もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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今回ちょっと楯無が甘えまくりです


楯無を心配する2人

織斑君が寮長室から居なくなってすぐに、ナターシャ先生は片付けを始めようとした。私としてはもう少し千冬さん秘蔵のコレクションを見てたかったのだが、そんな事が織斑君にバレたらまたあそこに閉じ込められそうなので我慢する事にした。

 

「ナターシャ先生、PCの電源は如何やって切るんですか?」

 

「やった事無いんですか?」

 

「私が触ると壊れそうなので……」

 

 

前にPCに触っただけなのに壊れた事があるのだ。あんな事は滅多に起こらないのかも知れないが、あれ以来PC恐怖症なのだ……

 

「でも山田先生ってISのコア解析とか、アリーナのモニターとか動かしてますよね?」

 

「あれは私の中ではPCでは無くIS関係のものだと位置づけられてますから大丈夫なんですよ」

 

「……違いが分からない」

 

 

ナターシャ先生は首を捻りながらも、千冬さんのPCの電源を切りました。再びつけたとしても、パスワードが分からないのであの動画は見れないので私も仕方なく片付けを始めました。

 

「片付けと言っても、湯飲みを洗うかこの大量のCD-Rを袋に入れるかだけなんですよね」

 

「一夏君がこの部屋を片付けてたおかげですけどね」

 

「あの家事スキル、本当に羨ましいですよね」

 

 

私の部屋も片付けてくれないかな……普段は散らかって無いんですが、最近仕事が忙しかったのと、あの場所に閉じ込められてたのでまったく部屋の掃除が出来てないんですよね。もしかしたら千冬さんの事を悪く言えない状態かもしれないですし……

 

「一夏君は好き好んで手に入れた訳じゃ無いって言ってましたけどね」

 

「織斑君は昔から苦労してるみたいでしたしね」

 

「両親に捨てられてあの織斑先生の面倒を見てたのなら仕方ないかもしれませんがね」

 

「色々大変な男の子ですよね」

 

 

千冬さんの面倒を見なければいけないのだけでも大変なのに、更に織斑君はISを動かしちゃった事によって世界的に有名になり、さらには国籍まで奪われてしまうんですから……もし私が同じ状況に陥ったら、きっと正常な思考は持ててなかったでしょうし、あんなに冷静な態度で生活も出来てなかったでしょうね。

 

「さて、片付けも終わりましたし、鍵を一夏君に返さなきゃ」

 

「織斑君は何処に居ますかね?」

 

 

この部屋から飛び出して篠ノ乃博士をお説教しに行ったのは知ってますが、篠ノ乃博士の居場所は私たちには分かりませんし、もし帰って来てたとしても、織斑君は色々忙しい生徒なので必ずしも部屋に居るとは限らないのだ。

 

「とりあえず部屋を覗いてから、他の場所を探しますよ」

 

「それなら部屋で待ってた方が効率が良いと思いますよ?」

 

 

その時間に居なくとも、織斑君は必ずそこに帰ってくるんですから。部屋で待たせてもらったほうが労力の無駄遣いを省けると思ったのでナターシャ先生にそう提案したのだ。

 

「誰も居ない可能性だってありますが……」

 

「誰か居ればの話ですよ」

 

「そう……ですね」

 

 

ナターシャ先生は何か迷っていたようだが、最終的には私の提案を受け入れてくれました。だけど何を迷っていたのかしら……

 

「ナターシャ先生」

 

「何ですか?」

 

 

この際だから気になってた事を聞く事にした。

 

「ナターシャ先生って織斑君の事を如何思ってるんですか?」

 

「如何って……何がです?」

 

「いや、生徒として親しくしてるのか、それとも異性として親しくしたいのか……」

 

「い、異性!?」

 

「だって織斑君はこの学園唯一の異性なんですよ?」

 

「……学長も男性だった気が」

 

「枯れ専でも無い限り、学長が恋愛対象にはなりませんよ。大体奥さんだって居るんですから」

 

「それは……そうですけど」

 

 

