もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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半年ぶりくらいに髪を切りました


甘え実行 楯無・虚編

第1回一夏君に甘える順番決めババ抜き対決は、いよいよ佳境を迎えていた。既に私と虚ちゃんは上がっており、簪ちゃんと須佐乃男が残り1枚でマドカちゃんと本音がちょっと不利な状況になっている。

 

「ビリは甘えられないからね~」

 

「聞いてないよ!?」

 

「うん、今考え付いたから」

 

「さすがにそれは認められませんよ!」

 

「そうだそうだ~!」

 

「せめて甘える時間が短いくらいにしておきましょう」

 

「仕方ないな~」

 

 

虚ちゃんの提案を渋々受け入れた形になったが、元々私たちは十分一夏君に甘える事が出来る権利を手に入れているので関係は無いのだけどね。

 

「よし、私上がり!」

 

「あっ、私もです」

 

 

簪ちゃんのカードを須佐乃男が引き、そのカードで須佐乃男が上がった。順番のめぐり合わせが良かったのね。

 

「さぁ、残ったのはマドカさんと本音様ですね」

 

「普段から甘えてる2人が残ったね」

 

「一夏君が帰ってくる前に決めたいわね~」

 

 

一夏君が帰って来てしまったら、この2人は勝負を投げ出して一夏君に甘えるかもしれないから。せっかく勝ったのにうやむやにされたくないもんね。

 

「うにゅにゅ……」

 

「早く引きなよ」

 

 

本音は残り1枚、マドカちゃんが2枚……つまりマドカちゃんがババを持っているのだ。本音は見えないカードの反対側を必死になって見ようとしているが、そんな芸当が出来るのは一夏君くらいしか私は知らない。

 

「こっち!」

 

「はい、外れ」

 

「ふにゃ~!」

 

 

今度は一転して本音が不利な状況になった……本音は必死になってカードを持ち替えてるが、目の前でやっても意味は無いと思うのだけど。

 

「本音、そう言うのは隠してやらないと意味無いよ」

 

「簪、教えちゃ駄目だよ!」

 

「真剣勝負なんでしょ?」

 

「あぅ……」

 

 

分かってて教えないのはちょっとズルイと思ったのか、簪ちゃんの『真剣勝負』の言葉にマドカちゃんは反論する気が無くなったようだった。

 

「よ~し、これでどうだ!」

 

「うぅ、分からないよ~」

 

 

マドカちゃんも必死になってカードの柄を見ようとしていたが、やっぱり見える訳は無いのだ。一夏君と義兄妹だとは言っても、能力まで一緒と言う訳にはいかないのだ。

 

「ええぃ、こっち!」

 

「ほえ!?」

 

「……やった!」

 

「マドカの勝ちだね」

 

「ほえぇ~……」

 

 

こうして、第1回一夏君に甘える順番決めババ抜き対決は幕を下ろした。順番は私、虚ちゃん、簪ちゃん、須佐乃男、マドカちゃん、本音に決定したのだ。

 

「早く一夏君、帰って来ないかな~」

 

「お嬢様が甘えた後に私ですか……ハードルが高い気がします」

 

「一夏に甘えられる……何か夢みたい」

 

「怒られない程度に甘えたいと思います」

 

「お兄ちゃんなら何やっても怒らないと思うけど」

 

「おりむ~思いっきり甘えてあげるから早く帰ってこ~い!」

 

 

奇しくも甘える順番通りにコメントしたが、これはまったくの偶然だった。一夏君の帰りを今か今かと待っているのは、私だけじゃなかったみたいね。

 

「……一夏様の気配」

 

「えっ、嘘!?」

 

「でもこれは寮長室?」

 

「一夏、そんな場所で何してるんだろう」

 

「寮長室って姉さんが生活してる部屋だよね?」

 

「そうですね。今は織斑先生が使ってるはずの部屋です」

 

「おりむ~が居てもおかしくは無いね」

 

