もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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久しぶりに7,000字を越えました。


謎の袋の中身

織斑君に連れられて特別指導室から寮長室までやって来ました。途中まで織斑君に手を引いてもらったのですが、私は特別指導室までの行き方を知ってるんですけどね、あえてその事は言いませんでした。だってせっかく織斑君と手を繋げるチャンスなんですもの。

 

「散らかってないので警戒する必要は無いですよ」

 

「あれ、千冬さんが片付けたんですか?」

 

 

この前来た時はグチャグチャだった気がするんだけど……でも千冬さん以外に誰が片付けるんだろう?

 

「さっき言いましたよね、俺が片付けたって」

 

「あの散らかってた部屋を織斑君が?」

 

「元々実家の掃除とかも俺がしてましたし、あの人は家事が苦手ですから」

 

「あれは苦手ってレベルでは無いと思うけど……」

 

 

千冬さんが作った料理を食べさせられそうになった時、私は死を覚悟したくらいだったのだ。

 

「兎も角身構える必要は無いですよ」

 

 

そう言って織斑君は寮長室の鍵を開けた……あれ、職員室に寄ってないのに鍵を持ってるんだ。

 

「如何かしました?」

 

「え?」

 

「何か不思議そうな顔をしてましたから」

 

「いや、寮長室の鍵って千冬さんが全部失くしたんじゃなかったかなって」

 

「それもさっき言ったんですけど……」

 

「ゴメンなさい……」

 

 

さっきは出られる嬉しさで他の事を聞く余裕なんて無かったし、それで無くってもあそこは会話が聞きにくいのだ。

 

「部屋を掃除してたら2本とも見つかって、その内の1本を俺が管理する事になったんですよ。掃除とかする時に都合が良いからって」

 

「一夏君は本当に家事上手よね」

 

「昔からやってれば慣れますよ、嫌でも……」

 

「千冬さんは昔から織斑君に家事をさせてたんですか?」

 

「両親が居なくなってすぐは千冬姉も何とかしようとしてましたが、あまりにも酷すぎたので小学生の俺が止めました」

 

「そんなに酷かったんだ……」

 

「千冬さん……」

 

 

小学生の織斑君に止められるって事は、少なくとも今以上に酷かったって事だろうし、幼いながらに危険だと感じられるくらいは酷かったと言う事だろう……

 

「さぁ、とりあえずどうぞ」

 

「お邪魔します」

 

「あっ、私お茶淹れますね」

 

「俺がやりますから大丈夫ですよ」

 

 

そう言って織斑君は私を手で制し、使われた形跡の無いキッチンに入っていった。そう言えばあそこも空き缶や食べ残しで汚かったんだよな~、織斑君って本当に清掃上手なんだな。

 

「時に山田先生」

 

「何ですかナターシャ先生」

 

「山田先生は一夏君の事を名前では呼ばないんですね」

 

「だって『一夏君』って呼ぶと千冬さんが睨むんですもん」

 

「私が呼んでも睨まないんですけど、何で山田先生だけは睨むんでしょうね?」

 

「分かりませんよ、そんな事私にも」

 

 

千冬さんの考えてる事なんて分かるはず無いのだ。あの人は私より遥か高みに存在している人であると同時に、私なんかよりもかなりレベルの高い変態なのだ……てか、私は変態では無いのだが。

 

「織斑君本人は別に構わないって言ってくれてるんですけどね」

 

「なら織斑先生が居ない今は名前で呼んでも大丈夫なのでは?」

 

「あの人の勘の良さを舐めたら駄目ですよ」

 

 

この場に居なくとも千冬さんならきっと気付くのだろう。だからなるべく私は織斑君の事を名前で呼ばないようにしてるのだから。

 

「はい、お茶です」

 

「ありがとう」

 

「さてと、それでは問題のものを確認しましょうか」

 

「そうですね……あっ、美味しい」

 

 

ごく普通のはずのお茶なのだが、織斑君が淹れると何だか高級感がある。それに味も格段に上がってる気がするのだ。

 

「お茶菓子もどうぞ」

 

