とある少年が、全女性ジムリーダーのおっぱいを揉むという夢を抱いたそうです   作:フロンサワー

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 バトルを書いてて楽しいと思ってしまっている自分がいる。早く病院に行かないと……。


6歩目 四天王のキクノさん

 

 おっす、変態紳士の皆さん。毎度お馴染み、ライムっす。

 今日、僕がいるのはシンオウ地方にあるリゾートエリアだ。平たく言えば、金持ちたちの別荘地ですね。

 金持ちが集まるだけあり、どの別荘もかなりお高そうだ。広い庭があったり、噴水があったり、石像が置いてあったり、プールがあったり。どれだけの費用がかかっているのか想像もつかない。

 どうしてこの場所に来ているかというと、シンオウ地方四天王のキクノさんがいるからだ。この時期になると家族と別荘に遊びに来るらしい。

 またお婆さんのおっぱいを揉むのかって? 当たり前です。女性のおっぱいに貴賤など無いのだよ……。

 おや、何か物音が聞こえるぞ。向こうでポケモンバトルでもしているのかな。少し行ってみるか、どうせ暇だし。

 音を頼りに足を進めると、少し開けた場所に辿り着いた。金持ち御用達のバトルフィールドか?

 ポケモンバトルを繰り広げていたのは1組の男女だった。野郎ははキリキザン、女の子はヒポポタスで戦っている。

 見た感じ、女の子の方が押されている。何故か分からないけど、女の子が勝利しようと焦り過ぎているんだ。トレーナーの動揺はまず間違いなくポケモンにも伝わってしまう。あれじゃあ、勝てる試合にも勝てないぞ。

 

「キリキザン、メタルクロー!」

「ヒポポタス、噛みつく!」

 

 キリキザンは腕の刃にエネルギーを溜め、ヒポポタスは身の丈もありそうな大顎を広げた。

 両者がほぼ同時に駆け出した。どちらが先制するか分からないほど五分五分なタイミングだ。

 だけど、キリキザンが先に攻撃を決めるだろうという確信があった。

 キリキザンが一歩だけ距離を詰める。たかが一歩、されど一歩。戦闘においてはこれが勝敗を分かつことさえある。

 この勝負、決まったな。

 

「―――シッ!!」

 

 キリキザンの手刀がヒポポタスの脳天にクリーンヒットした。

 勢いに押され、ヒポポタスはそのまま地面に叩きつけられた。その衝撃で土埃が舞う。2匹の姿はすっかり覆われてしまった。

 土埃が晴れていく。バトルフィールドに立っていたのはやはりキリキザンだった。ヒポポタスは目を回しながら地面に倒れている。

 終わった、か……。傍目でも良く育てられているヒポポタスだって分かるけど、やっぱり動きが精彩を欠いてたしなぁ。

 

「よくやったぞ、キリキザ―――」

「まだよ!! お願い、ヒポポタス! 立って!!」

 

 野郎がキリキザンと勝利を喜ぼうとした瞬間、女の子がヒポポタスに立ち上がれと命令した。

 ヒポポタスは健気にその言葉に応えようと手足を動かすが、既に立ち上がろうとする身体を支える余力すらなかった。

 これはもう、諦めないとかそういう話じゃない。自分の敗北から目を背けようとしているだけだ。

 野郎は困ったような顔を浮かべた。そりゃそうだ、これ以上バトルを続けたらヒポポタスの身に危険が及んでしまう。

 

「はいはい、もう勝負はついたよ。このバトルはお終い!」

 

 パンパンと手を叩きながらバトルフィールドに割って入った。年長者として、この場を華麗に収めないと。

 野郎は安心したような表情を浮かべ、それとは対照的に女の子は険しい表情を浮かべた。逆ならノープロブレムなのによぉ!!

 

「あ、ありがとうございます! じゃあ、僕はこれで!!」

 

 野郎はキリキザンをボールに戻したと思ったら、そそくさとこの場から逃げていった。僕に丸投げしやがった! 男の風上にも置けねえなあいつ!!

