とある少年が、全女性ジムリーダーのおっぱいを揉むという夢を抱いたそうです 作:フロンサワー
今回はサブタイ詐欺です。舞台はライモンシティなんや……。
どうも、ライムです。今日は高度8000mの上空にいます。雲の上にいると、いつも鳥ポケモンになった気分を味わえるよね!
いやいや、違うから。大爆発で吹っ飛ばされたんじゃなかいから。飛行機にのってるんだよ、飛行機に。
丁度、ライモンシティからフキヨセシティに出発する航空機があってね。普段は旅費の節約をしないといけないから乗らないけど、その航空機のパイロットがフウロちゃんなんだ。
フウロちゃんはフキヨセシティのジムリーダー。同時に、貨物輸送機のパイロットでもある。本来のパイロットが怪我をしたとかで、今回だけは手の空いてた彼女が代わりを務めているらしい。
という訳で、これを機にフウロちゃんにお近付きになろうと思う。知人になったら、簡単に警察に突き出したりしないだろうしね!
『皆さ〜ん! 空の旅を楽しんで…… きゃあ!!??』
フウロちゃんのアナウンスが突然途切れた。明らかな異常事態に誰もが不安を覚える。周りの乗客のざわつきは、マイクのスイッチを再び入れる音で静まり返った。
『我々はプラズマ団。これより、この旅客機はプラズマ団の支配下に入る!』
乗客のざわつきがより一層大きくなった。
プラズマ団ってあれだよな、人間からポケモンを解放しろってやつ。ちょっと前に、ある少年がぶっ潰したって聞いたけど……。
『我々の要求はただ一つ。刑務所に囚われている同胞を解放してもらう事だ。それまで、諸君には大切な人質となってもらおう』
うっわぁぁぁぁ……!!! 俗に言うハイジャックじゃん!! タマムシの件といい、どうしてこう事件に巻き込まれるんだ……!
というか、フウロちゃんは無事なのか!? この旅客機を操れるのは彼女だけだろうし、手荒なマネはされてないだろうけど……。
音声が途切れて間も無く、操縦室から黒い服装をした3人の男が現れた。また女の子がいないだと……!?
プラズマ団が乗客一人一人のモンスターボールを奪い回る。急いでボールを隠そうとしたけど、プラズマ団は直ぐに僕の方へとやって来てしまった。乗客の人数、少ないからなぁ……。
僕も含め周りの乗客を人質にされてる今、流石に抵抗はできない。僕は大人しく全てのモンスターボールを渡した。
「安心しな。みっちり働いてもらったら、お前のポケモンも解放してやるさ」
悪どい顔でほくそ笑むプラズマ団の男。ぶっちゃけ、あの面子を扱い切れるとは思わないけど。
まあ、そんな心配は無縁かな。速攻で奪い返してやるから。
「おら、腕を出しやがれ」
渋々と両腕を出すと、ガシャリと手錠を掛けられた。
プラズマ団の団員はきちんと手錠が掛かったかを確認すると、さっさと別の乗客の方へと歩いて行った。
あいつら、甘いな。やるなら手持ちのバックも奪っていかないと。
ある物を取り出すべく、こっそりバックを漁った。両腕が完全に塞がった訳じゃない。バックの中から物を取り出すくらいなら可能だ。
右手に金属特有の冷んやりとした感覚がした。あった、針金だ。
目を走らせて近くにプラズマ団がいないのを確認し、バックから取り出す。さて、これを口に咥えてっと。
「むぐぅ……」
鍵穴に針金を入れ、ピッキングを開始する。両手の塞がった状況だって想定済み。訓練は既に積んでいる。
ピッキング開始から数分後、手錠を外すのに成功した。我ながら鮮やかな手つきだ。
相手の人数は少なくとも3人。さて、装備も作戦も万端だ。やるとしますかね。この状況を解決すれば、フウロちゃんの評価も鰻登りだ!
「ぐぅっ……ああぁ!!!??」
苦痛に満ちた声を上げる。まあ、演技ですけど。
「おい、ちょっと様子見てこい。俺らはモンスターボールを置いて来るからよ」
「ッチ! 仕方ねえ……」
都合良く、一人を残して団員全員がモンスターボールを持ち去って行った。
男の足音が近づいて来る。焦るなよ、僕。これまでの訓練を思い出すんだ!
「おい、静かにし―――」
「残念でした」
男の顔に目掛け、催眠スプレーを噴出した。間抜けな音を立てながら、白い靄がプラズマ団の顔を覆い尽くした。
「なっ―――zzz……」
声を上げる間も無く、プラズマ団の男は床に倒れた。
このスプレーの成分は、あらゆるポケモンの眠り粉を参考にできている。その効果は折り紙つきだ。本当は対警察用に購入したんだけど、まさか犯罪者に使用するとは。
プラズマ団の男がスヤスヤタイムに陥ってる隙に、手持ちのロープでグルグル巻きにした。仕上げにガムテープで口を塞いで、これでお終いっと。
近くにいた乗客が呆然とその光景を見ている。あまりに一瞬の出来事で、何が起こったか分からないといった様子だった。
「……え〜っと、皆さんのポケモンを取り返してくるであります!」
敬礼して、モンスターボールを強奪したプラズマ団を追った。いや、何話せばいいか分かんなかったし……。
★☆★☆★☆
そこまで大きくない飛行機なので、モンスターボールを強奪したプラズマ団2人には直ぐ追いついた。
獲物を狙う獣のように、プラズマ団が隙を晒すタイミングをじっと待ち構える。
僕に狙われているとはつゆ知らず、プラズマ団の2人は空席の目立つ奥の方へと進んでいった。多分、モンスターボールを置く為だろう。
さぁて、チャンス到来。2人まとめて催眠スプレーを吹きかけて、モンスターボールを取り返してやんよ!
