このたびは、皆様にご意見を求めておきながら、その返答場所を作るのを忘れてしまい、真に申し訳ありません。ご指摘を受けすぐ作ったのですがすでにコメントをいただいていたので、どちらにコメントすれば良いのか分からない事態になってしまった模様です。まだもう少しご意見を聞きたいので、これからは活動報告の方にコメントをいただけると幸いです。
これからはこのようなミスが無い様いっそうの努力をしていきますので、変わらぬご愛読のほどよろしくお願いします。
猫林13世
夏休みになり、俺達は今更識が所有する旅館に向かっている。
今回は二泊三日の予定だ。
どうやら、刀奈さんが張り切って何かをたくらんでいるようだが・・・楽しそうにしている4人を前に俺は強く出れないでいた。
あの顔の時の刀奈さんは何をするのか分からないからな・・・不安だ。
「一緒に楽しもうね、一夏君♪」
俺は素直にこの旅行を楽しんでも良いんだろうか・・・。
刀奈さんに掛けられた言葉に絶対に何かあると確信したが、俺のせいで他の3人のテンションを下げるわけにもいかないし・・・須佐之男、俺はどうすれば良いと思う?
他に相談出来る相手がいないので、俺は須差之男に聞く。
「(そうですね~・・・特に一夏様に危害を与える訳でもないので下手に心構えしないで、楽しめば良いと思いますよ。何かあったらその時に対処すれば良いじゃないですか、せっかくの旅行ですよ。普段から一夏様は気を張っているんですから、こんな時くらい気楽に行きましょうよ。)」
ああ、そう出来たらどんなに楽なんだろうな・・・。
だが俺はそこまで楽観的になれないんだ、知ってるだろ。
「(知ってますけど、一夏様は少し異常なくらい警戒心が強すぎなんですよ。せっかく企画してくれたのにそんな怖い顔していたら、悲しんじゃいますよ。良いんですか?)」
それを言われるときついな・・・。
確かにせっかく企画してくれたのに、俺のせいでつまらない思いさせたら申し訳がないな。
でも・・・
「(でもじゃありません!良いですか、何があろうと私が一緒にいる以上、一夏様へ危害など与えられないのですよ。それ以前にあの4人が一夏様に危害を与えるわけないじゃないですか。信じているんでしょ?彼女達を・・・。)」
まさかISに言い負かされるとは・・・。
俺は素直に須佐之男に降参した。
確かにあの4人が俺に危害を与える行動をするわけないよな。
「(その通りです。ですので警戒心を捨てろとまでは言いませんが、さっきも言った様にこの旅行中くらいは気楽に行きましょう。)」
わかった、なるべくは気楽に行こう・・・出来るかどうかは知らないが。
「(そもそも一夏様が気楽でいられるのは、この4人の前だけなのではありませんか?)」
そんなことは・・・あるな。
確かに千冬姉や束さんの前では気が休まらないし、最近ではマスコミの質問攻めだ。
この4人の前ぐらいは気楽で行けるように努力しようではないか。
俺は心に決める・・・努力しようとしている時点で気楽にはなれてないかもしれないが、少なくとも警戒はしないでおこう。
「到着だよ~一夏君、ここが更識の所有している旅館だよ~。」
「おお、おりむ~旅館だ~、さっそく探検するのだ~。」
「本音、まずは荷物を置いてからじゃないと。」
「簪お嬢様、それもどうかと・・・」
テンションの高い3人を虚さんが落ち着いて・・・いや少し虚さんもテンションが高いがツッコんだ。
やはり楽しみだったのだろう。
俺は移動中に余計な事を言わないで心の底からよかったと思えた。
・・・今のところだが。
「それじゃ~まずは部屋に行きましょうか。」
刀奈さんの一言に頷く俺と3人。
部屋わけはどうなってるんだ?
