とある少年が、全女性ジムリーダーのおっぱいを揉むという夢を抱いたそうです 作:フロンサワー
原点回帰です。
僕の目の前には蒼い海が広がっている。うんうん、いつ見ても水平線ってのは絶景だなぁ。
深呼吸すれば、潮風の芳ばしい匂いが鼻をくすぐる。この匂いも久しぶりだ。えーっと、カントーに上陸して以来だから数年ぶりかな?
勘の鋭い人ならお気づきだろう。そう、僕がいる場所はアサギシティの海辺だ。
今回だけは、ボールの外に出しているポケモンはいない。僕だってロマンチックな風景を静かに味わいたいし。
「Fってとこか……」
大きく揺れる2つのモンスターボールを目に焼き尽くす。うんうん、ロマンチックだ。
さて、僕はかれこれ数時間は海辺にいる。海ってのは魅力的だから、いつまでも居座りたくなって困っちゃうね。だけど、お腹も減ったし、監視員が僕に視線を向け始めたから退散しますか。
そうだな……。とりあえず、腹ごしらえが出来る場所を探そうかな。手持ちのポケナビを起動してタウンマップを表示させる。フムフム、ここからだとアサギ食堂が近いな。
おっ! それらしき建物も視認できる。決まりだな、今日のお昼ご飯はアサギ食堂だ。
外観を見れば…… うん、いかにも海の男が集まりそうな食堂だな。
さて、早速食堂に入るとしますか!!
「らっしゃーい!!」
お客の数はそこそこ。そして、料理人はおっさんか。この食堂を選んだのを早速後悔しそうだ。
まあ、料理が美味しかったら良しとしよう。
僕は空いているカウンターの席に座った。
「おじさん、オススメを1つ」
「あいよっ!」
暫く待つと、大盛りの焼きそばが運ばれた。
あれ? 意外と美味しそうじゃないか。
「いただきまーす」
焼きそばを口にする。
………ッ!!?? これ、は……!!
「旨いっ……!!!」
旨い!! いや、マジで旨い!!
味が良いだけじゃない。上手く言えないけど、力が漲ってくる気がする!!
ヤベェ! 穴場スポットだぞコレ!!
いやもう、前言撤回だわ。後悔なんてしかけて本当にすみませんでした!!
夢中で焼きそばにがっついていたら、あっという間に無くなってしまった。いやでも、結構なボリュームだったな。僕的にはこれ一品で満足だよ。
……これ、中々お高いんじゃないか?
「ご馳走さまでした」
席を立ち、恐る恐るレジへと向かう。
これだけの焼きそばだ。どれだけの価格か分かったもんじゃない。
「お会計は300円だ!!」
「なん…… だと………」
「ハッハッハッ! うちは安さとボリュームが売りだからね」
その値段に衝撃を受ける。
これ、全国チェーンすればジョウトの一大企業の座を引きずり落とせるのでは?
カルチャー(?)ショックを受けた僕は、夢でも見たかのような心地でアサギ食堂を後にしようとした時―――
「!!!???」
視界の端に有り得ない物を捉えた。僕の足は否応なしに固まった。
見間違い? 幻覚? いいや、ある。確かにそこにある。だけど、本当に有り得るのか? こんな、こんな!?
「壁みたいな皿がッ……!!!」
戦慄、走る―――。
動体視力には自信がある。7年の修業で鍛え上げ続けたそれは、ジム戦でも勝利に貢献できるほど昇華させた。
それでも、分からない。あの皿の枚数の検討がつかない……! 50…… いや、60枚!? 分からない……!!
仮に、仮に90枚として、あの焼きそば並のボリュームを食べるのに、どれほどの胃袋が―――!?
好奇心に勝てず、僕は皿の裏側に回った。
一体、どんな人がこれだけの量を……!!
「ふぇぇ…… どうしよう」
「」
少女だった。もう一度言おう、少女だった。相撲取りのような巨漢じゃなくて、可憐な美少女だった。
嘘だろ!? いや、嘘だろ!? だって、僕よりも小柄なんだよ!?
世界には凄い人がいるもんだね……。でも、何か困っている様子だぞ?
