とある少年が、全女性ジムリーダーのおっぱいを揉むという夢を抱いたそうです 作:フロンサワー
僕は今日、チョウジタウンの街外れに着ている。
皆も分かっているだろうけど、ジムリーダーのヤナギさんに挑むつもりは更々ない。だってあの人、男ですし。男の娘なら兎も角、おじいさんですし。
なら、何故ここに来たのかって? 答えは単純明快。カリン様がこの街にいるからだ。彼女の家がここにあるって訳じゃない。ただ、休暇になると必ずこの街にやって来るらしい。もっと言えば、カリン様は僕の目の前にある家にやって来る。
普通より大きい以外、何の変哲もない家だ。そんな家には、多くのポケモンたちが住み着いている。それも、ただのポケモンじゃない。元ロケット団の手持ちだ。
ロケット団に酷使され、野生に返せないほど衰弱し切ったポケモンたちを、カリン様は私財を投げ打ってまで面倒を見ているらしい。もうね、聖女だよ。悪タイプの使い手とは思えないね。
さて、どうやっておっぱいを揉もうかな? カリン様、かなりの巨乳だからなぁ。これは期待せざるを得ないぞ!
夢を膨らませながら呼び鈴を押した。軽快な音楽が鳴ってから暫くすると、ガチャリとドアが開かれた。
「はぁい、どちら様?」
ひゃっはぁ!! 初っ端からカリン様の登場だぜぇ!!
注目すべきは、やはりその巨乳だろうか。というか、キャミソールの肩紐が仕事してない!!
「こんにちは! ボランティアに来たライムといいます!」
そう、ここに来た表向きの理由はボランティアだ。
求人雑誌で日雇い労働を探していたら、真ん中辺りに挟まっていたチラシを偶然発見してね。何気無く読んでみたら、カリン様がボランティアを募集しているって書いていてたんだよ。
カリン様と自然にお近付きになれる絶好の機会だ。迷わず電話して申し込んだよ。
「ああ、貴方が昨日連絡してくれたライムね。さっ、中に上がって。お茶をご馳走するわ」
「あざっす、カリンさん!」
玄関に上がり、カリン様と一緒にリビングへと向かった。
ドアを開けると、沢山のポケモンが僕らを出迎えてくれた。ポチエナ、デルビル、ニューラなど、小さ目の悪タイプポケモンが見事に揃っている。大型のポケモンは別の部屋にいるのかな?
……いや、どうやらポケモンだけじゃないらしい。僕と同じ様に、ボランティアらしき人もいる。老若男女問わずいるけど、それだけカリン様の人望があるってことだろう。
「ライム君、コーヒーでいい?」
「あっ、ミルクでお願いします」
叶うのなら、SMプレイみたいな感じでコーヒーを飲ませてもらいたいものだ。勿論、僕が受けで。
こう、僕が地面に寝そべって、カリン様が上から口にコーヒーを注ぐみたいな。ヤバイ、想像しただけで興奮してきた。
「はい、コーヒーよ」
「……はっ! あ、ありがとうございます」
差し出されたコーヒーを飲み、一先ず煩悩を鎮めた。
「それじゃあ、コーヒーを飲み終わったら一仕事頼まれてくれる? そうね…… この部屋にいる子達の世話を頼めるかしら」
「分かりました!」
コーヒーを飲み終え、早速仕事に取り掛かることにした。さて、先ずはあそこにいるグラエナの毛繕いでもするとしますかね。
手を叩きながらグラエナを呼ぶと、嬉しそうに尻尾を振りながら歩いて来た。
あかん、メッチャ可愛い。これを悪タイプだと定義した奴はなんなの? 馬鹿なの、死ぬの?
