とある少年が、全女性ジムリーダーのおっぱいを揉むという夢を抱いたそうです   作:フロンサワー

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 プリム様を20歳だと脳内補完したら、全然いけました。プリムとか誰得って思った奴、焼き土下座1分間の刑な。




5歩目 四天王のプリム様

 

 この平野で休憩してから、どれだけの時間が過ぎたのだろうか。

 心地良い風が頬を撫でた。風の行く先に目を向けると、風車の羽がゆったりと回っていた。

 僕は今、イッシュ地方のセッカシティという街に来ている。

 イッシュ地方の北側に位置するだけあり、冬になればかなりの雪が積もる。だけど、幸いにも今の季節は春。今のところ厚着の女の子は見かけていない。良きことだ。

 この街はホウエン地方四天王、プリムさんの生まれ故郷でもある。ポケモンリーグの休暇中は、この街でゆったりと過ごしているそうだ。

 さて、プリムさんはイッシュ地方でも指折りの良家出身。しかも、一人娘ときた。必然的に周りのガードは固いだろう。最悪、屈強なボディーガードの男が付いてるかもしれない。これはまた、久し振りに難易度が高い試練が巡ってきた。

 どうすっかな〜……。おっぱいを揉む以前に、お近付きになるのも難しいぞ。ジム戦、もとい四天王戦さえあればこの課題は楽々クリアできるのに。

 ゴロリ、と草の上に寝っ転がった。良い考えも浮かばず、クルクルと廻る風車を何気無く見た。何故だろう? あれを見ていると、不思議と心が落ち着いてくるんだよなぁ。

 

「あら、貴方も悩み事ですか?」

 

 後ろから声を掛けられた。上品でお淑やかな声だ。振り返ると、そこにはいかにも高級なドレスを着こなしたお姉さんがいた―――って、まさか!!

 

「もしかして、プリムさんですか……?」

「ええ、そうですよ。ホウエン地方四天王を務めさせていただく、プリムと申します」

 

 女神のような微笑を浮かべるプリムさん。この雪国に降り立った妖精とも言えよう。

 棚から牡丹餅どころか、一等の宝くじレベルのこのチャンス。変態紳士を名乗る身としては、死に物狂いで掴むしかない。

 

「えっと、僕はライムっていいます!!」

「よろしくね、ライムさん」

 

 はい、本日2回目のの女神の微笑み頂きましたー。

 

「ここ、とても良い場所ですよね。あの風車を見ていると、自分の悩みがちっぽけに思えてきて……」

 

 そう言いながら僕の隣に腰を下ろしてくれるプリムさん。いや、これからはプリム様と呼ぼう。まあ、流石に口には出せんけど。

 風車を見つめるプリム様の顔が、少しだけ思い詰めているような気がした。僕の気のせいだろうか?

 

「プリムさんも悩み事ですか?」

「いえ、私はそんな……」

「話せるんなら、話してみてください。聞き役くらいにはなれますよ?」

 

 少し悩んだ素振りを見せたプリム様は、ゆっくりと口を開いた。

 

「実は私、結婚を約束した殿方がいますの」

「!?」

「お父様が勧めてくれた男性なのですが、その方と上手く付き合えるか心配で…… あっ! でも、とても優しいお方なんですよ」

 

 俗に言うお見合い相手ってことか。何てこった…… とうとう、僕は人妻にも手を出すのか。メチャクチャそそるじゃないか。

 あれ、そう考えるとキクコも人妻だったんじゃね? まあ、深くは考えないでおこう。

 

「すみません、プリムさん。僕、大したこと言えないっす……」

「いえ、そんなことありません。誰かに話せたというだけでスッキリした気がします」

 

 はい、本日3回目のry)。

 ああ…… 僕は屑野郎だ。プリム様が悩みを打ち明けてくれたってのに、それでも彼女のおっぱいを揉むことばかり考えていた。

 このままでは僕の気が済まない。せめて、僕にできる精一杯のことはやろう。そう思いながら、僕は重い腰を上げた。

 

「プリムさん。僕、少し用事があったので先に行きますね」

「あら、そうですか……。貴方に色々と話せて良かったです」

 

 本日4回目の…… やめとこう、きりがない。さて、プリム様の微笑を支えに、そろそろ行くとしますか。

 

 

 

 

★☆★☆★☆★

 

 

 

 

 ちわっす、ライムです。今、セッカシティのとある邸に忍び込んでいます。この邸はプリム様の婚約者が住んでいてね、プリム様を愛しているか見極めているんだよ。

 プリム様の婚約者なんだけどね、ネートルって名前のパツ金色白イケメンなんですわ。イケメソじゃなくてイケメンなんですわ。僕が後ろからCQCかけようかと思ったくらいに。

 だけど、どうにも引っかかるんだよね。纏っている雰囲気が気になるというか……。

 タンスの中に隠れながら婚約者の男の様子を伺ってるけど、今のところ怪しい様子はない。優雅に紅茶を口にするばかりだ。女の子なら兎も角、野郎を観察するなんて苦行以外の何物でもない。こっちから仕掛けた方がいいかな……?

