とある少年が、全女性ジムリーダーのおっぱいを揉むという夢を抱いたそうです   作:フロンサワー

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7歩目 フスベシティ

 

 ジョウト地方最後のおっぱいを求め、とうとうフスベシティにやって来た。フスベシティとは、辺り一面が岩山に囲まれた隠れ里みたいな場所だ。氷の抜け道しか通路がないから、到着するのに難儀したよ。

 少し周りを見渡せば、稀少なドラゴンタイプのポケモンがゴロゴロといる。流石は、ドラゴンタイプ使いのトレーナーの出身地なだけはある。

 そういえば、チャンピオンのワタルもフスベシティ出身だったかな。それだけドラゴンタイプのポケモンは強力なんだよね。

 勿論、ここのジムリーダーであるイブキもドラゴンタイプ専門だ。きっと、かなりの苦戦を強いられるだろう。

 

『フェアリーのように可憐なこの私がいれば大丈夫ですよ!! ドラゴンタイプなんて目じゃないですって!』

 

 サッちゃんが腕に抱きつきながら言う。周りからの目が生暖かいから止めてほしい。

 

「確かにサッちゃんはフェアリータイプだけど……」

 

 フェアリータイプのポケモンはドラゴンタイプの技を無効化できる強味がある。しかも、フェアリータイプの技ならドラゴンタイプのポケモンに対して効果は抜群だ。

 そりゃあ、有利っちゃ有利だけど…… ジムリーダーをそう簡単に倒せると思えないんだよね。

 まあ、負ける気はないけどさ。

 

「っと、着いたか」

 

 とうとうフスベジムに辿り着いた。僕が挑むであろうジョウト地方最後のジムだ。気合いを入れていくぞ! サッちゃんがいつまでも腕に引っ付いているから、緊張感が削がれるけど。

 

「おじゃましまーす」

 

 うわ、凄いな。いかにもラスボスのいるダンジョンみたいな内装だ。

 レンガ作りで、光を灯しているのは照明じゃなくて蝋燭で、下は溶岩で…… 溶岩?

 

「溶岩だぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 思わずサッちゃんに抱きついた。

 いやいやいやいや、駄目でしょこれは!! 落ちたら死ぬよ!? ポケモンだって死ぬよ!?

 というか、どうやってジムに溶岩を持ってきたんだよ!!

 

『ウヒヒ…… ライムさん、落ち着いてよく見てください…… ウヒヒヒヒ!』

「え?」

 

 サッちゃんに宥められ、溶岩を注視する。

 ……あれ? 質感に違和感があるような。

 足元にあった手頃な小石を投げ込んだ。小石は溶岩の中に消えていったが、コツリと地面に衝突する音が響いた。

 これってホログラムか!? なんだよ紛らわしいなあ!! 無駄にリアルなんだよ!!

 いやでも、結構深そうだから危ないな。落ちないように気をつけないと。

 足元に気を配りながら進んでいると、変な格好をしたムサ男を視界に捉えた。ああ~……………… 女の子じゃない時点で関わりたくねえ。

 

「ムッ!よく来たな、挑戦者。俺の名は―――」

 

 やる気が急速に削がれていく。いや、別に構わないけどね? イブキちゃんに会えるなら、相手してあげるけどね?

 名乗り口上も終わったようなので、早速サッちゃんにボコボコにしてもらおう。

 

「サッちゃん、やっておしまい」

『ウヒ、ウヒヒヒヒ!!!』

 

 さて、準備運動といきますか!

 

 

 

 

★☆★☆★

 

 

 

 

 特に危うげな場面もなく、サッちゃんの勝利でポケモンバトルは幕を閉じた。

 僕の実力を認めてくれたのか、ムサ男はイブキちゃんの場所に案内してくれると言った。最初からそうするか、女の子のトレーナーを寄越すかにしてくれればいいのに。

 ちなみに、サッちゃんにはボールに戻ってもらった。僕が抱きついたせいか、常時絶頂状態だったしね!

 

「ほらほら、キリキリ進んで」

「くそぅ……」

 

 さてさて、イブキちゃんはどんなおっぱいをお持ちなのだろうか?

 聞いた話だと、イブキちゃんは恥ずかしい格好をしてるみたいなんだよな。まあ、所詮は噂だし話半分で聞いてたけど。

 一応、痴女の可能性も考慮しないと。もしそうだったら大歓迎だぜ!

 

「ほれ、着いたぞ」

 

 辿り着いた場所は、一際開けた空間だった。中央にはバトルフィールドが設置されてる。

 そのバトルフィールドよりも先に、誰かの後ろ姿があった。察するに、あの人がジムリーダーのイブキちゃんだ。

 マントのせいで恥ずかしい格好なのか分からない! マント超邪魔!!

