もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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今回は学園関係者は出ません


新武装、完成

「さあさあいっくん、次はコレを試してみて~」

 

「見た目はさっきと変わらないようですが……」

 

 

柄にさっきの新素材で出来たグリップが巻かれてる以外は見た目は変わってない。

恐らく威力や射程距離を大幅に増やしたのだろう…

 

「それじゃあ、また的を出すからちゃんと壊してね~!」

 

「分かりました」

 

 

自分の武器なんだから文句言わずに手伝おう…と思ってた自分が恨めしい…

まさか半日以上拘束される事になるとは思ってなかったなぁ………

 

「いっくんの希望に応えられるものになってると思うよ~」

 

「なら、これが最後ですか?」

 

「う~ん……いっくんにはまだ付き合ってもらいたい事があるんだけどね~」

 

「まだ何かあるんですか!?」

 

「いっくんにしか頼めないし、別の日だと嫌でしょ?」

 

 

それは嫌だが……

 

「お願いいっくん!いっくんにしか頼めないんだよ~!!」

 

「千冬姉では駄目なんですか?」

 

「ちーちゃんには既に断られてるの~」

 

「なら俺も断ります」

 

「そんな~!?」

 

 

千冬姉が断ったからって俺に頼むのは間違ってるだろ…

だってよっぽど面倒な事なんだろうし、これ以上付き合いきれない。

 

「いっくんにも使わせてあげるからさ~!」

 

「何をですか?」

 

「この新素材で作る防御壁を!」

 

「防御壁?そんなの何に使うんですか?」

 

「当分は対ちーちゃんに使うつもりだけど…」

 

 

当分は?

つまり他に使う予定があるのだろうか?

 

「いったい千冬姉対策以外に何に使うんですか?」

 

「内緒だよ~」

 

「なら手伝えませんね…」

 

「ええ~!?」

 

 

そんな怪しい事に加担などしたくない。

ただでさえ束さんの手伝いをするのは嫌なのだ。

 

「じゃあ須佐乃男にもこの防御壁を積んであげるからさ~!」

 

「今のところ必要性を感じ得ないのですが」

 

「防御壁があれば今まで以上に防御に集中しなくて済むし、範囲も広いから他の人も守れると思うよ?」

 

「………範囲はどれくらいなんですか?」

 

「ん~とね……半径300mくらいはいけると思うんだよね~。まだ未完成だから正確では無いんだけど…」

 

「完成にはどれくらいの時間が掛かるんですか?」

 

「いっくんが手伝ってくれるんなら今日中には終わるよ~」

 

 

俺は少し考える事にした。

別に俺自身に防御壁の必要性は感じない。

だが、昨日のセシリアのように関係無い場所に攻撃が流れてしまった時などにこの防御壁は使えるかもしれないのだ。

 

「ねえねえいっくん、手伝ってくれる~?」

 

「そうですね……そんなに時間が掛からないのなら…」

 

「やった~!それじゃあさっさと黒雷を完成させちゃおう!」

 

「急にテンションが上がりましたね…」

 

「いっくんが手伝ってくれるなら、あの防御壁も完成するしね!」

 

「あくまでも悪用はしないって約束してくれるならですけど」

 

「しない、しない!いっくんはこの束さんが悪用すると思ってるの?」

 

「思ってるから釘を刺したんじゃないですか」

 

「ひっど~い!束さんは今迄発明品で悪事なんてした事無いんだよ~!」

 

「…白騎士事件」

 

「ん?」

 

「あれの黒幕は束さんですよね?」

 

「……何のことかな~?」

 

「ISを世界に認めさせるために千冬姉を使ってその凄さを見せるために、世界中のミサイルの管理データをハッキングして日本に向けて発射させた」

 

「………」

 

「そして白騎士を身に纏った千冬姉がそのミサイルを全部斬り捨てて颯爽と消え去る。これで世間は日本を守った謎の騎士とその騎士が使っていたISに興味を持つ。そうして束さんはISを世界に認めさせた」

 

「…ちーちゃんに聞いたの?」

 

 

如何やら話す気になったのだろうか。

今迄ははぐらかされて来たが、今回は束さんも逃げられないと思ったのだろうか?