「先ほどから行ったり来たりと忙しい感じですが、これは部屋の掃除でもしてるのでしょうか?」

 

 

一夏君ならそれもありえそうね……彼はそこらへんの新米主婦よりもよっぽど主夫してるから、義姉の部屋の掃除くらいしててもなんらおかしく無いものね。

 

「でも、姉さんは自分でやらされてるんじゃ……」

 

「織斑先生たちもシャルルンと一緒に閉じ込められてるから、おりむ~がやってるんじゃ無いの?」

 

「「「閉じ込められてる?」」」

 

 

事情を知らない私と虚ちゃんと簪ちゃんの声が揃う……閉じ込められてるっていったい何処に、本当なら何でそんなに落ち着いてられるの!?

 

「千冬様とシャルさん、後山田先生は一夏様に怒られて特別指導室で反省中なのです」

 

「特別指導室……あそこって誰も場所を知らないって話じゃ無かったっけ?」

 

「行くのに許可が必要ですし、本当に目的のある人の前にしか通路は開けないと聞いた事があります」

 

「一夏を怒らせるとそこに入れられちゃうんだ……気をつけよう」

 

「本当は姉さんがシャルロットを閉じ込めたんだけど、そこでお兄ちゃんに怒られて3人仲良く閉じ込められたみたい」

 

「一夏君は何が目的で特別指導室に行ったの?」

 

「そ、それは……」

 

 

私の質問にマドカちゃんが居心地の悪そうな雰囲気で言葉を濁した……これは原因はマドカちゃんなのかもしれないわね。

 

「自習中に騒いだマドカさんとラウラさんの処罰を千冬様に聞きに行ったんですが、そこで何かあったらしく千冬様と山田先生も特別指導室に閉じ込められたって訳です」

 

「マドカちゃん、授業中に騒いじゃ駄目よ?」

 

「は~い……」

 

「お嬢様だってサボってばかりだと一夏さんにその特別指導室に入れられちゃいますよ?」

 

「うん、気をつける……」

 

 

マドカちゃんに注意した後、虚ちゃんに脅されて私も肩身が狭い思いをしなければいけなくなってしまった……一夏君を怒らせるのは止めておこうっと。

 

「一夏様がこっちに向かって来ます!」

 

「掃除終わったのかな~」

 

「お兄ちゃんの家事スキルなら、どんなに汚い部屋でもあっという間に綺麗になっちゃうからね」

 

「今度屋敷の掃除もやってもらおうかしら」

 

「一夏にばっか頼っちゃ可哀想だよ」

 

「そうですね。それに、今度の週末は簪お嬢様とデートですから」

 

「そうだった……」

 

 

週末は順番に一夏君と2人きりのデートだったのだ……この間は私の番だったけど、なんだか色々あって純粋にデートを楽しんでなかったような気もしないでも無いのだが、順番は順番なのだ、私の番は当分先になるのだ。

 

「お姉ちゃんが甘えたら次は虚さん……そうしたら次は私の番だ」

 

「簪様がブツブツと何かを言ってます、怖いです!」

 

 

一夏君に滅多に甘えてない簪ちゃんが、如何やって一夏君に甘えるのか楽しみだけど、まずは私が目一杯一夏君に甘えちゃうんだからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

職員室に寮長室の鍵を届け、1本は俺が預かっても良いと言われたのでお言葉に甘えて鍵を預かった。元々鍵なんて無くても入れるのだが、さすがに毎回忍び込むのは面倒だったのでこれはありがたかった。

 

「掃除も洗濯も終わったし、後は乾いたら取り込んで畳んでしまえば終わりだ」

 

 

洗濯物は明日の朝取り込めば良いし、今日はもうする事は無いかな……あっ、夕飯作らなきゃいけないんだった。

 

「材料は十分あったから、今から作れば7時くらいには終わるか?」

 

 