 不安を感じながら女の子に目を向けると、女の子はヒポポタスを抱きかかえていた。労うような、けれどそれ以上に申し訳なさそうな表情が頭から離れなかった。

 やはりと言うか、この子はヒポポタスに対して確かな愛情を持っている。だけど、どうしてあそこまでしてバトルを続けようとしていたのか尚更疑問に残るな。あれ以上の戦闘がポケモンに危険なのは、百も承知だろうに。

 多分、何かしらの深い事情があるのだろう。あの焦った様子からして、そうとしか思えない。

 

「何見てるのよ」

「えっ、あ、すんません!!」

「ホント、お節介な男」

 

 おぅふ……。言葉のナイフが僕の心を滅多刺しですわ。

 

「……………………………………………………だけど、感謝するわ。バトルを止めてくれてありがとね」

 

 恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら、そっぽを向いてそう呟いた。ヤバイ、さっきとのギャップが本気でヤバイ。落とされかけたかも。

 これが一世を風靡したツンデレってヤツですね分かります。

 

「あはは、どういたしまして」

「な、何が可笑しいのよ!」

 

 さて、そろそろ彼女に何があったかを聞いてみよう。

 

「僕の名前はライム。君は?」

「………ノギクよ」

 

 ……んん、菊?

 いやいや、きっと偶然だろう。

 

「ねえ、何か悩み事でもあるのかい? 僕に話してみてよ。それだけでも結構気が晴れると思うから」

「な、なんで貴方にそんな事……」

 

 ジッと目を見つめると、ノギクちゃんは観念したかのように溜め息を吐いた。

 

「私の祖母がね、四天王のキクノなのよ」

「え゛っ……」

「笑っちゃうでしょ? 四天王の血を引いているのにこの有様だもの」

 

 なんて幸運だ。まさか、キクノさんの親類とお近づきになれるとは。

 あれだね、全地方のパワースポットでおっぱいを揉みたいってお祈りした甲斐があったね。

 ノギクちゃんはずっとキクノさんの孫という事実に追い詰められていたのだろう。その苦しみを、僕が分かる訳がない。僕の産まれた家系は平凡…… ではないけど、少なくともそういうのに苦しまされた覚えはない。だけど、このままノギクちゃんの苦しみを見過ごすってのは有り得ない。

 キクノさんのおっぱいを揉む。ノギクちゃんの心の闇も晴らす。やれやれ、両方やらなきゃいけないのが『変態紳士』の辛いところだ。

 

「ノギクちゃん、僕をキクノさんのいる場所に案内してくれない?」

 

 

 

 

★☆★☆★☆★

 

 

 

 

 警戒バリバリのノギクちゃんを必死に説得して、どうにかキクノさんが住んでいる別荘にやって来た。現シンオウ地方四天王だけあり、他の家よりも一段と豪華だ。

 

「お婆様、お客様よ」

 

 暫くすると、玄関のドアが開いた。そこにいたのは、いかにも温厚そうなマダムだった。

 この人がキクノさん。やっぱり、強者のオーラをビンビンに感じる。

 

「おほほ、貴方がお客さん? こんな可愛い坊やが、私に何の御用かしら」

「いや、ちょっとポケモンバトルでお手合わせしてみたくなりましてね。折角の機会ですし」

「ちょっ!?」

 

 僕の言葉を聞いた途端、ノギクちゃんが僕を後ろの方へと引っ張った。

 

「あんた馬鹿ぁ!? 私のお婆様は四天王だって言ったじゃない!! ボッコボコにされるわよ!」

「……ノギクちゃん、僕は血筋がポケモンバトルの勝敗を決める要因になるとは思えないんだ。家族は勿論、親戚にも四天王やジムリーダーなんていない僕なんかでも、四天王に勝てるって証明してみせるよ」

「〜〜〜〜っ!! お、お婆様も何とか言って!!」

「おほほほほ! いいじゃないの、ノギクちゃん」

 

 キクノさんからの威圧感が目に見えて強くなった。多分、スイッチが入ったのだろう。

 

「貴方、ジムバッチは?」

「18個です」

「ぶふぅっ!!??」

 

 後ろから吹き出す声が聞こえたけど気にしなーい。……僕、そんなに弱そうに見えるん?