「あれ、こんなのこの部屋にありましたっけ?」

 

「酒の肴ばかりじゃ駄目だろうと思ってこの前補充しておきました」

 

「抜け目無いですね~」

 

 

千冬さんはあまりお茶は飲まないですし、飲んでもコーヒーですので、お茶菓子もどちらかと言えば洋菓子の方が良いのでしょうが、織斑君が出したお茶菓子は和菓子、緑茶にピッタリのお菓子だった。

 

「それで、これが問題の袋なんですが」

 

「見るからに怪しいですね」

 

「千冬さんのお宝だって言ってましたよね?」

 

「そこは聞いてたんですね」

 

 

織斑君に呆れられたような感じがしました……だって織斑君の目がジトって感じの目をしてるから。

 

「嫌な予感がして開けなかったんですが、あの駄姉の態度から察するに変態趣味の何かだとは思うんですが」

 

「織斑先生って変態趣味があるんですか?」

 

「千冬さんは弟である織斑君で興奮する変態ですから」

 

「あ、そうなんだ……」

 

 

ナターシャ先生ははっきりとは知らなかったらしく、少し引いてる気がする。まあ世間の憧れである織斑千冬の趣味思考など普通は知らないものでしょうからね。

 

「そこで山田先生」

 

「何ですか?」

 

「この袋を開けてください」

 

「えっ、私が!?」

 

 

てっきり織斑君が開けるものだと思っていたのに、織斑君は私にその問題の袋を差し出してきた。織斑君の目を見ると、冗談でもイタズラでも無く、本気だと言う事が良く分かった。

 

「それじゃあ……開けます!」

 

 

覚悟を決めて千冬さんの秘蔵のコレクションが入っているであろう袋の口を開ける。恐る恐る中身を確認すると、USBメモリーとCD-Rが入っていた。

 

「これは何が保存されてるんでしょうね?」

 

「さあ。何も書かれてないので見てみない事には何とも……」

 

「PCで確認してみようか?」

 

「度胸がありますね……」

 

 

ナターシャ先生がPCを指差すと、織斑君がもの凄い嫌そうな顔をした。多分だけど、織斑君には中身の予想がついているのではないかと思った。

 

「だって見ない事には処分するか如何か決められないじゃない」

 

「あの人が慌ててる時点で処分しても良いと思いますがね……」

 

「とりあえず、私も見てみた方が良いと思います」

 

 

織斑君には悪いけど、私だって千冬さんのお宝が何なのか気になりますし、別に見たからって何か問題が起こる訳でも無さそうなので見るべきだと思ったのです。

 

「とてつもなく嫌な予感がしてるのですが、2人がそう言うなら見てみますか」

 

「じゃあPCを起動しますね」

 

「行動早いですね」

 

 

織斑君が決心したと同時にナターシャ先生が千冬さんのPCを起動させた。でも千冬さんのPCってパスワードが必要だった気が……

 

「一夏君、織斑先生のパスワードって知らない?」

 

「ちょっと待ってください……はい、ロック解除」

 

「何で!?」

 

 

千冬さんのパスワードは結構長かった気がするし、私だって気になってたけど教えてもらえなかったのに(当たり前だが)……

 

「一夏君、織斑先生のパスワード知ってたの?」

 

「いや、知りませんよ」

 

「でも開いたよね?」

 

「あの人の考えそうな事は大体分かります、不本意ながら……」

 

 

そう言って織斑君はPCを操作し始めました。操作してすぐに織斑君は急激に機嫌が悪くなったのを、私でも感じ取る事が出来ました。

 

「如何かしたの?」

 

「画像フォルダを開いてみたら、俺とマドカの盗撮写真ばっかりだったんですよ」

 

「どれどれ……うわぁ、これは酷いね」

 

「千冬さんにこんな趣味があったなんて……」

 

「いや、これは変態ウサギの仕業でしょうね」

 

「「変態ウサギ?」」

 

 

織斑君の言うその変態ウサギの事が分からずに、私とナターシャ先生は声を揃えて織斑君に尋ねた。

 

