もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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今回は協力者2人の正体が分かります


変態2人と協力者2人

協力者の名前も聞いた……だが、1つだけ分からないのは、何でアイツが今回の計画に協力したのかだ。束さんや千冬姉が嘘を吐いている可能性は考えられない……この状況で嘘を吐ける度胸があるのなら最初から俺に気付かれる事無く計画を実行する方が楽だろうからな。

 

「なぁ、何でアイツがお前らの計画に協力したんだ?」

 

「さぁ……」

 

「アイツには何も利益が無いと思うんだが……」

 

「もう1人に頼まれたんじゃないのか?」

 

「なるほど……」

 

 

確かにアイツなら問題を大きくする事なく進める事が出来るだろう……だが、頼まれたからと言って簡単に手伝うヤツでもない気がするんだよな……

 

「本当に間違い無いんだな?」

 

「当たり前だ!今の一夏を前にして嘘を吐くくらいなら死んだほうがまだマシだ!」

 

「それも如何なんだ……」

 

 

死んだほうがマシって言われた俺の気にもなれよ……俺ってそんなに怖いのか?

 

「兎も角、私や束は嘘など吐いて無いし、何でアイツが協力してくれたのかも知らない。もう1人の協力者なら知ってるかもしれんがな……」

 

「そっちが協力したのは何となく分かるがな」

 

「なら、もう良いだろ。私は疲れたぞ……」

 

「自業自得だ馬鹿者」

 

 

最後にもう1発千冬姉を叩き、俺は寮長室から出て行く事にした。

 

「あぁ……一夏、もっと殴ってくれ」

 

「………」

 

 

何か戯言が聞こえた気もしたが、きっと気のせいだろう……てか、気のせいだと思いたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏が寮長室から出て行ってすぐ、私はこの部屋に鍵を掛け束に連絡を入れた。

 

『今度は何かな~?』

 

「一夏が私を殴った!」

 

『見てたから知ってるよ~』

 

「もの凄く興奮した!」

 

『ちーちゃんは本当に変態だね~』

 

「一夏に殴られて興奮するのはお互い様だろ」

 

『束さんは殴られても興奮しないよ~』

 

「何!?」

 

 

束のヤツ、この気持ち良さが分からないのか……それは可愛そうだ。

 

『束さんはいっくんに踏んでもらいたいな~』

 

「この変態!」

 

『殴られたいって思ってるちーちゃんだって大差無いよ~』

 

「踏まれたら痛いだろうが!」

 

『そんな事無いよ~、むしろ新しい快感を覚えちゃうよ~?』

 

「第一、一夏はお前に快感を与えてたりはしないぞ!」

 

『ふっふ~ん、それはこの天才束さんの力で如何とでも出来るんだよ~!』

 

「あれだけ怒られて良く次の計画が練れるものだ……」

 

『怒られたり殴られたりしてるのに興奮してるちーちゃんよりはマシだと思うけど~?』

 

「そんな事は無いだろ、お前だけもう1回一夏に怒られるんだな」

 

『いっくんにバレ無きゃ大丈夫だよ~』

 

「そうだな、バレ無きゃ何を考えても大丈夫だよな!」

 

 

私は束と共に一夏から得られる最高の快感は何か話し合った。部屋の外に何者かの気配があるのに気付けずに……

 

『ん~?』

 

「如何した?」

 

『ちーちゃん、何だか嫌な予感がするよ~?』

 

「そんな事は……な、何だこの寒気は」

 

 

部屋の鍵は掛けた、それに私や束は危機察知は得意なのにこれほどのプレッシャーが迫ってくるまで気付けない訳無いはずなのに……

 

『ちーちゃん、その部屋って音漏れしないんだよね?』

 

「ああ……よっぽどの敏感な耳を持ってない限り盗み聞きは出来ないはずだ」

 

『可能性がある生徒ってどれくらい居るの?』

 

「可能性があるとしたら更識姉、布仏姉と一夏……!?」

 

『ちーちゃん、これってヤバく無いかな~?』

 

「非常にマズイだろうな……」

 

 