 ガチャリ、とドアが開く音が聞こえた。部屋に入ってきたのは、顎髭を蓄えたナイスミドルなおっさんだった。

 

「計画は首尾よく進んでいるようだな、ネートル」

「ええ、父上」

 

 何となく、2人の空気が豹変した気がした。やっぱり、腹に一物抱えているみたいだな……。

 

 

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 

 

 数日後、セッカシティの教会でプリム様の結婚式が挙げられた。

 そこそこ大きな教会なのに、辺り一面が人で溢れかえっている。しかも、結婚式に出席している全員から金持ちのオーラが滲み出ている。貧乏人の敵め!

 1人だけ和服みたいなのを着ているけど、あの人は何なんだろう。見事に浮きまくりじゃん。

 

「それでは、新郎新婦の入場です」

 

 扉が開いた。そこには黒いスーツを着こなしたネートル君と、純白の花嫁姿のプリム様がいた。

 ああ、なんて美しい姿なんだ。現代に舞い降りた女神そのものだ。心が浄化されていくのは絶対に気のせいではない。花嫁姿のプリム様のおっぱいを揉みたいって一瞬よぎったけど。

 だけど、僕にはプリム様の表情が悲しそうに見えた。やっぱり、結婚相手は自分の意思で選ばないと駄目なんだろうなぁ……。

 腕を組んだ2人はレッドカーペットの上を進んでいく。羨ましいぞこんちくしょう!!

 祭壇の前で2人は足を止めた。すると、プリム様は驚いた表情を一瞬だけ浮かべた。まあ、今は気にしなきでおこう。

 

「汝、ネートル。貴方はいかなる時も妻、プリムを愛すると神に誓いますか?」

「はい」

 

 ほぉーん、そうかそうか。プリム様を愛しているのか。

 その言葉を聞いた僕は、テープレコーダーで録音したある部屋での会話を大音量で流した。

 

『クックック! これであの家の莫大な財産は我らのものだ』

『それに、あの家の一人娘はかなりの上玉ですしね。暫くは飽きずに済みそうです』

 

 この録音音声を聞いた皆は、信じられないといったような表情を浮かべた。

 ネートル君とその父上の顔は瞬く間にソーナンスのように青くなっていった。イケメンが狼狽するのを見るのは快感だ。

 

「もう一度聞きます。貴方は本当に妻、プリムを愛していますか?」

「デ、デタラメだ!! ふざけるのも大概にしろ――― 神父!!」

 

 そう。僕は今、神父様としてこの教会にいる。本物は今頃、ベットの上で良い夢でも見ているだろう。

 聖書を片手に見様見真似でやってみたけど、中々板についてたんじゃない? ポケウッドで培った演技力がまた役に立ったよ。

 

「どういうことですか、ライムさん……!」

「ある喫茶店で偶然2人の話を聞きましてね。折角なので、会話の一部始終を録音したんですよ」

「ば、莫迦なっ!! 喫茶店で話してはいな―――」

「あれ、話していたのは認めるのかい?」

 

 ネートル君の表情が固まった。やっべ、ニヨニヨが止まんない。

 

「う…… うわぁぁぁぁあ!!!!」

 

 どういう訳か、ネートル君は叫び声をあげながらモンスターボールを取り出した。結婚式の日くらいは持ち歩くなよ!!

 ネートル君がボールを投げようとした瞬間、彼の身体に電撃が迸った。

 バチバチと耳をつんざく音が響いた。相当なダメージだったのか、黒い煙を吐きながら、目を回して地面にぶっ倒れた。

 ふぅ、間に合ってよかったよ。こんな場所でポケモンバトルなんて罰当たりもいいとこだ。

 

『一つ教えてあげよう。最終的に人やポケモンが評価されるのは外見じゃない、中身なんだよ』

 

 イケメンがねっとりした笑顔を浮かべながらそう告げた。これでも一応怒っています。

 流石はイケメソ。やっぱり、外見だけイケメンより心がイケメンの方がカッコイイや。ビバ、イケメソ。

 

「あっ、ああ…… ああぁぁ……」

 

 ネートル君の父上がガクガクと震えていた。まあ、こんな醜態を衆目で晒されたなら無理もないか。

 

「何か、言い残すことはあるか?」

 

 段違いの貫禄がある筋骨隆々のナイスミドルが、ネートル君の父上を見下しながらそう問い質した。

 うわぁ、あそこの空間だけ殺気で溢れかえっている。どう見積もってもスモモちゃんの親父さんレベルですね分かります。

 だけど、きっとプリム様の父親なのだろう。目元がそっくりだもん。

 

「わ、わた―――」

「問答無用!」

 

 自分から言っといて!?