今の時間は6時ちょっと前……誰も邪魔してこなければ十分間に合うだろう。別に時間が決まってる訳でもないから遅れても良いのだが、大浴場の使用時間もあるので早めに作り終えた方が良いのだ……女性陣にはだが。

 

「俺は関係無いからな……」

 

 

入学前には、俺にも使えるように調整すると言っていたが、それは丁重に断ったのだ。女子が普段使っている大浴場を男の俺が使ったら、色々と文句が出ると思ったからだったのだが、最近では使っても文句言われなかったんじゃないかとも思い出している。

 

「部屋の風呂を大きくしてもらったから、今更使いたいとは思わないがな……」

 

 

思わないのだが、業者に掃除を頼んでるくらいなら自分たちで掃除すれば良いじゃないかと思ってしまっているのだ……業者に頼むと金が掛かるし、自分たちが使ってる場所なら自分たちで掃除するのが普通ではないのかと思ってしまうのだ……学園の経理まで気にするとは、更識の屋敷で経理のやりくりをし過ぎたかもな。

 

「今度虚さんに相談して仕事減らしてもらうか……」

 

 

当分の危機は脱したし、更識の経理は簪に任せても大丈夫だろう……刀奈さんの代になってから、やたらと無駄遣いが目立ってたのだが、如何やら一部の従者が横領してたのだ。

当然見逃せる事態では無かったので、刀奈さんには内緒で虚さんと一緒にその従者たちは処分した……長年更識に仕えてた家の者だったらしく、最後は開き直って刀奈さんを馬鹿にしたので、一切の容赦無く打ちのめした。その後で反省させるために牢獄にぶち込んで改心させたのだ。

 

「刀奈さんには言えないよな……」

 

 

父親に忠誠を誓っていた家臣が横領していたなんて聞いたらきっと泣いてしまうから……虚さんも泣きそうだったから、結局は俺1人で後始末をしたのだがな。

 

「家族みたいな感じだったのだろうな」

 

 

あの時の虚さんの顔を思い出し、そんな事を思った……裏切った奴らは今碧さんたちの部隊に監視されながら仕事をしている。もっとも、監視されてるとは知らないだろうがな。

 

「今のところは怪しい動きはしてないようだが、もしまたおかしな動きをしたら、今度は完全に容赦しないがな」

 

 

アイツらには俺が恐怖を植え付けたから大丈夫だろうが、虚さんの前だったので最大級の恐怖は植えつけられなかったのだ……それが悪い結果にならなければ良いのだがな。

 

「済んだ事を何時までも考えてても仕方ないか」

 

 

裏切れば今度こそ殺されるって事は奴らにも分かってるだろうし、命と引き換えに小銭を稼ごうとする馬鹿では無いだろうしな。それよりも今は夕飯の準備だ。

 

「ただいま」

 

「一夏く~ん!」

 

「は?」

 

 

部屋に帰って来てすぐに、刀奈さんが抱きついてきた。避けようと思えば避けれたのだが、刀奈さんの勢いでは避けたらドアに激突すると思い受け止める事にした。

 

「いったいなんです?」

 

「これ、一夏君が掛けてくれたんでしょ?」

 

「あぁ、それですか」

 

 

刀奈さんの手には俺の制服の上着が握られている、気絶させた時に寝かせるついでに掛けておいたのだ。

 

「これって、私が風邪引かないようにしてくれたんでしょ?」

 

「……えぇまぁ」

 

 

如何やら俺が意識を刈り取った事は覚えて無いらしい……あの空間の事も覚えて無いようだし、此処は刀奈さんに話を合わせた方が良いだろうな。

 

「ありがとう一夏君、お礼にキスしてあげる!」

 

「お礼は良いですよ、別に」

 

「ダ~メ」

 

 

抱きつかれてるので避けるのも困難なので、無駄な抵抗は諦めてさっさと開放してもらうとするか。

 

「ん~」

 

「ちょっ、何時までするつもりなんですか!」

 

