もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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タイトル通り、今回は苦手な人は読まなくても良い話になってます。結果は次回にも書きますので、苦手だと言う人はお戻りください


新たなる変態衆

如何もこんにちは、山田真耶です。私は職員室で溜まっていた仕事を片付けるために、今日1日は織斑先生に座学の授業を任せていました。そして運が悪いのか、その織斑先生の授業でやらかしたデュノアさんが特別指導室に連れて行かれたそうで、織斑先生も今特別指導室に居るらしいのです。

そんな織斑先生に、急遽用事が出来てしまった私は、やっぱり運が悪かったのでしょう。この学園が出来てから1度も使われた事の無い場所、言い換えれば教師である私もその実態を知らない場所と言う事なのです。

普通の指導室は使った事はありますし、織斑先生も日常的に使っています、指導のためでは無く相談を受けたりする時も指導室を使う事が多いので。

指導室と銘打っとけば用の無い生徒は寄ってこないので、悩み事や秘密のお話をする時に指導室は便利なのです。

さて、この指導室は特別何かがあるような教室では無いので、立ち入りは基本的に自由な場所にあるのですが、『特別』指導室は何か重要な、あるいは危険なものがあるのでしょうか、関係者以外の立ち入りは原則として禁止されているのです。今回私は中に居るであろう織斑先生に用があるので入りますが、教師である私でも、普段は入る事は出来ません。それくらい機密の場所なのです、特別指導室とは……

 

「織斑先生は何処に居るのでしょうか」

 

 

特別指導室の扉を開け、織斑先生を探していたら、奥から声が聞こえてきた。この声は間違い無く織斑先生のものだ、そしてデュノアさんの声も聞こえてくる。

何を話しているのかは聞き取れないが、所々聞こえてくる声は間違い無く2人のものだと断言出来る。何故ならこの場所には、私を除けばその2人しか居ないのだから。

 

「あっ居ました、織斑……せんせ?」

 

 

見たものを信じられないなんて場面が私の人生に訪れるなんて思ってもみなかった……あの織斑先生が嬉々とした顔でデュノアさんに警棒やら木刀やらで指導してたのだ。

 

「先生、痛いですよ!」

 

「まだそんな事が言えるのか、お前は!」

 

「だって痛いものは痛いんですよ!」

 

「お前が反省してるのなら止めてやるのだが、まだ文句を言えると言う事は反省してない証拠だ!」

 

「反省してますよ!でも、痛いものは痛いんですよ!!」

 

 

デュノアさんが痛いと言ってるのは良く分かる状態です……織斑先生の指導はもの凄い痛そうなんです……

 

「さぁデュノア、次はこれを使うからな」

 

「そ、それだけは!」

 

「?」

 

 

織斑先生の手には良く分からないものが握られている……まだちょっと遠いので良く見えないってのもありますが、あれは今までの指導で使っていたものとは形状が違う感じがする。

 

「これでお前も反省出来るだろうな。軍の拷問で使われる方法だからな」

 

「嫌です!僕はそんな道具で処女を失いたくない!!」

 

 

処女……?

 

「今までの痛みとは比べ物にならないぞ。あのラウラですら嫌がってやらなかった事だ、私も実行するのは始めてだ」

 

「そんなの僕だって嫌ですよ!」

 

「反省しないお前が悪いんだ。私だって出来る事ならこれはやりたくなかった」

 

「ならしないでくださいよ!」

 

 

デュノアさんの嫌がってるのは当然だと思った。私だって始めては好きな相手に捧げたいと思う……それをあんな道具に奪われるのは御免だ。止めなくては!!

 

「織斑先生、止めてください!」

 

「ん、山田先生何か用か?」

 

「さすがにやり過ぎですよ!」

 

「これは指導だ。やり過ぎだと思うのは山田先生が甘いからだ」

 

 

それは絶対に違うと言い切れる自信がある。だって明らかに指導ってレベルを超えて、虐待とまで言えるであろう行動だったからだ。

 

「さすがにそれはやり過ぎです」

 

「山田先生……」

 

 

まるで救いの女神でも見るような目で私の事を見てくるデュノアさん、よっぽど怖かったのか、それともこれまでの事は兎も角、本当に処女を失う事だけは嫌だったのかは分かりませんが、助けられるなら助けたいですね。いくら問題児とは言え可愛い教え子なんですから。

 

「なら真耶、お前が『コレ』に処女を捧げるか?」

 

「……え」

 

「デュノアを助けたいんだろ?」

 

「ち、千冬さん……まさか本気では無いですよね?」

 

 

デュノアさんを助ける代わりに私が織斑先生に処女を奪われる……より正確に言うならば織斑先生の手で玩具に処女を捧げると言う事でしょうか、そんな事は死んでも嫌です!

