もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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原作アレンジです


取材依頼と祝勝会

説教を終えて部活棟から戻る廊下を歩いていたら前からもの凄いスピードで近づいてくる人が居た……もの凄く嫌な予感がするのは気のせいだと思いたい。

 

「やっと見つけた!」

 

「黛先輩、廊下を走ったら危ないですよ」

 

「そんな硬い事言わないの」

 

「硬い事って……一応校則にも書いてありますし、更に言うと俺は生徒会の人間ですから。校則違反者は取り締まらないといけない立場なんですが?」

 

「私と織斑君の仲でしょ、見逃してくれない?」

 

「ふむ……見逃しても良いですが、虚さんに報告させてもらいますよ?」

 

「全力でゴメンなさい!」

 

 

虚さんの名前を出しただけで黛先輩は土下座する勢いで謝ってきた……どれだけ恐怖を植えつけたんですか、虚さん……

 

「それで?」

 

「ん?」

 

「俺を探してたんですよね、何か用ですか?」

 

 

虚さんに植え付けられた恐怖で本来の目的を忘れていたようだったので、思い出すように話の流れを変えた。別にこのまま忘れたままでも良かったのだが、またもの凄いスピードで追われたくなかったのでこの場で思い出してもらったのだ。

 

「そうだった!」

 

「また余計な事をして虚さんに怒られたんですか?」

 

「違う違う、今回は私の用事じゃ無いのよ」

 

「それじゃあ誰の……」

 

「織斑君の事を取材したいって人が居るのよ」

 

「お断りします」

 

「でね……って少しは話を聞いてよ!」

 

 

面倒な事には極力関わりたく無いのだ。取材なんて面倒に決まってるし、また亡国企業の回し者だったりしたら更に面倒だからな。

 

「大体、黛先輩に頼むなんて誰なんですか?」

 

「引き受けてくれるなら教えてあげるけど?」

 

「じゃあ良いです」

 

「少しは気にしてよ!!」

 

 

自分の流れに持っていこうとしたのが分かったので、此処はその流れには乗らないべきだろう……少しでも乗ったら一気に持っていかれてしまうからな。

 

「お願い!私の面子も掛かってるのよ!」

 

「そんな事知ったことありませんよ」

 

「先輩の頼みなんだよ?」

 

「そう来るなら俺もさっきの事を虚さんに報告せざる得なくなるんですが……」

 

「何でよ!?」

 

「上下関係を使おうとするからですよ。俺ではダメですが、虚さんなら黛先輩より上ですからね」

 

「あうぅ……織斑君が苛める」

 

「苛めてません。廊下をもの凄いスピードで走ったのは黛先輩本人じゃないですか。誰かとぶつかったら危ないんですよ?」

 

「分かった、分かったから!」

 

「本当に反省してます?」

 

 

如何も上辺だけな気がしてならないのだが……

 

「してるわよ。してるから少しは話を聞いてよ」

 

「……本当に少しだけですよ」

 

 

腕時計で時間を確認して、これ以上黛先輩に対して時間を割くのは得策では無いと考えて話しを聞く事にした……付き纏われる可能性もあるからな、この人の場合は……

 

「えっと、何処まで話したっけ?」

 

「何処かの誰かさんが黛先輩を使って俺に取材したいって事は聞きました」

 

「そうそう。それで、引き受けてくれないかな~?」

 

「さっきも言いましたが、お断りです」

 

「何でよ!?」

 

「素性も分からない相手とは極力関わりたく無いんですよ」

 

「それなら大丈夫。その相手の素性は私が保証するから」

 

「それが信用ならないんですが……」

 

「何でよ!!」

 

 

学園の中で、生徒で1番信用してはいけない人だからなんですが……ちなみに学園1信用ならないのはもちろんあの人だ……俺個人の見解だが。

 

「素性を明かせない理由でもあるんですか?」

 

「そうじゃないけど……」

 

「ならさっさと教えてくださいよ。危険が無いと判断出来るのなら考えても良いですが」

 

「本当!?」

 

「まぁ……」

 

「教えれば引き受けてくれるのね!?」

 

「え……?」

 

 

