もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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最近本文よりタイトルを考えるのが大変です……


教師の悩み

朝からおりむ~が考え込んでたと思ったら、今度はすっきりした顔をしていた。おりむ~が悩んでる姿は滅多に見られなかったから新鮮な気持ちだったけど、いったい何を悩んでたんだろうな……

 

「布仏さん、此処はどうやれば上手くできるのかな?」

 

「え~っとそこはね~……」

 

 

授業中で、しかも講師役中なのでおりむ~に直接聞く事が出来ないのが悔しい……おりむ~のグループも一通り動かしてからカリキュラムに移るみたいだけど、くさかーが実技苦手なので苦戦してるみたいだった。

 

「それじゃあ皆、やってみよ~!」

 

「軽いわね~」

 

「でも、それが本音だよね」

 

「さっさと終わらせないと面倒になりそうだからね~」

 

 

教える側も評価されるみたいだし(当たり前だが)、早く終わらせれば私の評価も上がるかもしれないからね~。

 

「しかし、本音に教わるなんて思ってもみなかったよ」

 

「座学まったくダメの本音だもんね~」

 

「実技は結構得意なんだよ~」

 

 

専用機持ちで、しかも企業代表なんだからね~!

 

「ウチのクラスには専用機持ちが多いから、実技を教わるには結構便利だよね」

 

「でも、何となくセシリアとデュノアさんには聞きにくいよね」

 

「あっ、ちょっとその気持ち分かるかも」

 

「ボーデヴィッヒさんはボーデヴィッヒさんで聞き辛いけどね」

 

「軍人だもんね……」

 

「聞くならやっぱ織斑君だよね~」

 

「本音より頼りになるもんね~」

 

「無駄話してる暇があるならさっさとやるの~!」

 

「うわ~本音が怒った~」

 

「逃げろ逃げろ」

 

 

この騒ぎの所為で、私は織斑先生に出席簿で殴られた後説教、他のメンバーは私が殴られたのを見てから私と一緒に説教……何で私だけ殴られたんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日下部さんも今日のカリキュラムを終了して、一息吐こうと思ったら本音のグループが居る場所が騒がしくなっているのに気付いた。良く目を凝らすと相川さんと夜竹さんが本音をおちょくったらしく、本音が怒って追いかけている……怒るは良いが、今は授業中だぞ……ほら、背後から鬼が近づいてきているぞ。

 

「(何やってるんだか……)」

 

 

此方は既に全員が終わらせているために残り時間は違った訓練をしていても良いとナターシャ先生に言われているのだ。

 

「それじゃあ軽く模擬戦でもするか。飛び道具は無しで」

 

「周りに気を遣うなら賛成だけど、織斑君相手に近接戦を挑むのは自殺行為だと思うけど」

 

「向こうに山田先生が使うはずだったラファールがあるから、それを貸してもらえば俺じゃ無い相手と出来るぞ」

 

「借りられるの?」

 

「既に許可は取ってある。後は好きに戦ってくれ。もちろん危険だと判断したら強制的に止めるからそのつもりで」

 

「「「「「は~い!」」」」」

 

「それじゃあお疲れ様」

 

 

とりあえず俺が教えなきゃいけない事は教えたし、俺は織斑先生に一言言ってやりたかったのでこの場から離れる事にした。

 

「如何した、織斑兄」

 

「日下部さんの成績、知ってて俺のグループに入れたんですか?」

 

「さて、如何だったかな」

 

「誤魔化すのは相変わらず下手なようですね」

 

「お前なら教えられると思ったからだ」

 

「マドカでも出来たんじゃないですか?」

 

「如何かな、織斑妹はお前と違って教え方が上手な方では無さそうだしな」

 

「なるほど……さすがは教師、生徒の事を良く見ています」

 

「少しは見直したか?」

 

 

偶に俺が褒めたもんだから、千冬姉のヤツ少し調子に乗ってるな……例の件は完全には許した訳では無いのだし、マドカとの仲を取り持ってやるつもりにもならないからな。

 

「教師としての貴女は元から見下してませんし、プライベートはまた別ですからね」

 