 

「私は反省しない生徒のためにこの行為をやってるんだ。その生徒を庇うって事は真耶、お前も問題ありって事だよな?」

 

「ち、違います!」

 

 

私は必死に自己弁護を行う事にした。いくらデュノアさんが大事な生徒だからって、こんな形で処女を失うのは嫌です、嫌過ぎです!

 

「なら、お前が『コレ』を使ってデュノアを貫け」

 

「そ、それは……」

 

「出来ないのなら私がお前を貫く事になるぞ?」

 

「………」

 

「や、山田先生……僕を助けてくれるんですよね?」

 

 

すがりつくような目で私を見つめてくるデュノアさんと、射抜くような目で私を見ている織斑先生に挟まれて、私はどちらの視線に応えれば良いのか迷った。

デュノアさんを助けるとすると、私は織斑先生にひん剥かれて貫かれる事になるだろう。かと言って織斑先生の言う通りにするとなると、私がデュノアさんを貫かなければならない事となってしまうのだ……どちらも嫌だ。でも、どちらも選ばないと言う選択肢はこの場には存在しない……私は自分を守るか、デュノアさんを守るか2つに1つなのだった。

 

「選べないなら仕方ない」

 

「え?」

 

 

織斑先生はやれやれと首を左右に振って満面の笑みでこう言ってきた――

 

「私が両方貫いてやるか!」

 

 

――それは私にとっても、デュノアさんにとっても最悪の提案だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

職員室に行っても織斑先生も山田先生も見当たらない。俺はナターシャ先生に許可を貰って特別指導室に向かう事にした。理由はマドカとラウラの処分を如何するか相談するためだ。

授業が終わってすぐに来たと言うのに、山田先生は少し前に織斑先生を訪ねに特別指導室に向かったそうだった。別に山田先生が居ようが居まいが問題は無かったのだが、ナターシャ先生じゃ許可を出せないと思ってたので一応探してたのだ。

 

「タイミングが悪かったね、一夏君」

 

「そんな事無いですよ。ナターシャ先生でも事足りたんですから」

 

「何気に酷いわよ、その言い方」

 

「そりゃ失礼しました」

 

 

ナターシャ先生と軽口を叩きあってから職員室から出る。比較的教員の中では生徒に人気のナターシャさんだ、俺とばっか話してるほど暇ではないのだ。今だってナターシャさんを訪ねに女子が職員室に来ているのだ。良く考えれば、この学園には俺以外の男子が居ないので、『女子が』と表現する必要は無いのか……生徒と言えば99.9%女子なのだから。

 

「さて、特別指導室はと……」

 

 

生徒手帳に記された地図を見て、やたらと奥まったところにある事が分かった。作られてから1度も使われた事の無い場所らしいのだが、それなら作った時にどの様な理由で作ったのかを聞いてみたくなった。だが、その当時の事は学長しか知らないらしいと、さっきナターシャさんが言ってたし、学長は滅多に学園に顔を出さないので、実質的に話を聞くのは不可能だろう。

 

「ん?」

 

 

ふと外を見れば、篠ノ乃が死にそうな顔をしてグラウンドを走っている。確か反省文100枚にグラウンド50周だったか、篠ノ乃も周りをもう少し冷静に見られるようになればもっと強くなると思うのだが、そこが壁を越えられるものと越えられないもの違いなのだろうな。

 

「しかし50周なのは良いが、反省文100枚は面倒だろうな」

 

 

400字詰め原稿用紙を100枚、それも隙間無く埋めなければいけないので40,000字の反省の言葉を書き連ねる事をするのか、篠ノ乃は……俺だったら絶対にそんな事したく無い、そもそも反省文なんて言い渡されて頷く気にならない。もっと酷い罰を言い渡された方が楽だと思うからな。

 

「シャルは何処かで妥協すれば良かったんじゃないか?」

 

 

特別指導室の実態は知らないが、指導室が『特別』なんだからそれはもう『特別』なのだろう。見てみたいが自分が送られるのは御免だったからな、まさかこんなにも早く見られる日が来るなんて思って無かったぞ。

 

「おっ、あったあった……やけに頑丈そうな扉だな」

 

 

まるで中からの脱走を防ぐかのごとく頑丈な扉、見た目通りの重さを腕に感じながら、俺は特別指導室の中に入っていく……そう言えば山田先生も居るんだっけ。

 

「ふ~ん、こんな感じなのか……」

 

 

ゆっくりと周りを見ながら織斑先生と山田先生を探す、個別に収容するように独居房のようなつくりになっているので、1つ1つを見て回らないと見つけられないかもしれない……それはそれで面倒だな、気配を探って場所の検討を付けとくか。