俺は『考えても良い』と言ったのだが、黛先輩の中では『引き受ける』と変換されているようだった……都合の良い耳してるんだな……

 

「その相手はね……」

 

「ちょっと待ってください!」

 

「何よ?」

 

「俺は『考えても良い』と言っただけです。間違っても『引き受ける』とは言ってません」

 

「大体一緒でしょ?」

 

「大いに違います!」

 

 

学園内だけとは言え、マスメディアに携わっている人が……しかもそっち方面志望の人がそんな解釈で良いのか……だからマスコミの一部に濁点をつけられるんだよ……って弾が言ってたな、そう言えば。

 

「まぁ細かい事は気にしないで」

 

「まったく細かくないんですが」

 

「とりあえず聞いて。その相手は私のお姉ちゃんなの」

 

「はぁ……黛先輩ってご兄弟が居たんですね」

 

 

心底如何でも良いが、とりあえず話してしまったので付き合おう……引き受ける引き受けないはまた別な話だからな……

 

「詳しく知りたい?」

 

「いえ、全然」

 

「……少しは無駄話に付き合ってくれても良いじゃない」

 

「この会話自体そうでしょうが」

 

「酷い……まぁいいわ。それで織斑君、この雑誌知ってる?」

 

 

そう言って黛先輩は1冊の雑誌を手渡してきて……何々、インフィニット・ストライプス?

 

「知りません」

 

「あれ?結構有名何だけど……」

 

「これってIS関連の雑誌ですよね」

 

「まぁ一応は」

 

 

インフィニットと名乗ってるのでそうだろうと思ってたが、やはりか……

 

「男の俺が読んでる訳無いじゃないですか」

 

「でも、織斑君はIS使えるでしょ?」

 

「使えるだけで、そこまで興味はありませんよ」

 

 

雑誌で情報収集するほど熱心では無いし、載ってるモデルは全員女性なんだし(当たり前だ)、俺にはほぼ関係無いだろう。

 

「それでね、この雑誌の副編集長が私のお姉ちゃんなの」

 

「それで?」

 

 

大体言いたい事は分かったが、此方から言い出すほどお人よしでは無い……言われても受ける気は無いのだが。

 

「世界的に注目されている織斑君の事を取材したいらしいのよ。それで同じ学園に通っている私に何とか取材出来ないか頼んでくれって言われたの」

 

「そうですか、お断りします」

 

「だから何でよ!?」

 

「何でって、面倒だからです」

 

 

要するに部数出したいから世界初の男性操縦者である俺のインタビュー記事を載せたいって事だろ、そんな見え見えの魂胆に付き合う義理は無い。

 

「お願い!ちゃんとお礼も出るらしいから!」

 

「モノで釣るんですか?」

 

「聞くだけ聞いて。そのお礼は高級レストランの招待券なの」

 

「はぁ……」

 

 

そんなもの貰って如何しろと……料理の味でも盗んで来いとでも言うのだろうか……

 

「デートにでも行けば良いじゃない」

 

「何人居ると思ってるんですか……」

 

 

1人連れて行けば他の5人が私もと言い出すだろう……残りを自腹で連れて行けるほど俺に甲斐性はありません……

 

「それじゃあお姉ちゃんに頼んで皆で行けるような場所のものに変えてもらうから!」

 

「そう言う事では無いのですが……」

 

 

そもそも面倒だから受けたくないのだ。

 

「じゃあ如何すれば良いのよ!脱げば良いの!?」

 

「何でそんな発想になるんですか!」

 

「だって織斑君が引き受けてくれないから!」

 

「……気になったんですが、如何してそこまで熱心にお姉さんの頼みを聞くんですか?」

 

「えっ……それは……ねぇ?」

 

「……何か報酬でも貰ったんですか?」

 

「そ、そんな訳無いわよ!?」

 

「……貰ったんですね?」

 

「……はい」

 

 

報酬の先払いか……これじゃあ黛先輩も引き下がらない訳だ……会った事は無いが、きっとそのお姉さんも黛先輩並に押しが強いのだろうな。

 

「ハァ……分かりましたよ。受ければ良いんでしょ?」

 

「良いの!?」

 

「そっちが言ったんでしょうが……受けなくて良いのならそれでも構いませんが」

 

