とある少年が、全女性ジムリーダーのおっぱいを揉むという夢を抱いたそうです   作:フロンサワー

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 今回はサブタイ詐欺です。舞台はライモンシティなんや……。


18歩目 フキヨセシティ

 

 どうも、ライムです。今日は高度8000mの上空にいます。雲の上にいると、いつも鳥ポケモンになった気分を味わえるよね!

 いやいや、違うから。大爆発で吹っ飛ばされたんじゃなかいから。飛行機にのってるんだよ、飛行機に。

 丁度、ライモンシティからフキヨセシティに出発する航空機があってね。普段は旅費の節約をしないといけないから乗らないけど、その航空機のパイロットがフウロちゃんなんだ。

 フウロちゃんはフキヨセシティのジムリーダー。同時に、貨物輸送機のパイロットでもある。本来のパイロットが怪我をしたとかで、今回だけは手の空いてた彼女が代わりを務めているらしい。

 という訳で、これを機にフウロちゃんにお近付きになろうと思う。知人になったら、簡単に警察に突き出したりしないだろうしね!

 

『皆さ〜ん! 空の旅を楽しんで…… きゃあ!!??』

 

 フウロちゃんのアナウンスが突然途切れた。明らかな異常事態に誰もが不安を覚える。周りの乗客のざわつきは、マイクのスイッチを再び入れる音で静まり返った。

 

『我々はプラズマ団。これより、この旅客機はプラズマ団の支配下に入る!』

 

 乗客のざわつきがより一層大きくなった。

 プラズマ団ってあれだよな、人間からポケモンを解放しろってやつ。ちょっと前に、ある少年がぶっ潰したって聞いたけど……。

 

『我々の要求はただ一つ。刑務所に囚われている同胞を解放してもらう事だ。それまで、諸君には大切な人質となってもらおう』

 

 うっわぁぁぁぁ……!!! 俗に言うハイジャックじゃん!! タマムシの件といい、どうしてこう事件に巻き込まれるんだ……!

 というか、フウロちゃんは無事なのか!? この旅客機を操れるのは彼女だけだろうし、手荒なマネはされてないだろうけど……。

 音声が途切れて間も無く、操縦室から黒い服装をした3人の男が現れた。また女の子がいないだと……!?

 プラズマ団が乗客一人一人のモンスターボールを奪い回る。急いでボールを隠そうとしたけど、プラズマ団は直ぐに僕の方へとやって来てしまった。乗客の人数、少ないからなぁ……。

 僕も含め周りの乗客を人質にされてる今、流石に抵抗はできない。僕は大人しく全てのモンスターボールを渡した。

 

「安心しな。みっちり働いてもらったら、お前のポケモンも解放してやるさ」

 

 悪どい顔でほくそ笑むプラズマ団の男。ぶっちゃけ、あの面子を扱い切れるとは思わないけど。

 まあ、そんな心配は無縁かな。速攻で奪い返してやるから。

 

「おら、腕を出しやがれ」

 

 渋々と両腕を出すと、ガシャリと手錠を掛けられた。

 プラズマ団の団員はきちんと手錠が掛かったかを確認すると、さっさと別の乗客の方へと歩いて行った。

 あいつら、甘いな。やるなら手持ちのバックも奪っていかないと。

 ある物を取り出すべく、こっそりバックを漁った。両腕が完全に塞がった訳じゃない。バックの中から物を取り出すくらいなら可能だ。

 右手に金属特有の冷んやりとした感覚がした。あった、針金だ。

 目を走らせて近くにプラズマ団がいないのを確認し、バックから取り出す。さて、これを口に咥えてっと。

 

「むぐぅ……」

 

 鍵穴に針金を入れ、ピッキングを開始する。両手の塞がった状況だって想定済み。訓練は既に積んでいる。

 ピッキング開始から数分後、手錠を外すのに成功した。我ながら鮮やかな手つきだ。

 相手の人数は少なくとも3人。さて、装備も作戦も万端だ。やるとしますかね。この状況を解決すれば、フウロちゃんの評価も鰻登りだ!

 

「ぐぅっ……ああぁ!!!??」

 

 苦痛に満ちた声を上げる。まあ、演技ですけど。

 

「おい、ちょっと様子見てこい。俺らはモンスターボールを置いて来るからよ」

「ッチ! 仕方ねえ……」

 

 都合良く、一人を残して団員全員がモンスターボールを持ち去って行った。

 男の足音が近づいて来る。焦るなよ、僕。これまでの訓練を思い出すんだ!