学長の轡木さんは結構なお歳ですし、あそこまで行った男性を異性として見るのはちょっと難しいと思ったのではっきりと言わせてもらいました。

 

「そう言う山田先生は如何なんですか?」

 

「私ですか!?」

 

 

思わぬ反撃が来て、私はもの凄く焦りました。だって私が織斑君と仲良く出来るとは思って無かったので、その質問は絶対に来ないと思っていたからです。

 

「私はナターシャ先生みたいに織斑君と親しく無いですし……」

 

「私だって親しい訳では無いんですが?」

 

「でも、織斑君の事を名前で呼んでるじゃ無いですか!」

 

「山田先生だって一夏君本人には認めてもらってるんですよね?」

 

「……千冬さんが怖くて呼べませんよ」

 

 

私が織斑君の事を『一夏君』と呼ぶと、千冬さんがもの凄い勢いで機嫌が悪くなり、私に向かってただならぬプレッシャーを浴びせてくるのです。それが怖くて私は未だに『織斑君』と呼んでいるのです。

 

「織斑先生だって分かってくれますよ、きっと」

 

「……ナターシャ先生にはプレッシャーを掛けてませんね、そう言えば」

 

「私は最初から『一夏君』って呼んでますし、織斑先生も諦めてるんじゃないですかね?」

 

「……羨ましいですね」

 

 

もしくはナターシャ先生がアメリカ育ちって言う事も関係してるのかもしれませんね……日本で育った人より、アメリカで育った人の方がフレンドリーですし、相手の事を名前で呼ぶのに躊躇わないですから……それで千冬さんも織斑君の事を名前で呼んでいるナターシャ先生の事を認めてるのかもですね。

 

「って、話を逸らさないでくださいよ!」

 

「別に逸らしては無いんですが……」

 

「ナターシャ先生は織斑君と如何なりたいんですか!」

 

「如何って……そりゃもうちょっと仲良くはなりたいですけど」

 

「けど?」

 

「私と一夏君じゃ歳が……」

 

 

ナターシャ先生は私と1つくらいしか違わないはずなのに、そんな事を気にして踏み込めないのでしょうか?

 

「織斑君にはナターシャ先生より年上の彼女も居ますよ?」

 

「えっ!?……そう言えば小鳥遊さんって一夏君の彼女で、私より年上だったんだっけ」

 

「ですから、そこは気にしなくても大丈夫だと思いますよ」

 

 

出来るなら私だって織斑君とはもっと仲良くなりたい……だけど千冬さんの存在が怖くてこれ以上は望めないし、織斑君だって望んでは無いだろうから。

 

「思い切って仲良くしちゃってください!」

 

「思い切ってって……」

 

 

ナターシャ先生は再び迷っているが、その場になればきっとこの人なら大丈夫だと確信が持てているので、私はそこまで心配はしてなかったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会の仕事を終えて(殆どは職員室から丸投げされたものだったけど)、私は足首の痛みがあるので一夏君におんぶされながら部屋まで戻っている。一夏君の視線はこんなに高いんだと改めて思えた。

 

「お嬢様、あまり一夏さんの後頭部に胸を押し付けるのは……」

 

「じゃあ大人しく背中にしとくよ」

 

「いえ、そう言うことでは無くてですね」

 

「虚ちゃんも一夏君に背負われたいの?」

 

「はい是非!……では無くってですね!」

 

「虚ちゃんも欲望には正直なのね」

 

「お嬢様!!」

 

 

一夏君は何も言わないけど、虚ちゃんの返事にきっと内心呆れてるんだろうな……でも一夏君ならはっきりとお願いすればおんぶしてくれるだろうし、嫌な顔もしないんだろうけどね。

 

「一夏君は私のおっぱいを押し付けられて嫌なの?」

 

「お嬢様!」

 

「だって虚ちゃんのはただのやっかみでしょ?」

 

「違ッ!」

 

「虚ちゃんは一夏君におっぱいを押し付けたいんだ~」

 

「刀奈さん、あまりからかうものではありませんよ」

 

「じゃあ一夏君が答えてくれるなら虚ちゃんは許してあげる」

 