 

「いえ、千冬姉は何も言ってません。あくまでも俺の推測ですから」

 

「凄いな~いっくんは……推測でそこまで的確に言い当てるなんて…いや、いっくんなら当たり前かな?」

 

「第一あの白騎士は何処から見ても千冬姉ですし、千冬姉が手伝う相手なんて束さんしか居ませんしね。しかもその後すぐに束さんがISを発表したんですから、大体の背景は想像できますよ」

 

「ちーちゃんも友達居ないもんね~」

 

「『も』って言うのが甚だ不本意ですが、その通りです」

 

「あはは~!いっくんも友達少ないもんね~」

 

「……原因は貴女の妹でしょうが」

 

「小学校と時はそうでも、中学、高校で友達が居ないのは箒ちゃんの所為じゃ無いよ~」

 

「それはそうですが……」

 

 

少なくとも小学生の時、もっと言えば篠ノ乃が俺に付き纏う前には友達は居たんだが…

 

「まあ、いっくんにはバレるかもって分かってたし、ちーちゃんもいっくんに隠し事なんて出来ないって言ってたし」

 

「観念したのなら、この防御壁を何に使うか教えてください」

 

「本当に悪い事には使わないよ。ちーちゃんやいっくんの攻撃から身を守るために使うんだから」

 

「もし、悪い事に使ってるのを見つけたら……容赦しませんよ?例え束さん相手だろうが」

 

「分かった!分かってるからその殺気消して!本当に怖いからさ~!」

 

「……約束ですよ?」

 

「うん!束さんは約束を守る良い娘だよ!!」

 

 

なんとも信用出来ない発言だが、これ以上脅して時間が掛かったら面倒だ。

 

「須佐乃男、今の発言はしっかり録音(とれ)てるな?」

 

「もちろんです!」

 

「へ?……いっくん信じてくれてなかったの!?」

 

「念には念を入れただけですよ。基本的には束さんの発言を信じますが、万が一に備えるのは当然ですよね?」

 

 

束さんに向けて最高に悪い笑みを向ける。

 

「いっくんにはかなわないな~」

 

「それじゃあさっさとデータ集めを終わらせましょうか」

 

「まずは黒雷だね~」

 

 

こうして一先ず束さんの悪事を防ぐ事に成功したのだ。

もし、確認せずに研究に付き合ってたら問題になってたかもしれないからな…

 

「(一夏様、誰に言ってるのですか?)」

 

 

誰でも無い。

ただの独り言だ。

 

「(そうですか……)」

 

 

ん?そもそも声に出してないだろ。

 

「(さ、さあ黒雷のテストを始めましょうか)」

 

 

また心を読んだんだな…

別に誤魔化しても無駄だから……

 

「(一夏様の思考は読んでいて面白いですからね)」

 

 

だからって開き直られても困るんだがな…

 

「(じゃあ如何しろって言うんですか!?)」

 

 

逆ギレも止めろ。

普通にしてて良いから。

 

「(なら、一夏様)」

 

 

何だ?

 

「(如何して防御壁の開発を手伝おうと思ったのですか?)」

 

 

……それが何故『なら』になるのか分からないが、どうせ思考を読んだんだろ?

 

「(ええ……でも、あれがすべてでは無いですよね?)」

 

 

まあな……

この先、何か嫌な予感がするんだ。

周りを巻き込んでの何かが起こりそう…そんな予感が。

 

「(でも、それなら一夏様の力量で如何とも出来ると思うんですが…)」

 

 

俺だって人間だからな。

その場の判断を誤る事だってあるし、守りきれない事だってあるだろう。

原因が誰にあろうが、目の前で誰かが傷つくのを見たくないからな。

 

「(でも、千冬様の出席簿アタックは良いのですか?)」

 

 

あれはやられる方に問題があるからな。

反省させるためにもあれは有効だ。

 

「(一夏様も拳骨などしますしね)」

 

 

誰にでもする訳じゃないぞ?

 

「(分かってますって)」

 

 

…本当に分かってるのか?

