もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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此処最近のベストタイムを更新しました。2時間かからなかった~


それぞれの思惑

向こうで一夏君が女の人と話している……電話は何故だか繋がらなかったし、周りの人はあの光景を見ても何も感じていない、気付いていない……

 

「私も向こうに行った方が良いのかな……」

 

 

一夏君には安全な場所で待ってろと言われたけれど、ぶっちゃけ一夏君の傍が一番安全だったりするんだけどね。

 

「何、話してるんだろう……」

 

 

此処からは両方の表情が見えるけど、少なくとも女性の方に敵意は感じられない。でも、一夏君の表情は敵と対峙した時のものなのだ。

 

「あの女性、一夏君の敵なのかな?」

 

 

それにしては間合いに入っても動じないし、一夏君も仕掛ける事はしてないのよね……親しげにも見えなくは無いし、言われれば険悪にも見えるし……

 

「一夏君、何だか押されてる?」

 

 

一夏君が時々動揺したような顔をしている……あの一夏君を動揺させるような話っていったい何なのだろうか……すっごく気になるわね。

 

「あっ!?」

 

 

一瞬の出来事だった。一夏君が身体の力を抜きかけたところを見逃さず、女性が一夏君に接近した……いや、あれは当たってる……

 

「何で……」

 

 

あの女性は敵では無かったのだろうか……衝撃的な光景を見て、私は完全に動揺してしまった、だってあの一夏君が彼女以外にキスされたところを見せられたのだから。

 

「ッ!」

 

 

一夏君からただならぬプレッシャーが出ている……駆け寄ろうとしたけど1歩も動く事が出来なかった……女性は一夏君の前から居なくなるその一瞬に私を見た……勝ち誇ったような笑みを浮かべて……

 

「あ、あれ?」

 

 

あの女性が居なくなった途端に周りの景色が変わった……ような感じがした。でも、そんな事は無いだろうし、きっと気のせいだよね。

 

「一夏君!」

 

 

もうあの動けなくなるようなプレッシャーは出てなかったので、私は一夏君に駆け寄る……もちろんあの女性の事を問い詰めるために。

 

「………」

 

「一夏君?」

 

 

私が駆け寄ってきたのにも関わらず、一夏君は何も無い空間を睨んでいる。普段なら私たちの誰が近づいてきてもすぐに反応するのに、これは未だ何かあるのだろうか?

 

「ねぇ、一夏君ってば!」

 

「……え、あぁ」

 

 

耳元で大声で呼んで漸く反応してくれた。でも、一夏君がそれだけ周りの事に目を配れないほど、あの女性は危険なんだろうな。

 

「あの女性は?」

 

「……帰りましょう、話はそれからです」

 

「ちょっと!」

 

「……すみません」

 

「もう!」

 

 

頑なに話したがらない一夏君に、私は何かあったんだろうと確信した……いや、確実に何かあったのだが。

 

「それじゃあ、何であの女性は一夏君にキスしたの?それだけは教えてちょうだい!」

 

「手付金代わりだとか」

 

「て、て、て……手付金ですって!?」

 

「刀奈さん、声が大きいですよ」

 

 

何で一夏君はそんなに冷静で居られるのよ!手付金ってあれよね、つまりはあの女性は一夏君の事が……

 

「絶対に渡さないんだからね!」

 

「はい?」

 

「さぁ、帰って作戦会議よ!」

 

「?」

 

「一夏君は聞いちゃダメなんだからね!!」

 

「はぁ……」

 

 

一夏君は何で私が急に気合が入ったのか分からないと言った表情で歩いていく……これは私たち彼女に対する挑戦よね、絶対に負けないんだから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏との接触を終えて、私は世間の闇に紛れてアジトまで戻る……アジトと言えば聞こえは良いが、様はただの廃屋だ。

 

「接触……ね」

 

 

私は自分の唇に指を当てる……文字通り一夏と『接触』した部分を確認するためだ。本来ならあんな行動をとる予定では無かったのだが、話してみて絶対に手に入れたくなってしまったのでついしてしまったのだ。