「やはり駄目か……」

 

「自分で何とかしてください」

 

「それが出来ないから一夏に頼んでるんだろうが」

 

「情けない……これがブリュンヒルデだと誰が思うだろうか」

 

「その呼ばれ方はお前にだけはされたくないぞ」

 

「実の妹なんだろ?自分で何とかしろ」

 

「実の妹だから悩んでるんだろうが!」

 

「威張って言うな!」

 

「うぅ……」

 

 

アンタが取った行動のツケが今来てるだけだろうが、俺を巻き込むなよ……ただでさえ巻き込まれてるんだから、これ以上こっちを巻き込むな。

 

「義弟に泣きつく世界最強のIS操縦者……週刊誌にこの写真を売りつけたら高値が付くかもな」

 

「分け前は半分だからな」

 

「売らねぇよ……」

 

「わ、分かってたぞ?」

 

「アンタ、また無駄遣いしてるんじゃないだろうな」

 

「だ、大丈夫だ。一夏が残してくれたお金には手をつけてないから……」

 

「それ以外は壊滅的か……」

 

「何故分かった!?……あ」

 

「………」

 

 

こんな簡単なカマ掛けに引っかかるとは……誰か管理してくれるような相手は居ないものかねぇ……

 

「お前が管理してくれないから貯まらないんだ!」

 

「開き直る気か!」

 

「あの~、織斑先生、織斑君?」

 

「「あぁん?」」

 

「ヒィ!?」

 

 

横から声を掛けてきた山田先生に同時に睨みを利かす……血は繋がってなくても長い間同じ空間で生活してたからな、タイミングはバッチリだった……それが良いのかは別問題だが。

 

「あっ、スミマセン山田先生……」

 

「それで、何の用ですか?」

 

 

コイツ、謝らねぇのかよ……せっかく少しは見直したのに、これじゃあプラマイゼロだな。

 

「授業中ですので、あまり大声で話されるのはちょっと……」

 

「スミマセン……」

 

「織斑兄、気をつけろ」

 

「アンタもだろうが」

 

 

睨みつけるような視線を千冬姉に送り小声でそう言うと――

 

「あぁ!」

 

「………」

 

 

――何故か嬉しそうな顔をしていた……

 

「そう言えば織斑君、織斑君のグループはもう終わったんですよね?」

 

「えぇ。それが何か?」

 

 

今は大人しく近接戦のみの模擬戦をしてるはずだが。

 

「如何やったらそんな上手く教えられるんですか?」

 

「はい?」

 

 

仮にも教師が(仮では無く本当に教師なのだが)生徒に聞くような事じゃ無いと思うんだが……座学を教える方が多いとは言え、山田先生もこうやって実技教科を担当する時もあるのだ。だけど、代表候補生だった山田先生なら、効率良く教える事くらい出来そうなんだがな……候補生の時に習った通りに教えれば一番分かりやすいと思うんだが。

 

「生徒に馬鹿にされないようにするには、如何やって振舞えば良いのでしょうか……」

 

「あぁ、そっちですか……」

 

 

山田先生は歳が近いって事もあってクラス中から友達扱いされているのだ。だからなのかは知らないが、座学の授業でも脱線する事が多い……

 

「自信を持って接するとしか言えませんよ」

 

「その自信が持てないんです!」

 

「いや、そんな威張って言う事では無いと思いますが……」

 

「あぅ……」

 

「織斑先生、後輩にアドバイスしてあげてください。俺は持ち場に戻ります」

 

「おい、織斑兄!」

 

 

教師に泣きつかれて教えるような事でも無いし、俺よりも同じ立場の織斑先生の方が的確なアドバイスをしてあげられるだろう……決して面倒だとは思って無い。思って無いぞ?