 

「フフフ、よく来たわね」

 

 女の人の声だった。つまり、彼女がイブキちゃんなのは確実だ。

 バサリ、とマントがたなびいた。それと同時に、イブキちゃんが振り返って―――

 

「私はジムリーダーのイブキ! 世界で一番のドラゴン使いよ!!」

 

 衝撃だった。まるで、アームハンマーを頭部に受けたかのようだ。

 彼女の格好はどうだって? 一言で説明すれば、変態だ。そう、変態なのだ。僕が言うのも如何なものかと思うけど。

 だってね、タイツなんだよ? かなりの巨乳なのに、全身タイツなんだよ?

 OK、痴女確定だ。おっぱいを揉むまで、事はかなりスムーズに進む筈―――

 

「え?」ムニュリ

 

 その呟きは誰の声だったのか。もしかしたら僕自身だったかもしれない。

 気づけば、僕の右腕がイブキちゃんの右側おっぱいを揉んでいた。どうやら、イブキちゃんが痴女だという結論に至った瞬間、無意識で体が反応したようだ。

 柔らかい……! いや、柔らかいのは当たり前なんだけど、隔てるのがタイツだから異常に柔らかいんだ!

 この感覚…… ハナダジムのカスミちゃん以来だ! 彼女も水着一枚だったし!!

 というか、でけぇ! もしかしたら、僕が出会ってきたジムリーダーのおっぱいの中で、一番大きいサイズかもしれない!!

 少しだけ強く揉んでみる。すると、指と指の間が僅かに盛り上がった。うわぁ、伝説サイズやでぇ……!

 と、兎に角! この光景を目に焼き付けなくては! こんな巨乳、いつ出会えるか分かんないし!!

 

「……」モニュモニュモニュモニュ

「………せぇい!!」

 

 腕を掴まれ、投げ飛ばされた。いや、当たり前だけどね。でも、そんな痴女染みた格好をしてるから悪いんだよ?

 地面に衝突する寸前に受け身をとり、直ぐ様起き上がる。さて、これはヤバイ雰囲気だし逃げるとしますかね! ジョウト地方に用はないし、このままホウエン地方まで高飛びだ!!

 

「キングドラ、竜の息吹」

 

 これまでの人生でも類を見ない、体の芯から底冷えする声が響いた。

 イブキちゃんのモンスターボールから繰り出されたキングドラは、有無も言わさずに竜の息吹を放った。

 あ、完全に人間(僕)狙いだ。

 このままだと直撃する! 僕は反射的に右へと飛んだ。

 岩が砕ける音がした。目を向ければ、床には大きなクレーターができていた。これ、レンガの床ですからね?

 こりゃあ、相当怒らせたな。あれか、あの服をカッコいいと思ってるパターンだったのか。痴女じゃなくて厨二だったのか。

 右、左と竜の息吹を避けながら出口を目指す。これ、生きて帰れるのかな?

 

「キングドラ、さらに追撃ぃ!!」

「ぎゅ、ぎゅあ!!」

 

 げげっ!? こんだけ連発で飛んできたら避けられないって!!

 

「アアーーーーー!!!!???」

 

 

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 

 

「それで、興奮して胸を揉んでしまったと?」

「そうです……」

「よし、情緒酌量の余地なしね」

 

 いや、まだ警察に捕まってないからね!? イブキちゃんに拘束されているけど!

 どちらにせよ、このままじゃブタ箱行きだ! ナツメちゃんの予知がもう当たってしまう!

 どうしよう!? 取り敢えず、どうしよう!?

 言え! 適当に何か言え!! 人生は言ってみるものだってタマムシで学んだだろ!!

 考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ!!!!

 

「―――あの! ポケモンバトルに勝ったら許してくれませんか!?」

「…………………………は?」

 

 やっちまった……。ほら、イブキちゃんの額に血管が浮き出てるもん。

 暫くはムショ暮らしかぁ……。ジュンサーさんのおっぱいしか癒しがなくなるな……。

 

「上等だわ……!」

「へっ?」

「変態ごときが私に敵うと思ってるなんて、随分とふざけた思考回路じゃない! 再起不能になるまで叩き潰してあげるわ!!」

「……1on1でお願いします」

 

 絶対に勝たないとな。夢とか以前に、僕の人生が懸かっている。あーあ、痴女だったら気負いなくバトルできたのに。

 モンスターボールに手を掛ける。さあ、今回も便りにしているよ!

 

「いけっ! サッちゃん!!」

「頼むわよ、キングドラ!」

 

 繰り出されたポケモンはキングドラだった。もしかして、僕を殺しにかかった奴と同じ個体か……?

 それなら勝てる。勝利の女神はまだ僕を見捨てていない!

