とある少年が、全女性ジムリーダーのおっぱいを揉むという夢を抱いたそうです   作:フロンサワー

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 夏だからホラーもどき回にしてみました。


4歩目 四天王のフヨウちゃん

 

 今、僕の目の前には無数に並び立つ墓場が広がっている。

 そう、ここは送り灯山。死んでいったポケモン達を弔う場所だ。ホウエン地方にある山だけど、イメージで言ったらポケモンタワーが近いだろうか?

 さて、この山の頂上には1組の老夫婦が住んでおり、藍色の珠と紅色の珠を守護している。その老夫婦の孫娘こそがホウエンリーグ四天王の1人、フヨウちゃんだ。仕入れた情報によると、フヨウちゃんは結構な頻度でこの2人に会いに行くらしい。

 頂上を目指して登っても、まったく景色が変わらない。分かっちゃいたけど、かなり大きな山だなぁ。規模だけで言ったらポケモンタワー以上じゃないか? ゴーストタイプのポケモンもかなり多く飛んでいるし。

 それにしても、怖えなここ。霧がかかっているせいでボヤけた景色がより一層恐怖を加速させる。

 

「……」メキメキメキメキメキメキ

 

 サッちゃんは何も言わずに腰に腕を回して引っ付いている。とうとう恐怖が天元突破したか……。

 正直、そろそろ頂上についてもらわないと身体が保たない。現在進行形でメキメキいってますし。

 霧が濃くなってきたな……。頂上近づくにつれて晴れるもんじゃないの、普通? もしかして迷った?

 

「お若いの、こんな辺鄙な場所に何の用ですかな?」

『きゃああああああぁぁ!!!!??』ベッキンコ!

「」

 

 気配もなく僕らの目の前に現れたお爺さんに驚いたけど、僕的にはそれどころじゃなかった。

 

 

 

 

★☆★☆★☆★

 

 

 

 

「すまんかったねぇ、うちの爺さんが迷惑かけて」

「いえ、大丈夫です!」

 

 腰の痛みで動けなくなった僕は、サッちゃんにお姫様抱っこされて老夫婦の住む山小屋に運ばれた。いや、山小屋ってより別荘か。その辺の家よりも広くて綺麗です。

 そんで、その山小屋にいたお婆さんに治療をしてもらった。何をされるかと思ったら、まさかの針治療だった。だけど、痛いどころか寧ろ気持ちよかった。女の人に針で刺されるってのもそそるしね。

 さてと、そろそろ探りを入れてみますかね。多分、この2人がフヨウちゃんの祖父母の筈……。

 

「それにしても広い家ですね、ここ。めっちゃ住み心地いいですよ」

「この家は孫が改築してくれたのじゃよ。優しい子じゃろ?」

「孫ですか?」

「四天王という立派な職業に就ていてな。そろそろ帰ってくるから、会えるかもしれんぞ」

 

 ビンゴ! 流石は僕のお得意先、正確な情報だ。まあ、法外な金を揃えているんだから当たってなくちゃね。もしもデマだったら、僕の全戦力を以って叩き潰す。

 

「あらあら、噂をすれば」

 

 ドタバタと騒がしい足音が響いた。噂をすればってことは…… この足音の主は!!

 

「ただいまー!! ん、お客さん!? あたしはフヨウ! よろしくね!!」

「こちらこそよろしく。僕はライムっていうんだ」

 

 頭に花が咲いておる……。

 というか、露出度高い!! これは服というより水着です!! 健康的な肌が実に素晴らしい!!

 胸は…… うん、巨乳ではないな。言うなら美乳ってとこか。

 さて、そろそろプランβを実行段階に移すとしよう。露出度パネェからムラムラしてきたし。

 

「……あの、お墓参りに行きたいんですけど、ここの地形がよく分からないので案―――」

「それならあたしが案内するわ! いいかな、お爺ちゃん!?」

「大丈夫、行ってきなさい」

 

 フヨウちゃんは僕が誘う前に案内役を引き受けてくれた。上手くいき過ぎて逆に怖いな。

 

「えっとね、僕のじいちゃん…… ハッサクって人のお墓を探しているんだけど」

「こっちよ、ついてきて!!」

 

 勢い良くドアから飛び出したフヨウちゃん。言われるがままについていくと、あっという間にじいちゃんの墓に辿り着いた。

 あぁ〜…… ここに来たのっていつぶりだったかな? 3…… いや、4年くらいぶりか。罰当たりな孫ですみませんね。

 とりあえず、お供えに持ってきた女トレーナーの写真集を墓の前に置いて、手を合わせながらご冥福を祈った。フヨウちゃんと2人きりになるため利用しちゃったけど、祈る気持ちは本物なんで許してください。