「ダメ!受けてくれるのなら受けて!!」

 

「それで、日時や場所は?」

 

「今度の日曜、場所は本社ビルで時間は2時からなんだけど……」

 

「その日は予定がありますね」

 

「キャンセル出来ない?」

 

「黛先輩が話をつけてくれるのなら良いですが」

 

「分かった!それで、誰に話をつければ良いの?」

 

「楯無さんです」

 

「えっ……たっちゃん?」

 

 

たっちゃん?随分と親しげな呼び方だ……まぁ同じ学年だし親しくしてても何もおかしく無いのだが。

 

「その予定ってもしかして……」

 

「デートです」

 

 

別に隠す必要も無いのであっさりとバラす……さっきまでの押しの強さは何処に行ったのか、黛先輩は顔を青くしてオロオロし始めた。

 

「如何しよう……お姉ちゃんには頼まれてるし、たっちゃんのデートは邪魔出来ないし……」

 

「何か弱みでも握られてるんですか?」

 

「そ、そんな事無いよ?」

 

「握られてるんですね」

 

「……うん」

 

「ハァ……」

 

 

この先輩はいったい何を仕出かしたんだか……結局刀奈さんの説得には俺も立ち会う事になってとりあえずは話が纏まった……やっぱり引き受けなければ良かった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後に生徒会室に薫子ちゃんがやってきて、一夏君の事を取材したいから日曜日に一夏君を貸してほしいと言われた……その日は私と一夏君の初めての2人きりでのデートなのよ!簡単に貸せる訳無いじゃないの!!

 

「そこを何とか!」

 

「ダメよ」

 

「そんな事言わないで……ゴショゴショ」

 

「えっ!?」

 

「ん?」

 

 

急に耳元で話し始める薫子ちゃん……一夏君の耳を気にしての行動だって事が内容を聞いて分かった……それは確かに魅力的な提案ね……でも、一夏君と2人きりのデートも捨てがたいし……

 

「それじゃあたっちゃんも一緒に取材受ける?」

 

「えっ、私も?」

 

「何て言ったってたっちゃんはロシアの代表なんだから!」

 

「そ、そうね~……如何しようかしら」

 

「?」

 

 

状況が飲み込めていない一夏君はしきりに首を捻っているが、薫子ちゃんの提案は私にも、そして他の彼女にも悪く無いものだったのだ。

 

「楯無さんがそれで良いのなら俺は気にしませんが」

 

「一夏君、お姉さんを『楯無』って呼ぶのはダメだよ~」

 

「人前ではそっちで呼ぶって言ってるでしょうが……」

 

「何の話?」

 

「薫子ちゃんには関係無い話だよ~」

 

 

別に聞かれても困る話では無いのだが、一応私の名前は更識楯無で登録されているのだ。あまり外部に本名を知られるのはね……別に機密でも無いのだから少し調べれば分かる事でもだ。

 

「それで、たっちゃんは如何?」

 

「一夏君が午前中からデートしてくれるなら良いわよ?」

 

「ちなみに時間は……」

 

「もちろん早朝からよ!」

 

「ハァ……それで良いのなら」

 

「やった!」

 

「それじゃあお姉ちゃんにはOKって返事しとくから」

 

「はいは~い」

 

「これなら部数出るだろうし、私の報酬も……」

 

「何か言った?」

 

「ううん!何でも無い!」

 

「……やれやれ」

 

 

薫子ちゃんが何かブツブツと言っていたが私は聞き取れなかった……一夏君は聞こえてたみたいで、呆れたように首を振っている。

 

「それじゃあね~!」

 

「あっ……行っちゃった」

 

「嵐みたいな人ですね、本当に……」

 

 

一夏君も呆れてものが言えないと言った感じで薫子ちゃんが出て行ったドアを見つめている。

 

「一夏君、お弁当は勘弁してあげないからね?」

 

「分かってますよ……」

 

「遅れました……?」

 

 

薫子ちゃんと入れ替わるように虚ちゃんが生徒会室にやって来た。もし虚ちゃんが居たら話しはまだ纏まってなかっただろうな~。

 

「お嬢様、何かご機嫌みたいですが、何かありました?」

 