 

「サッちゃん! 今回のバトルで勝てたらキスしてあげるよ!!」

『っしゃあコラ! 来いやタイツ女!!』

 

 サッちゃんの気合いも十分みなぎっている。さあ、バトル開始だ!!

 

「キングドラ、冷凍ビーム!!」

 

 キングドラの口から光線が放たれる。

 流石にドラゴンタイプの技を使うようなヘマはしないか。

 

「サッちゃん、瞑想!!」

『グヘ…… グヘヘヘヘ!! ライムさんとキス…… グヘヘヘヘ!!!』

 

 サッちゃんがニヤニヤとヨダレを垂らす。瞑想になっているか疑問なんですけど?

 冷凍ビームがサッちゃんに命中する。瞑想が成功していたのか、一応は凌ぎきってくれた。でも、変わらずニヤニヤしてるのは怖いよ?

 

「サッちゃん、ムーンフォース!」

『し、舌と舌が絡み合って…… グヘッ!!!』

 

 サッちゃんの胸元に光が集まり、やがてそれは大きなエネルギー弾となった。

 一直線にそれが放たれる。そして、寸分の狂いもなくキングドラへと命中した。しかし、倒れる様子を全く見せない。流石はドラゴンタイプ、生半可な固さじゃない!!

 

「負けるなキングドラ! 冷凍ビーム!!」

「ぎゅあぁ!!」

 

 攻撃が来る!!

 全神経を張りつめろ! キングドラの一挙一動を見逃すな!

 

「躱せ!!」

 

 僕の指示が響き渡り、同時にサッちゃんが左へと跳んだ。

 その直後、サッちゃんの立っていた地面に冷凍ビームが直撃した。パキパキと音をたてながら地面が凍りついていった。

 

「運の良い奴ね……! 追撃よ!!」

 

 キングドラが冷凍ビームを放とうとする。すかさず、僕はサッちゃんに指示をとばした。

 

「もう一丁!!」

 

 サッちゃんが右へと跳ぶ。

 標的をなくした冷凍ビームは、虚しくも直線上にある壁に命中した。

 イブキちゃんの顔に焦りの色が浮かぶ。そう、本来ならここまで冷凍ビームが外れるなど有り得ないからだ。

 とてもではないが、冷凍ビームは目視して躱せる速度でない。だけど、冷凍ビームを放つタイミングさえ分かっていれば話は別だ!

 あのキングドラにはある癖がある。技を放つ度に、口が二回ヒクヒクと動くという癖だ。その動作を見逃さなければ、技がくるタイミングをある程度予測できる。

 バトル前にキングドラを観察できたのは幸いしたね。バトル中なら、いくら僕でも気づけなかっただろう。

 

「まさか、技を放つタイミングがばれているの!? えぇい、吹雪よ!!」

「上に跳べ!!」

 

 サッちゃんが地面から跳躍すると同時に、冷凍ビームとは比にならない冷気を纏った吹雪が地面に凍りつかせる。

 恐ろしい威力だけど、当たらなきゃどうという事はない!!

 上空へと跳んだサッちゃんは、重力に引かれるままにキングドラの真上へと落ちていった。さあ、これで巻く引きだ!!

 

「ゼロ距離ならどうだ! ムーンフォース!!」

 

 ほぼ密着した状況でムーンフォースを放つ。キングドラに命中した瞬間、土煙が2匹を覆ってしまった。

 土煙が晴れていく。僕の目に写ったのは地面に倒れたキングドラと、何なのかよく分からない踊りをしているサッちゃんの姿だった。

 勝った、か……。

 大きく息を吐く。願わくば、もうこんか緊張感を伴ったバトルなんてしたくないね……。

 

『ライムさん!! キス、スキ、キス、キス、スキ、キスゥゥゥゥゥゥ!!!!』

「うん、後でねー」

 

 サッちゃんが危ない状態だったのでボールに戻した。ああ~…… そんな約束してたな。適当な約束なんてするもんじゃないね。

 さて、さっさとライジングバッジを貰って、ホウエン地方に向かうとしますかね!

 

「勝ったからさ、バッジちょーだい」

 

 ブチリ、と何かが切れる音がした。

 ああ、また怒らせたのか。これ以上何かして警察を呼ばれても困るし、さっさと逃げるか。

 

「……負けてなんだけどね、私はアンタを認めないわ!! 変態に渡すバッジなんて有る訳ないじゃない!!」

「じゃあいいです。では、さいなら!」

「えっ? ま、待って!! 待ちなさい!!!」

 

 

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 

 

「あの男、本当にバッジを置いていったわ……」

 

 





 名前すら聞かれなかった主人公。毎回フラグが立つと思うなよ!
 ちなみに、名前の由来は来(ライ)夢(ム)です。夢に生きる漢にはピッタリですね。

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