俺の疑問を察知したわけではないだろうが、刀奈さんが口を開く。
「部屋は全員一緒だからね~、一夏君これは決定事項だから、足掻いても意味ないからね。嬉しいでしょ?」
ええ、嬉しいですとも・・・なにか嫌な感じがしていたのはこれか・・・。
確かに寮の部屋は5人部屋にしてもらったが、ここは学園でもなければ屋敷でもない。
「一夏君が寮の部屋を5人一緒にしてくれたから、これはその予行演習かな~?だっていきなり5人一緒じゃ緊張して眠れないかもしれないでしょ?」
・・・確かに、いくら大人ぶっても所詮は14から16の男女だ。
思春期真っ盛りな俺達じゃ緊張するな、と言う方が無理だな・・・互いに好意を持っているなら尚更無理だろうな。
「分かりました。ですが事前に相談してくれても良かったんじゃないですか?他の3人は知っていたようですけど。」
俺は承認すると同時に相談無しに決められたいたことに軽い抗議をした。
すると・・・
「だって私達だけ恥ずかしがってるようで嫌じゃない。だから一夏君にも恥ずかしがってもらおうと計画したんだぞ♪」
・・・俺だって恥ずかしいんですが。
「(一夏様は滅多に顔に出ませんからね。)」
須佐之男のツッコミに俺は抗議した。
俺だって顔にでるぞ。
そんな事言うなんて、まるで俺が鉄仮面みたいじゃないか。
「(まるで、ではなくずばり鉄仮面なんですよ。)」
そうなのか・・・俺は鉄仮面だったのか。
自分では感情豊かまではいかなくても、それなりに感情表現してるつもりだったんだがな・・・。
やはり俺はどこかズレているのか。
「(そこでへこまないでくださいよ~、こっちが悪い事したみたい気分になるじゃないですか。一夏様はこれから変わっていけばいいんです。だからそんなにへこまないでください。)」
・・・分かったよ。
俺は若干不貞腐れながら須佐之男に返事をした。
・・・負の感情は豊かなのか、俺は。
「じゃあじゃあおりむ~、早速探検に行こうよ~。」
「まって本音、私も行く。」
随分と楽しそうだな・・・。
正直旅館の探検というものに興味はない。
だがこの2人を一緒に行かせると何があるか分からない。
2人というより簪だけじゃ本音を抑えられないといった方が正確か。
「分かった、今行く。」
俺は暴走するであろう本音対策として同行することに決めた。
「それでは虚さん、刀奈さんのことお願いしても良いですか?」
俺は同行しないであろう虚さんに、同じく同行しないだろう刀奈さんのことを任せる事にした。
刀奈さんも何をするか分からないからな・・・。
「承りました一夏さん、本音のことお願いします。」
互いに若干苦笑い気味になりながら問題児の対応に向かう・・・。
何時になったら楽に気構えられるようになるんだろうか?
俺はこの旅行中にまだ何かあるような気がしていた・・・。
「おお~おりむ~、かんちゃん、景色がきれいだよ~。」
「ま、まって本音、チョッと早い・・・。」
「簪、大丈夫か?」
テンションの高い本音は俺達のことはお構いなしにはしゃぎまわる。
初めの方はついていけていた簪だが、基本的に体力の低い彼女は次第に本音についていけなくなっていた。
息が切れ、ふらふらになりながらも必死に本音を追う簪、俺はその2人の後ろについていく形になっている。
本音が何かしてもすぐに対応出来るようにだ。
今のところ簪にしか本音の迷惑行為は働いていない。
・・・確か本音って簪のメイドだった気がするんだが?
この2人を見ているとその事を感じさせない。
・・・刀奈さんと虚さんは普段は主とメイドって感じだが、怒らせると一番怖いのは虚さんだ。
前に刀奈さんが仕事をほったらかしで簪と遊ぼうとして、こっぴどく怒られたらしい。
その時に刀奈さんが、
「虚ちゃんを怒らしてはいけない、虚ちゃんを・・・」
と、ブツブツと呟きながら仕事をしているのを見たのだ。
・・・いったい何があったのか?
気になるが、その事を刀奈さんに聞こうとすると、
「な、何にもないよ。」
と、あからさまに何かを隠しているように逃げてしまう。
よっぽど怖かったのだろう・・・。
妹の本音も虚さんに怒られて涙目になっているのを多々見かける。
「おりむ~、考え事?」
本音に急接近されていて、俺は少し驚いた。
油断していた訳ではないが、本音の気配は掴みにくい。
普段のほほんとしているが、気配を消すのが得意なようだ。
「いや、本音と簪ってたしか主従関係だよな。」
「そうだよ~、見ての通りだよ~。」
いや、見えないから・・・俺は心の中でツッコミを入れる。
「それにしては、簪のことお構い無しに突き進んでないか?」
「ほえ?かんちゃんどうしたの?なんか疲れてない?」
「ほ、本音が早すぎるからだよ!」
息を切らしながら本音に言う簪、だが・・・
「こんなのまだまだだよ~、もっと早く行けるのだ~。」
本音はまだまだ早く行けるらしいが、簪の方は限界が近いな・・・。
俺は助け舟をだす。
「本音、あそこに自販機がある、おごってやるから3本買ってきてくれ、俺はコーヒーな。」
「分かったのだ~、かんちゃんは何が良い?」
「オレンジジュースを・・・」
「じゃあ~買ってくるね~。」
これで一先ず休憩できるだろう。
簪は俺にお礼を言い、ベンチに座った。
・・・そこまで付き合わなくてもいいんじゃないか?