「ううん、何でもな~い♪」

 

「はぁ……」

 

「それじゃ、仕事を片付けちゃいましょうか」

 

「やれやれ……」

 

「?」

 

 

事情を知っている一夏君は呆れ気味に、事情を知らない虚ちゃんは何で私がやる気を出してるのか不思議そうに仕事に取り掛かった……やる気を出しても2人の処理スピードには勝てないんだけどね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人が生徒会室で仕事をしてるのと同じ時間、私たちは食堂で祝勝会を開いていた……生徒会役員である本音も今日だけはお兄ちゃん公認のサボりだ。

 

「良かったですね~」

 

「本当だよ~」

 

 

おやつ禁止は如何やら逃れた2人がホッとしながらケーキを頬張る……もちろんそのケーキはお兄ちゃんのおごりだ。

 

「ご褒美って事なのかな?」

 

「だって頑張ったもん!」

 

「そうですよ!」

 

「勉強会で褒めてくれなかった分は此処で取り返さなきゃ~!」

 

「私まで良いのかな?」

 

 

まだテストを受けていない簪の分も、お兄ちゃんが払ってくれている。私たち3人の分だけだと不公平って事らしい……

 

「それにしても、本音や須佐乃男が目標を達成するとは思って無かった……これも一夏のおかげだよね?」

 

「一夏様が教えてくれてなかったらきっと無理だったでしょうね」

 

「私の人生終了のお知らせが来るところだったよ~」

 

「そこまで大げさに言う事じゃ無いんじゃない?」

 

 

おやつが暫く禁止になるだけなのに、人生終了は言いすぎだと思う……

 

「マドマドは何も賭けて無かったからだよ~」

 

「私たちには死活問題です!」

 

「そこまで……」

 

「一夏も可哀想に……」

 

 

須佐乃男のお菓子代は、お兄ちゃんから貰ったお小遣いから出ている……つまりはお兄ちゃんのお金だ。

 

「まぁ、これからも食べられるんだし、今日はそこまでがっつく必要は無いんじゃない?」

 

「でも、せっかく一夏様が奢ってくれるんですし、食べなきゃ損ですよ」

 

「でも、食べ過ぎると一夏に怒られるよ?」

 

「むぅ~……おりむ~に怒られるのは嫌だな~」

 

 

結局ケーキ1つで止めることにした……あんまり食べ過ぎるとおなか周りがね……乙女の悩みは尽きないものね……

 

「それじゃあ部屋に戻って祝勝会の二次会と行こうか~」

 

「二次会?」

 

「部屋置きのお菓子で盛り上がりましょう!」

 

「……1度禁止にした方が健康のためな気がしてきた」

 

「私もそんな気持ちだよ……」

 

 

お兄ちゃんじゃ無いけど、これは2人にはお菓子を止めさせた方が良い気がしてきた……お菓子ばっかじゃ身体に悪いからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

織斑君からOKを貰った私は、すぐさまお姉ちゃんに連絡を取った。

 

『もしもし薫子?』

 

「織斑君、OKだって」

 

『本当?』

 

「うん。ついでにロシア代表のインタビューも出来るようになったから」

 

『ロシア代表って、確か薫子の友達の?』

 

「そう、更識楯無……たっちゃんだよ」

 

『そう……これはインフィニット・ストライプス始まって以来の出荷部数になりそうね』

 

「報酬は弾んでもらうからね」

 

『分かってるわよ。アンタじゃ撮れない写真を見せてあげるわ!』

 

「出来れば貰えるとありがたいかな~なんて」

 

『仕方ない、出血大サービスだからね』

 

「やった!」

 

 

姉妹の間での交渉も済み、私は電話を切った。普段の織斑君の写真ならいくらでも撮れるが、さすがにプロが撮ったものには劣る……しかも衣装まであるんだから、これは貰えるだけで幸せね……合成すればもっと最高なものになるでしょうし……今から楽しみだわ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室から部屋に戻ってきたら、そこには目を覆いたくなるような状況が広がっていた……何を如何すればここまで散らかせるのでしょうか。

 

「本音、須佐乃男、説明してもらおうか……」

 

 

あっ、一夏さんが怒ってる……まぁ無理も無いですね。

 