「答えるって、何を?」

 

「一夏君は私のおっぱいの感触を如何思ってるか」

 

 

今まではのらりくらりとかわされてたけど、今日ははっきりと答えてもらおう。一夏君は私のおっぱいの感触を如何思ってるのかを。

 

「柔らかいとは思ってますけど」

 

「気持ち良い?」

 

「それなりには」

 

「じゃあもっとくっつけて気持ち良くしてあげる~」

 

「お嬢様!」

 

 

虚ちゃんに怒鳴られて、私は渋々一夏君に押し付けていたおっぱいを離した……でも一夏君でもそうやって思うんだね。

 

「でも普通の高校生男子だったら、興奮して鼻血くらい出すんじゃないの?」

 

「さぁ、俺は知りませんよ」

 

「一夏さんはそこらへんの男子高校生とは違うんですよ!」

 

「それは虚ちゃんに言われなくても知ってるけど……」

 

 

もし一夏君がそこらへんの男子高校生と同じなら、きっと私は好きになってなかっただろうし、虚ちゃんもまた同じだろう……こうやって遠慮無く甘えられるから好きになった訳では無いのだが、好きになった原因の1つではあるのだから。

 

「あんまり頭の後ろで暴れるようなら、落としますからね」

 

「怖い事言わないでよ!」

 

 

今の私は右足首を負傷してるので、この高さから落とされても上手く着地出来ないのだ。一夏君もそれが分かってて言ってるのだろうが、本気じゃ無いわよね?

 

「今日明日は安静にしててくださいね」

 

「分かってるわよ」

 

「無理して悪化させたら洒落になりませんからね」

 

「大人しくしてます……」

 

 

虚ちゃんと一夏君に言われたら、大人しくしてるしか無い……この2人には逆らい難い何かがあるのだから……単純にお説教が怖いってだけかもしれないけどね。

 

「一夏君、もうじき部屋だから降ろしてくれない?」

 

「怪我人は大人しく部屋まで運ばれてください」

 

「でも、簪ちゃんたちに心配を掛けたくないから……」

 

「その足で歩いてた方が心配されますよ」

 

「そんなに酷くは無いから。ほら、一夏君の淹れてくれたハーブティーで痛みも和らいでるし」

 

「あれは一時的なもので、完全に痛みが引いた訳では無いんですから」

 

「無理して余計に痛みが増したら如何するんですか」

 

「ゴメンなさい……」

 

 

虚ちゃんは年上だから分かるんだけど、何故だか一夏君に注意されると年上に言われたような錯覚に陥るのだ。年齢では私の方が上だけど、人生経験の差なのだろうか……

 

「今日はお風呂も止めておいた方が良いかもしれませんね」

 

「でも、汗掻いちゃったしお風呂は入りたいかも……」

 

「身体を拭くだけに止めた方が良いですよ」

 

「じゃあ一夏君が拭いてくれる?」

 

「俺がですか?」

 

「うん、全身くまなく」

 

「お嬢様!」

 

 

自分で拭ける箇所も当然あるのだが、一夏君になら何処を触られても嫌じゃ無いし、むしろもう少し触ってほしいくらいなのだ。

 

「背中とかだけなら良いですけど」

 

「じゃあお願い」

 

「その代わり大人しくしててくださいよ?」

 

「分かってるわよ」

 

 

釘を刺されるまでも無く、今日くらいは大人しくしてようと思ってた。はしゃごうにもこの足では思うような動きは出来ないし、一夏君や虚ちゃんに心配を掛けちゃうからね。

 

「部屋の中に気配が7つ……」

 

「7つですか?」

 

「簪ちゃんと本音とマドカちゃんと須佐乃男と鷹月さんと……あと2つは誰の?」

 

 

私が部屋を出た時は確かに5人しか居なかったはずなのに、私が部屋を出て行ってから戻ってくる間に2人増えてる……お友達を呼んだのかしら?