よく整っている毛並みだ。手塩に掛けて育てられたグラエナなんだな。ブラシで毛繕いしていると、グラエナが僕の手を甘噛みしてきた。これはあれか、甘えているのか。
あかん、やっぱ可愛い。
「んで、サッちゃんはどうしてさっきから僕の股間に頭を突っ込もうとしてるの?」
『甘えたいんです! 甘噛みしたいんです!! それだけですからその手をどけて下さい!! というか、ライムさんは私のお婿さんだぞ犬っころゴラァ!!』
「……」
取り敢えず、サッちゃんを抑えている右腕の力を強めといた。
★☆★☆★☆
一仕事終え、休憩がてらにコーヒーを一服する。カリン様の淹れてくれたからか、格別に美味しい気がするなぁ。
このボランティアの仕事に慣れて来た頃には、僕のポケモンたちもすっかり馴染んでくれた。中でもファーザーは凄い。既にこの家のトップの座に成り上がっている。
まあ、うん。そうなるだろうとは思ってたけどね。悪タイプのポケモンはファーザーのカリスマに惹かれやすいし。
何気無く家の外にある庭に目を向けると、ヤクザ顔負けの面々がファーザーを囲むようにして座っていた。多分、家中のポケモンが集まる広い場所がこの家には無かったのだろう。
というか、何をする気なんだ?
『お前らは悪の定義ってやつが分かるか?』
ファーザーの一番近くにいたグラエナが口を開いた。あっ、僕が毛繕いしたあの子やん。
「ぐるぅ……(それは…… 沢山の人とポケモンを傷付けること、でしょうか?)」
『違うな。そもそも、前提からして成っていねえ。正義だの、悪だの、そんなもんは立場が違えばコロコロと変わる。だからこそ、悪ってのは己だけの正義を貫くってことだ。自分だけの絶対的な正義をな。誰かを傷付けることに快感を得る奴はただのイカレ野郎だ』
周りのポケモンが歓声らしき鳴き声をあげた。何言ってるか分からんけど、雰囲気で分かる。
流石です、ファーザー。舎弟を増やすのが早すぎます。なんか、ヤミカラスの集団を思い出すなぁ。
「あら、微笑ましい光景ね」
「あははは……」
庭の方を偶然見ていたカリン様が微笑んだ。
事情を知っている身からすれば何とも言えない。実はあれ、悪の美学を語っているんだよ?
ふと、インターホンが鳴った。どうやら来客らしい。もしかして僕らと同じボランティアさん―――
「おい、さっさと俺のポケモンを返しやがれ!!」
玄関の方からそんな怒鳴り声が聞こえた。うん、どうやらボランティアさんではなさそうだ。
ドアをほんの少しだけ開けて様子を伺うと、そこにはいかにも柄が悪そうなおっさんがいた。
何だあれ? というか、勝手にドアを開けるなよ……。
「あの、あいつは……?」
「刑期を終えた元ロケット団よ。何度断っても、俺のポケモンを返せってうるさいのよ」
カリン様が非常にうっとおしそうに呟く。
あの様子じゃ更正した感じはなさそうだ。ホント、いい加減に改心しろよロケット団残党。素直に足を洗えって。
そもそも、一度捕まっても更正しないなんてクズ野郎もいいとこだよ。真面目に社会復帰しなさい。
ここは追い返して良いところを見せてやろうと思ったら、カリン様は既にモンスターボールに手を掛けていた。
カリン様はドアを開け、ほぼ同時にモンスターボールを投げた。ボールが開き、かなり強そうなブラッキーが現れた。
「ブラッキー、シャドーボール」
「きゅい!!」
殺る気満々!?
ブラッキーの創り出したシャドーボールは真っ直ぐにロケット団残党へと放たれた。
「ちょっ、ヤッダーバァァアアアア!!??」
ロケット団残党はドアを突き破って吹き飛んだ。わぁ、痛そう!
着地してもロケット団残党の勢いは止まらず、顔から思いっきりスライディングした。
「いいこと? 今のままの貴方にポケモンを世話する資格なんてないの。たとえ何度来たって追い返すわ。この言葉を残念なオツムにしっかり記憶しなさい」
冷たい目でそう告げるカリン様。ああ、僕もそんな目で罵られたい!
「お、覚えてやがれ!!」
ロケット団残党はダッシュで逃げて行った。人間って丈夫だなぁ。
しっかし、普段温厚なカリン様があんなに激昂するなんて珍しいな。
僕が意外そうな目を向けているのに気づいたのか、カリン様はばつが悪そうな表情だった。
「一度、あの男を信じてポケモンを返したことがあるのよ。でも、次に会った頃にはそのポケモンは傷だらけになっていたわ。だから、多少強引な手を使ってでも追い返してるの」
「成る程……」
とりあえず、許し難い最低なゲス野郎とだけ分かった。次ここに来たらアベサンの生贄にしてやろう。
★☆★☆★☆
ボランティア活動もとうとう最終日となった。待っていたぞ、この日を。僕は今日、カリン様のおっぱいを揉む!