「簪、大丈夫か?」
俺は少し不安になり簪に聞く。
ここまで体力無かったのか・・・。
「大丈夫、一夏のおかげで休憩できたから・・・。」
つまり大丈夫じゃなかったのか・・・。
普段の訓練ではここまで疲れていない気がするんだが・・・
「(それはISのおかげですよ。)」
須佐之男の言葉に思わず納得した。
ISを動かすのに使うのは基本的には頭脳だからな、遠距離なら尚更だ。
これは、簪の体力増量のためのメニューを作ったほうがいいな。
いくら頭脳が主だといっても体力は消耗する。
それが原因で怪我でもされたら困るからな。
「簪、帰ったら特訓な。流石に体力が無さ過ぎる。」
「わ、分かった。お願いね一夏。」
自分の体力の無さを自覚している簪は素直に俺の特訓を受け入れた。
「おりむ~、かんちゃ~ん、買ってきたよ~。」
本音が戻ってきたので、この話題は終わりだな。
「ありがとな、本音。」
俺は本音の頭を撫でながらお礼を言う。
簪を休ませるためだが、実際に買いに行かせたのは俺だからな。
「おお~おりむ~、もっと撫でて~。」
気持ちよさそうに目を細め、もっと撫でて欲しいと言う本音・・・猫だな。
「とりあえず、探検はここまでかな。そろそろお姉ちゃんが暴れだしそうだし。」
簪の一言で探検は終了となった。
せっかくの旅行だ、皆で楽しみたいのだろう。
「お帰り~3人とも如何だった?」
部屋に戻ると何故か楽しそうな刀奈さんと、若干顔を赤くした虚さんがいた。
・・・いったい今度は何を企んでいるんだか。
気になりはしたが、深く追求して墓穴を掘るのは御免だ。
俺はそう思うことにした。
「一夏君、ここ露天風呂があるんだ~、入ってきたら?」
確かに俺は風呂が好きだが、些か急過ぎないか?
俺は次のトラップは風呂にあると確信した。
「良いですけど、皆さんは如何するんですか?」
トラップがあると分かっていて、その場所に行くなんて事はしたくない。
俺は刀奈さんに俺が風呂に入っている間の行動を聞く。
「私達もお風呂に入ろうかなって思ってるんだけど・・・一緒に入る?」
「んな・・・」
絶句した、何を言ってるんだこの人は・・・。
思春期真っ盛りな男子になんて事を言うんですか。
「冗談だよ~、本気にしちゃった?」
ニマニマと笑っている刀奈さん、トラップはこっちだったか・・・。
俺は完全に刀奈さんに遊ばれている・・・くそう。
「ともかく、風呂に行ってきます。刀奈さん達もごゆっくり!」
俺は逃げるように風呂場に向かった・・・。
「よし、作戦成功。じゃあ皆行くわよ。」
部屋でなにやら不穏な動きが在るのを俺は気づけなかった。
まったく、刀奈さんのいたずらにも困ったものだ。
俺は脱衣所で須差之男と話していた。
「(一夏様の反応が面白いからではないですか?)」
反応って・・・誰でもあんな反応するだろう、普通。
「(そうでしょうけど、一夏様は普段無反応ですから特に面白いのでしょう。)」
須佐之男もケラケラと笑っている。
そこまで笑う事ないだろうが。
俺は須佐之男にツッコミを入れ風呂場に移動する。
・・・かなり広いな。
流石は更識家所有の旅館なだけはある。
感動している俺だったが、なにやら腑に落ちない。
これだけ広いのに、なぜ人が一人も居ないのか?