 キクノさんの別荘にある専用のバトルフィールドに足を運んだ。強力な技を使うからか、普通よりも大きいフィールドだ。

 審判はノギクちゃんが務めてくれた。ぶうぶう文句言ってたけど、遠回しに僕の心配をしてくれていた。すっげえ分かりづらいけど。完璧なツンデレ…… なんて恐ろしい子……!

 

「トレーナーさん、ノギクちゃんのしがらみを振り払ってあげて。情けないけど、私にはできないことだから」

「ええ、ばっちしがっちし勝ちますよ」

「頼もしわね。でも、私だって本気でいくわよ? それじゃあ、始めましょうか」

 

 互いにモンスターボールに手をかけた。なんやかんやで久し振りのポケモンバトルだ。気合い入れていこう。

 四天王とも互角以上に渡り合ってくれるという信頼を籠めて、あいつが入っているモンスターボールを力一杯に投げた。

 

「いけ、アベサン!」

「行きなさい、カバルドン」

 

 僕のモンスターボールからはゴルダックことアベサン、キクノさんのモンスターボールからはカバルドンが繰り出された。

 カバルドンの大きさに息を飲む。多分、サイズ自体は普通のカバルドンと変わらないだろう。だけど、歴戦の凄味ってヤツで一回り大きく見える。

 一応、キクノさんは地面タイプのエキスパートという情報は仕入れている。まさか役立つ日が来るとは思わなかったけど。

 タイプ相性が有利だし、アベサンよノー天気でカバルドンの砂起こしを抑えている。とはいえ、どこまでやれるか……。

 

『ライム、しけたツラなんかお前に似合わないぜ』

「!!」

 

 ……そうだね。どこまでやるかじゃない。どうやって勝つか、だったね。証明しなきゃ、血筋なんて関係ないって。

 気圧されるな。弱気になるな。大きく息を吐き、両頬を思いっきり叩いた。いよっし、闘魂注入!!

 

「アベサン。ようやく、僕も覚悟できたよ」

『そうだ、その面構えだよ。お前は今、この世界でトップレベルの良い男だぜ』

 

 ノギクちゃんの持つ旗が振り上がった。あれが振り降ろされたとき、それが戦闘開始の合図だ。

 タイミングを逃すな。意識を集中させろ。四天王とのポケモンバトルだ。先手を取られたら流れを一気に持ってかれる!

 

「それでは、バトル開始―――」

「アベサン、瓦割り!」

「カバルドン、雷の牙」

 

 両者がほぼ同時に駆けた。指示のタイミングは上々!

 しっかし、雷の牙か……! 流石は四天王、水タイプ対策は万全か。

 顎を大きく開いたかと思うと、その屈強そうな牙にバチバチと帯電していた。アベサンでもあれを喰らえばマズい!!

 躱そうにも、キクノさんのカバルドンが速すぎる。今更足を止めれば格好の餌食だ。

 本来、カバルドンは鈍足の部類に入る。それなのに、並のポケモンより速く動けるとはこれ如何に? 見た目通りの300kgなんですよ?

 ちょいっと無理矢理だけど、守りに回らせる!!

 

「アベサン、受け止めろ!!」

 

 カバルドンがアベサンに噛み付こうとした瞬間、大顎の動きが止まった。アベサンが右腕で上顎を、左腕で下顎を抑えているのだ。

 やってくれると思ったよ、アベサン。まだ見ぬ良い雄との出会いに備えて筋トレしてるだけある。正直、筋トレだけで車を潰す圧力に耐えられるか疑問だけど。まあ、アベサンだから仕方ない。

 カバルドンの顎は小刻みに震え、アベサンの両腕から筋肉と血管が浮き出ていた。

 どっちも全力だ。カバルドンの噛む力と拮抗している。

 この光景には、キクノさんもさすがに唖然としていた。

 

「投げ飛ばして!!」

『ぬぅん!!』

 

 アベサンはカバルドンの帯電した牙を掴み、そのまま宙へと投げ飛ばした。帯電のダメージで少し辛そうだけど、おかげで絶好の機会を物にできた!

