もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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もう夏は終わったのでしょうか?


女の勝負と主夫の悩み

特別指導室から帰る廊下で、俺は少し考え事をしていた。さっきの会話で何となく感じた嫌な気配を確かめるか否かを此処で結論付けようと思ったからだ。

 

「ちょっと前に入った時は見た感じ平気そうだったけど」

 

 

あの駄姉の事だ、クローゼットにゴミを溜め込んでると言う可能性だってあるのだ、見ただけで判断するのはマズイだろうな。

 

「織斑家の方は何かあれば近所のおば様たちがクレームの電話をしてくるからな」

 

 

その電話が無いって事はあっちはまだ平気だと言う事なんだろう……気になるがコッチから片付けに行ってやる気にはまだなってないのだ。

 

「自分の部屋のすぐ傍がゴミ屋敷ってのも嫌だな」

 

 

自分を納得させるための口実を見つけ、俺は寮長室を確認する事にした……想像通りでは無い事を祈りながら、俺は寮長室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏様の気配が近づいて来ているのが分かる……昼に感じた通り、私は一段と能力が高まったようで、持ち主である一夏様の気配なら、学園内に居るなら完全に掴む事が出来るようになったみたいです。完全と言っても、それは一夏様が気配を殺してない状態での事で、一夏様が本気で隠れようとしたら、きっと見つける事は出来ないでしょうね。

 

「次、須佐乃男の番だよ~」

 

「もうすぐゴールって時が一番危ないんだよ」

 

「なるほど、人生ゲームって言うのは案外難しいんですね」

 

 

私たちは特にする事が思いつかなかったので、部屋で遊ぶ事にしていたのです。トランプ、オセロ、チェス、将棋とやって最後がこの人生ゲームなのです。

 

「これの順位で今日の勝者が決まるんだよね~」

 

「本音はビリ以外なら負けは無いじゃん」

 

「でも~今はビリなんだよね~」

 

「博打しすぎなんですよ、本音様は」

 

「ルーレットが悪いのだ~」

 

「単純に本音の運が悪いんだと思うよ……」

 

 

勝負の時、必ずと言って良いほど、本音様の回したルーレットは狙い目とは違う数字で止まっていたのです。したがって本音様は持ち金を増やす事が出来ずに此処まで来ているのです。

 

「でも、須佐乃男がトップならば、かんちゃんがビリだよ~」

 

「このままだと簪様が今日の敗者ですね」

 

「絶対に負けないもん!」

 

 

私と簪様の差はほんの少しだけ、このまま私がトップでゴールすれば逆転は不可能となり、その場でゲーム終了となるのだ。

 

「さぁ、私の番ですね」

 

 

ルーレットを回し、勝負を決めにかかった……今回は長引いたので、ピッタリの数字では無くともゴール判定にすると最初に決めてあるので、4以上が出ればゴール、すなわち私の勝ちなのだ。

 

「……3」

 

「やった!」

 

「あらら、これは決まりかな~」

 

 

ゴール手前、この場所は大抵最悪のマスになっている事が多いのだ。そして想像通りこのボードもそのマスは最悪なのだった。

 

「持ち金全部没収だね」

 

「これで私は敗者にならなくて済むね~」

 

「あ、あぁ……」

 

 

目の前が真っ暗になると言う表現があるが、それをまさか体験する事になるなんて思って無かったですよ……視界が無くなりがっくりと膝をついてへこむ……これで明日どちらかにケーキを奢る事がほぼ決定してしまったのだ。

 

「かんちゃんもそのマスに止まると面白いんだけどね~」

 

「大丈夫、私は須佐乃男の二の舞は演じないから」

 

 

そう言って簪さまはルーレットを回す。簪様は私がもと居たマスの2つ後ろのマス、つまり6が出てば文句無しのトップ通過、したがって本日の勝者になるのだ。

 

「「「………」」」

 

 

3人で回ってるルーレットを凝視する……まさかこんなにも緊張するものだなんて思ってませんでした……恐るべし、人生ゲーム。

 