 

「誰に対する言い訳ですか?」

 

「ん?……しいて言えば自分自身にか?」

 

「面倒だと思ってたんでしょ?」

 

「そんな事は無い。ただ、教師の悩みを生徒が解決するのはおかしいと思っただけだ」

 

 

すぐ傍に教師が居たんだから、教師の悩みは教師に解決してもらおうと思っただけだ。

 

「それより、模擬戦は如何だ?」

 

「荒削り感は否めませんが、皆さん結構な実力者だと思いますよ」

 

「1年のこの時期でお前がそう思うなら筋が良いのだろう」

 

 

ISに実力者だと称されるのなら間違いは無いだろうし、今日のカリキュラムも問題無くこなせたメンバーだ、それなりに実力はあるのだろう。

 

「織斑君、2対1で模擬戦しない?」

 

「面白そうだね」

 

「ルールは?」

 

「今まで通り、飛び道具は禁止。後、織斑君は訓練機と同等の力しか出しちゃダメだからね」

 

「だってさ、須佐乃男」

 

「リミッターを掛けましょう」

 

 

須佐乃男は能力制限を自分に掛け、そのデータを俺の頭に直接送ってきた……展開してからモニターに出せよな。

 

「それじゃあ審判はテキトーに」

 

 

須佐乃男を展開し、俺は2人と対峙する形で合図を待つ……結構なハンデを背負わされたな、これは中々面倒だ……

 

「始め!」

 

 

合図があってすぐに打鉄に向かって蹴りを放つ……ISとしての能力を制限されたのなら、自分自身の身体能力でそれをカバーするしか無いからな。

 

「ちょっと!?」

 

「これはISの能力関係無いからな」

 

「武器を使ってよ!」

 

「試合でも実戦でも蹴りは禁止されてないはずだが?」

 

「離れたところから衝撃波を放てる蹴りなんて禁止だよ!」

 

「はぁ……仕方ない、それじゃあ斬るか」

 

 

瞬間加速して背後に回って鉄で斬りつける……普段なら一気にシールドエネルギーを半分は削れるのだが、今は精々1/5くらいか。

 

「思ったよりリミッターが効いてるな」

 

「そうでもしてくれないと私たちの訓練にならないからね」

 

「なら、しっかりと経験値を積んでくれ……よ!」

 

 

その後も瞬間加速してからの斬りつけのみで戦い、結局勝ってしまった。

 

「次は誰だ?」

 

「もう時間だよ……」

 

「何だ……つまんねぇの」

 

 

リミッターを掛けて戦うのは向こうにもこっちにもかなりの経験値があった。今度屋敷に帰ったら碧さんの部隊相手にやってみるか。

 

「各グループは片付け終了後速やかに教室に戻る事!」

 

「さて、片付けるか……」

 

 

次は座学だし、遅刻しないようにさっさと終わらせるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前の残りの座学は殆ど寝てしまったが、やっとお昼だ~!

 

「本音、お前テスト平気なのか?」

 

「おりむ~が教えてくれるから平気だよ~」

 

「須佐乃男ですら起きてたのに……」

 

「私は実技の時に休んでましたし、戦ったとは言えまったく力を出してませんから」

 

「おやつが懸ってるもんね」

 

「それはそうですが、私は授業は真面目に受けてますよ」

 

「これじゃあ本音の目標点数を上げるしか……」

 

「午後は頑張る!」

 

 

おりむ~がああ言った顔をした時は結構本気で無理難題を押し付けてくる時だ。私はこれ以上目標が高まるのを阻止するべく、午後の授業は頑張る事にした。

 

「お姉ちゃんや虚さん、居ないね」

 

「1年の食堂だし、学年の違う2人はすぐに来れないだろうからな」

 

 

学年毎に食堂もフロアも分かれてるので、おね~ちゃんや楯無様は毎回1年の食堂まで結構な距離を移動してるのだ。

 

「何処か良い場所があれば良いんだが……」

 

「部屋で食べるのもね……」

 

「一夏様の手作りのお弁当ですから、座る場所さえあれば平気なんですがね」

 

「教室じゃ結局2人が大変だし、かと言って私たちが上級生のフロアに行くのは勇気がいるからね……」

 

「生徒会室は~?」

 

 

私が何気なく言ったこの言葉に、おりむ~は少し考えてから頷いた。

 

「なるほど……確かにあそこなら簡単なティーセットがあるし、何より食べた後に生徒会の仕事が出来る」

 