「あの…… どうしたの?」
「えっ!? あっ、その~……」
「もしかして、財布を忘れたとか?」
ビクリ、と肩が震える。うーん、分かり易すぎる反応だ。
やがて、顔を真っ赤にしながら頷いた。
「それってどのくらいなの? 僕が立て替えてあげるよ」
「えぇ!? でも、悪いですよぉ……」
「いいよいいよ、気にしないで。後で返してくれればいいだけだしね」
「それではお言葉に甘えて……。えぇ~っとですね……」
周りに聞かれるのが恥ずかしいのか、僕の耳元にヒソヒソと囁いた。
うんうん、その程度の金額なら――― 余裕で僕の全財産を越えているんですけど!?
冷や汗がダラダラと流れる。ここまでカッコつけておいて、払えないなんて惨め過ぎる!!
「あの、無理しなくてもいいんですよ?」
彼女が僕に微笑みかける。
気を使ってくれてるのか。ハハッ、本当に優しい女の子だな。それなら、どんな手を使ってでも助けないとね。
「ちょっと待ってて」
「……?」
店内を見渡した。僕の視界が複数の船乗りたちを捉えた。申し訳ないけど、この人たちを標的にしよう。彼女の為に、犠牲となってくれ……!!
「あの、バトルしませんか?」
「おっ、構わないぜ。いけ! ワンリ―――ぬわぁぁぁああぁああああ!!!!???」
1人目ぇ! 賞金もゲットだぜ!!
次ぃ!!
「目が合いましたね。バトルしませんか?」
「えっ、ちょっと待っ―――どぅわぁぁぁああぁああああぁぁ!!!!????」
★☆★☆★☆
アサギ食堂にいたトレーナーをソッコーで全滅(女性は除く)させて、どうにか彼女が頼んだ料理の立て替えに成功した。
周りの客から畏怖の目を向けられたけど、いつも馬鹿みたいに勝負を仕掛けられるし、たまになら構わないよね!
「……そのポケモンバトルの強さ。もしかして、貴方はライムさんですか?」
あり? 僕の名前を知っている?
……ああ、またそのパターンか。どうせ僕のファンじゃないんだろ? エリカちゃんかアカネちゃん辺りに僕のことを聞いて…… って、まさか!!
「……アカネちゃんの友達って君!?」
「はい。アサギシティのジムリーダー、ミカンと申します!」
ジムリーダーかよ!?
エリカちゃんやアカネちゃんとも同年代っぽいし、2人と友達ってのも頷ける話だけど!
それにしても、世間って狭いんだなぁ……。
「あ、そうだ! 渡したい物があるんですよ」
ガサゴソと白い上着のポケットを探るミカンちゃん。まさか、超遅めのバレンタイン!?
「レギュラーバッチです! アカネちゃんから送られてきたんですよ。ライムって人が来たら渡してくれって頼まれたんです」
「……」
ミカンちゃんに手渡されたのはレギュラーバッチだった。そういえば、アカネちゃんとのジム戦が終わっても貰ってなかったな。
……いやもう、ガッカリだよ。お前にはガッカリだよ、レギュラーバッチ!
純情な僕の心を弄びやがって!ぶっちゃければなあ、僕はアカネちゃんのおっぱいを揉めたらそれでいいんだよ。揉めさえすれば、お前なんか要らないんだよ!
……ふぅ。何を言ってるんだ、僕は。
「お金も返さなきゃいけないし…… 私のジムに寄っていきませんか?」
「……うん、そうだね」
死屍累々のアサギ食堂を後にし、ミカンちゃんと一緒にアサギジムへと向かった。
ここで1つ、どうにも気になる点がある。
それはね…… ミカンちゃんが微妙に浮かない顔をしているんだよぉぉぉぉぉ!!!
何で!!?? まさか、僕のせい!? 僕のせいなのかぁ!!!???
あれか、やっぱりアサギ食堂のトレーナーを全滅させたのがマズッたのか!!?? 恩着せがましかったのか!!??
いやでもだってさ、払うって言った手前しょうがないじゃん!! 意地があるんだよ、男の子にはよぉ!!!
き、聞いちゃうか!!? 理由、聞いちゃうか!!!!???