「やった!」

 

「あ~あ負けちゃった」

 

「簪様に奢れば良いんですね」

 

 

簪様の出した数字は6、文句無しで一着フィニッシュだ。

 

「それじゃあ片付けましょうか」

 

「本音はゴールしないで終わったね」

 

「トランプでいっぱい勝ってて良かったよ~」

 

 

トランプでの貯金が生き、本音様は人生ゲームを始める前からほぼ敗者になる可能性は無かったのだ。人生ゲームで簪様がトップで、私が2位フィニッシュだったら本音様が敗者になったのだが、博打をしまくった本音様にすら勝てない状況になったため、本音様は苦も無く2位を確保したのだった。

 

「ただいま~」

 

「あっ、マドマドだ~。お帰り~」

 

「お帰りなさい、マドカさん」

 

「楽しかった?」

 

「うん、清香もさゆかも癒子も面白かった」

 

 

マドカさんは遅れながらの歓迎会でクラスメイトたちと食堂でおしゃべりをしていたのです。本当は私や本音様も誘われてたのですが、私たちは更識の屋敷で既に歓迎会をしてたので遠慮したのです。簪様と遊びたかったって言うのもあるのですが……

 

「そう言えばお兄ちゃんは?」

 

「……何処に行ったのでしょう」

 

 

先ほどは近くにあった気配が、今はまったく掴む事が出来なくなってしまっていました。学園の外に出る事は無いでしょうから、一夏様は気配を殺してるのでしょうか?

 

「さっき近くに気配があったんですが、マドカさんは一夏様に会いませんでしたか?」

 

「ううん、お兄ちゃんとは会わなかったよ」

 

「そうですか……」

 

 

一夏様が何処かに行くのは何時もの事なのですが、せっかく気配を掴めるようになったのに見つけられないのは何だか悔しいです。

 

「ただいま~」

 

「ただいま戻りました」

 

「お帰り、お姉ちゃん、虚さん」

 

「あれ、一夏君は居ないの?」

 

「まだ戻ってきてません」

 

「コレ返そうと思ったのに」

 

「……何でお姉ちゃんが一夏の上着を持ってるの?」

 

 

楯無様の手には、一夏様の制服の上着が握られています。それを見た簪様が急に不機嫌になって行くのが、隣に座っている私には伝わってきました……簪様も一夏様の上着を借りたいのでしょうか?

 

「良く覚えて無いんだけど、中庭のベンチで寝てた私に、一夏君が掛けてくれたらしいの」

 

「お嬢様は偶におへそ出して寝てますからね」

 

「出してないもん!」

 

「さすがお兄ちゃん、優しいな~」

 

「一夏様なら、それくらい当然なのでしょうね」

 

「おりむ~は何だかんだで優しいからね~」

 

「……お姉ちゃんだけズルイよ!」

 

「私だって本当に一夏君に掛けてもらったのか分からないんだけど……」

 

「でも、この学園に男子は一夏だけなんだから!」

 

「そうなのよね……やっぱり一夏君が掛けてくれたのかな」

 

 

楯無様は手に持った上着に顔を近づけ、その上着の匂いを嗅ぎ始めました……見た感じ変人に見えるのは私の気のせいでしょうか?

 

「やっぱり一夏君の匂いがする」

 

「分かるんですか?」

 

「普段から嗅いでるからね」

 

「楯無様はしょっちゅうおりむ~に抱きついてますからね~」

 

「羨ましい限りですよ」

 

「お兄ちゃんは楯無さんには特別甘いからね」

 

「やっぱりズルイ!」

 

「なら、簪ちゃんも抱きつけば良いじゃない」

 

「……そんな事出来ないよ」

 

 

簪様は下を向いてボソッと言いました。確かに簪様のキャラクターから考えればそんな積極的な作戦を取ることは出来ないでしょうね。

 

「大丈夫、簪ちゃんは私の妹なんだから」

 

「何の根拠にもなってませんよ」

 

「虚ちゃんだって本音のお姉さんなんだから甘えられるでしょ?」

 

「……私にはあんな事出来ませんよ」

 

「おりむ~に抱きつくのは簡単なのだ~」

 

 

本音様は寝ぼけたフリをして一夏様に抱きつく、と言う行為を何回かやってましたが、最近はそれも一夏様にバレバレで避けられているのに、本音様は簡単と言いました。何か秘策でもあるのでしょうか?