更識姉や布仏姉なら、これほどのプレッシャーを私に与える事は無いだろう……それに、電話越しの束までもが恐怖を感じる相手など、我々の知る限る1人しか居ない。

 

『鍵掛かってるんでしょ?』

 

「ああ……」

 

 

私は見るのが怖かったのでドアに背を向けていたが、何やら人の気配を感じて恐る恐る振り返った……そこで大声を上げなかったのは、唯単に大声を上げるだけの余裕が無かっただけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電話越しに聞こえていたちーちゃんの声が聞こえなくなった。何が起こったのだろうか……

 

「ちーちゃん?もしも~し!」

 

『あ……ああ……』

 

「何があったの!」

 

『終わりだ……』

 

「何が?」

 

 

ちーちゃんの声にはまるでこの世の終わりが近づいている感じの雰囲気が感じ取れるんだけど、束さんには何が起こったのかまるで分からない……こんな時こそちーちゃんの部屋に仕掛けた監視カメラの映像を見れば良いのだが、それをしたら束さんまで何か見てはいけないものを見てしまう感じがして出来なかった。

 

「ちーちゃん?」

 

『………』

 

 

呼びかけても返事が無い……電話はまだ切れていないので聞こえているはずなのに、ちーちゃんは応えてくれない。

 

「お~い、何があったのか教えてよ~!」

 

『ぁ……』

 

 

これはちーちゃんに何かあったんだ……ちーちゃんが出してくれた可能性の話の最後に出てきた名前は確かいっくんだったはず……もしかしてちーちゃんはいっくんにやられたのかもしれない。

 

「怖いけど、映像を見れば分かるはず!」

 

 

束さんは決心してちーちゃんの部屋の映像を5分前から再生する事にした……

 

「まだ、何も起こってないよね……」

 

 

映像の中のちーちゃんは楽しそうに束さんと電話をしている……確かこの後からもの凄いプレッシャーが襲ってきたんだよね……

 

「まだちーちゃんは電話を持っている……」

 

 

ちーちゃんは可能性を考えながら束さんと会話している……そしていっくんの名前を出したすぐ後に尋常じゃないくらいの汗を掻きはじめた。

 

「この後だ……」

 

 

鍵は掛かってるって言ってたし、ちーちゃんが開けない限りはその部屋は安全地帯のはずなのに、今のちーちゃんは電話越しに呼びかけても反応してくれない……プレッシャーだけで気絶をするようなひ弱な人じゃないし、それじゃなくても気絶なんてものに縁の無い人だからね。

 

「ちーちゃんが恐る恐る振り返ってる……」

 

 

その後すぐちーちゃんは何も言わずに固まってしまってる……このアングルじゃ何があったのか分からないな……

 

「此処まで見たんだ、こうなったら何があったのか見てやる!」

 

 

別アングルの映像を呼び出そうとして、束さんは今迄感じた事の無いプレッシャーを感じた……何で、何でこんなに冷や汗が出るんだろう……

 

「え~っと……指が震えてるよ~……」

 

 

後はエンターキーを押せば映像が切り替わるのだが、指が震えて上手く押す事が出来ない……こんなプレッシャーは生まれて初めて感じるかもしれない……

 

「えぇい!」

 

 

覚悟を決めてちーちゃんが何を見たのかを確認する……

 

「!?」

 

 

そこに映ったのは地獄の鬼すら生温い、閻魔大王すら道を譲るであろう表情を浮かべたいっくんが映っていた。

 

「な、何でいっくんが鍵の掛かった部屋に入れるの……」

 

「教えてあげましょうか?」

 

「え……」

 

 

急にこの部屋に人の気配が生まれた……しかもこの声は……

 

「随分と楽しそうでしたね」

 

「あ……あ……」

 

「お望み通りにしてあげますよ?」

 

「い……いっくん……」

 

 

気配の持ち主は束さんが良く知っている人のものだったし、振り返ればやはり良く知っている人が居たのに、束さんは今始めて会った人に感じている……いっくんであっていっくんではない……表現するならそんな感じかもしれない。

 

「あの馬鹿はお望み通りに殴り倒しました……束さんは踏まれたいんでしたっけ?」

 

「痛くしないでほしいな~なんて……」

 