 

あまりにも長い間キスをしてたので、堪らず顔を離した。いくら懐に居るとは言え、刀奈さんと俺との身長差なら少し顔を逸らせば届かなくなるのだ。

 

「一夏君は照れ屋さんだな~」

 

「兎に角、上着の事は気にしなくて良いですよ。俺が勝手に掛けただけですから」

 

 

そう言って刀奈さんから離れ、俺はキッチンを目指した。さっさと調理を終わらせて休みたいのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お嬢様が一夏さんに甘えてるの見て、普段なら苛立つのですが今日はそんな気分にはなりませんでした。何故ならこの後私も甘えられると分かっているからです。

 

「う~ん、一夏君は相変わらずだな~」

 

「いきなり抱きつくとは、さすが楯無様ですね」

 

「その行動力をもっと他の場所で発揮できれば良いのにね」

 

「そうすればおりむ~の負担も減るかもね~」

 

「でも、お兄ちゃんなら楯無さんがちゃんと仕事しても別の所で仕事を見つけてやると思うよ?」

 

 

それはありえそうですね……ついこの間も、横領してた家の者に制裁を加えてましたし。まさかあの方が更識を裏切ろうとしてたなんて思ってもみませんでしたよ……お嬢様に言わなかったのは正解でしたよ……一夏さんが1人で辛い役目を担ってくれたおかげで、私もそこまで辛い思いはしないで済みましたし、一夏さんの温情のおかげであの方たちも再び更識で働いてくれてますし。

 

「次は虚ちゃんの番だね」

 

「おね~ちゃんが甘えてるところなんて見た事無いかも~」

 

「それだけお姉ちゃんや本音が一夏に甘えてるって事でしょ」

 

「一夏様に甘えてるお2人は仕事してませんからね」

 

「お嬢様や本音には困ってるんですよ」

 

「お兄ちゃんが居なかったら虚さん、もっと大変だったでしょうね」

 

 

マドカさんの一言で、私は大きく頷き、お嬢様と本音はばつが悪そうに視線を逸らしました。ご自分で分かってるのなら少しは仕事をしてほしいものです。

 

「それで、虚さん」

 

「はい?」

 

「一夏は今キッチンだけど、如何やって甘えるの?」

 

「そうですね……思いっきり料理を教えてもらおうと思います」

 

 

普段は時間が合わなかったり、一夏さんが疲れてるかもと遠慮してたのですが、今日だけは私のわがままで一夏さんに教わろうと思ってます。

 

「おね~ちゃんが作るなら、今日のご飯は学食かな~」

 

「本音!」

 

「ひゃ~!」

 

 

失礼な事を言った本音に鋭い視線を向け、私は一夏さんの居るキッチンへと歩を進めた……絶対に上手く作ってみせるんだから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なにやら騒がしいが、今は気にしてる場合では無い。一刻も早く終わらせて寝たいのだ……

 

「あの、一夏さん」

 

「虚さん、何か用ですか?」

 

 

普段はこの場所に近づかない虚さんが珍しい……もしかして料理指導をしてほしいのだろうか?

 

「久しぶりに教わろうかと……」

 

「そうですか、ならこっちにどうぞ」

 

 

別に断る理由も無かったので、俺は素直に虚さんを隣に招いた。さすがに全てを任せるとは行かなくとも、簡単な事なら任せられるくらいには虚さんも成長してるのだ。

 

「それじゃあ野菜を切ってください」

 

「分かりました」

 

 

虚さんに野菜を切ってもらってる間に他の事を進める。そう言えばさっき刀奈さんがキスしてきたのに誰も文句言ってこなかったが、何か裏があるのだろうか?