「悪名高き大天災、篠ノ乃束の事ですよ。あの人、何時も頭にウサ耳メカを着けてるんですよ」

 

「そう言えば臨海学校の時もありましたね」

 

「それに一夏君の家で飲み会をした時も言われれば着いてたような気がする」

 

「あれは消したい記憶なので、言わないでください」

 

 

そう言えばあの飲み会では、私と千冬さんと篠ノ乃博士が織斑君に多大な迷惑を掛けて怒られたんだっけか……あれは本当に悪い事をしたと反省したんだっけ。

 

「それで一夏君、この写真が何で篠ノ乃博士の仕業だって分かるの?」

 

「さすがに千冬姉が盗撮してるのなら気付きますし、何枚かは明らかに上空からだと分かるアングルですから」

 

「上空?」

 

「人工衛星からの盗撮ですよ」

 

「そんな事もやってるんですね……」

 

「宇宙規模のストーカーですから」

 

 

篠ノ乃博士はIS業界では知らない人は居ない、てか世界中でその名前を知らない人は居ないんでは無いかと思うくらいの超有名人だ。ISの生みの親であり、ISのコアを制作方法を知っている唯一の人物で、その行方を世界中が捜しているのだが、一向にその行方は明らかにされてないのだ。

 

「これは千冬姉が特別指導室から出られたら尋問する必要があるな」

 

「と、とりあえずこっちの確認をしましょうか」

 

「そうですね」

 

 

表情1つ変えずに織斑君は私の手から問題のCD-Rを受け取った。表情が変わってないのが逆に怖いんですが……

 

「何枚もあるって事は、これ全部確認するって事?」

 

「1枚見れば後は大体一緒だと思いますよ」

 

「そうなんですか?」

 

「どうせ束さんから高値で買ったものでしょうし、内容は兎も角、使用目的は一緒でしょうから」

 

「お姉さんの事だから何でも知ってるんだね?」

 

「知りたく無い事まで分かるって言うのは、結構嫌なんですよ」

 

 

そう言って織斑君はCD-RをPCにセットした。私はこう言った機械作業は苦手で、ナターシャ先生は完全に作業するつもりが見られないので、必然的に織斑君がPCを操作する事になるのだ。

 

「えっと何々……『一夏その1』?」

 

「これも写真なのでしょうか?」

 

「いや、動画のようですね」

 

「再生してみてよ」

 

「何だかもの凄く嫌な感じがするんですが……」

 

 

よく見れば織斑君の表情が引きつってる気がする……とても勘の良い織斑君の事だ、恐らく思った通りのものが保存されているのだろうが、私やナターシャ先生にはその予想すらつかないのだ。

 

「えい!」

 

「ちょっと、まだ心の準備が!」

 

 

何時まで経っても再生をしない織斑君に痺れを切らしたのか、ナターシャ先生が再生してしまった。

 

『一夏、もっと奥まで突いてくれ!』

 

「……これは」

 

「一夏君、これって現実?」

 

「ウサ耳マッドの合成でしょうね……」

 

 

再生したものは所謂夜の営みをしている織斑君と千冬さんの動画でした……しかもその動画の中の千冬さんは全身を拘束され恍惚の表情で織斑君に攻められているのだから、織斑君が怒りに震えていてもおかしくは無いのでした。

 

「他のも見てみよっと」

 

「ナターシャ先生、織斑君が!」

 

「ん、如何かした……ありゃりゃ」

 

 

怒りが頂点を越えたのか、織斑君は何も言わずに寮長室から出て行こうとしてました。

 

「チョイ待った」

 

「何ですか?」

 

「全部確認してからでも遅くは無いよ」

 

「……俺はこれ以上見たくないんですが」

 

「まぁまぁ、そう言わずに。無修正なんだから」

 

「余計に見たくないですよ!」

 

 

千冬さんの女性器も、織斑君の男性器もモザイク無しで映されています。篠ノ乃博士の仕事はもの凄い正確なものなのでしょうか?だとすると織斑君のものは……

 

「山田先生、何を見てるんですか?」

 

「いや、何でも無いです!」

 

 