 

「ねえ、ライム君。ハッサクさんってどんな人だったの?」

「えっと、生足フェチなじいちゃんだったかな」

「生足? フェチ??」

「ごめん忘れて」

 

 そう、僕のじいちゃんは生足大好きな変態じいちゃんだったんだ。

 まあ、僕からしてみれば安全パイに逃げた臆病者だけどね。生足の魅力は理解しているつもりだ。だけど、生足なんてその辺の海水浴場にでもいけば腐る程見れるし。しかも、触っても逮捕される確率が格段に低いし。

 変態紳士ならリスクを背負ってナンボだろ。……なんやかんや言って、変態紳士の中の変態紳士だったけど。僕の家系の男って変態紳士ばかりな気がする。

 

「さて、もう行こうか」

「うん!」

 

 お供物もしたので、ハッサクじいちゃんのお墓を後にした。

 よぉし、頑張っておっぱいを揉んじゃるけん!!

 

 

 

 

『―――ユルサヌ…… ユルサヌ……』

 

 

 

 

★☆★☆★☆★

 

 

 

 

 フヨウちゃんの祖父母が住んでいる山小屋を目指して、ひたすら送り灯山を登った。

 さて、そろそろ揉むとするか。躓いたふりをして、後ろからガバッといっちゃおう。

 いっくぜぇぇぇぇええ!!!

 

「ぬわっふ!!??」

 

 フヨウちゃんへと倒れ込み、そのまま胸に手を回した。

 結果だけ見ればいつもと変わらない。だけど、実は全く違う。本当に躓いてしまったんだ。何かに足首を掴まれて……。

 まあ、今はおっぱいの感触を楽しむとしましょうか、はい。心霊現象が怖くておっぱいが揉めるかよ!! 警察の方がよっぽど怖いわ!!

 とりあえず、おっぱいを優しくグリグリしといた。この手一杯に心地よい柔らかさが広がっているぅ!!

 死ねる、これは死ねる!! この調子で指をひたすらワサワサした。元の形に戻ろうと反発するのが堪んないよね、若い子のおっぱいは!!

 

「ラ、ライム君―――!!??」

「フヨウちゃん、静かに!」

 

 シリアス( )フェイスでフヨウちゃんの口を手で塞ぐ。

 どうにも様子がおかしい。何か、あの日の森の洋館と似た気配を感じると言うか……。

 ズボリ、と音がした。目を向けると、右前方にある墓から骨の手が出てきているのが見えた。

 数多くのポケモンを見てきたけど、ここまで露骨に骨を剥き出しにしているポケモンは見たこと無い。あっ、カラカラ系は例外としてね。

 どんどんと土を掻き分け、骨のポケモンが全身を顕にした。全身は骨だらけだ。それに、骨格もリザードンに似ている。

 

「す、凄い! 新種のゴーストポケモンだよ!!」

「フヨウちゃん! あれはゴーストポケモンちゃう、幽霊や!」

「えっ……………… きゃあああああああああ!!!!???」

 

 フヨウちゃんがガチ絶叫をあげていた。あれか、ゴーストと幽霊は別物的なやつか。

 フヨウちゃんの絶叫を皮切りに、墓から次々と骨になったポケモンが現れた。何このバイトハザード!?

 

「あわわわ…… ライム君、囲まれているよぅ!!?」

 

 いつの間にか、僕らを囲むように骨のポケモンが集まってきた。

 この包囲を抜けるには、超高火力の一撃で一気に決めるしかない。なら、あいつに頼るしかないじゃないか!

 

「カモーン、ホーカマ!!!」

 

 僕がそう叫んだ途端、激しい炎の奔流が骨のポケモンたちを飲み込んだ。炎が消え去った後に残っているのは、真っ白な灰だけだった。

 こんな火力の炎を出せるポケモン、僕は1匹しか知らない!

