えっと……無理です」

 

 

 記憶の中から織斑君の動きを引っ張り出して自分の動きと比べる。考えるまでも無く無理だった……あのスピードは無理ですって。

 

「それなら急いでこっちに来ないと~」

 

「巻き込まれますよ」

 

「巻き込まれるって……いったい織斑君は何をしようとしてるんですか」

 

 

 戦闘なのは分かりましたが、2人の言い方だと普通の戦闘では無いような気がしてならないのですが……

 

「何って……」

 

「そりゃねぇ……」

 

 

 とてつもなく悪い笑みを浮かべているような表情に、私はもの凄い悪寒がしてきました。これは早いところこの場から離脱した方が良い気がしてきました……

 

「「粛清」」

 

「しゅ、粛清!?」

 

「山田先生を馬鹿にした事と~」

 

「模擬戦を真面目にやらなかった事に対する粛清ですよ」

 

「危ないじゃないですか!?」

 

「それだけあの2人がおりむ~を怒らせたって事だね~」

 

「リミッターが解除されてないだけマシだとは思うけどね」

 

 

 あの時は千冬さんが必要以上に過保護だった事に織斑君の我慢が限界になったんでしたっけ……でも千冬さん相手とあの2人相手じゃ訳が違う。怪我だけは無いようにしてほしいですよ……

 教師なら止めた方が良いのでしょうが、生憎私には今の織斑君を止める勇気も、技量も無いので大人しく退散する事にしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 管制室で事の顛末を見守っていようとしたら、一夏君が乱入してオルコットさんと篠ノ乃さんを斬り捨てた……生身でIS武装を振り回すのにもビックリしたけど、一夏君は今、如何やって浮いてるんだろうか?

 

「呼びかけ……って一夏君はISを纏ってないんだった」

 

 

 オープンチャネルを使おうにも、ISを纏ってないんじゃ意味無いし……かと言ってスピーカーを使って呼びかけるのも何だか恥ずかしいし……私は如何すれば良いんだろう?

 

「ナターシャ先生!」

 

「山田先生?」

 

 

 考え事をしてたらオープンチャネルから山田先生が慌てた表情で呼びかけてきた。そこまで大声出さなくても聞こえるんですがねぇ……

 

「今すぐそちらに行きますから、ナターシャ先生は生徒の傍に居てもらえますか?」

 

「それは構いませんが……いったい何が起ころうとしてるんですか?」

 

 

 山田先生とあの2人が模擬戦をしてたと思ったら、いきなり揉めだして、山田先生が仲裁に入ろうとしたら一夏君が乱入してきて……そう言えば一夏君は何処からアリーナに入ったんだろう? ピッドから入ったにしては早すぎるし、かと言って他のルートは思いつかないしな……

 

「織斑君があの2人に粛清をするらしいんです!」

 

「粛清って……穏やかでは無いですね、何があったんですか?」

 

「真面目に模擬戦をやらなかった事で織斑君の怒りが爆発したそうなんですよ!」

 

「多分それだけじゃ無いと思いますがね」

 

「ほ、他には私の為に怒ってくれたって言うか……」

 

「む!」

 

 

 頬を赤く染めている山田先生に嫉妬を覚える……ついさっき一夏君に気持ちを受け入れてもらったばっかなのに、私って意外と嫉妬深いのかも知れないな。

 

「兎に角そちらに行きますから、ナターシャ先生は生徒を纏めてください」

 

「鷹月さんが居ますよね? 任せて大丈夫だと思いますけど」

 

「でも織斑君はこっちに居ましたよね?」

 

「あぁそれは、ボーデヴィッヒさんが山田先生と対戦したいってごねたからですよ」

 

「ボーデヴィッヒさんが?」

 

 

 山田先生にはボーデヴィッヒさんに対戦を申し込まれる覚えが無いらしいが、ネガティブ思考で考えてたって思いつくような理由ではないからなぁ……

 

「織斑先生の後継者と言われた山田先生と手合わせしたかったらしいですよ」

 

「そんな、私なんて織斑先生の足元にも及びませんのに……」

 

「謙遜はいいですよ。競技者じゃ無い私にも噂は聞こえてきてましたから」

 

 

 射撃の腕なら間違いなく世界トップクラスに入るだけの実力の持ち主だと言う噂がね。実際にあってみるまで半信半疑だったが、噂通りの実力だったのだ。でも緊張や萎縮がちな所為で本来の動きは滅多に見られないけど……

 

「ちょっと嬉しいですね……それじゃあ生徒の方は鷹月さんにそのままお願いするとして、ナターシャ先生は操作出来るんですよね?」

 

「それが、マニュアルを見て漸くって感じでして……出来れば山田先生にお願いしたいかな~って」

 

「分かりました。それじゃあすぐに行きますね」

 

 

 通信が切れ、画面がアリーナの映像を映し出す。空中に止まるのに疲れたのか、一夏君は地上に降りていた。そして暫くして、須佐乃男がアリーナに現れた。

 

「粛清って言ってたけど、いったい何をするつもりなの、一夏君?」

 

 