 首に手を掛けると同時に、何かが折れる音がした。首の骨以外が折れたのを祈ろう。

 プリム様の親父さんが手を離すと、ネートル君の父上は糸の切れた操り人形のようにその場に崩れ落ちた。これは駄目そうだ……。

 プリム様のもとへと足を進める親父さん。既に殺気は収めており、寧ろ申し訳なさそうな雰囲気さえ出していた。

 

「すまなかった、プリム。どうやら私は焦り過ぎていたようだ。お前の意思を尊重できなかった愚かな父を許してくれ」

「いいえ、お父様。私のためにという思いは十分に伝わっていましたわ」

「……そうか」

 

 プリム様の親父さんは嬉しそうに口元を緩めたけど、僕に目を向けた途端に険しい顔に変わった。なんでや!!?

 

「小僧、貴様のせいで私の面目が丸潰れだ」

「……ッ!!」

 

 こ、後悔はしない! プリム様がゲス野郎のお嫁さんになるよりは、ずっとマシだこの野郎!!

 さあ、来い!! 死ぬ気で逃げてやるぞチクショウ!!

 

「―――だからこそ、感謝する。借りができたな」

 

 その言葉を聞いた瞬間、強張っていた体から力が抜けた。良かった、本当に良かった!! 寿命が絶対に縮まった!!

 

「ライムさん、ありがとうございます。このまま結婚すれば、遅かれ早かれ後悔するところでした」

「プリムさん、貴女はもっとワガママを言っていいんですよ。だから、そんな無理ばかりしないだくださいね?」

「……はい!!」

 

 いやぁ、これで万事解決――― してないよ!! プリム様のおっぱいを揉んでないもん!!

 どうしよう。そもそも、あんな親父さんの目の前で一人娘のおっぱいを揉んだら捕まる…… いや、五体満足で帰れないかもしれない。

 

『ライム君、一回くらいはセクハラを我慢しよう? 折角大団円で終わったんだよ』

「変態紳士には引けぬ場面があるのだよ! という訳で、戻れイケメソ」

『ちょっ』

 

 どうやっておっぱいを揉むか悩んでいると、突然教会の扉が開いた。

 扉の向こうには、シーツに包まったおっさんがいた。なんだ、変態紳士か…… って、ここの教会の本物の神父じゃねえか!!?

 

「あそこの神父は偽物です! 捕まえてください!!」

「「「えっ」」」

 

 カソックの懐から十字架…… じゃなくて煙玉を取り出し、思いっきり地面に叩きつけた。

 煙玉が割れ、教会の内部に充満するほどの煙が出てきた。この煙に紛れてプリム様のおっぱいを揉む! ついでに逃げる!!

 カソックを脱ぎ捨てる。普段着の上に着ていて良かった。

 さあ、いくぜ! プリムさんやパンピーの位置は頭に入っている!! プリムさんのおっぱいがあるであろう場所に両手を伸ばした。

 

「わひゃっ///」

 

 柔けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!

 流石は女神様のおっぱい。全てを包み込むかのようなしっとり感だ。

 さて、あとは逃げる!! 明らかにおっぱいタイムが少ないけど、あんな化物が近くにいるのなら仕方が無い!! 牢獄にぶち込まれるのはもう勘弁だ!!

 教会の扉へと駆ける途中、異様な空気の流れを肌が敏感に感じ取った。身体を無理矢理左に傾けると、僕の首があったであろう空間に丸太のように太い腕が通り過ぎてった。

 もしかしなくても、プリム様の親父さんの腕だよね!? 何で煙の中なのに的確に狙えるんだよ!!

 えぇい、しっかりしろ僕!! 戦慄するのは逃げた後だ!!

 教会から脱出し、あとは死ぬ気でセッカシティから逃げ去った。

 

 

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 

 

「中々に見所のある小僧だったな。お前はどう思った、プリム?」

「ウフフ…… ヒミツ、ですわ」

 

 





 ネートルの日本語訳はイラクサという植物で、イラクサの花言葉は『中傷・悪口・悪意・残酷』です。
 あと、プリム様の父親のモデルは北斗の拳のラオウです。目元がプリム様にそっくりなラオウ様です。

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