 

「おい、静かにし―――」

「残念でした」

 

 男の顔に目掛け、催眠スプレーを噴出した。間抜けな音を立てながら、白い靄がプラズマ団の顔を覆い尽くした。

 

「なっ―――zzz……」

 

 声を上げる間も無く、プラズマ団の男は床に倒れた。

 このスプレーの成分は、あらゆるポケモンの眠り粉を参考にできている。その効果は折り紙つきだ。本当は対警察用に購入したんだけど、まさか犯罪者に使用するとは。

 プラズマ団の男がスヤスヤタイムに陥ってる隙に、手持ちのロープでグルグル巻きにした。仕上げにガムテープで口を塞いで、これでお終いっと。

 近くにいた乗客が呆然とその光景を見ている。あまりに一瞬の出来事で、何が起こったか分からないといった様子だった。

 

「……え〜っと、皆さんのポケモンを取り返してくるであります!」

 

 敬礼して、モンスターボールを強奪したプラズマ団を追った。いや、何話せばいいか分かんなかったし……。

 

 

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 

 

 そこまで大きくない飛行機なので、モンスターボールを強奪したプラズマ団2人には直ぐ追いついた。

 獲物を狙う獣のように、プラズマ団が隙を晒すタイミングをじっと待ち構える。

 僕に狙われているとはつゆ知らず、プラズマ団の2人は空席の目立つ奥の方へと進んでいった。多分、モンスターボールを置く為だろう。

 さぁて、チャンス到来。2人まとめて催眠スプレーを吹きかけて、モンスターボールを取り返してやんよ!

 抜き足差し足で忍び寄る。両手に持つ催眠スプレーを吹きかけようとして―――

 

『ライムさぁぁぁぁぁぁん!!! 怖かったですよぉぉぉぉぉ!!!!!』

「サッちゃゃゃゃゃゃゃん!!!!???」

 

 サッちゃんがボールから飛び出して抱きついてきた。というか、お前絶対に怖くなかっただろ! 抱きつく口実が欲しかっただけだろ!!

 

「な、何だテメェ!!??」

 

 ガッデム、気づかれた!! 仕方ない、こうなったら正面突飛だ!!

 

「カモーン、マイファミリー!!!」

 

 プラズマ団に回収されたボールから、僕の手持ちが飛び出してきた。全員、モンスターボールで拘束されるようなタマじゃないし。呼びかければ出てくると思ったよ。

 

「どうなってやがる!!? いけ、お前ら!!」

 

 プラズマ団2人が有りっ丈のボールを投げる。ぶっちゃけ、こいつらに構ってる暇はない。フウロちゃんの様子を見にいかないと!

 

「僕の指示なしでも大丈夫だよね! あと、サッちゃんはこのまま僕について来て!!」

 

 それだけ言い残し、僕は操縦室へと全力ダッシュで向かった。サッちゃんが抱きついたままで重い!

 

「あと、くれぐれも周りを壊さないでよね!!」

 

 去り際にそう言ったけど、本当に大丈夫かなと不安に思った。

 

 

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 

 

 ライムが操縦室に向かってる頃、操縦室にいるプラズマ団の男は一人悩んでいた。

 計画自体に滞りはない。いや、既に彼があずかり知らぬ所で瓦解寸前の事態となっているが。彼がそう思ってるだけである。

 チラリ、と旅客機のパイロットを一瞥する。彼女はジムリーダーのフウロ。彼女こそが、この旅客機をハイジャックした理由でもある。

 このハイジャックが無事に成功すれば、マスコミは大きく騒ぎ出すだろう。ジムリーダーのフウロが操縦する旅客機となると、尚更だ。ジムリーダーを務めるからこそのネームバリューを利用し、全世界にプラズマ団の存在をアピールするのが狙いなのだ。

 しかし―――

 

(おっぱいでけぇぇぇぇぇ!!!)

