とある少年が、全女性ジムリーダーのおっぱいを揉むという夢を抱いたそうです 作:フロンサワー
新境地を拓きます。おっぱいは揉むだけじゃないと偉人に教わりました。
リニアモーターカーに揺られて数時間! とうとうやって来ましたコガネシティ!!
いやはや、ヤマブキシティに勝るとも劣らない立派な巨大都市だね。沢山の娯楽施設が集まっているもん。ポケスロン、百貨店、コインスロット、ラジオ塔…… って、あれ? そういえば、ここもロケット団に占領される事件があった気が。シルフカンパニーと被っているな。
まあ、過去の出来事なんてどうでもいいよね! 今日の午前はコガネ百貨店で水着写真集を立ち読みして、午後はコインスロットに入り浸んなきゃ!!
『遊んでばかりじゃ駄目だよ、ライム君』
「あ…… はい。そうですね、イケメソさん」
イケメソさんからありがたい言葉を戴く。いつもド正論ばかり言うから、反論できた試しがない。というか、心読まれた!?
『顔に出てるんだよライム君は……』
「ぐぅの音もでないっす!」
『でも、少しくらいならいいんじゃないかな? 楽しんできてよライム君!』
「流石はイケメソ!」
発言がイケメンだ! でも、顔はうっすら笑っているから怖い!
「それじゃあ、今日は僕の勇姿を見ていてよ!」
水着写真集は明日でいいや! 今日の午前はスロットで儲けまくるぞ!! その後はコガネジムでポケモンバトルだ!!
☆★☆★☆★
「全額スッた……」
見事にお金が無くなった。しかも、コインは一枚も獲得していない。くそぅ、あそこで7が出たら逆転できたのに……。
というか、時間が全然潰せていない。スロットを初めてから30分しか経ってない。どうして僕はこんなに弱いんだ。好きなんだけどな、スロットゲーム。
このまま収入が無かったら今日は野宿だな、と思っている僕の傍ら、イケメソは呆れた表情を浮かべていた。怖いっ!
『だから僕はあそこで止めようって言ったんだよ?まったく、ライム君は……』
「返す言葉もございません……」
これはもう、大人しくおっぱいを揉みに行けという神の掲示なのか? いや、スロットはいつも惨敗してるから関係ないか。
まあ、お金が無くなってやる事が無いのは事実だ。予定を繰り上げてコガネジムに向かおう。
道を聞きながら(女性限定)暫く歩いていると、イケメソが何かに気づいた。
『ほら、見えてきたよ!』
「おっ、ホントだ」
僅かにだが、ジムらしき屋根が見えた。改めてそのジムらしき建物に近づくと、やはりコガネジムだった。
ここのジムリーダーはアカネちゃんって名前だったかな。巷では、ダイナマイトプリティギャルと呼ばれているらしい。
何がダイナマイトかは…… 言うまでもないよね? その筋で手に入れた信用できる情報だ。
さて…… 行くとしますか、聖戦に。
いったい、どんなおっぱいなのだろう。沸き立つ期待を抑えながら、僕はジムの扉を開いた。
チラリ、とジム内を見渡す。色鮮やかな花が咲き誇っている、いかにも女の子が好きそうな内装だった。さてさて、アカネちゃんはどこにいるのか……。
「あっ! 君がライム君ね!!」
「えっ?」
どういう訳か、見知らぬミニスカートの子が僕の名前を呼んで話し掛けてきた。
まさか、僕のファンなのか!?
「聞いてるわよ、見た目に反してかなりの実力を持っているって!」
「なんだそっちか……」
正直、ガッカリ感が拭えない。
僕の実力は別に知れ渡らなくていいから、僕のファンの子が1人や2人現れてほしい。
「それじゃあ、アカネさんまで案内するわ。ついてきて!」
言われるままについていく。勿論、視線はお尻よりも下だ。ウヒョ、いい太股!
『ライム君、そういう目で女の子を見ちゃ駄目だよ』
「……戻れ、イケメソ」
なんやかんや言ったけど、途中にいるトレーナーと闘わないのはラッキーかな。アカネちゃんにもすぐ会えるしね。いやいや、ポケモンのラッキーじゃなくて。
……いや、待て。すれ違うトレーナーが女性ばかりなんだけど。これなら、普通に闘った方が僕的には役得なんですけど!?