「さぁ、貴様が変な事を考えた事を後悔するが良い!!」

 

 

ゆっくりと近づいてくるいっくん……逃げようと思えば逃げられるスピードなのに、あまりの恐怖で足がすくんで動けなかった。あぁ、このまま死んじゃうのかな……そんな事を考えながら、束さんの意識はゆっくりと暗闇に落ちていった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まったく、協力者を問い詰める前に、とんだ寄り道だったな……嫌な予感がして寮長室に引き戻した俺は、ドア越しに聞こえてきた身の毛もよだつような会話を聞いて激昂した。

さっきあれほど怒った相手が、性懲りも無くおかしな話をしていたからだ……しかもその相手も早朝に説教したばかりだと知り、我慢が出来なくなったのだ。

 

「ふぅ……」

 

「ぁ……」

 

 

目の前には完全に白目を向いた束さんが転がっている……これで少しは自重してくれるようになれば良いのだが……

 

「さてと……残るは協力者の言い分を聞くだけか」

 

 

表立って動いていたのはこの馬鹿共だが、協力した時点で何かしらの制裁は必要になるだろう……まぁ、この馬鹿共よりは優しく説教してやるんだがな……

 

「束様、いったい何が……あ、あれ?」

 

「クロエさん、『これ』の後始末をお願いしても良いですか?」

 

「え、ええ……」

 

 

主に何かあったのを感じ、クロエさんが研究室に慌てて駆け込んできた……従者としては優秀な部類に入るんだな、クロエさんって……俺が気配を現してからまだ、数分も経っていない。この馬鹿が意識を失ってからは1分も経っていないのだ。

 

「では、俺は戻ります」

 

「何があったんです?」

 

「それはその馬鹿が目を覚ましたら聞いてください」

 

 

クロエさんは俺の言葉に若干の苛立ちが含まれてるのに気付き、それ以上は聞いてこなかった。やはり優秀なのだろう……料理以外は。

 

「何のおもてなしも出来ず、申し訳ありません……」

 

「気にしないで良いですよ、俺が勝手に押しかけたんですから」

 

 

事実、もてなされる客では無かったからな……この場所の主である馬鹿にとっては来てほしくない客だったろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業が終わったのに、一夏様は戻ってきませんでした……これは千冬様に説教してる可能性が高いでしょうね……

 

「おりむ~、何処に居るのかな~?」

 

「早退って言ってたし、部屋じゃないかな?」

 

「如何でしょう、一夏様が大人しく部屋に居るとは思えませんし」

 

「「確かに(~)」」

 

 

マドカさんと本音様と一緒に学食でおやつタイムを楽しんでいたら簪様がやって来ました。

 

「此処に居た」

 

「如何したのかんちゃん、何だか疲れてない~?」

 

「須佐乃男に伝言を頼まれたから探してたの……」

 

「私にですか?」

 

「うん、一夏が呼んでる」

 

「おりむ~が?」

 

 

ヤベェ……何かやらかしてしまったのでしょうか……

 

「須佐乃男1人で部屋に来て欲しいって。その間私たちは近づかないでって、おねえちゃんと虚さんの分までケーキ代くれた」

 

「それじゃあ食べよう~!」

 

「じゃあね、須佐乃男」

 

「お姉ちゃんと虚さんには連絡したから、すぐに来ると思うよ」

 

 

私はもの凄い行きたくない思いに押しつぶされそうになりながらも、行かないと何をされるか分からない恐怖からゆっくりと部屋に向かいました……私もケーキ食べたかったのに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋の外に気配を感じ、俺はドア越しに呼んだ。

 

「入れ」

 

「お邪魔します……」

 

「此処はお前の部屋でもあるだろ」

 

「そうですね……」

 

 

須佐乃男はこれから何を言われるのか分かってるらしく、少し震えている。

 

「お前は何でアイツに協力を頼んだんだ?」

 

「それは……」

 

「言え無いか?」

 

「その前に、私が誰に協力を頼んだのか知ってるんですか?」

 

 

この期に及んで抵抗して見せた須佐乃男……恐らくはその協力者との約束を気にしているのだろう。

 