 

 魂を籠めたシャウトを、辛うじて胸の内に留める。

 そう、巨乳なのだ。笑っちゃうくらい巨乳なのだ。そして、彼の好みこそ巨乳なのだ。

 加えて、まるで誘っているかのようなその格好。ピッチピチに引き締まった服装で、否応無く身体のラインを引き立たせている。

 こんな密室で、こんな女性と2人きり。彼の理性は崩壊寸前だった。

 

「我慢できねぇ……。少しなら揉んじまっても問題ねえよな!」

 

 誰に言うでもなく、そう呟く。

 無論、この言葉に返事をする人間など―――

 

「いいや、彼女の心が傷ついちゃうから問題ありだよ」

 

 そんな言葉が届いた瞬間、彼は宙を舞っていた。

 為す術もなく鋼鉄の地面に叩き落とされる。咄嗟の事態に受け身もとれず、プラズマ団の男は地面で悶え苦しみまくった。

 プラズマ団の男を投げ飛ばした技は一本背負い。トバリのジムリーダー、スモモ直伝の技である。この状況において、そんな技を使える者はただ一人。

 

「覚えときな。女性の同意も無しに胸を触るなんて、クズ野郎もいいとこだよ」

『その言葉、そっくりそのままブーメランになって返ってきてますよ?』

「大丈夫。僕は変態紳士だから」

『素敵っ! 抱いて!!』

 

 この作戦の最大にして最悪の不確定要素、ライムである。

 

 

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 

 

 やっほい、ライムです。只今、地面を転がり悶えているプラズマ団員に催眠スプレーを吹きかけて、順調に縄で縛っています。

 

「あ、あなたは……?」

 

 フウロちゃんが僕に声を掛けた。

 可哀想に、今にも泣き出しそうな声だよ。まあ、こんな状況になったら無理もないよね。

 

「僕の名前はライム。心配いらない。君の味方だよ、フウロちゃん」

「!!」

 

 できるだけ安心させるように、優しく語り掛ける。女の子が泣きそうなら、男はどっしりと構えないとね。逆もまた然りだ。

 

「うぅ……ううぅぅ……!」

『私のダーリンに色目使ってんじゃねえぞこのビッチ!』

「ちょっとお外に出ててね〜、サッちゃん」

 

 ガンを飛ばすサッちゃんを操縦室から追い出す。まったく、空気読めよ。

 

「泣くのは早いよ、フウロちゃん。この旅客機を無事に着陸させてからだ」

「そ、そうだった! でも、プラズマ団の人たちが……」

「大丈夫、プラズマ団なら僕のファミリーが何とかしてるよ」

 

 ファーザーとアベサンが出張ってるし、戦闘が終わっていてもいい頃合いの筈―――

 

『ドゴォォォン!!!』

 

 突如、後方から鳴り響く爆発音。

 まさか、僕のポケモンの仕業じゃないよね! あは、あはははは!!!

 

『ライムさぁぁぁぁん!! 放火バカがやらかしましたぁ!!』

「」

 

 サッちゃんが扉を開け、最悪の事実を僕に突き付けた。

 のぉぉぉぉぉぉぉ!!!?? シャレなんねぇぇぇぇぇ!!!! これはマジでヤバぃぃぃぃぃぃぃ!!!

 旅客機がガタガタと揺れる。この揺れ、明らかにヤバい感じじゃん!

 

「ど、どうしよう!? 操縦桿が動かないよぅ!?」

「」

 

 最悪過ぎる状況に、一周回って頭は冷静になった。

 うん、全部プラズマ団のせいにしちゃおう。今回はヒーローレベルの働きをした訳だし、誰も僕の仕業だとは思わないだろう。プラズマ団に疑いの目が向くに決まってる。つーか、こうなったのもプラズマ団が原因だし。

 

「ふ、不時着しないと……。あたしが、み、皆の命を助けないと……」

 

 フウロちゃんの全身が震えていた。この旅客機に乗ってる生命全てが、フウロちゃんの操縦技術に掛かっているんだ。震えるのなんて当たり前だ。

 ズキズキと心が痛む。こうなった原因は僕にもあるんだ。フウロちゃんに残酷過ぎる責務を課してしまった責任が、僕にも。

 だから―――

 

「え?」

 

 フウロちゃんの手と重ねて、操縦桿を握った。

 

「一人じゃない。僕も一緒だ」

 

 僕にできるのは、彼女だけに責任を負わせない事だ。

 フウロちゃんの目から恐怖が消えた。そこにあるのは、決意が秘められた強い目だった。

 

「……うん!」

 