俺は集中して気配を探ろうとした……だが集中したおかげで、何か悲鳴のようなものが耳に入ってきたのだ。

 

「今の声、山田先生のだったな……」

 

 

指導室で指導されてるのはシャルのはずじゃ……しかし間違い無く今の声は山田先生のものだった。だとすると山田先生がシャルの指導を見て悲鳴を上げたのだろうか、それとも山田先生も指導されてるのだろうか。

 

「どちらにしても行けば分かるか……」

 

 

織斑先生の指導だ、まともなものだとは到底思えないし、シャルが普通の指導で反省するのなら、わざわざこんな所にぶち込む必要は無いしな……無茶してるんだろう、色々と。

 

「確かこの辺りから悲鳴が……」

 

 

奥まで進んで独居房の中を1つ1つ確認していく……強い結界のようなものが張られていて、正確な位置を気配で掴む事が出来ないのだ……いったい学長は何の目的でこんな請った場所を作ったのだろうか……ますます興味がわいてきたぞ。

 

「……嫌……」

 

「ん?」

 

 

今、何か聞こえたような……

 

「誰か助けて!」

 

「織斑先生、落ち着いてください!」

 

「私は何時でも冷静だ、もちろん今もな」

 

 

今度ははっきりと聞こえてきた。これは間違い無く探していた相手の声だ、だが少し興奮気味なのは何でだ?

 

「さぁ、大人しく私に貫かれろ!」

 

「嫌だ!山田先生、何とかしてくださいよ!!」

 

「無理です!デュノアさんが怒らせたんですから、デュノアさんが何とかしてくださいよ!!」

 

「教師が生徒に責任を押し付けないでくださいよ!」

 

「生徒が犯した罪を教師に拭わせようとしないでください!」

 

 

……実に見苦しい……いや、聞き苦しいものだな。貫くの意味が分からないが、シャルと山田先生は互いに互いを楯に逃げようとしているんだろう、なんて気分の悪い光景なんだろう……いや、まだ見てないが。

 

「人は本当に危険な目に遭うと本質が出てくるって聞いたけど、山田先生も人間だったんだな、自分可愛さが思いっきり出てる」

 

 

だが、元々指導されてたのはシャルなんだから、山田先生が変わり身を申し出る必要は無いはずだ。そうなると何で山田先生まで織斑先生に襲われそうになってるんだ?

 

「さてさて、そろそろ愚姉の奇行を止めるか」

 

 

見ても無いのに奇行と決め付ける辺り、俺もろくな人間では無いのだろう……だが、あの愚姉と知り合いのウサ耳相手には、その行動を見なくてもどれくらい愚かなのかが分かってしまうくらい迷惑を掛けられてきたからな。

 

「あっ、一夏君!」

 

「一夏、助けて!」

 

 

覗き穴越しに、山田先生とシャルと目が合った。織斑先生の姿は、この覗き穴からは確認出来なかったが、その手にはなにやら棒状のものが握られているのだけは確認出来た。あれは何に使うものなのだろうか……

 

「一夏、此処は関係者以外立ち入り禁止だぞ!」

 

「ちゃんとナターシャさんから許可貰って来たんだ。それよりも、これは何の騒ぎだ」

 

 

シャルは彼方此方に殴られたような跡があり、山田先生は泣きじゃくっていた。

 

「反省しないデュノアを貫こうとしただけだ!」

 

「貫く?……その棒みたいなもので、貫通するのか?」

 

 

人体はそんなプラスティックでは貫けないぞ。そんな事は千冬姉も分かっているだろうが、それでも貫くと言うのだから、あれは特殊なものなのだろうか?

 

「一夏、いくらこう言った事に鈍いお前でも、一応は知識があるだろう。私が貫くと言ったのは人体では無く処女膜だ」

 

「……は?」

 

 

ついにこの駄姉は頭までイカれてしまったと言うのだろうか……それともあまりに非現実的な事を言われたように勘違いしてしまったのだろうか。多分後者だ、後者であってほしい。

 

「何だ、それも知らないほど、一夏は初心だったのか。ならしっかりと教えてやろう。処女膜とは女性の……」

 

「いや、それはさすがに知ってる……って、聞き間違いじゃ無いのか!?」

 

「拷問の最上級とまで言われている拷問だ!」

 

「やっぱり指導じゃ無いじゃ無いですか!?」

 

「今拷問って言いましたよね、拷問って!?」

 

 

山田先生とシャルが、俺の背後に隠れながら千冬姉に文句を言っている……俺を楯にするのは止めてくれ。

 

「コレで貫かれればどんな問題児でも更生するんだ、さぁ一夏そこを退け!」

 

「シャルが狙われてる理由は分かった。だが何で山田先生まで狙われてるんだ?」

 

 

シャルが床に転がっているもので叩かれたり切られたりしても反省しなかったのかはさておき、山田先生はこの件には無関係なはずじゃ無いのか?