 

「あの子、意外と初心なのね」

 

 

雰囲気は嫌な感じを出していたが、顔が若干赤くなっていたのを私は見逃さなかった……彼女の前だって言うのに他の女にキスされて興奮してたのね。

 

「可愛いところもあるのね、ますますほしくなっちゃったじゃない」

 

 

あの子の息子だから興味を持ったけど、これはそんな事無しにしても興味深い存在だと認識出来た……

 

「また近いうちに……」

 

 

本来なら接触は禁じられてたのだが、如何しても会いたくて独断行動をしたのだ。周りの男共に催眠波を浴びせさせ協力させたのも、人員を割けなかったからだ。

 

「私は、私の目的のために行動する」

 

 

亡国企業全体としたらあの子は脅威になるために排除するべきだと言う意見が多いが、あの子を手に入れられたら完全に世界を掌握する事だって出来るって事を分かっていない幹部が多いのだ……やっぱり頭の固い老いぼれジジイ共はダメね。

 

「オータムにも協力してもらって、今度は1人の時に仕掛けてみましょうか……」

 

 

彼の専用機は人型のようなので、別行動してる時には彼にISは無い……武器を与えなければ力ずくでも……でも、それじゃあ面白く無いわよね。

 

「やるなら彼もベストな状態で」

 

 

完膚なきまでに叩きのめせれば、彼も此方側についてくれるでしょうし、そうなると今のままではダメね……せめてオータムがMくらい動ければ良かったのだけど……

 

「あの子は正面から叩きのめすのがお気に入りだからね……」

 

 

敵を倒す……では無くってオータムの場合は敵を潰す、が正しい表現だと言わざるを得ないから……それじゃあ一夏には勝てない。

 

「待っててね一夏、必ず貴方を私のものにしてみせるから」

 

 

未だ見ぬ一夏が私のものになる光景を夢見て、私は廃屋に辿り着いたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屋敷に戻ってすぐに学園に戻るために車移動をする事になった……のだが、何故だか俺はその車に乗せてもらえなかった……当主命令だとかで俺は自力で移動する破目になったのだ……これなら真っ直ぐ学園に戻った方が楽だったぞ。

 

「ボヤいても仕方ないし、時間も時間だからさっさと学園に行きますか」

 

 

地面を蹴り屋敷の屋根に上る……学園はアッチだよな。

俺はその場でもう1度地面を蹴り跳躍する……電車移動するよりもこっちの方が何倍も早く学園に着けるのだ。

 

「願わくば写真撮られませんように」

 

 

万が一写真を撮られてUMAだとか騒がれたく無いからな……前に千冬姉がそんな事態を起こしたのだ。

 

「普通の人間には認識出来ない速度らしいな……」

 

 

ああだこうだ言っても、俺や千冬姉は普通の人間では無いらしいのだ……甚だ不本意だが、そう認めざるを得ない状況だったからな、あの騒ぎは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屋敷に戻ってきたお姉ちゃんは、何故だか一夏をこの車には乗せなかった……さっきから難しい顔で何かを考え込んでいるけど、いったい今日のデートで何があったって言うの。

 

「お嬢様、何故一夏さんを乗せなかったのですか?」

 

「おりむ~とおしゃべりしたかったのに~!」

 

「……何かあったのですか?」

 

 

さっきから黙り込んでいたお姉ちゃんを見て、運転手の碧さんが聞いた……正直に言えば私には聞く勇気が無かった。恐らくは他の人も同じだっただろう……だから碧さんが聞いたのだ。

 

「詳しい事はまだ一夏君から聞いてないんだけど、さっき一夏君が見知らぬ女性にキスされてたの」

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

「そしてその事を聞いたら、一夏君は手付金代わりだって言われたって教えてくれた」

 

「「「「「「!?!?」」」」」」

 

 

一夏がキスされてたってだけで衝撃的だったのに、更にお姉ちゃんは衝撃的な事を言ってきた……手付金って、一夏は売り物でもなければ絶対に渡さないんだからね!