ついつい織斑君の下半身に目が行ってしまった……だってあそこまで大きかったらきっと痛そうだと思ってしまったから……

 

「織斑先生は一夏君に襲ってもらいたい願望があるみたいだね」

 

「あの変態駄姉は……」

 

「えっとこれは『一夏15』だって」

 

「いったい幾つまであるんだよ……」

 

「さっきはSMだったけど、次は何かな~」

 

「何で楽しそうなんですか!」

 

「だって織斑先生の弱みを握れれば、少し楽が出来るかな~ってね」

 

「だったら1個見れば十分でしょうが!」

 

「後は普通に気になるから」

 

「………」

 

 

織斑君はついに何も言わなくなってしまった。ナターシャ先生の気持ちは、何となく私にも分かるので、黙って再生されるのを待っていた。

 

「これは学校ですね」

 

「うわ、織斑先生が制服着てる」

 

「織斑君がスーツですね……」

 

 

立場が逆転してるのか、千冬さんが高校生で織斑君が先生なのでしょうか……それにしても織斑君のスーツ姿はカッコいいですね。眼鏡も似合ってますし、本当に先生みたいです。

 

「うわ、うわぁ!」

 

「過激ですね~」

 

「………」

 

 

黙って部屋から出て行こうとした織斑君の腕を、ナターシャ先生が掴みます。振りほどこうとすれば簡単に出来るのに、織斑君はナターシャ先生の手を振りほどこうとはしませんでした。

 

「次はこれ~」

 

「千冬さんは危険思考の持ち主だったんですね」

 

「もう身内の恥は見たくないんですが……」

 

「此処まで来たら一緒だって」

 

「これで最後にしてくださいよ」

 

「分かった分かった」

 

「ハァ……」

 

 

この部屋に来る前と来た後では、何だか織斑君の肉付きが変わったように見えるのは気のせいでしょうか。何だかゲッソリとしているような気が……

 

「これは『一夏最高傑作』だって」

 

「とてつもなく嫌な予感が……」

 

「最高傑作ですか、ちょっと気になりますね」

 

 

千冬さんが最高と証するって事はそれなりに期待が持てるものなのでしょう。織斑君からしてみれば見たくないでしょうけど、女性って以外とこう言うものも好きなんですよね。

 

「それじゃあ再生っと」

 

「これは!?」

 

 

PCに流れる映像は、新婚夫婦のようなやり取りをしている千冬さんと織斑君だった。

 

「音が無いですね」

 

「えっと、一夏君これって如何やれば音が出るの?」

 

「……ハァ」

 

 

盛大なため息を吐いて、織斑君がPCを弄り始めました。何をやってるのか私にはさっぱりだけど、間違い無く織斑君は音が出るようにしてくれてるのは分かりました。だってどんなに嫌がっても、織斑君は私たちに頼まれた事はちゃんとしてくれる子だと分かってるから。

 

「あっ、出た」

 

「良く聞こえませんね……」

 

 

音量調整が出来てないのか、微かに音はするんですが、ちゃんと聞こえません。そんな事をつぶやいたら織斑君が調整してくれました。

 

『忘れ物は無いか、一夏?』

 

『大丈夫だって、千冬』

 

「これが織斑先生の中の最高傑作……」

 

「呼び捨てにされてますね……」

 

「これって織斑先生が家庭に入ってるんだよね?」

 

「織斑君がスーツを着てますし、千冬さんはエプロンしてますから多分そうかと……」

 

「良かったね一夏君。織斑先生にも結婚願望があるみたいだよ」

 

「そうですね……その相手が俺じゃなかったら最高に良かったんですが」

 

 

織斑君は最早頭痛を抑えられないのか、頭を抑えて唇を噛み締めていました。その姿は今にも千冬さんを殺しに行かんばかりの印象を受けるものでした。

 

「大体あの駄姉が家庭に入ったとして、家事なんか出来る訳無いんだ」

 

「爆発オチが見えますね……」

 

「じゃあもう少し先まで見てみようっか」

 

 