 

「何の用だかは大体想像付きますがね」

 

「一夏君?」

 

「いえ、何でも無いです」

 

 

そう言って一夏君は部屋のドアを開ける……中に人が居るので鍵を使う必要は無いのですんなりとドアは開いた。

 

「お帰り~、って楯無様!?」

 

「お姉ちゃん、何で一夏におぶられてるの!?」

 

「いや、この通り足首をね……」

 

 

驚いた本音と簪ちゃんに、痛々しく包帯の巻かれた足首を見せる。痛みこそ今は無いが、それでも歩いたりするのは困難なくらいなのだ。

 

「何をしたらこうなるんですか?」

 

「慌てて部屋から出て行ったのと関係があるんじゃないですか?」

 

「概ねその通りなんだけどね……」

 

 

マドカちゃんの言った通り、慌ててたからこうなったのだ……

 

「階段を踏み外して落ちてきたんだ」

 

「危ないですよ」

 

「だって急いでたから……」

 

「それで、足首以外は平気なの!?」

 

「タイミング良く一夏君が居たから大丈夫」

 

 

本当にタイミングは良かった。あのタイミングで現れたのを言葉だけで聞くと、そこに待ち構えてたみたいな感じを受けるわね。

 

「さすがお兄ちゃん!」

 

「私たちを影ながら守ってくれてるんですね!」

 

「お前は俺を守る立場じゃ無いのか?」

 

「ISの姿の時はお守りしますが、人の姿では一夏様を守る事なんて出来ませんよ」

 

「おりむ~を守れるのはおりむ~自信しか居ないよ~」

 

「……それはさておくとして、ナターシャ先生と山田先生は何でこの部屋に?」

 

 

一夏君が感じ取った残り2つの気配、それはナターシャ先生と山田先生のものだった。

 

「一夏君に鍵を返そうと思って」

 

「鍵?」

 

「何処の鍵です、それ?」

 

「寮長室のですよ。生徒会室に行く前に2人と一緒に寮長室に行ってたものでして」

 

「寮長室に?」

 

「それって姉さんの部屋だよね?」

 

「あぁ、変態駄姉が普段生活してる部屋だ」

 

 

急に一夏君の機嫌が悪くなった……ような気がする。

 

「一夏君、何かあったの?」

 

「織斑先生の秘密をね……」

 

「姉さんの秘密!?」

 

 

私の質問に一夏君の代わりに答えたナターシャ先生に、マドカちゃんが興味津々で尋ねる。自分のお姉さんの秘密を知りたがるなんて、大分仲良くなってきたとは言えまだまだなのね。

 

「あれはマドカには刺激が強すぎるものだ。教えるわけにはいかない」

 

「教えて、お兄ちゃん?」

 

「いくらマドカの頼みでもこれだけは駄目だ」

 

「残念だな~」

 

「あまり残念そうに見えないのですが……」

 

 

上目遣いで一夏君に迫ったマドカちゃんだったが、今回はこれでも一夏君を篭絡させる事は出来なかった。やっぱり一夏君はマドカちゃんに甘いんだろうな……それでも教えないって事は相当なものって事なのよね。

 

「確かに鍵は受け取りました。お2方お疲れ様でした」

 

「そこまで疲れて無いけどね」

 

「むしろ楽しかったですよ」

 

「あれを楽しいって表現出来る時点で、山田先生は普通じゃ無いですね」

 

「そんな事無いですよ~」

 

 

いったい寮長室で何を見たんだろう……あの一夏君がゲッソリするくらい衝撃的なものだとは分かったのだが、それ以上は想像出来なかった。

 

「そう言えば簪たちは、ずっとゲームをしてたのか?」

 

「それは……」

 

「えっと……」

 

「なんと言うか……」

 

「ねぇ……」

 

「一夏君、ちょっと怖いよ?」

 

 

ふと思い出したように一夏君は簪ちゃんたちに視線を移した。その視線を受けて簪ちゃん、マドカちゃん、須佐乃男、本音、鷹月さんは一回り小さくなったような感じがした。怒られるのを本能的に察知したんだろうな。

 

「別に遊ぶのが悪いとは言わないが、何事も限度があるからな。少し休憩を挟んだりしないと目が疲れてしまう」

 