 

「その女性、どんな感じの人だったんですか?」

 

 

虚さんが我慢出来ないと言った雰囲気でお姉ちゃんに詰め寄る……シートベルトをしてるので本当には詰め寄れないが、雰囲気がそんな感じなのだ。

 

「金髪で胸も大きくて、それなのにウエストは細かった……正直人間味に欠ける女性だったわね……」

 

「う、羨ましいです……」

 

 

虚さんが自分の身体を見てガッカリと肩を落とす……正直私も同じ風にしたい。でも、マドカだけが不思議そうに首を傾げている、何か思い当たったのだろうか。

 

「それ、見た目何歳くらいの女性でしたか?」

 

「う~ん……はっきりとは分からないけど、見た目結構若い感じなのに纏ってる雰囲気は結構行ってる感じだったのよね」

 

「それって……」

 

「マドマド?」

 

「誰か分かったのですか?」

 

 

口を押さえて硬直したマドカに本音が覗き込み、須佐乃男が身体を揺らす……

 

「お兄ちゃん、何か言ってませんでした!?」

 

「何も教えてくれなかったのよ。何を聞いても『後で……』ってしか答えてくれなかったしね……」

 

「一夏様が言い淀むなんて珍しいですね」

 

「そうよね……それに一夏君、私が近づいても暫く気付いてくれなかったし」

 

「それはますます珍しいですね」

 

 

一夏は壁越しだろうと、いくら身を隠していてもすぐに私たちを見つける事が出来るし気付く事が出来るのだ。だがその一夏がお姉ちゃんの接近に気付かなかったと言う事は、それだけその女性が一夏に影響を与えていたって事になる……いったい何処の誰なのだろう?

 

「とりあえず私は、一夏君の彼女に対する宣戦布告だと思ってるわ」

 

「なるほど、奪われないようにしてみなさいって事ですね!」

 

「おりむ~は渡さないぞ~!」

 

「本当にそうなのでしょうか?」

 

「何よ、虚ちゃん。他に何か理由があるって言うの?」

 

「分かりません。ですが、一夏さんの話を聞いてからでも遅くは無いと思います」

 

「私もそう思う」

 

 

お姉ちゃんみたいに焦っても意味は無いだろうし、虚さんの意見の方が私には合っていた。慌てて事態を悪化させるのだけはしたくなかったのだ。

 

「でも、そうなると一夏さんを車に乗せておいたほうが良かったんじゃないですか?」

 

「確かに……」

 

 

碧さんの言う通り、一夏を単独行動させるって事はそれだけ接触の機会が多くなるって事な訳で、お姉ちゃんが一夏を車に乗せなかったのはもしかして失敗だったのだろうか。

 

「で、でも!そう何回も接触出来るほど、一夏君は隙だらけじゃ無いわよ」

 

「それもそうですね」

 

「なんてったっておりむ~だもんね」

 

「……アイツがお兄ちゃんを狙ってる?」

 

「マドカちゃん?」

 

「い、いえ!何でも無いです……何でも無いんです」

 

「?」

 

 

マドカはまるで自分に言い聞かすように何でも無いと言い続けている、恐らくこの場で状況が1番分かっているのはマドカなのだろう……でも、強く踏み込める雰囲気では無いし、お姉ちゃんみたいに前のめりになり過ぎても良く無い、この場でマドカに突っ込んで質問する人は誰も居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学園に戻ってきたばかりの一夏が私の部屋を訪ねて来た。な、何だ?私は何もしてないぞ……してないよな?