「ア、アノ…… モシカシテナニカキニサワルヨウナコトヲシタカナ!?」
「あっ、いえいえ! ライムさんが気にするような事じゃないですよ! ただ……」
そこまで言って、ミカンちゃんは口を固く結んでしまった。どうやら、他人には言いにくい内容みたいだ。
「……ミカンちゃん。僕にも話せるような悩みだったら、話してくれないかな? 大丈夫。誰にも口外しないし、笑ったりもしないよ。少しでも良いから、君の力になりたいんだ」
ミカンちゃんの肩を掴み、目と目を合わせて真剣に問い掛けた。
本当に苦しんでいるなら、1人じゃどうしようもない悩みがあるのなら、僕はそれを見て見ぬふりをするなんて出来ない!! ここで引き下がるようじゃ、僕は僕でなくなる!!
僕の言葉が届いてくれたのか、ミカンちゃんも意を決したように口を開いた。
「あの…… 最近、――ってきて………」
「え?」
「最近、少し太ってきちゃって!」
ミカンちゃんの顔がオクタンのように真っ赤にゆで上がっていた。
「………良かったああああ ! 平和的な悩みだったああああ!!!」
「なっ!!?? まあ、たしかに平和的ではありますけど………」
「そうだよね、女性には一大事だよね。つまり、ダイエットをしたいと」
「はい、そうなんです。この前も、お気に入りの服が少しキツかったりして……」
そりゃあ、アレだけ食えば太るわな。
だけど、一口にダイエットと言ってもどうするべきか……。
僕の見立てでは、彼女は中々の食いしん坊だ。となると、無理な食事制限はストレスを与えて大変よろしくない。
ここは運動で痩せるべきだな。まず、ミカンちゃんが常日頃からどれだけ動いているか確認しないと。
「質問だけど、ミカンちゃんは週に何回くらい運動するの?」
「……恥ずかしながら、全くです……」
「え"」
その言葉に僕は耳を疑った。
つまり、運動をせずにこの体型かよ! 燃費悪っ!? 高級車かよ!!
こりゃ、運動すればすぐに解決だな。
問題は、どんな運動をするか―――
「おっ、そうだ……」
良い考えが頭に浮かんだ。あとはもう、実行あるのみ!!
「明日の朝6時に、アサギの灯台前に来てくれない?」
「……え? 朝の6時ですか?」
少し渋っていたが、何とか約束を取り付けた。
計 画 通 り ! ! !
さて! ポケモンセンターに戻って、明日に備えてさっさと寝ますか!!
★☆★☆★☆
アサギ灯台の前でミカンちゃんを待つ。
ポケナビを見れば、時間はもう6時15分になっていた。うんうん、準備する女の子を待つのは男の特権だよねぇ!
「ごめんなさい、お待たせしました!」
ピンク色のジャージを着たミカンちゃんがトテトテと駆け寄ってきた。ご褒美です! これだけでもうご褒美です!!
「ミカンちゃんって、アサギ灯台に登ったりする?」
「はい。最上階にアカリちゃん…… じゃなかった。デンリュウがいるから、毎日遊びに行ってるんです」
ほぉーう、最上階にデンリュウがいるのね。あの灯りってデンリュウの電気だったのか。
「ならちょうど良い。今から最上階に行くよ、階段で」
「か、階段ですか…………!!??」
「痩せたいなら動くべきだよ。それに、ミカンちゃんなら直ぐにスリムボディになれると思うけど?」
「私、頑張ります!!!」
やる気を出してくれたミカンちゃん。だけど、アサギ灯台はやる気だけで踏破できるレベルじゃなかった。
いや、正直言って甘く見ていた。かなりの高度があるとは分かっていたけど、まさかこんなに長い階段だったとは。エレベーターが作られたのも納得だよ。
ミカンちゃんは息を切らしながら階段を上がる。僕ですら足が張って結構キツいから、運動をあまりしていないミカンちゃんの負担は計り知れない。もう少しスローペースにするべきだった。大丈夫かな、ミカンちゃん。
暫く階段を上がっていると、大きな扉が見えてきた。よかった、あそこがゴールみたいだ。
「や、やっと終わった……!!」
扉を開くとデンリュウがいた。けれど、物凄く睨まれた。あれか、2人の時間を邪魔されたから機嫌が悪いのか。
「少し休んでいくか……。ミカンちゃん、辛かったら横になりなよ」
「は、はい! ありがとうございます! ほら、アカリちゃんもおいで」
ミカンちゃんは1つだけあったベッドに腰を描ける。さてと、僕は頂上の景色を楽しみますか。可愛い女の子はいないかなー。
純粋に景色を楽しんだ後、ミカンちゃんに目線を移した。眠気が襲ってきたのか、目が閉じかけていた。
来た。この好機を待っていたんだ……!