「おりむ~、食べてすぐ働いたら眠くなっちゃうよ~?」

 

「本音は何時も眠いんでしょ?」

 

「あっ、お姉ちゃん」

 

「確かに生徒会室なら机もありますしね」

 

「おね~ちゃん」

 

 

何時から居たのか、おりむ~のつぶやきに楯無様とおね~ちゃんが返事をした。

 

「それじゃあ生徒会室にしゅっぱーつ!」

 

「お嬢様が自ら仕事をしてくださるとは……」

 

「会長としての自覚が出てきましたか?」

 

「だって今日は一夏君が来ない日でしょ?」

 

「本音や須佐乃男たちにテスト前の補習をしなきゃいけませんからね」

 

「「お世話になります……」」

 

 

私と須佐乃男は気まずくなった雰囲気の所為で縮こまっておりむ~にそう言った。

 

「それなら昼休みのうちに一夏君に手伝ってもらえるだけ手伝ってもらいたいしね!」

 

「……結局は楽したいだけですか」

 

「それでも十分進歩したと思いますよ」

 

「虚さんと一夏って、お姉ちゃんのお目付け役みたいだね」

 

「「………」」

 

 

おりむ~とおね~ちゃんが互いを見た後楯無様を見た。2人とも息ピッタリでちょっと羨ましいな~……

 

「何よ、2人して……」

 

「いえ……」

 

「あながち間違ってないと思いまして……」

 

「何よ!」

 

「「……ハァ」」

 

「2人にはお姉ちゃんが何時も苦労を掛けて……ゴメンね」

 

「いえ、簪お嬢様に謝ってもらう事では無いですよ」

 

「そうだな。簪は良くやってるよ」

 

 

かんちゃんはおね~ちゃんに慰められ、おりむ~に頭を撫でてもらっている……かんちゃんだけズルイ!

 

「簪ちゃんだけズルイわよ!私だって頑張ってるんだよ!!」

 

「そう言う事は人並みに仕事をしてから言ってください」

 

「じゃあ、頑張るから一夏君撫でて」

 

「……頑張った後なら良いですよ」

 

「良し!」

 

 

楯無様に火が点いたようで、もの凄いスピードで生徒会室に向かって行った。

 

「おりむ~私も撫でてほしいな~?」

 

「一夏様、私もです!」

 

「お兄ちゃん、私も!」

 

「3人は目標点数取れたらな」

 

「「「は~い!」」」

 

 

私と須佐乃男は65点、マドマドは75点が目標なのだ。これは放課後の勉強会でしっかり勉強しなきゃね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室にあるキッチンでお湯を沸かしていると、何故かしょぼくれた虚さんがやって来た……何かあったのだろうか?

 

「一夏さん……」

 

「何ですか?」

 

「私は何をすれば撫でてもらえますか?」

 

「……はい?」

 

 

今、何て言った?

 

「ですから、私は何をしたら撫でてもらえるんですか!」

 

「えっと虚さん?」

 

「何ですか」

 

「ひょっとしなくても撫でてほしいんですか?」

 

「はい」

 

「………」

 

 

刀奈さんたちには条件付きで撫でる約束しちゃったし、簪の事は既に撫でてしまったし、虚さんが嫉妬するのは分からないでもないが、たかが頭を撫でるだけで良いのなら何時でもするんだが……

 

「虚さんも頑張ってますからね……よしよし」

 

「はふぅ~……」

 

 

上目遣いでお願いされたらしない訳にもいくまい……年上の虚さんだが、こう言う時には何故か年下のような感じがするのだ。

 

「もう良いですか?」

 

「もうちょっと!」

 

「はいはい……」

 

 

別に疲れる事では無いのだが、この光景を他の誰かに見られると厄介なのでなるべく早く終わらせたいのだが……

 

「一夏君、お茶まだ~?」

 

「もう少し待ってください」

 

 

仕事中の刀奈さんが声だけでお茶の催促をしてきた……こりゃ次は確認しにこっちに来るぞ……

 

「虚さん、後でまた撫でてあげますから、今はこれくらいで……」

 