 

「いっく~ん!そろそろ始めるよ~!」

 

「分かりました。コッチの準備は出来てますので何時でもどうぞ」

 

 

須佐乃男と話しこんだが、今は開発実験の途中なのだ。

本来の目的を終わらせてさっさと帰るとするか。

 

「(追加でもう一個開発に付き合わなきゃいけなくなりましたけどね~)」

 

 

お前だって傷つく可能性が減るんだ。

悪い話ではないだろ?

 

「(まあ、滅多に傷つかないんですが、痛いのは嫌ですからね~)」

 

 

とても機械の発言とは思えないが……

 

「(機械ではなくISです!)」

 

 

…まあどっちでも良いんだが、そもそもISも痛覚はあるんだな。

 

「(当たり前じゃないですか!?私にはすべての感覚があるんですよ!)」

 

 

なら、普通のISには無いのか?

 

「(それは分かりませんが……兎も角、私には痛覚はあるんですからね!)」

 

 

分かった分かったって。

 

「(何かおざなりにされてる気がするんですが…)」

 

 

気のせいだろ。

俺は須佐乃男と話しながら開始の合図を待った。

 

「それじゃあ始めるよ~!」

 

 

束さんの合図で的が現れる。

黒雷を展開してそれを壊そうとするが……

 

「さっきまでとは比べ物にならないな、この威力…」

 

「いっくんがヒントをくれたから、威力を人が死なないギリギリまで上げれたからね~」

 

「そんな物騒なもの使えませんよ!」

 

「威力調整はいっくんの方でも出来るでしょ?束さんは可能性を狭めたくなかったのだ~!いっくんの判断ですぐ威力は弱められるから心配しないで~」

 

 

なるほど…

俺がその場で調整すれば脅しからとどめにまでと広範囲で使える訳か……

 

「調整するには、如何すれば良いんですか?」

 

「横にスイッチがあるでしょ~?そこを押せばいっくんの好みの威力に調整出来るから。試しにやってみて?念じれば変るから~」

 

「そうですか」

 

 

スイッチを押し、威力を調整する。

今は最低限の威力で良いだろ…

 

「なろほど…確かに念じるだけで威力が変りましたね」

 

「でしょ~!凄いでしょ、いっくん!!」

 

「コレなら使えるな」

 

「でしょでしょ~!後で褒めても良いんだよ?」

 

「まだ防御壁の開発が残ってるでしょうが!」

 

 

的を壊しながら次々と威力を変える。

毎回スイッチを押さなきゃいけないのが面倒だが、コレは使える。

 

「それじゃあ最後に軌道変更の確認だね~射程もそのスイッチで変えられるから試してね~!それじゃあいっく~よ!」

 

 

束さんがプログラムを弄って、空中のいたるところに的が現れた。

俺はまず近くの的を壊し、そのまま軌道を変えて他の的もついでに壊す。

やっぱり軌道を途中で変えられるのは便利だ。

 

「(後は遠くの的ですね)」

 

 

それじゃあ射程距離の確認でもするか。

俺はスイッチを押し、的までの距離まで雷が届くのかを試す。

 

「(届きましたね)」

 

 

ああ、これなら遠距離でも平気だな。

俺が居る場所から壊れた的までの距離は直線で700mくらいだ。

コレならレーザー武器やミサイルにも対応できるだろ。

 

「如何かないっくん?問題無い?」

 

「ええ、反動も最小限ですんでますし、これなら問題無く使えますよ」

 

「じゃあ黒雷は完成で、次は防御壁の開発だね」

 

「その防御壁には名前は無いんですか?」

 

「ん~とね…まだ考えてないんだ」

 

「そうですか…」

 

「なんならいっくんが付けてくれても良いよ?」

 

「遠慮しておきます」

 

 

名前を考えるなんて面倒だ。

 

「(不精ですね…)」

 

 

無きゃ無いで問題無いしな。

 

「(一夏様が聞いたんでしょうが)」

 

 

有ればそのまま使えば良いから。

 

「(本当に面倒くさがりですね…)」

 

 

普段面倒を背負ってるんだから、直接関係無い問題には関わりたくないんだ。

 

「(そうですか……確かに千冬様とか楯無様とか、一夏様に問題を持ってくる人が多いですからね~)」

 

 

ちなみに、お前もだぞ?