 

「さっき亡国企業の幹部が接触してきた」

 

「何!?」

 

 

内心ビクビクしていた私だったが、一夏の言った言葉に勘違いしてる場合では無いと思い知らされた。

 

「如何やら目的は俺らしい」

 

「やはりか……だが、前に学園を襲ってきた時は殺そうとしたんだろ?」

 

 

一夏が返り討ちにしたが、確かISを使って襲ってきたんだから少なくとも穏便に済ませる気は無かったのだろう。

 

「あれは俺が煽りすぎただけだ。最初は気絶させて連れて行くつもりだったのだろうな」

 

「お前は……」

 

 

普段は面倒事を嫌うくせに、ストレスが一定値を超えると遊びだすのだ……それだけ一夏にストレスを与えていたって事なのだが、今はその事を反省してる場合では無い。

 

「それで、名前は聞いたのか?」

 

「今回は聞かないつもりだったんだが……」

 

「おい!」

 

「ちゃんと聞いたさ。名前はスコール・ミューゼル」

 

「今ある奴らのデータには載ってない名だ」

 

「幹部だからな。末端のデータしか手に入れてない状況では仕方ないだろ」

 

「何故幹部だと分かる?」

 

「この前襲ってきたオータムの上司で、人を使うのに長けている雰囲気だった」

 

「それだけで判断出来るお前が恐ろしいぞ、私は……」

 

「名簿に名前が無かったしな」

 

「お前は……」

 

 

亡国企業のデータは最高機密扱いで、一介の生徒が簡単に見られるようなものでは決して無いのだが、一夏には簡単に見られていたのか……山田先生のプログラムも大した事無いんだな。

 

「隠されると知りたくなるのが人間だろ?」

 

「だからって国家機密をハッキングか?さすがに見過ごせないぞ」

 

「国家に属してない俺に、国家機密を守れって方が無理な話だ」

 

「……まぁ良い。だが、次からは許さんからな」

 

「なら、バレ無いようにやるだけだ」

 

「やるなよ!」

 

 

一夏が珍しくボケたので、私も珍しくツッコんだ。顔は笑ってるが一夏の目はかなり本気っぽかったので釘を刺す意味でも今のツッコミは必要だったのだ。

 

「だが、今回は単独行動だったみたいだし、亡国企業本来の動きって訳でも無さそうだった」

 

「内部分裂か?」

 

「さぁ、そこまでは……」

 

「如何かしたか?」

 

 

一夏は急に何か考え込むような仕草をした。私と話してる時にはこの仕草は滅多に出ないのに、これは何か重要な事なのだろうな。

 

「酒臭い……」

 

「は?」

 

「少しは換気しろ」

 

「……そんな事を考えてたのか?」

 

 

亡国企業の事を考えてたとばかり思って黙ってたのだが、一夏の口から発せられたのは部屋が酒臭いと言う事……それは今言わなきゃいけないのか?

 

「マドカの事を知っている風だったから、少なくともマドカとは面識があるはずだ」

 

「……話戻すの早いな」

 

「蛇足で時間を無駄にしたく無いだけだ」

 

「違い無い……それで、マドカには話したのか?」

 

「いや未だだ」

 

「何故?」

 

 

黙ってる理由は無いだろう……いくらマドカが奴らの事を詳しく知らないとは言え、面識のある相手なら情報を聞きだせるかもしれないのだから。

 

「何故だか俺は別行動で学園に戻らなきゃいけない破目になったからな……話暇が無かったんだ」

 

「別行動?」

 

「多分緊急会議でもしてるんじゃないか?」

 

「緊急会議?」

 

 

更識たちが会議をしてるのなら、当然一夏もその場に居た方が話しが進むだろう……だが、一夏はこの通り私の下に居る。なら、奴らの会議って何に対しての会議なんだ?

 

「油断してスコールにキスされたからな、その事でも話し合ってるんじゃないか?」

 

「な、何!?」

 

 

一夏にキスだと……なんてうらやま、いや羨ましいんだ、スコール・ミューゼル!