考えても分からないので、一先ず身体を洗う。
湯船に入る前に身体を洗うのは当然であり、それが温泉なら尚更だ。
俺は誰に言うわけでもなくそう言った。
一通り洗い終わり湯船に浸かる・・・はぁ~温まるな。
「(一夏様、こないだも言いましたがお年寄りみたいですよ。)」
・・・五月蝿い、ほっとけ。
俺は須佐之男に言われたことを気にしている。
だから言われるとこんな反応をしてしまうのだ。
・・・露天にでも行くか。
刀奈さんの話ではここの旅館には露天風呂が在るらしい。
室内でもこれだけなのだ、いったいどんな凄い露天なのか・・・。
少し楽しみになりながら移動する。
「(ターゲットが露天風呂に向かう模様、作戦開始。)」
女子風呂で聞き耳を立てている楯無に顔を真っ赤にしている他3人がいる事に気づけずに・・・。
「へぇ~これは凄いな。」
俺は素直に感動した。
この広さでこの景色だ、感動するなと言う方が無理な話だ。
はやる気持ちを抑え、俺は湯船に浸かる。
これは堪らん、気持ちが良いな。
普段の疲れが癒されるような感覚がある。
あの4人と一緒にいると心は癒されるが身体は疲れるからな・・・。
いくら誤魔化していても身体は正直なようだ・・・。
と、そこへ・・・
「おっじゃましまーす。」
・・・へ?
何で刀奈さんが此処に?
此処男湯ですよね?
パニックに陥った俺に更なる追い討ちが来た。
「お、おりむ~、えへへ。」
顔を真っ赤にした本音と、さらに真っ赤になっている虚さんと簪もこちらに来た。
「な、何やってるんですか!此処男湯ですよ!」
俺のツッコミは刀奈さんの余裕を崩せなかった。
「だいじょーぶ、今この旅館には私達しかいないし、私は一夏君に見られて困る場所なんて無いしね。」
「そう言う問題じゃないでしょ!刀奈さんだけならともかく、虚さんや本音、簪まで・・・。」
「だって、お姉ちゃんだけなんてズルイ。」
「そうですよ・・・楯無お嬢様と二人だけなんて絶対に許せません。」
「そ~だそ~だ、私だっておりむ~と一緒に入りたいのだ~。」
・・・どうやら俺には味方が居なかった。
なら・・・
「じゃあ俺はもう出ますよ。」
三十六計逃げるにしかず、俺は逃亡を図った・・・しかし回り込まれた。
「ふふふ、逃がさないぞ一夏君♪」
刀奈さんに腕をつかまれた・・・そんなに抱きついたら色々マズイですよ。
「お姉ちゃんだけズルイ、私も一夏にくっつく。」
「なら私も一夏さんに抱きつきたいです。」
「私もおりむ~に抱きつくのだ~。」
何を対抗してるんですか!
もう俺の頭では処理できない状況になってしまった。
「一夏君、一夏君が私達のことを大事に思ってくれてるのは分かってるけど、流石に不安になっちゃうよ。」
「いったい何を・・・?」
俺の行動に不安を感じる場面などあったか?
そんな事を考えていると・・・
「だって一夏君、キスもしてくれないし・・・。」
どうやら俺が悪いみたいだ。
他の3人も同様に思っているのだろう・・・。
俺は自分のエゴで4人を不安な気持ちにしてしまっていたのか・・・。
「すみませんでした、俺が踏み出せずにいたので4人を嫌な気持ちにしてしまって。」
俺は謝り、4人にキスをした。
ああ、俺はこんなにも4人に想われていたのか・・・。
他人の気持ちが分かるくせに、こう言うことになるとまったく駄目なんて・・・。
俺もまだまだ経験不足だな。
反省しながら4人と一緒に湯船に浸かる・・・今までゴメン、そしてこれからもよろしくお願いします。
心の中で4人に向けた言葉を言い、俺達は風呂から出て部屋に戻る。
同じ部屋だったと思い出したのは部屋に戻ってからだった・・・。
ついに進展した5人の関係。
あくまでも全年齢対象で書いていますので、あまり過激な表現はしないつもりです。
ですが原作よりは甘々な雰囲気で行きたいと思っています。
次回も旅行の続きを書きます。
お楽しみに。
p.s.
皆さんどうやら箒のことが嫌いな模様です、そうすると原作大幅改変が必要ですね。
今のところはそこまで考えてないですが、大変そうです。
もし無理な展開になってもご容赦下さい。