 

『煉獄の炎はどうだぁ!? お前らの燃え様に免じて、火葬費用はチャラにしといてやるぜ火ャッハァ!!』

「やっぱり来てくれたか。信じてたよ、ホーカマ」

『火ャッハァ!! 兄貴のピンチに駆けつけねえ訳がねえぜ!!』

「そういや、ファイヤーの修行はどうなったの?」

『……なぁに、今のあいつのなら俺がいなくても十分にやれるだろうよ』

 

 ホーカマの話振りから察するに、修行はバッチリのようだ。

 

「す、凄い! ライム君、そのシャンデラとお話しできるの!?」

「え? ま…… まあ、何となくだけど」

「本当に凄いよ! あたしもライム君を見習って、ポケモンと会話できるように頑張らないと!!」

 

 新たな目標に燃えるフヨウちゃん。まさに熱血って感じだね。

 だけど、手持ちポケモンとの会話なんて、四六時中一緒にいれば仕草や表情だけでだいたい推測できるもんなんじゃないのかね?

 

『……!』

 

 突然、ホーカマが振り返った。何かあったみたいだ。

 

『ビンビン感じるぜぇ、凄まじい怨念をよぉ……!!』

「ライム君…… あたし、あっちの方から良くない何かを感じるわ……」

 

 どうやら、フヨウちゃんも何かを感じているようだ。多分、その場所にこのバイオハザードの元凶がいる!!

 

 

 

 

★☆★☆★☆★

 

 

 

 

 この騒動を収拾すべく、ホーカマ曰く凄まじい怨念が集まる場所へと足を進めた。

 道中、僕たちを襲おうと骨になったポケモンが次々と現れた。だけど、その骨ポケモンは一瞬でホーカマの炎により灰にされた。

 なんか、妙にホーカマの火力が上がっている気がする。ホーカマも修行でパワーアップしたのだろう。

 

『遅い! 私の目につく前に灰にしなさいよ!!』

『無茶言うなよ姉貴ぃ!!』

 

 絶賛、サッちゃんが右腕に引っ付き中です。あと、左腕にはフヨウちゃんが引っ付いてます。

 世間一般で言う両手に花って状況なんだろうけど、両腕がギリギリと歪な音を立てていてもそう言えるのかなあ?

 

「ラ、ライム君…… そろそろだよ……!」

「本当!?」

 

 そういえば、僕のじいちゃんの墓に近い気がす――― おいおいおいおいおい、ちょっと待て! 僕のじいちゃんの墓から禍々しいオーラが溢れているんですけど!!!

 

『久しぶりだのお、ライムよ』

「じいちゃん……!!」

 

 禍々しいオーラがどんどんと人型に集まっていき、とうとう僕がよく見知った人間ができあがった。

 

『久しぶりに来たと思ったら、可愛い彼女と一緒だったからのう。ムカついたから、最初は驚かせる程度にしようかと思ったんじゃが……』

「ち、違います!! か、彼女じゃないです!」

『ライムさんのお祖父様ですか!? 私、ライムさんの許嫁のサッちゃんと申します!!』

 

 顔を真っ赤にしながら否定するフヨウちゃん。だけど、じいちゃんは見向きもしなかった。

 サッちゃんについてはノーコメントです。構っていたら話が進まないもん。

 

『お前、何故転んだときに足に掴まなかったのじゃ?』

「はぁ…… 相変わらずだなぁ、じいちゃんは」

 

 一触即発の空気に変わった。

 そう、変態紳士であるが故に、僕とじいちゃんは分かり合えない。互いに譲れないものがあるから。

 

「ねえ、フヨウちゃんも巻き込むなんて変態紳士の風上におけないんじゃないの?」

『安心しろぃ。狙っていたのはお前さんだけじゃ』

「さっさと成仏させてあげるよ、老害」

『カッ! 口だけは達者じゃのお、青二才』

 

 そう言ってられるのも今の内だ。僕には大きなアドバンテージがあるのだから。

 

「フヨウちゃん、何か棒状の物を太ももでコネコネするんだ!!」

 

 急に話を振られてビックリしたフヨウちゃんは、言われるがままに足元にあった木の枝を太ももに挟み、ぎこちなくも枝をコネコネした。

 ものっそいエロい。やばい、僕もそっち側に目覚めそう。

 

「こ、これでいい!?」

『ぐああぁあああぁぁぁぁ!!!!』

 

 じいちゃんは絶叫をあげながら光の粒子になり消えていった。

 僕なら目を潰されてもその光景を目に焼き付けるってのに。久し振りの若い子だから、効果は抜群だったのかね?

 ふと、森の洋館のような雰囲気が一気に霧散した。多分、ハッサクじいちゃんの怨念がこの騒動の原因だったんだろう。

 これで一先ずは一安心。だけど、あの様子じゃまた地獄から復活するだろうな。





 変態紳士は同族嫌悪なイメージがあります。

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