僕の切実な思いに気づかず、ミニスカートの子はどんどんと進んでいく。仕方がない、我慢しよう……。
迷路のような通路を暫く歩き回ると、一際広い場所に辿り着いた。その中央には、いかにも元気ハツラツな少女がいた。
そうか、この子がアカネちゃ―――
「やっほー! ウチがジムリーダーのアカネちゃんやでー! アンタが噂のライムやな?」
僕は今、人類の奇跡を目の当たりにしている。
美少女であるには変わりないが、アカネちゃんの容姿はやや幼さが目立つ。にも関わらず…… にも関わらずだ! おっぱいだけが大人顔負けなんだッ!! 謝れ、カミツレちゃんに謝れ!!
奇跡……! まさに、奇跡……!!
揉みたい! 警察に捕まるなんて些事など気にせず、欲望の赴くままに揉みたい!!
駄目だ、抑えろ!! 死に物狂いで追い続けた夢を不意にする気か!?
目先の欲に囚われるな! 僕にはまだ、やらなきゃいけない事が沢山あるだろ!?
平成を…… 間違えた。平静を装え!
「どどどうして僕の名前を知っているんだい?」
「カントー地方のエリカさんを知ってるやろ? ウチの友達が友達でな。エリカさんがアンタについて友達に話して、その話をウチが友達から聞いたんよ」
「」
ヤヤヤヤヤヤヤ、ヤバイ!!!!??
僕についての話なんて、おっぱいを触られたくらいしかないじゃん!!
ナツメちゃんが最難関だと思ったのに、思わぬ伏線だよこれは!!
「ほな、いくで! ポケモンバトルや!!」
「…………………え?」
「なんや、ポケモンバトルしに来たんちゃうのか?」
「いえいえいえ、バトルをしにきました! 1on1でお願いします!!」
あ、焦った……!
どうやら、エリカちゃんのおっぱいを触った事は伝えられていないようだ。
冷静に考えたら、その話をアカネちゃんが聞いてたらジムに入れる訳ないじゃん。門前払いされるに決まっている。
でも、僕について何を聞いたんだ?
「あの~、エリカちゃんは僕について何て言ってたの?」
「んんー? 命の恩人って言っとったで。アンタも隅に置けへん奴やな!」
「あは、あはははは……」
ありがとうございます、エリカちゃん! 本当に感謝します!!
「それと、相当強いトレーナーって聞いたで。まあ、エリカさんを倒したし、当たり前っちゃ当たり前やけど」
「!」
アカネちゃんの雰囲気がジムリーダーのそれに変わる。幼い外見でも、今まで会ってきたジムリーダーと何ら変わりない迫力だ。
やれやれ、どこのジムリーダーも一筋縄じゃあいかないか……。
互いにモンスターボールを手に掛ける。
アカネちゃんのエキスパートタイプはノーマルだったかな。恥ずかしながら、僕のパーティーには格闘タイプの技を覚えているポケモンがいない。だから、ここは高火力を誇るアイツに頼るしかない!!
「いけっ! ホーカマ!!」
「頼むで、ミルタンク!!」
ミルタンク……! こいつはまた厄介なポケモンを……!
十中八九、ミルタンクの特性は厚い脂肪だろう。炎や氷の技を半減にしてしまう、恐ろしい特性だ。これは選出ミスったか?
『燃っえろ~♪ 燃っえろ~♪ 火ャハハハハハハハハ!!!!』
うん、違う意味でもミスったな。
「これより、コガネジムジムリーダー『アカネ』
対、チャレンジャー『ライム』のポケモンバトルを始めます。使用ポケモンは1匹。どちらかのポケモン1匹が戦闘不能になり次第、バトルを終了します」
僕の案内をしてくれたミニスカちゃんが審判を務めていた。なんか、彼女の審判は板についてる気がする。
「それでは、バトル開始!」
っと、始まったか!
ミルタンクは防御型のポケモンだ。しかも、こちらの攻撃技は全て半減される始末。ここは状態異常にして、地道に削っていく!
「ホーカマ! 鬼火!!」
『火傷しちまいなぁ!!!』
ホーカマから紫色の炎が放たれる。
鬼火。この炎に触れたポケモンにダメージは無いが、命中すれば一瞬で火傷状態にできる!
ミルタンクが紫の炎に包まれる。よし、あれは火傷状態に陥ったな。あとは炎技で削り続ける!
「ミルタンク! 癒しの鈴!」
「もぉー!」
透き通るような鈴の音が響く。
やられた! 癒しの鈴は、自分も含めて味方全員の状態異常を打ち消す効果を持っている。流石はジムリーダー、状態異常の対策も万全な訳だ……!!
これだと、ミルタンクの体力を火炎放射とオーバーヒートで削るしかない!