 カバルドンは為す術もなく放射状に落ちていく。空中じゃあ動きようもない。これで決める!!

 

「ハイドロポンプ!」

 

 アベサンが嘴を開くと、そこから大量の水が放たれた。

 一直線に空を切った水弾は、吸い込まれるようにカバルドンに直撃した。カバルドンはそのまま地面に落下し、その衝撃で土埃が舞い上がった。

 

「カ…… カバルドン、戦闘不―――」

「アベサン、来るよ!」

 

 ノギクちゃんの声を遮り、アベサンに戦闘続行の指示をした。まだだ……。まだ、終わってくれる訳がない……!

 土埃の中から幾ばくもの岩石の刃が飛び出してきた。チッ、ストーンエッジか!

 アベサンは飛来してきたストーンエッジを瓦割りで一つずつ粉砕した。しかし、全ては捌き切れていない。アベサンの身体に少ないながらも岩の刃が突き刺さていった。

 

「おほほほ! 良かったわ。あれで倒したと思っていたなら、拍子抜けもいいところだもの」

 

 土埃が完全に晴れると、そこには悠然と佇むカバルドンの姿があった。ダメージは負っているけど、まだまだ余力が有りそうだ。

 ハイドロポンプをモロにくらってもこの程度か……!

 

『ったく、良い攻めだ。これで雄なら言うことなしなのによ……』

「アベサン、連続で冷凍ビーム!」

 

 アベサンは指を突き出し、某宇宙人みたいに冷凍ビームを連射した。

 しかし、カバルドンはそれを気にせず突っ込んで来た。ちょっ、ダメージ2倍じゃなかったっけ!? 僕の勘違い!?

 だけど、カバルドンも辛そうな表情だ。どうやら、この攻撃で負ったダメージは少なくないらしい。というか、少なくなかったらこのカバルドンはポケモンじゃねえ!

 

「もう一度、雷の牙!」

「ぶもぉおおぉぉぉ!!!」

 

 カバルドンは大口を開け、剥き出しの牙に雷を纏わせた。

 その姿は重機さながら。感覚としてはトラクターに近い。めちゃんこ速いけど。

 

「アベサン、躱して!」

 

 アベサンが回避行動に移そうとした瞬間、その足が縺れた。

 ストーンエッジのダメージが足にきたのか!? くっそ、なんて最悪なタイミングだ!!

 これを好機と見たカバルドンは一気に間合いを詰め、とうとうアベサンの身体に牙を突き立てた。

 

『ぐおおおおおおっ!!!??』

「アベサン!!!」

 

 耳をつんざく甲高い音が響いた。

 いくつもの眩い雷電がアベサンの体表を駆け巡った。身体は黒く焼き焦げ、アベサンは膝から崩れ落ちた。

 再起不能。誰が見てもそう思うだろう。だけど、トレーナーの僕にだけ分かる。アベサンの目は、まだ死んじゃいない!!

 アベサンが諦めるまで、僕は絶対に諦めない!! アベサンのここまでの頑張りを無駄にはしない!!

 

「いいえ、反撃のチャンスは与えないわ。カバルドン、メロメロ」

 

 カバルドンは上目遣いでアベサンを見詰めた。その行為が、どれだけアベサンの琴線に触れているかも知らないで。

 本来なら、言葉通り反撃のチャンスすら与えないクレバーな作戦だったのだろう。だけど、こいつはアベサンだ。普通の戦法なんかじゃ通用しない。

 アベサンはゆっくり俯いた。その表情は怒りで歪んでいるのか、それとも―――

 

「雷の牙」

「ぶるぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 再び間合いを詰めるカバルドン。大口を開け、アベサンに牙が突き立てる寸前―――

 

「瓦割り!!」

『色目なんぞ使ってんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!』

 