 さっきの斬撃も凄いものだと思ったけど、あれはあくまでもISの能力を使わないでの攻撃だ。

 単体でも凄まじい能力を持つ一夏君に、ISである須佐乃男の能力が加わっての粛清となると、オルコットさんも篠ノ乃さんもただではすまないような気がしてならないのだけど、一夏君なら加減も出来るし、そこまで酷い事にはならないよね。

 

「自分で思っててもの凄い希望的観測だと思うわね……」

 

 

 怒ってる一夏君を見るのは初めてではないけど、滅多な事で怒る事の無い一夏君が怒ってるとやっぱり怖いわね……普段は精々注意くらいだもんね。

 

「それにしても一夏君は如何やってアリーナに入って、如何やって宙に浮いてたんだろう。後で聞いてみようっと」

 

 

 一夏君の事なら何だって知りたい。一夏君の事をもっと知りたい。そんな気持ちが私の中を駆け巡る。まさか自分の気持ちが届くなんて思って無かったちょっと前の私からは想像もつかない感情が、私を支配していく。

 

「でも、その前に先輩彼女たちにちゃんと挨拶しておかないと……一夏君は気にしてない様だったけど、やっぱり彼女の中にも序列ってあるんだろうな」

 

 

 自分は最下層だろうし、先輩彼女の機嫌を損ねたら一夏君と一緒に居られなくなるかもしれないもんね。しっかりと挨拶をして上手く付き合っていかなきゃ!

 

「頑張るぞ!」

 

「何をです?」

 

「うわぁ!?」

 

 

 誰も居なかったはずの管制室で、1人意気込んでいたら声を掛けられた……前にも似たような状況があったような、無かったような……

 

「そこまで驚かれるとこっちもショックですよ~」

 

「や、山田先生……何時の間に?」

 

「ついさっきです」

 

「具体的には?」

 

「ナターシャ先生が意気込んでる時ですけど?」

 

「まったく気付かなかった……」

 

 

 元軍人として、ちょっと浮かれてるだけで気配を掴めなくなるなんて思って無かった……やっぱり恋すると周りが見えなくなるんだなぁ……気をつけなければ。

 

「それで、何を頑張るんですか?」

 

「いや、まぁそれは……そ、そうだ! 山田先生、早く合図をお願いします」

 

「そんなに急かさなくても大丈夫ですよ。それで、何を頑張るんですか?」

 

 

 興味津々で山田先生が近づいてくる。何とかして逃げたい私だが、この状況を如何にかするだけの力は無い……諦めて話してしまおうか?

 

『こっちは準備出来てるんですが、そっちはまだですか?』

 

「はい! すぐに準備します!」

 

『お願いしますね』

 

 

 モニターから一夏君の声がしたと思ったら、山田先生が姿勢を正して対応した……まるで織斑先生に物事を頼まれてるかのような反応に、私はついつい呆気に取られてしまった。

 

「山田先生、何で一夏君にそこまで脅えてるんですか?」

 

「だって、今の織斑君の機嫌を損ねたら、それこそ粛清対象にされてしまいますよ」

 

「さすがに考えすぎじゃないですか?」

 

 

 一夏君だってそれくらいで怒ったりはしないだろうし、粛清するのは今回の事だけが原因では無いのだろうしね……つい昨日まで反省させられてた山田先生にはしないんじゃないかなぁ。

 

「ナターシャ先生は如何してそんなに落ち着いていられるんですか!」

 

「だって私は一夏君に怒られるような事をした覚えは無いもん」

 

「だからって暢気にしてる場合じゃ無いですよ! 生徒が怪我するかも知れないって心配じゃ無いんですか!」

 

「いくら一夏君だってそれくらいの加減はしますよ……多分」

 

「多分じゃ駄目でしょうが!」

 

 

 だってさすがに一夏君がどれほど怒ってるのかなんて私には分からないし……一夏君の理性が残っているのなら大丈夫だと思いたいけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 客席から見てるだけだったけど、織斑君がシールドをすり抜けていくのにはビックリした。高度の防御シールドが張られている客席から、アリーナに行くには、壊すしか無いと思っていたけど、あんな移動方法があるなんて思って無かったな。

 

「それにしても、おりむ~の壁抜けは何時見ても凄いよね~」

 

「私は始めて見たんだけど、さすがはお兄ちゃんだね」

 

「そんな簡単に流していい様な事じゃ無かったような気がするんだけど……」

 

 

 織斑君の能力の凄さを良く知っているであろう布仏さんと織斑さんはそこまで驚いて無いようだったけど、織斑君と仲の良い鷹月さんがあそこまで驚いているのなら、やっぱり普通の事では無いのだろうな。

 

「その後の空中に止まるのだって、普通の人間には無理だよね!?」

 

「お兄ちゃんは普通じゃ無いからね」

 

「あれは如何やってたんだろうね~? 後で教えてもらおう!」

 

「聞いたからって本音が出来る事じゃないと思うよ」

 

「良いのだ~! 原理を知りたいだけだから」

 

「聞いて分かるの?」

 

「多分分からないのだ~!」

 