 

「簡単って、お兄ちゃんの反射神経は本音だって知ってるでしょ?」

 

「おりむ~は私たちの事はよっぽどじゃ無い限り避けないよ~」

 

「ですが、一夏様は作業中とかに抱きつこうとすると怒りますよ?」

 

「だから~こうやって話してる時に抱きつけば良いのだ~」

 

「いきなり抱きつこうとしたら不審がられるよ?」

 

「おりむ~にそんな事思われるのは何時もの事なのだ~!」

 

「「「………」」」

 

「ほえ?」

 

 

自信満々に言い切った本音様を見て、私たちは言葉を失ってしまいました……それは胸を張って言い切るような事ではありませんよ。

 

「兎に角、お姉ちゃんや本音ばっかり一夏に甘えて!」

 

「だっておりむ~は優しいんだも~ん」

 

「彼女なんだから甘えたって良いじゃない」

 

「簡単に甘えられるのがズルイの!」

 

「なら、順番に一夏様に甘えるのは如何でしょう?」

 

「順番……ですか?」

 

 

真っ先に興味を持ったのは虚様でした。この人も影で一夏様に甘えまくっているのですが、その事を知ってるのは当人と私だけなので、他の人は知らないはずなのです。だから真っ先に興味を持った虚様を不審に思う人は、この場には私以外居ないのでした……正確には私は人では無くISなのですが。

 

「一夏様は甘えてくれませんが、甘えさせてくれますからね。順番に甘えれば平等ではないでしょうか?」

 

「でも、急に甘えるって言ってもさ……如何やって、何を甘えれば良いのか分からないよ?」

 

「そこは自分の気持ちに正直になれば良いのですよ」

 

「自分の気持ち……」

 

 

簪様は何か想像し始めて、暫くしたら徐々に顔が赤くなってきました……いったい何を想像してたのでしょうか、覗けないのが悔しいですね。

 

「じゃあ、順番は如何やって決めるの?」

 

「……お嬢様も参加するんですか?」

 

「お姉ちゃんと本音はしょっちゅう甘えてるじゃない!」

 

「仲間外れはダメだよ」

 

「そうそう、私だって堂々とおりむ~に甘えたいのだ~」

 

 

本音様は結構堂々と一夏様に甘えてるような気もしますが、確かに仲間外れはいけませんね、イジメの原因になってしまいますから。

 

「それじゃあ公平にジャンケンで……」

 

「待って!」

 

「何か?」

 

 

楯無様が大声で私の提案をぶった切り、その手にはトランプが握られていました。なるほど、なかなか面白そうですね。

 

「勝負事なんだから、此処は真剣勝負よ!」

 

「何をするんですか?」

 

「とりあえず全員が知ってるもので勝負よ!」

 

「じゃあ簡単なものでババ抜きを」

 

 

こうして、第1回一夏様に甘える順番決めトランプ勝負が開催される事となりました。参加者はこの部屋の住人全員(一夏様は除く)で、ちゃっかりとマドカさんも参加してるのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寮長室、普通なら近づきたくない場所だが、訳あって侵入する事になってしまった……何故侵入かと言うと、鍵が開いてなく借りに行ったら既に合鍵まで紛失してると言われてしまったためだ……何で鍵を無くすんだあの人は。

 

「部屋の何処かにあるんじゃないのか?」

 

 

片付けのついでに探してみるか……ちなみに、職員室にはもう予備が無いために、今使ってる鍵を失くしたら当分は部屋に入れないと脅されてるらしい。

 