 

「……前にも言ったが言い直せてないからな」

 

「思考を読むな!!」

 

「読むまでも無く顔に書いてある」

 

「そ、そうか……」

 

 

指摘されると恥ずかしいものだな……一夏は自分の口を拭う仕草をして寮長室から出て行こうとした。

 

「待て、話は終わってないだろ」

 

「こっから先は国家機密なんだろ?なら俺は独断で動く」

 

「此処まで踏み込んでおいてそれは無いだろ」

 

「それよりも俺は黛先輩に用があるんだ」

 

「黛に?」

 

 

アイツが亡国企業の情報でも持っているのだろうか……気になって一緒に行こうとしたが一夏についてくるなと言われてしまった……お姉ちゃん、悲しいぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お姉ちゃんからインタビューの終了と感謝の言葉が記されたメールが届いた。如何やら満足行く結果だったらしく、報酬は弾んでくれるとの事……

 

「お姉ちゃん、嬉しそうだな」

 

 

メールからでも分かるほど、お姉ちゃんは浮かれている。だって普段ならメールなんて面倒だからって電話しかしてこないお姉ちゃんがメールを、しかもふんだんに絵文字や顔文字まで使われているのだ。

 

「織斑君とたっちゃんのインタビュー相当上手く行ったのね」

 

 

私まで嬉しくなって来ちゃうじゃない。

 

「さて、何か言う事はありませんか」

 

「!?」

 

 

いきなり背後から声を掛けられた……ここ、私の部屋なのに……しかも個室なのにいったい何時入ってきたって言うの!?

 

「お、織斑君……」

 

「あんな事させられるなんて聞いてませんでしたが?」

 

「あんな事って?」

 

「お姉さんに聞いてみたら如何です?」

 

「う、うん。そうする……」

 

 

織斑君のプレッシャーに頷く事しか出来なかった……お姉ちゃん、いったい何したって言うのよ!

 

『は~い!』

 

「お姉ちゃん、織斑君に何したの!?」

 

『何って水着姿で更識さんを抱きしめさせたり、キスギリギリまで顔を近づけてもらったり、最後はカメラに向かって鋭い視線を貰ったわね』

 

「最後だけ普通……だけど前の2つはダメでしょ!?」

 

 

部数は出るかもしれないけど、織斑君が本気で怒っちゃうよ……

 

『合成すれば貴女の顔にだって出来るのよ?』

 

「……ふむ」

 

『世界中の女が織斑君と擬似的にキスが出来るのよ?』

 

「……悪く無い」

 

 

背後に織斑君が居るのを忘れ、ついつい夢想の世界に旅立ってしまった……映像は無いけど想像するのに苦労はいらなかった。

 

『雑誌、楽しみにしててね!』

 

「うん!」

 

 

そう言って電話を切って満足した、してしまった……現実に引き戻されたのは携帯を置いてからだった。

 

「何普通に話して終わってるんですか!」

 

「だって、お姉ちゃんが……」

 

「兎に角、今後一切受け付けませんからね」

 

「何を?」

 

「黛先輩からの頼み事全てです」

 

「そ、そんな~……」

 

 

織斑君関連の記事を書けば新聞が飛ぶように売れるのに……あ、でも頼み事じゃなくって取材ならOKよね?

 

「当然NOです」

 

「今私、声に出してないよね?」

 

「顔に思いっきり書いてありました」

 

「嫌だ恥ずかしい……」

 

 

織斑君に表情を観察されてたって事よね……今すっぴんなんだからあんまり見られたく無かったわね。

 

「兎に角、この事は虚さんを交えてじっくりとお説教させてもらいますから、覚悟しててくださいね」

 

「え、これで終わりじゃ無いの?」

 

 

てっきりこれで終わりとばかり思ってたのに……虚先輩を交えてお説教なんて真っ平ゴメンだ!

 

「今後新聞部が活動出来なくなるのと、俺と虚さんにお説教されるの、どっちが良いですか?」

 

「……後者でお願いします」

 

「では、後日改めて」

 

「はい……」

 

 

私個人で新聞部が廃部になっちゃったらさすがに目覚めが悪い、悪すぎる……私は断りようの無い選択肢を突きつけられ、渋々お説教される事にした……やっぱり織斑君は怖いわね。




ネタ切れな感じだったのでスコールの話を早めに持ってきました……本来ならもう少し後のつもりだったのに……

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