「祝勝会だよ~」

 

「盛り上がったんですよ?」

 

「ほう……それならそこで倒れている簪とマドカは如何説明する?」

 

 

床に倒れこんだ簪お嬢様と、ベッドに横たわったマドカさん……どちらも少し苦しそうにしてるように見えますね。

 

「コーラの一気飲み選手権をしたんだよ~」

 

「本音様の圧勝でした」

 

「かんちゃんもマドマドも飲みきれずに倒れちゃったんだよ~」

 

「うぅ……」

 

「気持ち悪い……」

 

 

炭酸の一気飲み……想像しただけで気分が……良く本音と須佐乃男は平気ですね……ある意味尊敬します。

 

「刀奈さん、虚さん、2人を保健室へ」

 

「うん……」

 

「分かりました」

 

 

さすがにこのまま放置しておくのはマズイので、とりあえず保健室で介抱しましょう……その間に一夏さんには2人の説教をお任せします。

 

「ほら簪ちゃん、しっかりして!」

 

「マドカさん、少し動かしますね」

 

「お姉ちゃん……」

 

「虚さん、ゴメンなさい……」

 

 

私たちに運ばれるような形になった2人が謝ってきた……悪いのはアッチの2人であって簪お嬢様たちではありませんよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

保健室で胃薬を飲み、とりあえず気持ち悪さは収まった……あの食べ合わせはダメだったわね。

 

「コーラの一気飲みだけじゃ無いでしょ」

 

「何か倒れていた理由は他にもあるような気がします」

 

 

お姉ちゃんと虚さんに聞かれ、私はマドカと視線を合わせた……思い出すだけでまた吐き気が……

 

「いったい何したのよ……」

 

「初戦敗退の罰として、食パンにコーラを浸してそれにソースと醤油とケチャップをかけて食べさせられたの……」

 

「うぇ……」

 

「何て組み合わせですか……」

 

「本音は美味しいって食べてたんだけど……」

 

「優勝者が罰ゲーム?」

 

「勝利の味だとか何とか……」

 

「「………」」

 

 

お姉ちゃんと虚さんが視線を合わせて固まった……多分味を想像したんだろうな。

 

「本音、恐ろしい子」

 

「ゲテモノ食いは一夏さんに怒られますね」

 

 

多分部屋では一夏のカミナリが2人に落ちているだろう……食べ物で遊んだら一夏は本気で怒ってもおかしくは無いのだ。

 

「残さず食べただけ良いんだろうけど……」

 

「残してたら大説教だよね」

 

 

遊んだ挙句に残してたりしてたら目も当てられない……せっかくお菓子禁止を逃れたのにやっぱり禁止にされていただろう……それくらい一夏は食べ物を粗末に扱う事を嫌っているのだ。

 

「さて、簪ちゃんもマドカちゃんも平気そうだし、そろそろ部屋に戻ろっか?」

 

「でも、まだ一夏の説教中だと思うよ?」

 

「部屋でゆっくりするのは、ちょっと難しいかもね……」

 

「じゃあ、少し外でも歩きましょうか」

 

「そうだね。外に風でも浴びに行きましょうか、まだ暑いけど」

 

 

9月も終わりに差し掛かってるが、外の気温はまだまだ30度を越えている……温暖化は此処まで進んでるんだ……

 

「それじゃあ行きましょ」

 

「やっぱり部屋が良い……」

 

「簪はインドアだからね」

 

「お説教も終わってるかもしれませんし、部屋に戻りましょうか」

 

「皆インドアだな~」

 

「それじゃあお姉ちゃんだけでも行ってきたら?」

 

 

それじゃあ寂しいじゃん!っと大声で泣きついてきたお姉ちゃん……結構寂しがりだよね、お姉ちゃんって……

結局全員で部屋に戻り、それがきっかけで一夏の説教は終わったようだった……本音と須佐乃男は少し泣きそうだったから、私たちが帰って来たのを喜んだけど、一夏に次は無いと言われてまた泣きそうだった。




原作では一夏と箒に取材依頼が来るのですが、この話では一夏と楯無で……
本音発案のゲテモノは想像しただけで吐き気が……恐ろしいものを創造してしまった。

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