「ミルタンク、のしかかり!!」
「もぉもぉー!!」
……ん、僕の聞き間違いか?
いやいやだってね、ノーマルタイプの技はゴーストタイプに効果が無いんだよ? そんなの、トレーナーの身としては常識だよ?
そんな僕の思いとは裏腹に、ミルタンクは既にのしかかりの予備動作に入っていた。聞き間違いじゃなかったのか……。
ミルタンクが勢いよく宙に飛ぶ。そして、ホーカマ目掛けて一直線に落下した。
避けるのがせめてもの情けか……? いや、これは真剣勝負なのだから手加減は駄目だ。心を鬼にしなければ。
「もぉもぉもぉ!!!??」
スルリ、とミルタンクがすり抜けた。
ドシーン、と猛々しい音が響く。ミルタンクは成す術もなく地面に衝突した。
アカネちゃん、目を丸くしてるよ……。
「ホーカマ、火炎放射」
『間抜けな野郎だぁ!! 火ャハハハハ!!』
台詞が完璧に悪役だな。
ホーカマの放った火炎放射がミルタンクに命中する。しかし、大したダメージではなさそうだ。
「な、何でや!? どうしてのしかかりが効かなかったんや!?」
「あの、僕のホーカマ…… いや、シャンデラはゴーストタイプだから」
「……………ああああああ!! 忘れとったぁぁぁぁぁぁ!!!???」
あら、この子も頭が弱いパターンなのね。
それなら、ポケモンバトルでもまだワンチャンあるな。しかも、おっぱいを揉むのもかなり楽になるぞ。
よーし! 希望が見えてきた!!
「もう怒ったで!! ミルタンク、ミルク飲みや!!」
ミルク飲み……! 体力を回復するつもりか!!
どこから取り出したのか、ミルク入りのビンを一気飲みするミルタンク。ゴキュゴキュと喉を鳴らした後、空になったビンをその辺に投げ捨てた。その姿は、まるで飲んだくれのおっさんみたいだった。
なんか、想像してたミルク飲みと違う!?
「そんでもって、転がるや!!」
ミルタンクが丸くなり、土煙を巻き上げながら転がってきた。
まずい…… 非常にまずい!! 転がるは岩タイプの技だ。炎タイプを併せ持つホーカマに対しては効果が抜群になる!
「ホーカマ! 連発で火炎放射!!」
『燃・え・ろ! 燃・え・ろ!』
ホーカマは火炎放射を連発する。一発一発がミルタンクに命中するが、止まる気配はない。それどころか、転がっているミルタンクの速度はどんどんと増す。
「避けろ!」
僕の指示も虚しく、ホーカマは回転するミルタンクを避けきれなかった。
ホーカマが弾き飛ばされる。しかし、地面に倒れずにフワフワと宙に浮かんでいた。
『こんっのぉぉぉぉ!! やりやがったなぁぁぁぁ!!!』
良かった。思ったより遥かに元気そうだ。
だけど、この状況は楽観視できない。
転がるは数あるポケモンの技でも特殊な部類にある。攻撃が命中する度にその威力を上げるという、雪だるま方式の技だ。最初の威力は小さいけれど、このまま加速させれば恐ろしい威力になるぞ……!
いや、弱気になるな! まだ最初の一撃を貰っただけだろ、気持ちを切り替えるんだ!!
そう、転がるにも弱点はある。今のミルタンクには転がる以外の選択肢は無いし、攻撃を外せばその威力はリセットされる。
ここは、フラッシュで目を眩ませる!
「ももももも!!!」
「……」
いや無理! あんな高速回転するミルタンクの目を捉えるなんて無理!! できる奴は紛れもなく人外です!!
ここからは搦め手なんて意味をなさない。単純な火力勝負だ!
「ホーカマ、火炎放射!!」
『ファイヤー!!!』
火炎放射を放つ。しかし、ミルタンクはやはり止まらない。くっそ! 特性の厚い脂肪が無ければ……!
2回目の転がるがホーカマに命中する。やっぱり、さっきよりも辛そうな様子だ……!
「負けるなホーカマ! 火炎放射!!」
『しゃらくせぇぇぇぇ!!』
火炎放射が命中する。しかし、それでもミルタンクは止まらなかった。特性が厚い脂肪だとしても、ここまで耐えるなんて信じられない! 流石はジムリーダーのポケモンだ……!!
3回目の転がるが命中する。ホーカマはフラフラとして今にも倒れそうだ。
次の攻撃は耐えられない……! なら、ここで勝負を仕掛けるしかない!!