 

「(さあ、何の事でしょう?)」

 

 

……とぼけるな。

 

「いっくん、それじゃあこの障壁に黒雷の最大威力で攻撃してみて~!」

 

「最大威力?平気なんですか?」

 

「それを試すテストだよ~」

 

「確かに……」

 

 

結局この防御壁が完成したのは、夕方になってからだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがと、いっくん。おかげで無事完成したよ~!」

 

「そうですね……」

 

 

正直なんで引き受けちゃったんだろう?

これほど疲れるなんて聞いてないぞ…

 

「それじゃあ須佐乃男にインストールするからいっくんは少し休んでてね~」

 

「それでは一夏様、いってきます!」

 

「おう……」

 

 

返事をするもの億劫だ…

防御壁が壊れるにはどれくらい攻撃すれば良いのか興味を持った束さんは、俺に可能な限り黒雷と零落白夜を交互に使わせた。

その2つを使うためには集中力を最大まで高め、瞬時に武器を交換しなければならない。

あまり時間を空けると防御壁が回復するためだ。

結局黒雷の最大威力と零落白夜を使って20連続攻撃する事によって防御壁は壊れる事が分かった。

そんな戦闘、実際にあったら死んでるぞ……

 

「それにしても凄まじい強度だな……まるでアイアスの楯だな……」

 

 

トロイア戦争における伝説の楯…

あの楯もたしか相当な強度だったはずだ…

しかし束さんの防御壁はそれ以上だと言っても過言ではないくらいの強度を誇るからな…

 

「須佐乃男が使うんなら、西洋の名前じゃない方が良いのかもしれないが、人間の姿の時の須佐乃男なら、違和感無く思えるんだよな…」

 

 

普段生活してる時の須佐乃男は、どちらかと言えば西洋風の容姿をしている。

身長はそこまでないが、髪色や瞳の色などは完全に西洋風だ。

 

「てか、何で俺が名前を考えてるんだ?」

 

 

面倒な事はしたくないのに……

ついつい考えてしまうのが悪い癖だな、俺の…

せっかく広い場所に1人で居るんだ。

偶にはゆっくりするのも悪く無い。

 

「今日は朝早かったからな…」

 

 

俺は横になり、誰に言うでも無くつぶやいた。

束さんと須佐乃男が戻ってくるまで休むとしよう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっまたせ~!…あれ?」

 

「一夏様?」

 

 

束様にインストールしていただき終わったので、一夏様の待つアリーナに戻ったのですが、一夏様の姿はそこにはありませんでした。

 

「何処行ったのかな~?」

 

「私には検討つきませんね…」

 

 

此処は束様の研究所ですし、部外者の私が分かるはずも無いのです。

 

「クーちゃんなら知ってるかな?」

 

「クーちゃん……ですか?」

 

 

誰なのだろうか…

あの束様が一夏様や千冬様、後篠ノ乃さん以外に人の名前だと思える発言をするなんて思わなかった…ひょっとしてペットか何かだろうか?

 

「うん、クーちゃん。私の娘みたいな子だよ~」

 

「娘?…人なのですか?」

 

「あったりまえでしょ~?須佐乃男はクーちゃんの事を犬か何かだと思ったの?」

 

「え、ええ…それに近いものだと思いました」

 

「ひっどいな~!クーちゃんは束さんが拾ってきた子なんだよ~」

 

「拾って……?」

 

 

やっぱり犬か何かなのだろうか?

 

「うん!ほら、IS学園にも居るでしょ?え~と…何て言ったっけ?あのいっくんの妹気取ってる銀髪」

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒさんですよ」

 

「そうそう、そのボー何とかと同じ、試験管ベビーなんだ。しかも如何やら失敗作らしいから捨てられてたんだ~。可愛いから拾ってきたの~」

 

「そうなんですか……」

 

 

束様にも人の心があったのですね…

 

「むっ!今失礼な事考えてたでしょ?」

 

「そんな事ないですよ~。束様はお優しい方だな~って思ってただけです」

 

「本当?」

 

「ええ」

 

 