「ゴメンなさい……」

 

「別に謝らなくて良いが、次からは気をつけるように」

 

「「「「「はい……」」」」」

 

「今日は怒らないんだね」

 

「友達と遊ぶだけなら俺だってゲームしますしね」

 

「でも一夏さんは長時間続けてはしないんですよね?」

 

「飽きっぽいヤツが居ますからね」

 

 

一夏君は外のお友達と遊ぶ時は、大体違う遊びをしているらしいのだ。如何やら凰さんが1つの遊びだけじゃ満足出来ないらしく、その都度皆で遊びを考えるらしい。

 

「それじゃあ一夏君も一緒にゲームしようよ」

 

「俺も?」

 

「かんちゃんに対抗出来るのはおりむ~だけなのだ!」

 

「別に良いが、先生方を送ってからな」

 

 

一夏君は紛れも無い紳士だ。まだ明るいからと言って女性だけで帰す無礼は働かないのだ。

 

「それじゃあ早く帰って来てね~」

 

「それまでは私と虚ちゃんが参戦するわよ!」

 

「私もですか!?」

 

「それは良いですが刀奈さん、人の上であまり大きな声を出さないでくださいよ」

 

「あっ、ゴメン……」

 

 

そう言えば私はまだ一夏君に背負われてたんだった……

 

「それではナターシャ先生、山田先生、途中まで送りますよ」

 

「ありがとう」

 

 

一夏君と教師2人は部屋から出て行った。送ってもらう2人の顔が、ほんの少し赤くなってたようにも見えたけど、きっと気のせいだと言う事にしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教師にもちゃんと生活スペースは与えられているのだが、それは学生寮から少し離れた場所なのだ。ちょっと前なら同じ敷地内なのだから危険など感じる事は無かったのだが、最近はやたらと問題があるので敷地内と言えども気が抜けないのだ。

 

「そう言えば部屋に帰るのは久しぶりですね~」

 

「特別指導室に入ってたのは2日でしょうが……」

 

「その前から仕事が立て込んでて、帰ってないんですよ」

 

「そう言えば私も……」

 

 

国籍変更の手続きとか、その他もろもろで立て込んでた所為で部屋には戻ってなかったんだった……そんなに散らかっては無いけど不安だなぁ。

 

「教師って忙しいんですね」

 

「一夏君だって同じくらい忙しいでしょ?」

 

「あくまでも学生としてですけどね」

 

「織斑君、私の部屋も掃除してくれませんか?」

 

「あっ、ズルイ!一夏君、私の部屋も!!」

 

「……どれほど散らかってるかによりますが、別に良いですよ」

 

「本当ですか!」

 

「やった!」

 

「ただし!」

 

「「ん?」」

 

 

一夏君が語尾を強くしたので、私と山田先生は首を傾げる。

 

「見られて困るものは先に片付けておいてくださいね」

 

「例えば?」

 

「下着とかその辺ですよ」

 

「あぁ!」

 

「そうでした、織斑君は男の子ですものね!」

 

「2人とも俺を何だと思ってるんですか……」

 

 

女子高で教師をやっているので忘れがちになるのだが、一夏君は男の子なのだ。女の子よりよっぽど家事が得意なので、すっかり忘れてたな。

 

「でも私、一夏君になら見られても大丈夫だよ?」

 

「いえ、そう言う事では無く……」

 

「織斑君は千冬さんの下着を買ってるんですから、女物の下着を見たくらいじゃ興奮しませんよね?」

 

「まぁ最近では楯無さんや本音の下着も洗ってますし……」

 

「ますますお母さんみたいだね」

 

 

さっき思ったことだが、一夏君には性別を超越した何かが感じられるのだ。

 

「別にお2人が困らないのなら良いですが……」

 

「ついでに洗濯とかもお願いしたいね~」

 

「そうですね。此処最近溜め込んでますからね」

 

「はいはい……」

 

 

こうして一夏君に部屋の掃除、また溜まった洗濯物の整理をお願いする事になったのだ。




次回教師の部屋掃除、便利屋一夏?

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