 

「デュノアを助けようとしたから、真耶かデュノアのどちらかを助けてやると言ったんだが、どちらの選択肢も選べないようだったので、両方貫く事にしたのだ」

 

「……その理屈はおかしい」

 

 

教師としては生徒を助けたいと思っただろう山田先生だが、彼女は中学からずっと女子高だと言っていた気がする……当然あの奥手さだ、彼氏など居た事無いだろう。だが、そんな彼女だからこそ、初めてをこんな形で失いたくなかったのだろう。きっと山田先生の頭の中ではもの凄い葛藤が繰り広げられていたのだろう、想像に難くない。

 

「なら一夏、お前が2人を貫くか?」

 

「俺が?冗談じゃ無い」

 

 

謎のプラスティックを手渡されたが、俺は瞬時にそれを放り捨てる。

 

「そうか、コレが嫌なら自前のものでも良いぞ?」

 

「それは!」

 

「……ゴクッ」

 

「ん?」

 

 

何故か自前のものと言った途端に山田先生は顔を赤らめ、シャルは生唾を飲み込んだ……しかし言われた俺がその事を理解していない、自前って何だ?

 

「自前って、俺はそんなものを持ってないが……」

 

「持ってるだろ、それも立派なモノを」

 

「立派なんですか!?」

 

「一夏の……うわぁ、うわぁ!」

 

「だから何だよ、そのものって?」

 

「『もの』じゃ無い、『モノ』だ!」

 

「ますます意味が分からん……」

 

 

さっきより顔が赤くなっているが、何だか興奮してるようにも見える山田先生と、明らかに何かを期待しているシャル。だが、やっぱり俺には何を言われてるのかがさっぱりだ。

 

「男が女を貫くモノなんて1つしか無いだろ」

 

「そうかな?」

 

 

色々あるだろ、剣とか槍とか弓矢とか……候補を挙げだしたらきりが無いぞ。だが、山田先生もシャルのその1つが何だか分かってるようで、しきりに頷いては顔を背けると言う行動をしている……何なんだよ本当に?

 

「一夏、お前をこんな風に育てた私がいけないのか?」

 

「だから何だって言うんだよ?」

 

「だから、処女を奪う男の槍は1つしか無いだろ」

 

「……『男の槍』?」

 

 

女の処女を奪うって嫌な表現も気になったが、それ以上に男の槍って表現の方が重要なのだろう。だが、男に槍なんてあるのか?

 

「一夏君って、本当にコッチの知識は無いんですね」

 

「僕でも知ってるのに……」

 

「デュノア、お前は変態だからな、知ってて当たり前だ。それに真耶、どさくさ紛れに『一夏君』と呼ぶな!」

 

「コッチの知識……シャルが変態……」

 

 

さすがになんだかいかがわしい話だと言う事は分かってきた……だが、何で俺はこんな話に巻き込まれてるんだろうか。俺はただ、マドカとラウラの対処をお願いしに来ただけなのに。

 

「さぁ一夏、お前は如何する?」

 

「……アンタを殴り倒して他の2人も叩く。そして3人共独居房に閉じ込めて反省させてやる。何、心配するな。2人は教師だが、火急の用事が出来て暫く留守にするって事にしておいてやるから。授業はナターシャさんに任せて、安心して反省するが良い」

 

「い、一夏……顔が怖いぞ?」

 

「一夏君は優しいから、そんな事しないよね?」

 

「一夏、僕は何もしてないんだよ?」

 

「黙れ、この俗物が!」

 

「「「スミマセンでした!」」」

 

 

俺の怒鳴り声に瞬時に土下座する変態共……とりあえず変態その1が持っている独居房の鍵を回収して、それぞれをそれぞれに収容する……もちろん意識を刈り取ってからだ。

 

「学園側には真実を話しておくが、生徒には知られないようにしておいてやるから、安心して己の愚かさを反省するんだな」

 

「い、一夏……」

 

 

さすがに完全には意識を切り取れなかった変態その1に話しかけ、鍵を掛ける。その2その3は完全に気絶してるのでそのまま放り捨てるように独居房にぶち込んだ……3日くらいぶち込んでおけば反省するだろう。それまでは水と最低限の食料のみで生活してもらおう。




変態度の上がった千冬とシャル、そして己が内に秘めていた変態度をさらけ出した真耶。書いてて今回は特に酷いと思いました……

時系列がちょっとグチャグチャしてますが、読み直す必要は無いくらいには分かるとおもいます……

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