何で最終日に決意したかって? 最初の日にでもおっぱい揉んでみろ。残りの日、どんな顔をして仕事しろっていうんだよ。
とりあえず、事故に見せかけておっぱいを揉んじゃおうと思う。カリン様は優しいから、なんやかんやで許してくれそうだし。
そういえば、あの日以来ロケット団残党はここに来ていない。折角アベサンの生贄になれるというのに。勿体無い。
まあ、来ないんなら来ないで別にいいけども。さて、どうやっておっぱいを揉むとしようか?
「そろそろご飯の時間ね。ライム、お願い」
「分かりました、カリンさん」
まず、ボランティアの仕事をきっちりこなさないとな。
ポケモンフード入りの袋を持ち、地面に置いてある皿の上に盛った。
家中のポケモンが一気に群がって来た。こうして見ると、タイプが悪だとしても可愛いもんだね。
「……んん?」
喉元に何か引っかかったような違和感を覚えた。なんか、いつもと違うような……。
ああそうだ。僕が初日に毛繕いしてあげたグラエナがいないんだ!
いつもなら尻尾を振って真っ先に飛んで来る筈なのに。一体どうしたんだ?
周りの人もこの違和感に気づいたのか、不安そうな表情だった。
「ねえ、そういえば新入りのアルバイトさんもいないんだけど……」
ああ、あの新入りのアルバイトさんか。いつもグラサンばかり掛けて、顔を見られるのを嫌がっている怪しい人―――
「「「あっ」」」
全員がほぼ同時に思い当たった。
もしかして、あいつ元ロケット団だったんじゃね!?
「皆はジュンサーさんに連絡して! 私は奴を探すわ!」
そう言って家から飛び出したカリン様。
このまま行かせたらおっぱいを揉めない!! 僕は急いでカリン様の後を追った。
家の外に出たけど、カリン様の姿は既に無かった。多分、ポケモンに乗って行ったのだろう。こうなったらファーザーの力をお借りして―――
「うわぁ!!??」
突然肩を掴まれ、体が宙高く上がった。もしかしなくてもファーザーの仕業だと思うけど、どうなさったんだ?
『俺のファミリーに手を出すとは、随分とナメた真似をしてくれる……』
ニタリ、とファーザーの口元が吊り上がった。
長らく右腕の座を務めていたからこそ分かる。ファーザーは今、怒りの炎を静かに燃やしている。例えるなら、この地面の下で煮え滾っているマグマのようだ。
これはもうダメだ。あの元ロケット団団員は終わりだな。来世に期待するとしよう。
『飛ばすぞ、ライム』
「ちょっ、あばばばばば!!?」
★☆★☆★☆
眼下に映る光景が超高速で過ぎ去っていく。既に、僕の目をもってしても何が何やら分からない。
軽く酔いそうになる寸前、ファーザーが急に停止なさった。何事かと思いファーザーの御様子を伺うと、その目は獲物を見つけたかのように鋭く光っていた。
どうやら、ファーザーの目は元ロケット団員を捉えたようだ。
だけど、僕の眼下に広がるのは超巨大な森。僕には緑色しか見えない。ファーザーはこの中から元ロケット団団員を見つけたってのか……。
『行くぞ、ライム』
「はいっ!」
ファーザーが猛スピードで急降下した。怖えぇぇぇぇぇぇ!!!!