 

「一夏さん、切れました」

 

「ありがとう……ございます?」

 

 

虚さんが切った野菜は一連なりで短冊のようになっている……つまり最後まで切れて無かったのだ。

 

「虚さん、出来れば最後まで切ってくれるとありがたかったんですが……」

 

「え?……ご、ゴメンなさい!」

 

 

虚さんは自分の切った野菜が最後まで切れてなかったのに気付いて大慌てで包丁を持とうとした……そんなに慌てたら危ないですよ。

 

「きゃっ!」

 

「あぁもう!」

 

 

案の定握り損ねた包丁が虚さんの足目掛けて落ちていく……虚さんにしては珍しく手助けになってないぞ。

 

「……怪我は無いですか?」

 

「は、はい……ゴメンなさい」

 

 

しょぼくれてしまった虚さんの頭を撫で、とりあえず包丁を片付ける……床に刺さったままだと危ないからな。

 

「今日は疲れてるんでしょうね。練習は止めときましょう」

 

「スミマセン……」

 

 

虚さんはションボリとしてしまったが、何故かキッチンから出て行こうとはしなかった。

 

「虚さん?」

 

 

不審に思った俺はゆっくりと虚さんに近づいた。もしかしたら泣いているのかもしれないと思ったからだ。

 

「一夏さん……ゴメンなさい」

 

「何を……ッ!?」

 

 

唐突に抱きついてきて謝ったかと思ったら、次の瞬間にはキスされていた……さっき刀奈さんがキスしたのに誰も文句言わなかったのはこれか。

 

「事情は説明してもらえるんでしょうね?」

 

「あぅ……」

 

 

抱きついてると言う事は、逃げ出す事も出来ないと言う訳なので、俺は虚さんに事情説明を求めた。

 

「実はですね……」

 

 

虚さんの説明は次の通りだった。

刀奈さんが俺に上着を掛けてもらった事に簪が腹を立て、自分も思い切り甘えたいと言い出したらしい。そしたら須佐乃男もマドカもその簪の思いに便乗したらしく、ついでに言えば虚さんも便乗したらしいのだが、俺に甘える順番を決めたらしい……ババ抜きで。

普通なら刀奈さんと本音の参加は認めなかったのだろうが、そこは刀奈さんの口の上手さで丸め込まれたのだろう。その結果刀奈さんが最初で、次いで虚さん、簪、須佐乃男、マドカ、本音の順番で思いっきり俺に甘えようと言う事になっているらしい……人の都合は気にしないんだな。

 

「それで珍しく虚さんが来たんですね」

 

「はい……」

 

 

普段は俺の体調を気遣って自分から来ない虚さんが、今日に限って来た理由がこれではっきりした……それにしても簪だって十分甘えてきてると思うんだがな。

 

「この事は聞かなかった事にしときます」

 

「スミマセン、お願いします……」

 

 

知らないフリを続けるのはさほど大変では無いし、甘えたいって言うなら甘えさせてやるのが彼氏の仕事だろう……マドカは彼女じゃ無くって義妹だが、義兄に甘えたいのだろう。

 

「一夏さん、大変なら言ってくださいね?」

 

「……2人だけ甘えさせて後は駄目って言えば暴動が起きますよ」

 

 

簪を筆頭に風呂場にまで攻め入られるかもしれない……それなら素直に甘えさせた方が見のためだと思うのだ。

 

「簪お嬢様も意外と苛烈なお方ですからね……」

 

「普段大人しいから余計にそう思うんでしょう……」

 

 

刀奈さんの妹だけあって、簪もかなり嫉妬するのだ。しかも放っておいた場合は刀奈さんより性質が悪いかもしれないのだ。

 

「甘えたいなら甘えてくれれば良いのに……」

 

「一夏さんは色々大変そうですからね」

 

「分かってるならこっちの都合も考えてから計画してくださいよ……」

 

「そこはほら、お嬢様ですし」

 

 

虚さんは若干視線を逸らしながら答えた……刀奈さんの発案とは言え、全員がそれに乗ったのなら誰が発案でも変わりませんよまったく。




次回は残りの彼女、義妹が一夏に甘えます

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