「分かりました……約束ですよ?」

 

「ええ……」

 

 

少し不満そうな顔をしていた虚さんだったが、刀奈さんがこっちに来た時の事を想像して渋々離れてくれた。

 

「その代わり」

 

「ん?」

 

 

何か続きがあったらしい……

 

「偶には一夏さんも甘えてくださいね?」

 

「俺が?」

 

「ええ、一夏さんが」

 

 

年上の威厳なのだろうか、虚さんは偶に俺に甘えろと言ってくるのだ。俺としては結構甘えてるつもりなのだが、つもりでは駄目なのだろう。

 

「機会がありましたら……」

 

 

俺は何時も通りの返事をしてお茶を濁すつもりだったのだが――

 

「その返事は聞き飽きました。はっきりと決断してください!」

 

 

――同じ答えをし過ぎたのか、虚さんは納得してくれなかった。

 

「甘えろって言われても、具体的に如何してほしいんですか?」

 

「えっ!……そんな、一夏さん///」

 

「ん?」

 

 

何を想像してるんだろうか……急に顔を赤くした虚さんが俺を見て悶え始めた。

 

「それじゃあ、今度膝枕させてくださいね」

 

「まぁそれくらいなら……」

 

 

本来なら俺と虚さんのセリフは逆だろう。俺が頼む方で虚さんが許可する立場のはずだったのだが、何故か虚さんが提案し、俺が受け入れる形になってしまっている。

 

「一夏君~まだ~?」

 

「はいはい、今持ってきますよ」

 

 

刀奈さんからの2度目の催促がきたので、俺はお茶を刀奈さんたちの下に運ぶ事にした。それにしても虚さんは何を想像したのだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっき一夏に怒られて自分の先月の出費を計算したら、赤字ギリギリだった……

 

「やはり私には貯蓄は難しいか……」

 

 

昔から浪費癖があり、一夏が管理してくれてなかったら借金まみれになってたかもしれないのだ、今の現状はまだマシだと言えるだろう。

 

「織斑先生、何ですかこのレシートの束?」

 

「先月使った分を計算してたんだ」

 

「珍しいですね~」

 

「あぁん?」

 

「ヒィ!?」

 

 

学習しないヤツめ……真耶は私に睨まれて縮こまった。さっき私と一夏に同じ事されたばかりだろうが。

 

「これ、織斑先生の通帳ですよね?」

 

「そうだが」

 

「結構残ってるんですね~」

 

「そっちは手をつけてないからな」

 

「そうなんですか?」

 

「お前には関係無い」

 

「これって~織斑君がちゃんと管理してたからですよね~?」

 

「なっ!?」

 

 

まさか真耶に見透かされるとは……

 

「何で2学期になってから距離が出来たのかは分かりませんが、早く仲直りした方が良さそうですね」

 

「そんな事、お前に言われなくとも分かってるさ……」

 

「織斑さんともですよ?何で仲が悪いのかは知りませんが」

 

「ああ」

 

 

マドカが現れたから一夏とも気まずい感じになってるのだがな……すべては私が悪いのだから自業自得だが、一夏もマドカばっかり構ってないで偶には私の事も気に掛けてくれてもいいだろうが……

 

「(この前こっ酷く怒られたばっかだがな……)」

 

 

束と電話で話していたらいつの間にか部屋に入ってきた一夏に一発で熨されてしまったのだ。あれは気持ちよ……じゃなく、痛かったな。

 

「千冬さん、何かあれば相談に乗りますよ」

 

「ふん、お前に相談に乗ってもらうほど落ちぶれては無い」

 

「なら良いですが」

 

 

真耶はそれだけ言って自分のデスクに戻って行った……何しに来たんだアイツは。

 

「(しかし、真耶にまで気を使われるほど、私は駄目なのだろうか……)」

 

 

一夏では無いが、最近ため息を吐くのが癖になってきてしまったようだな……私の幸せは果して残っているのだろうか……




気が付けばお気に入り登録数が1000を超えてますね、皆さんありがとうございます。これからも頑張ります。

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