「誰にも言わない代わりに此方の計画をスムーズに進める手助けをしてほしい」

 

「!?」

 

「お前はそう言って協力を仰いだそうだな」

 

「何故……」

 

 

知られてないとでも思ってたのだろうか……須佐乃男だって、俺が既に馬鹿共を説教した事は知ってると思うんだが……そこで聞き出しただけなのだ。

 

「それで、アイツはただお前に協力しただけなのか?それとも馬鹿2人にも頼まれてたのか?」

 

「……私個人で頼みました」

 

「そうか」

 

 

それなら説教する必要は無いか……もちろん注意はしに行くがな。

 

「それで、お前の役割は何だったんだ?」

 

「私は一夏様が笑顔で居られるように行動してただけです」

 

「俺の携帯で束さんに連絡してたのもお前か」

 

「はい……」

 

「何のために」

 

「上手く動けているかの確認に……」

 

「お前にメリットは何だ?」

 

 

そこだけがいくら考えても分からなかった……後は聞く前から何となく予想はついていたものだったし、その考えと答えには殆ど差は無かった。

 

「一夏様との楽しかった時間です……」

 

「ん?……それだけか?」

 

「はい……」

 

「怒られるの承知でか?」

 

「はい……」

 

「……ハァ」

 

 

ため息を吐かないと決めたのについつい吐いてしまった……それだけ須佐乃男の答えに呆れたと言う事だろう。

 

「そんな事しなくても……」

 

「ですが、一夏様はすぐに逃げ出してしまいますし、スキンシップだって普段の一夏様よりは小さくなった姿の方が取りやすかったですし!」

 

「結局は俺の所為か……」

 

 

俺の態度がいけなかったから須佐乃男は協力したのか……これは怒れないな。

 

「悪かったな」

 

「はい?」

 

「だから、俺の所為で余計な事に協力させて……これからは気をつける」

 

 

小さい自分にも怒られたし、ズボンのポケットにもメモを残されたからな……

 

『おねちゃんたちともっとなかよくね!』

 

 

まさか自分から説教されるとは思って無かったぞ……少しくらいは善処しないと夢の中に出てきて怒られそうだ。

 

「一夏様が反省してる……これは夢ですか?」

 

「人が考えを改めようとしたのに、お前はヒデェな」

 

「いや、だって……」

 

「そんな態度をとられると悲しいんだが……」

 

 

それだけ俺が酷かったんだろうが、まさか態度を改めると決心した矢先にこんな態度をとられるとさすがにへこむ……

 

「具体的にはどの様に改めるんですか?」

 

「そうだな……」

 

 

俺は少し考えて、自分の考えに顔を真っ赤にしそうになったのを慌てて首を振って誤魔化した。

 

「如何したんです!?」

 

「何でも無い……それよりも」

 

「はい?……!?」

 

 

油断していた須佐乃男の唇にキスをした。今までの俺ならこんな事を考える事もしなかっただろうが、俺の態度が周りを不安にしてると思い知らされたからな……少しくらいはしても良いだろう。

 

「……プハァ、それじゃあ協力者のところに行くぞ」

 

「は、はい……」

 

「何時まで呆けてるんだ」

 

「だって!///」

 

「部屋に着くまでにその顔直しとけよ」

 

 

須佐乃男は、まさか俺からキスされるとは思って無かったようで、完全に茹蛸状態になっていた。俺だって相当恥ずかしいんだぞ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドアがノックされ、私はドアを少し開け誰か確認した。

 

「一夏!?」

 

「すまない、鷹月さんは居るか?」

 

 

何だ、私に会いに来た訳では無いのか……

 

「静寂、お前に客だ!」

 

「私に?」

 

 

静寂は普段は部屋で雑誌などを読んでいる事が多いが、偶に一夏と何か話している……今回もそんな感じなのだろうか?