枝の合間を縫い、着々と地面が近づいてくる。地面に衝突する寸前にファーザーは勢いを殺し、僕をゆっくりと地面に降ろしてくれた。
「な、なんだテメェら!!?」
僕の目の前には元ロケット団団員がいた。そして、首輪に繋がれてションボリと尻尾を垂らしているグラエナも。
「グラエナを返しなよ。その子はお前のポケモンじゃない、カリンさんのだ」
「るっせぇ!! こいつは俺の悪名を世間に轟すための道具なんだよ! 返してもらうのは当たり前だ!! どれだけの時間をこいつを強くするために注いだと思っていやがる!!」
……ああ、もうこいつは救いようが無い。さも当然のようにグラエナを道具扱いしやがった。
「……ファーザー、こいつが今回の下手人です」
『そうか』
ファーザーがゆっくりと僕の前に歩み出た。元ロケット団団員は蛇睨みをされたように動けないでいる。
『安心しろ。お前、自分を悪党か何かと思っているらしいがな、全然そんなことはねえよ』
「な、なんだテメェ……!」
『あの姉ちゃんの思いを踏みにじろうと、自分のパートナーを道具呼ばわりしようと、俺からすればまだまだ善良な方だ』
ファーザーが元ロケット団団員との距離をどんどんと詰めていく。
『……幸運に思え。見せてやる、本物の悪(正義)を』
★☆★☆★☆
グラエナと戯れていると、何かが近づいてくるような気配がした。
白い影が僕の真上を跳び越えたかと思うと、目の前にはアブソルの背に乗ったカリン様がいた。
「ちわっす、カリンさん」
「ライム君!? 貴方、どうしてここに!!」
カリン様が大きく目を見開く。僕が先にいるのが意外だったらしい。
しかし、グラエナに気づくと直ぐに安心したような目に変わった。
「良かった、グラエナは無事ね……。でも、あの男は―――」
カリン様の表情が固まった。
そう、僕らの後ろにいる元ロケット団団員に気づいてしまったのだ。
「あはは、おはなばたけがみえるよー! とってもきれいだねー!」
元ロケット団団員はその場でぴょんぴょんスキップをしていた。ファーザーの処刑が終わってからずっとこの様だ。当のファーザーは何をしたか教えてくれずに、さっさとボールの中に戻ってしまった。
カリン様が数歩後ろに下がる。そりゃそうだ。舌足らずな喋り方をする大の男を見たら誰だってドン引きする。
やがて、カリン様はゆっくりと視線を逸らした。元ロケット団団員を見なかったことにしたのだろう。
「ライム君…… 私、貴方になんてお礼をしたらいいか……!」
目尻に涙を溜めながらお礼を言うカリン様。ホント、このグラエナを自分の家族のように愛情を注いでいるんだな。
「カリンさん、お礼なんて要りません」
グラエナをゆっくりと撫でる。
そう、僕はお礼を貰いたくてこんな事をしたんじゃない。ただ―――
「これだけで十分です」ムニョニョニョン!!
「ひゃわわ!!??///」
カリン様のおっぱいを僕の右手で思いっきり掴んだ。無論、カリン様が痛がらないように加減はしている。
うっひょい、おっぱいだ!! ずっと待っていたよ、この日がくるのを!!
右手の五指を限界ギリギリの速度で動かす。やはり、若々しいだけあって張りが凄い。揉んでも揉んでも弾かれる。
ああ、巨乳ってのは触っているだけで何故か安心できる。カリン様の人柄がおっぱいにも出てるのだろうか?
……………ふぅ。さて、逃げるか。短い時間なりにおっぱいを堪能しましたし。
グラエナを元ロケット団団員から救ったし、そう簡単に警察に通報されはしないだろ。このまま森に身を潜めて―――
「待ちなさい、ライム君!」
「えっ」
カリン様に肩を掴まれた。えっ、ガチ切れしてますやん!?
「ちょっとそこに正座しなさい!!」
「は、はいぃ!!」
「いい、ライム君!? 今回は私だったから良かったものの、他の女の子にやったら心に傷がついちゃうのよ!? それに、貴方だって警察に捕まっちゃうんだから!! だから、もうこんなセクハラは2度としないこと、いいわね!!」
「分かりましたぁ!!」
普通に説教された。
どうしてだろう、殴られるより心が数十倍痛い。そろそろ僕も一つのおっぱいに落ち着くべきだろうか……?
ライムの花言葉
①美しさの象徴
②あなたを見守っている
夢を追いかける美しい姿で、おっぱいを揉むべく女の子を見守っているライムにはぴったりの花言葉です。そこ、当て付けとか言わない。でも、ライムという名前を選んだ理由の一つでもあります。