「それじゃあ駄目じゃん」

 

「それもそうだね~」

 

「「あはははは」」

 

「笑い事じゃないような……」

 

 

 織斑君も普通じゃ無いけど、この2人も決して普通では無いような気がしてきた……鷹月さんが言ったように、笑い事で済む話じゃ無かったような気がするんだけど……原理を聞いたからって納得出来るような光景では無かったのだ。

 

「ほえ? カスミン如何かしたの~?」

 

「え?」

 

「さっきからこっちをジッと見てたけど、何か用事?」

 

「ち、違うよ……」

 

「如何かしたの、日下部さん」

 

 

 ジッと見てた事がバレて話しかけられる……別に悪い事をしてた訳では無いのに、私は緊張しちゃって上手く話せなかった。

 

「大方、この2人も普通じゃ無いんだろうな~って思ってたんでしょ?」

 

「う、うん……」

 

 

 鷹月さんに気持ちを言い当てられてもの凄いビックリした。だって一字一句違わずその通りだったから……

 

「一夏君の常識外れに驚きすぎて気付き難いけど、布仏さんも織斑さんも十分普通じゃ無いもんね」

 

「そんな事無いよ~」

 

「私たちは普通の範疇だよ」

 

「誰から見た普通よ……」

 

「えっと……お兄ちゃん?」

 

 

 何で疑問系……そして織斑君から見れば誰だって普通だと思うけど……

 

「一夏君が異常だと判定するのは織斑先生くらいじゃないの?」

 

「あと~、篠ノ乃博士も異常だって言ってたね~」

 

「あの人はぶっ飛んでるからね」

 

「凄い人と知り合いなんだよね、一夏君って……」

 

 

 確かにそうだなと思う……ただでさえ織斑先生の弟なのに、それに加えて篠ノ乃博士とも知り合いなんだもんね。そんな人が私の友達だなんて信じられないな……友達で良いんだよね?

 自分の心の中だけなのに、織斑君と私は友達で良いのか不安になる……だって私は織斑君とつりあう人間では無いのだから。

 

「カスミン、やっぱり何かあったの?」

 

「急に黙り込んで、って何時もの事か……」

 

「何か考え事?」

 

 

 3人が心配そうに私の顔を覗き込んでくる。やっぱり駄目だな、私は……こんなに心配させちゃって。

 

「ねぇ鷹月さん」

 

「ん? 何?」

 

「鷹月さんと織斑君の関係って何?」

 

「何って、友達だけど?」

 

「じゃあ私と織斑君は?」

 

 

 あれだけ仲の良い鷹月さんですら友達なんだから、私なんてきっと知り合いとかクラスメイトとかそれくらいなんだろうな……

 

「友達でしょ? 一夏君だってそう言ってたような気がするんだけど」

 

「でも、社交辞令って事も……」

 

「一夏君はそんな事言わないわよ」

 

「お兄ちゃんは何時も本音だもんね」

 

「ほえ? おりむ~が何時も私?」

 

「名前じゃ無いって」

 

「だよね~」

 

「「あははははは」」

 

「また笑ってるし……」

 

「……クス」

 

 

 面白くってついつい笑ってしまった。私が笑ったら2人共気分が悪いかな? 失礼だよね、謝らなきゃ。

 

「ごめ……」

 

「カスミンが笑ってくれた~」

 

「失礼だけど、日下部さんも笑えたんだね~」

 

「当然でしょ。でも、本当に珍しいわね」

 

「あ、あの?」

 

 

 怒ってない? それどころか凄く楽しそう……

 

「カスミンは私たちとも友達なんだから、もっと遠慮なく話そうよ~」

 

「本音はもう少し遠慮したほうがお兄ちゃんの為になると思うよ?」

 

「おりむ~は困ってないから大丈夫なのだ~!」

 

「十分困ってると思うけど?」

 

「ほえ! そうだったのか~」

 

「クス」

 

 

 友達だと言ってもらえたのも嬉しかったけど、何よりこうやって話せるのが凄く嬉しかった。

 

「あら、電話だわ」

 

「おりむ~から?」

 

「そうみたい……もしもし?」

 

 

 鷹月さんが携帯を取り出して織斑君と何か話している……やっぱり同じ友達でも鷹月さんの方が織斑君とは親しくしてるんだね。当然だけど、何だか悔しいな。今度私も番号教えてもらえるかな……

 

「分かった、分かったからそこまで怒らないでよ……怒ってないの? それなら良いけど」

 

 

 何やら織斑君に言われたようだけど、生憎電話の声は私には聞こえない為、想像するしかなかった。

 

「それじゃあね、は~い……ふう」

 

「なんだって~?」

 

「こっちが騒がしいから始められないってさ」

 

「ありゃ、お兄ちゃんの邪魔しちゃったか」

 

「怒られる前に大人しくしましょうか」

 

「それが安全だね~」

 

 

 如何やら私たちが話しているのを織斑君に注意されたようだった。忘れているが、今は授業中だったので、私語はまずかったな……反省しなきゃ。




次回はちゃんと戦闘シーンになるはずです。

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