 

「ちょっと外に付き合ってほしいんだが」

 

「何!?一夏、私も良いか?」

 

「今回は遠慮してくれ。また今度機会があったら篠ノ乃にも付き合うから」

 

「本当だな!?」

 

「ああ、機会があれば」

 

 

良し!一夏との関係も少しずつではあるが改善されてきてるようだし、これは一夏との距離を縮めるチャンスかもしれないな。

私は静寂が出て行った部屋で1人飛び跳ねて浮かれていた……その機会が何時来るかは分からないのに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

織斑君に呼び出され、その後ろに須佐乃男が居るのを見て、私は何を言われるのか理解した。何だ、バレちゃったんだ……

 

「鷹月さんには悪い事をしたな……」

 

「悪い事?」

 

 

私はてっきり怒られるもんだと思ってたら、何故か織斑君に謝られた。

 

「こんなふざけた事に巻き込んで、本当にすまなかった」

 

「別に織斑君が謝る事じゃ無いと思うんだけど……」

 

 

実際に織斑君は被害者だし、須佐乃男に頼まれたのは織斑君の味方で居てほしいって事だけだったしね。

 

「馬鹿2人は処分したが、巻き込んでしまった形になったのは紛れも無い事実だからな……本当に悪かった」

 

「いいよ、私も楽しかったし」

 

「ん?」

 

「懐いてくれてありがとう」

 

「はぁ……」

 

 

織斑君はまさかお礼を言われるとは思って無かったのだろう。ポカンと口を開けて固まっている、こんな姿の織斑君を見れるなんてね。

 

「それに普段から織斑君には色々聞いてるしね」

 

「あれくらいなら別に聞かれても答えられるから良いが……」

 

「さすが学年1位の頭脳の持ち主」

 

「それ関係あるのか?」

 

「如何だろうね」

 

 

私が織斑君に聞いているのは、料理の作り方だったり、盛り付け方、どうやったら上手く作れるようになるのか……などの料理関係が多い。女子高に通ってるのに、一番料理上手なのが織斑君なので織斑君に聞けば最も良い答えが得られるのよね。

 

「試験前には範囲の復習に付き合ってもらったし」

 

「あれは俺もしなきゃいけなかった事だぞ?」

 

「織斑君なら相手に困らないでしょ?」

 

「……その言い方は頷き辛いぞ」

 

「うふっ、確かにね」

 

 

本音や須佐乃男をはじめ、織斑君には彼女が沢山居るし、クラスメイトの誰を誘っても織斑君になら付き合うだろう……

 

「今回の件も私が楽しそうだから付き合っただけだよ」

 

「そこは止めてほしかったが……」

 

「私が如何やって『大天災』と『ブリュンヒルデ』を止められるのよ」

 

「……困った馬鹿2人でスマン」

 

「何で織斑君が謝ってるの?」

 

 

思わず笑ってしまったが、織斑君は嫌な顔せずにつられて笑ってくれた。

 

「それじゃあ互いに気に病む必要は無いって事で」

 

「そうしてくれると此方も助かる」

 

「被害者が加害者の心を気にするなんてね」

 

「鷹月さんはある意味で被害者だからな」

 

「そう?」

 

 

織斑君は須佐乃男を前に出し、私に頭を下げさせてこの問題は終わりだと言った。

 

「そうだ、織斑君」

 

「何?」

 

「携帯の番号聞いても良いかな?」

 

「俺の?」

 

「うん、織斑君の」

 

 

織斑君は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに笑ってくれた。

 

「それから、私の事は静寂で良いよ」

 

「そうか……」

 

「呼びにくい?」

 

「いや、日本人で名前呼びしてる女子って彼女以外だとマドカと友人の妹くらいだなって」

 

「そうなの?」

 

「仲の良い女子なんて居ないし……」

 

「ああ!」

 

 

織斑君の悩みが友達が少ない事だって事は結構有名だ。でも、織斑君が望めばいくらでも友達なんて作れるのに。

 

「それじゃあ俺の事も一夏で良いぞ、えっと……し、静寂」

 

「分かった。じゃあね、一夏君!」

 

 

計画を手伝ったおかげで、一夏君と仲良くなれたみたい。私は一夏君に気付かれないように須佐乃男に頭を下げた。結果的にもっと一夏君に質問しやすくなったし、私にはメリットしかなかったな。




協力者は須佐乃男と鷹月静寂の2人でした。予想が当たった人は居るのでしょうか……
変態共はどうしょうもねぇな……書いててそう思いました。

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