「お邪魔しますっと」

 

 

無人の部屋だが、一応は礼儀として挨拶をしておく……勝手に入っておいて礼儀も無いだろうが一応だ。

 

「……想像以上にヒデェな」

 

 

この前忍び込んでからまだそんなに経ってなかったので甘く見ていたが、あの人は自活スキル低いんだった……とても20代中盤女性の部屋だとは思えないくらいの雑多さだった。

 

「本当に早いところ良い相手見つけて落ち着いてほしいものだ」

 

 

義姉に対して思う事では無いが、早く身を固めて生活力をつけてもらいたい……収入面では無く家事面の生活力をだ。

 

「何で空き缶や空のペットボトルをそのままにしてるんだよ」

 

 

飲み終えてそのまま放置してたらしく、その周りにはハエや羽虫が飛び回っている……せめて洗っておけよな!

 

「こっちは可燃ゴミの袋か?」

 

 

一応分別はしてるみたいだが、生ゴミの水切りをしてないようでもの凄い悪臭がしている……こっちにもハエが集ってるぞ。

 

「こんな場所でよく生活出来てるよな……ある意味尊敬に値するぞ」

 

 

ゴミの山から袋を見つけ分別して捨てていく……ほとんどが食い散らかしたもののゴミなのでそれほど時間はかからなかった。

 

「これで終わり……ん?」

 

 

ゴミの分別が終わり、後は掃除機をかけるだけだと思っていたら、クローゼットが目に入った……何か嫌なオーラが漂ってる気がするのは俺の見間違いだよな?

 

「そう言えば、この部屋って掃除機何処だ?」

 

 

パッと見た感じ何処にも無く、ついに可能性はこのクローゼットの中だけになった……開けたく無いんだが、開けないと掃除が終わらないと本能で理解してしまったので渋々開ける事にした。

 

「……あの人は本当に女なのだろうか?」

 

 

クローゼットの中には、乱雑に詰め込まれた衣服、洗ってあるのか如何か分からない下着類、そして謎の袋が強引に詰め込まれていた……つまり何が言いたいのかと言うと、扉に手をかけた途端に中から物が溢れてきたのだ。

 

「これ、全部洗濯しておくか……」

 

 

整理する前に洗ってあるのか如何か疑わしいのでまとめて洗濯する事にした……寮の洗濯機をフル稼働しても時間かかりそうだな……

俺は義姉の大量の衣服、下着類を持って洗濯機まで持っていく事にした。途中で誰にも会わなかったのは、俺の日頃の行いが良いから……では無く、普段苦労してるから神様が何とかしてくれたのだろう……

 

「さて、洗濯してる間に、この袋を調べるか」

 

 

クローゼットに押し込まれていた物で、これだけが正体不明だったのだ。後の袋はゴミだったり買ってそのままの下着だったりと袋の外からでも分かる物だったのだが、この数個の袋だけは外側から見ても中身が分からないのだ。

 

「さすがに開ける勇気は無いぞ……」

 

 

部屋に保管してあるのだから、そこまで危険な物ではないのだろうが、あの義姉の事だ、おかしな物だと言う可能性の方が高い。

 

「よし、見なかった事にしよう」

 

 

これだけならクローゼットにしまっておいても大丈夫だろうし、もし重要な物だったら責任取れないからな……俺は現実逃避気味に謎の袋たちを元あったクローゼットにそっと戻したのだった。

 

「ん?……これってこの部屋の鍵じゃないか」

 

 

袋を戻した時にクローゼットの奥に何か光るものを見つけ拾ってみると、それはこの部屋の鍵らしきものだった。俺は中から鍵を開け、確認のためにその鍵を鍵穴に差し込んだ。

 

「やっぱりこの部屋の鍵だ……何を如何やればクローゼットの奥に鍵を置き忘れるんだ?」

 

 

部屋の鍵を部屋の中で失くすのも驚きだが、落として失くした感じでも無いのにも驚いた。まさか自分で入れたのを忘れてた訳じゃないよな。

 