「ミカンちゃん。実は、やらなきゃいけない事がまだもう1つあるんだ」
「な、なんでしょうか……」ウトウト…
「それは、胸のマッサージだよ」
しっかりとした反応があれば、僕の計画は完全に挫折する。さあ、どうだ!?
「む、胸ですか……」ウトウト…
いよっし! これはいける!!
「寧ろ、これが一番重要と言ってもいいんだ。胸に付いた無駄な脂肪は折角のおっぱいの形を崩してしまう。だから、マッサージをして余分な脂肪を燃焼させなきゃいけないんだ、タブンネ」
「は、はぁ……」ウトウト…
「けど今回は僕がやっといてあげるね。やり方はミカンちゃんが起きた後に教えるから」
「は…… い。お願い、しま…… ZZZ……」
ミカンちゃんが横になった。
っ来たぁぁぁぁ!! OK貰えたぁぁぁぁ!!!
そう、これだよ! 朝早く起きた眠気+アサギの灯台を登った疲労で判断力を鈍らせたかったんだよ!! ソコ、最低とか言わない!!
さーて! ミカンちゃんのちっぱいを堪能しますか!!
「きゅー!!」
「あばばばばばばばばばば!!!!」
鳴き声が聞こえたと同時に、鋭い痛みが僕を襲った。これは…… デンリュウの10万ボルトか!!
こんなの、常人に耐えられる訳がない。あまりの痛みに、僕は地面に足を――― つかなかった。
電流を喰らいつつも、僕はミカンちゃんの横まで歩みを進める。デンリュウは信じられないといった様子だった。
「ふ、ふふ、ふふふふふ。笑っちゃうよね。この程度で僕を止められると思ったのかい? なめるなよ……! こっちは、おっぱいを揉むのに人生を懸けているんだ……!! 僕には無いと思ったのか? 決死の覚悟が……!!」
「!!??」
ギロリ、とデンリュウを睨み返す。
僕を止めたきゃ雷でも使うべきだったな!! だけど、僕がここまで来たらミカンちゃんまで巻き添えをくらってしまうねぇ! 君は大人しくそこで見てるがいいさ!!
ミカンちゃんのちっぱいに手を伸ばす。そして、起こさないようにゆっくりとモミモミした。
ちっぱい! ちっぱい!! ちっぱい!!! 巨乳もいいけど、この謹み深さが堪らない!!
優しく圧迫し、凝りをほぐすようにグリグリとした。この儚さがちっぱいの真骨頂なんだよ!!
もうね! 貧乳ってのはステータスなんだよね!! ミカンちゃんみたいに清楚さを際立たせる、オンリーワンの武器なんだよ!!!
デンリュウが今にもぶっ殺しそうな目で見てるど、そんなんじゃ僕は止まらないぞっ☆
「んぁ……///」
「…………」モミュモミュモミュモミュモミュ
「くっ……ぅぅん、はぁぁぁ………///」
「罪悪感が半端ない……」
まあ、限界まで揉むけどね。
★☆★☆★☆
休んだ甲斐もあって、ミカンちゃんもすっかりと元気になっていた。おかげで、階段を降りるのはかなりの高ペースだった。
アサギ灯台から出ると、すっかりと日も登っていた。
「それじゃあ、僕はもう行くよ。自分のペースでいいから、アサギ灯台は階段で登るんだよ?」
「はい! アドバイスしてくれて、本当にありがとうございました!!」
僕が何をしたかも知らず、ミカンちゃんは天使のような笑みを浮かべてくれた。
……ああ、おっぱいを揉んで後悔するなんて初めてだ。やめてくれ。僕に…… 僕には、その笑顔を見詰める資格なんてないんだ……。
うん。もう、行こう……。
「うん。それじゃあ、またね」
「はい! またどこかで会いましょう!!」
ミカンちゃんに手を振りながら次の街へと向かった。いや、その前に教会に行こう。神様に懺悔しないと気が済まない。
……ん? 何か、忘れてないか?
「……あれ、ジム戦してなくね?」
★☆★☆★
「や、やった! 体重が落ちてる!! これでライムさんに会えても恥ずかしくないです!!」
たまにはジム戦なくてもいいですよね!!