織斑君は諦めで、私は興味半分怖いもの見たさ半分で続きを見ることを了承した。千冬さんの奥さん姿も気になりますし、これが最高傑作だと言われる原因がまだ分かりませんからね。

 

「それにしても良く出来てるよね~」

 

「織斑君、本当にこれは現実じゃ無いんですよね?」

 

「当たり前でしょうが。誰が好き好んで変態趣味に付き合うんですか!」

 

「一夏君はこう言うの嫌いなの?」

 

「こう言うの?」

 

「だからこう言うエッチなビデオとか」

 

「興味無いです」

 

「健全な高校生男子なのにですか?」

 

「皆が皆好きだと思われたく無いんですが」

 

 

織斑君は本当に興味が無さそうにPC画面を眺めています。興奮してるからでは無く、制裁の度合を決めるために見ているって感じです。

 

「あっ、一夏君が帰ってきた」

 

「定番のお出迎えですね」

 

 

所謂『ご飯にします?お風呂にします?それとも……』と言うやつだ。このセリフを千冬さんが言ってるのを見るとは思わなかった。

 

「迷い無く最後の選択肢を選んだわね……」

 

「千冬さんの願望でしょう……」

 

「………」

 

「一夏君?」

 

 

徐に携帯を取り出した織斑君、いったいこの状況で誰に電話を掛けるのでしょうか……

 

「一夏君、誰に電話してるの?」

 

「黙って!」

 

「は、はい!」

 

 

相当頭にきているのでしょうか。普段の口調では無く、とても強い……いや、逆らいがたい口調で言われて、ナターシャ先生も黙るしかありませんでした。

 

『いっくん、何か用かな~?』

 

 

繋がったと同時に、織斑君はスピーカーモードにして私たちにも会話が聞こえるようにしてくれました。声から分かるように、相手は篠ノ乃博士です。

 

「どれくらい吹っ掛けたんですか?」

 

『何の事かな~?』

 

「どうせ見てたんでしょ?」

 

『な、何の事かな~?』

 

 

さっきと同じセリフなのに、2回目はかなり動揺していました。

 

「言い訳出来ると思ってたんですか?」

 

『でも、束さんは頼まれたから作っただけだけだよ!』

 

「どうせ千冬姉から束さんに変えた同じようなものがあるんでしょ?」

 

『何で知って……あっ!』

 

「さて、覚悟は出来てますよね?」

 

 

織斑君の雰囲気が更に凶暴なものに変わった。これは確実に怒ってるのだろう……私はナターシャ先生の後ろに隠れる事で何とか耐えられたけど、ナターシャ先生が居なかったら気絶してたかも知れない。それこそデュノアさんみたいに全身の力が抜けるくらいの恐怖だったから。

 

『お金はいっくんに渡すから、壊すのだけは止めてくれないかな~?』

 

「他人の趣味思考にとやかく言うつもりは無いですが、とりあえず説教は受けてもらいますからね」

 

『お金は?』

 

「巻き上げた半分は返してもらいますが、後はあの阿呆の責任ですから束さんの好きにしてください」

 

『分かった~』

 

「それじゃあ今から直接説教しますから、少しの間待っててくださいね」

 

『い、イエッサー……』

 

 

最後に1番凄いプレッシャーを電話越しに与えて携帯をしまう織斑君……笑ってたのにその顔はとても怖かった。

 

「てな訳で、俺は馬鹿ウサギを説教しに行きますから、鍵はナターシャ先生に預けておきますね」

 

「い、いってらっしゃい……」

 

 

寮長室の鍵を預かり、まるで機械のような動きで織斑君を見送ったナターシャ先生。あの威圧感を直接受けたのだから、動きがぎこちなくなっても仕方ないでしょうね。

 

「片付けますか……」

 

「そうですね……」

 

 

PCの電源を落とし、元あった場所に袋を片付ける……千冬さんの所為で、とてつもない恐怖を体験してしまったではないか……せっかく自由になれたのに、なった途端にこれじゃあ素直に喜べないですよ……




中身は千冬の変態趣味の映像でした……詳しく書くとR-18になりそうなので、続きが気になる人は個々で妄想してください。

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