「とりあえずこれは職員室に返しておくか」

 

 

もう1度部屋に入り隅々を探してみる。もしかしたら合鍵も部屋で失くしたかもしれないと思ったからだ。

 

「さすがに無いよな……」

 

 

使われてない簡易キッチンも探したが、やはり合鍵は見つからなかった。

 

「まぁ2本とも部屋で失くす阿呆じゃなかったって事だな」

 

 

何だか安心したような気になったが、普通に考えればそうそう部屋で鍵を失くす事はないだろうと思った。あの人は記憶力はまともだったはずなのだから。

 

「冷蔵庫の中身も整理しておかないと。賞味期限が切れてるのは捨てておかないと食べかねないからな」

 

 

俺が小さい頃、あの人は賞味期限が1週間過ぎたものを食べて腹を下した事があって以来、冷蔵庫の中身のチェックは俺の日課になったのだ。

 

「……見事に酒類とつまみしかない」

 

 

よほど自炊をしてないんだと言う事が分かる冷蔵庫だった……よくよく考えれば、調理器具が一切無かったな、この部屋。

 

「冷蔵庫の中身は大丈夫か……ん?」

 

 

冷蔵庫の扉を閉めようとしたら、中で何かが光ったような気がして手を止める……ビールの缶が反射で光ったのならそれで良いが、さっきの事もあるしもしかしたらと思ったからだ。

 

「たしかこの辺りで……あぁ、やっぱりか」

 

 

冷蔵庫でよく冷えた鍵が、そこにはあった……鍵なんて冷やして何がしたかったんだあの人は。

 

「仕方ない、これも職員室に戻しておこう」

 

 

今あの人が使ってる鍵が合鍵だったのだが、この2本を合鍵として保管してもらおう。てか、1本預かっておいてもいいかな……後で相談してみよう。

 

「さすがに部屋干しするには量が多いよな……」

 

 

片付け終わった部屋を見渡し、俺はさっきぶち込んだ洗濯物の量を思い出し首を捻った。全部干すには狭すぎるし、かと言って他に干す場所なんて無いしな……乾燥機をかけるにしても少しは干したいし。

 

「何処かいい場所は……」

 

 

1つだけ思いついたが、さすがに用途が違いすぎる……洗濯物たちには罪は無いからな。

 

「そうなると外に干すしかないか……何で俺があの人の洗濯物で頭を悩ませなければいけないんだ」

 

 

ちょっと前までは普通に洗ってたものだが、夏休みが終わる辺りからはまったく洗って無かったので何だかムカついてきた。自分の事は自分でやれよな、まったく……

俺は洗ったばかりの衣服を籠いっぱいに入れて寮長室まで戻った。下着などは優先的に部屋に干す事にした……女子高でもあの人は人気が高いので盗難の可能性を考慮しての行動だ。

 

「まぁ、実態はただの家事無能変態女なんだけどな……」

 

 

世間で理想の女性、理想の上司などと言われている織斑千冬は、思ってるほどしっかりとした人間では無いのだ。俺は義姉の服を干しながら世間の人に真実を教えてやりたい衝動に駆られた……言っても信じてもらえないと分かってるので言わないがな。

 

「あんな女を貰ってくれる物好き、どっかに居ないものかね……」

 

 

まるで独身女性の母親のような事を思いながら残りの洗濯物を干していく……いっそ山田先生にでもくれてやろうか。でも山田先生にも都合があるだろうし、さすがに引き取ってくれないよな……

 

「いっそ本当に軽犯罪でもさせて牢獄にでもぶち込むか?……いやいや、あの人の影響力は凄いからな……最悪無罪放免になりかねない計画は止めておこう」

 

 

警察の方々に無駄な時間を使わせちゃ可哀想だしな……結局干し終わるまでに、良い案は浮かばなかった。如何やればあの家事無能者を独立させる事が出来るのだろうか……




一夏マジ主夫……彼女たちの勝負の行方は次回です

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