もちろん嘘だが、今此処でバレたら何をされるか分からないからな…

一夏様とよくやる誤魔化しあいで、私は嘘を吐くのが上手くなってるのです。

 

「それじゃあ良いや…」

 

「そんな事より、一夏様を探さなくて良いのですか?」

 

「そんな事って……まあ今は気にしないでおこう…クーちゃんと一緒ならきっとキッチンかな?そろそろご飯の時間だからね~」

 

「キッチンですか?」

 

「うん!クーちゃんは束さんの世話をしてくれてるんだよ~!」

 

「束様が拾ってきたなら、束様が世話をするべきでは無いのですか?」

 

「自慢じゃないけど、束さんもちーちゃんと一緒で、いっくんに家事するの止められてるからね~」

 

 

笑い事では無い…

千冬様と同レベルで家事が出来ないとなると、爆発とかが日常茶飯事って事ですか!?

 

「兎に角一夏様の下に行きましょう!」

 

「そうだね~。束さんもクーちゃんを紹介しなきゃいけないからね~」

 

 

そのクーちゃんの実力も気になりますが、あんまりのんびりしてるとまた一夏様に対するフラグが建ってしまう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、一夏様は料理上手なのですね」

 

「別に上手では無いが、千冬姉や束さんと比べれば上手なんだろうな」

 

「またまたご謙遜を。私だって消し炭やゲル状のものを作り出してしまうんです…」

 

「慣れてなきゃそんなものだろ。ところで…何で俺の名前や千冬姉の事を知ってるんだ?束さんから聞いたのか?」

 

「ええ。束様に拾われてから一夏様と千冬様の事は聞きました。束様が認める人間だとか」

 

「まったく、あの人は……」

 

 

アリーナで休んでいた俺の下にやって来たラウラに似た女性。

如何やら束さんに拾われたようだが、何故俺に料理を習おうとしたのか…

 

「あ~!やっぱりいっくん、此処に居た!」

 

「一夏様!探しましたよ!」

 

「ああ、終わったのか?」

 

 

包丁の使い方や火加減の調整、味付けなどを教えていたら束さんと須佐乃男がやって来た。

如何やらインストールが終わったみたいだ。

 

「ところで束さん、この人は?」

 

「あれ?クーちゃんから何も聞いてないの?」

 

「ええ、束さんに拾われたとか、料理が下手だとかしか聞いてません」

 

「名前も?」

 

「ええ」

 

 

正直に言えば聞くの忘れたんだが……

 

「彼女はクロエ・クロニクル、私の娘みたいなものだよ~!」

 

「ラウラに似てるのは偶然ですか?それとも彼女もまた……」

 

「そう、試験管ベビーだよ。しかもそのボー何とかとは違って、失敗作って言われるね」

 

「それで捨てられてたんですか……それにしても束さんがこの子…もしかして年上ですか?それなら口調を改めるんですが…」

 

「そうだね~いっくんよりは年上かな?」

 

「ならクロエさんですかね…そのクロエさんに興味を持ったの何故ですか?」

 

「う~っとね……家事が面倒だったからかな?」

 

 

そんな理由で人1人拾ってきたんですか……

 

「しかし私も家事下手でして……」

 

「それなら俺に相談してくれて構わないですよ。携帯の番号とアドレス教えますから」

 

「それではお願いします」

 

「いっくんが付きっ切りで教えてあげれば良いんじゃない?」

 

「俺にだって予定がありますから、付きっ切りは無理です」

 

「そっか~…でもクーちゃんがいっくんに教われば何時でもいっくんの料理が食べられるね」

 

「そう簡単ではないですよ…私が一夏様レベルになるには何十年掛かるか分かりませんよ」

 

「そんな掛からないと思いますが…」

 

 

こうして開発に付き合って終わったと思ったら料理を教えてほしいと言われ、時間も無いので簡単な事しか教えられなかった。

クロエさんが普通の腕をしてるなら心配なかったのだが、束さんと同レベルでは心配なのでアドレスを教えた。

如何やらクロエさんは俺の弟子になったつもりらしい…

弟子なんて取ってないんだが……




2日目終わらせるつもりだったのですが、次回少し続きます

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