 アベサンの姿がぶれる。

 一瞬でカバルドンの真横に移動したアベサンは、そのまま土手っ腹に水平のチョップを繰り出した。

 カバルドンの巨体が大きく曲がる。しかし、アベサンは瓦割りの威力を緩めない。

 アベサンの踏ん張っていた地面が砕けた。それと同時だろうか。鈍い衝撃音が響き、カバルドンが地面を何度もバウンドしながら吹き飛んだ。

 キクノさんとノギクちゃんは何が起きたか分からないといった表情だ。トレーナーの僕にとっても目を疑うような光景だから仕方ない。

 別荘の壁に激突してようやく止まったカバルドンは、完全に目を回してのびていた。

 

「……あっ、カバルドン、戦闘不能……。勝者、ライム……」

 

 フワフワと現実味の無さそうな声でジャッジを下したノギクちゃん。僕自身も現実味が無いから無理もない。

 

『……覚えとけ。覚悟を決めた良い男に敗北は無え』

 

 その呟きを最後に、アベサンはその場に崩れ落ちた。

 

「アベサン!!」

 

 大急ぎでアベサンに駆け寄り、上半身を抱えた。

 やはり、ダメージが酷い。どうしてあんな動きができたのか不思議なくらいに。

 もっと、もっと僕にトレーナーとしての実力があれば……! 目の端に溜まった涙を、アベサンは微笑みながら拭き取ってくれた。

 

『良い男の決意が無駄にならなかった。それだけで、俺には十分…… 十分だよ』

「アベサン……!!!」

『……ところで、俺の生き様を見てくれ。こいつをどう思う?』

「……凄く、偉大(大きい)です……ッ!!」

『……嬉しいこと、言ってくれるじゃないの』

 

 アベサンの腕はゆっくりと地面に落ちた。

 傷薬で応急手当した後、アベサンをボールに戻した。

 多分、僕はこの日の勝負を忘れない。アベサンという良い雄の生き様はこの目に一生焼いたままだろう。

 現四天王に勝ったという実感も無くボーッとしてたら、キクノさんが僕に近づいてきた。何と無く厳かな雰囲気を肌で感じ、僕は慌てて立ち上がった。

 

「トレーナーさん、貴方に感謝の言葉を送るわ。この熱いバトルを、私は一生忘れません」

「あ、ありが――― あれ?」

 

 緊張から解放され、一気に弛んだ僕を受け止めてくれたのはキクノさんのおっぱいだった。僕の顔がキクノさんのおっぱいに突っ込み、キクノさんは何も言わずに僕の頭を撫でてくれた。

 ああ、これだ。これなんだよ。柔らかくはない。張りもない。だからこそ心が安らいでいく。

 この質感が心地いい。この体温が心地いい。僕の悩みなんて、キクノさんの秘める無限の母性に比べたらなんてちっぽけなのだろう。

 何故か、泣きたくなった。このままだと本当に涙腺が崩壊しそうなので僕は立ち上がった。

 

「支えてくれて、ありがとうございます」

「いえいえ、気にしないで。それより、ほら」

 

 キクノさんのおっぱいには触れた。さてと、もう一仕事だ。

 キクノさんにも背中を押され、僕はノギクちゃんと改めて向かい合った。

 

「ノギクちゃん、バトルに血筋なんて関係ない。大切なのは、トレーナーとポケモンがどれだけ勝ちたいかって思うことだよ」

「……ええ。貴方のバトルを見て、私もようやく分かったわ」

 

 ノギクちゃんは憑き物が落ちたように朗らかな笑みを見せてくれた。

 うんうん、女の子には笑顔が一番でござるなぁ。

 

「ありがとう、ライム。ほ〜〜〜〜〜〜〜〜〜んのちょっとだけ、カッコ良かったわよ」ボソッ

 

 んん? 何か聞こえたような……。

 

 

 





 念のため言っておきますが、アベサンは死んでないです。
 あと、ノギクちゃんの容姿はエリートトレーナーです。僕的にはXYです。ツンデレ最高です。
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