「あと少しやー! 頑張れ、ミルタンク!!」
「ぶちかませ! オーバーヒート!!」
オーバーヒート……! 威力は絶大だけど、その代償として特攻がガクリと下がる。これで倒れなきゃ、勝利は絶望的だ! それでも、賭けるしかない!!
ホーカマの体が赤く輝く。そして、ミルタンクに向かって炎を撒き散らした。
ミルタンクが爆炎に包まれる。こちらからは姿を確認できない。でも、相応のダメージはくらった筈だ!
どうだ!? これなら倒、れ……。
「ももももも!!!」
「いよっし! 決めたれー!!」
爆炎を突き抜けて、ミルタンクが転がってきた。つまり、ホーカマの最高威力をミルタンクは耐えきられた。
ああ、負けたな。すまない、ホーカマ。
僕は勝負を諦め、やっくりと目を瞑った。
……あれ? いつまで経ってもジャッジがない。
疑問に思って目を開けると、ホーカマの一歩手前でミルタンクが倒れていた。
いや、どうしてだ!? オーバーヒートは確かに耐えきられた筈……。
『兄貴ィ、忘れたのか? 俺様の特性は炎の体だ。あれだけ接触すりやぁ、火傷状態にもなるだろ』
「……ああ、そうか!」
そういえばそうだった。まあ、火傷状態になるのは必然だったか。
「ミルタンク、戦闘不能! よって、勝者はチャレンジャーのライム!!」
ふぅー…… しんどかった。今回はマジで負けを覚悟したよ。
労いの言葉を掛けて、ホーカマをボールに戻す。あとは、躓いたふりをしてゆっくりおっぱいを堪能して―――
「……………………………………うぐぅ」
「え?」
「わぁぁぁぁん! わぁぁぁぁん! ぐすぅ、ひっぐ……! あと少しだったのに、ひどいわー!!」
アカネちゃんはうずくまり、大号泣してしまった。
……泣かせた? この僕が、女の子を泣かせた?
「わぁぁぁぁん! うわぁぁぁぁん!」
「……」
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
「なんちゃらホールド」ギュッ
「うわぁぁ―――え?」
アカネちゃんに抱きついた。泣いてる女の子がいれば、そっと抱きついてあげるのが男の役目だ。
まあ…… それはそれ、これはこれとして。突然だが、僕は長年疑問に思っていた事がある。
それは、男のおっぱいの存在価値だ。
僕はずっと、それの存在に疑問を抱いていた。神様が気紛れに作った、無用の産物なのではないかと思っていた。
でも、違った。今、この瞬間、僕は男のおっぱいの存在意義に気づいた。
そう、女の子のおっぱいと触れ合わせる為にあったんだ!! 僕の胸にアカネちゃんのおっぱいを押し付ける。僕の胸には、マシュマロのように柔らかい感覚と、ポツリと控え目に出っ張った感覚があった。
ああ…… これ、イイ……!
勿論、おっぱいを揉むのは至高の感覚だ! だけど、この感覚は初めてだ……!
「な、な、な、な、何をしとんねーーーん!!!」
「ふぐぅ!?」
綺麗な右ストレートが僕の顎を捉える。あまりの威力に、僕は地面に沈んだ。
なんだ、元気そうじゃないか。僕は指一本も動かせないけど。
「げ、元気になってよかっ……ガフッ」
「アスカちゃん、さっさとそいつをジムの外に出しぃや!!」
「は、はい!!」
ミニスカちゃんにズルズルと引き摺られる。
揉んではいないけど、それ以上の境地を拓けたから良しとしよう。
「……あの、ありがとうね?」
「………え?」
「さっき見た通り、アカネちゃんは負けたら大号泣しちゃうのよ。中には、とても冷たい目でアカネちゃんを見る挑戦者もいるわ。でも、アナタみたいに励まそうとした人は初めてよ。まあでも、ちょっと情熱的過ぎだけど……。だから、ありがとね!」
「……うん。アカネちゃんに頑張ってって伝えてよ」
さて、アカネちゃんのおっぱいも堪能しましたし、次はアサギシティに向かうとしますか!
★☆★☆★☆
「なんなんやライムのヤツ!! 女の子に急に抱きつくなんて常識がなっとらんわ!!」
「まあまあ、ライム君も頑張って言ってたわよ。彼にも悪気はないって」
「ええから持ち場に戻りぃや!」
「はーい」トテトテ…
「…………………エリカさんに聞いた通りやわ。優しい奴やなぁ、ライムは」
新ポケモンはなし!