 これで、僕にも原因があると知ったらどんな顔をするんだろう。

 

「乗客の皆さん、当機はこれより不時着します! 前の席に頭を付けて、しっかり捕まってください!」

 

 マイクのスイッチを入れ、フウロちゃんは毅然と指示を出す。

 あっ、僕のポケモンは…… 大丈夫なんだろうな。何てったって、僕のポケモンだし。上手くやるでしょ。

 

「ライモンシティ管制局の皆さん、こちらはパイロットのフウロです! 今からそちらの空港に不時着します! 滑空路を空けてください!!」

 

 フウロちゃんと管制局のオペレーターのやり取りが続く。専門用語は分かりませぬ。だけど、不時着するのはライモンシティの空港とだけ分かった。

 

「ライムさん、そろそろ不時着します。危険ですから、自分の席に戻ってください」

「……フウロちゃん、僕はこの手を離さないよ。君にだけ背負わせたりなんかしない」

「で、でも!!」

 

 フウロちゃんの隣の席に座る。

 シートベルトはよしっと。この距離なら操縦桿にも手が届く。

 

「大丈夫。絶対に離さない」

「……うん!」

 

 ライモンシティの滑走路が次第に大きくなり、半端ないGが身体を押し潰す。

 フウロちゃんの操縦桿を握る力が強くなる。僕にできるのは彼女の手を握るだけ。下手に動かして邪魔はできない。

 さあ、いよいよ不時着だ!

 

「―――ッ!!!」

 

 滑走路に着地したと同時に、巨大なポケモンがシェイクしているかのように旅客機が震える。

 頼む、神様!! フウロちゃんに力を与えてくれ!!

 次第に勢いが衰えていく。気づいた頃には、飛行機の動きが止まっていた。

 

「やっ…… たの?」

 

 ポツリ、とフウロちゃんが呟く。

 その頬には涙が伝っていた。席から立ち上がり、フウロちゃんの肩に手を置く。

 

「そうだよ。お疲れ、フウロちゃん」

「ライムさぁん!!!」

 

 フウロちゃんが僕の腰に抱きついて――― 大きなおっぱいが、僕の股間にジャストフィートした。

 あがごかかさまやはきまむはらつとはにえのややひ!!!

 こ、言葉に! この感覚を言葉にしないと!! モチモチ、コリコリ、フニョフニョ!!!

 左右のおっぱいが、僕の息子を交互に押し付けられる。服装が服装だからか、柔らかさがダイレクトであそこを刺激する。

 や、やばい…… この場面じゃまずい! 泣いてる女の子に欲情なんて、本当にダメだ!!

 

「ぅぅぅっ……… うわぁぁぁぁぁん!!!!!」

 

 泣きじゃくるフウロちゃん。身体を激しくと揺らし、でかぱいも激しく揺れる。

 ぁぁぁぁぁん!!! 幸せだけど、泣きたいのはこっちだぁぁぁぁ!!!!

 暫くして、我が息子とフウロちゃんを宥めるのにどうにか成功した。

 その後、急いでポケモンたちの様子を見に行った。僕の予想通り、それはもう元気にホーカマをリンチしていた。まあ、これだけの事を仕出かしたから多少はね?

 リンチも終わったようなので、全員をボールに戻す。当分、ホーカマは放火禁止だな。

 あと、乗客の皆さんがめちゃくちゃ感謝してくれた。全てのモンスターボールも無事に戻ったし、万事オッケーってね!

 

「「「うぼぁ……」」」

 

 あっ、プラズマ団忘れてた。ボッコボコになってんじゃん。

 そうだ、早くこの旅客機から逃げ出さないと。マスコミに顔を映されたらお終いや!!

 

「ライムさぁん、どこですかぁ?」

 

 おっと、長居するとマズそうだ。さっさと逃げるとしますかね。

 ヒビ割れた窓から身を投げ出し、宙に舞った。

 

「ぶげぇぁ!?」

 

 再び顔面から着地した。もっとかっこ良く着地しろよ僕!

 さあ、マスコミが来る前にさっさと撤退だ!!

 

 

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 

 

「この青い空はどこまでも繋がっている。きっとまた会えるよね、ライムさん!!」

 





 初のライム以外の視点がプラズマ団という。
 感想・評価をくれると嬉しいです。大学入って大変だけど、執筆にもマジ励みになります。

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