抜き足差し足で忍び寄る。両手に持つ催眠スプレーを吹きかけようとして―――
『ライムさぁぁぁぁぁぁん!!! 怖かったですよぉぉぉぉぉ!!!!!』
「サッちゃゃゃゃゃゃゃん!!!!???」
サッちゃんがボールから飛び出して抱きついてきた。というか、お前絶対に怖くなかっただろ! 抱きつく口実が欲しかっただけだろ!!
「な、何だテメェ!!??」
ガッデム、気づかれた!! 仕方ない、こうなったら正面突飛だ!!
「カモーン、マイファミリー!!!」
プラズマ団に回収されたボールから、僕の手持ちが飛び出してきた。全員、モンスターボールで拘束されるようなタマじゃないし。呼びかければ出てくると思ったよ。
「どうなってやがる!!? いけ、お前ら!!」
プラズマ団2人が有りっ丈のボールを投げる。ぶっちゃけ、こいつらに構ってる暇はない。フウロちゃんの様子を見にいかないと!
「僕の指示なしでも大丈夫だよね! あと、サッちゃんはこのまま僕について来て!!」
それだけ言い残し、僕は操縦室へと全力ダッシュで向かった。サッちゃんが抱きついたままで重い!
「あと、くれぐれも周りを壊さないでよね!!」
去り際にそう言ったけど、本当に大丈夫かなと不安に思った。
★☆★☆★☆
ライムが操縦室に向かってる頃、操縦室にいるプラズマ団の男は一人悩んでいた。
計画自体に滞りはない。いや、既に彼があずかり知らぬ所で瓦解寸前の事態となっているが。彼がそう思ってるだけである。
チラリ、と旅客機のパイロットを一瞥する。彼女はジムリーダーのフウロ。彼女こそが、この旅客機をハイジャックした理由でもある。
このハイジャックが無事に成功すれば、マスコミは大きく騒ぎ出すだろう。ジムリーダーのフウロが操縦する旅客機となると、尚更だ。ジムリーダーを務めるからこそのネームバリューを利用し、全世界にプラズマ団の存在をアピールするのが狙いなのだ。
しかし―――
(おっぱいでけぇぇぇぇぇ!!!)
魂を籠めたシャウトを、辛うじて胸の内に留める。
そう、巨乳なのだ。笑っちゃうくらい巨乳なのだ。そして、彼の好みこそ巨乳なのだ。
加えて、まるで誘っているかのようなその格好。ピッチピチに引き締まった服装で、否応無く身体のラインを引き立たせている。
こんな密室で、こんな女性と2人きり。彼の理性は崩壊寸前だった。
「我慢できねぇ……。少しなら揉んじまっても問題ねえよな!」
誰に言うでもなく、そう呟く。
無論、この言葉に返事をする人間など―――
「いいや、彼女の心が傷ついちゃうから問題ありだよ」
そんな言葉が届いた瞬間、彼は宙を舞っていた。
為す術もなく鋼鉄の地面に叩き落とされる。咄嗟の事態に受け身もとれず、プラズマ団の男は地面で悶え苦しみまくった。
プラズマ団の男を投げ飛ばした技は一本背負い。トバリのジムリーダー、スモモ直伝の技である。この状況において、そんな技を使える者はただ一人。
「覚えときな。女性の同意も無しに胸を触るなんて、クズ野郎もいいとこだよ」
『その言葉、そっくりそのままブーメランになって返ってきてますよ?』
「大丈夫。僕は変態紳士だから」
『素敵っ! 抱いて!!』
この作戦の最大にして最悪の不確定要素、ライムである。
★☆★☆★☆
やっほい、ライムです。只今、地面を転がり悶えているプラズマ団員に催眠スプレーを吹きかけて、順調に縄で縛っています。
「あ、あなたは……?」
フウロちゃんが僕に声を掛けた。
可哀想に、今にも泣き出しそうな声だよ。まあ、こんな状況になったら無理もないよね。
「僕の名前はライム。心配いらない。君の味方だよ、フウロちゃん」
「!!」
できるだけ安心させるように、優しく語り掛ける。女の子が泣きそうなら、男はどっしりと構えないとね。逆もまた然りだ。
「うぅ……ううぅぅ……!」
『私のダーリンに色目使ってんじゃねえぞこのビッチ!』
「ちょっとお外に出ててね〜、サッちゃん」
ガンを飛ばすサッちゃんを操縦室から追い出す。まったく、空気読めよ。
「泣くのは早いよ、フウロちゃん。この旅客機を無事に着陸させてからだ」
「そ、そうだった! でも、プラズマ団の人たちが……」
「大丈夫、プラズマ団なら僕のファミリーが何とかしてるよ」
ファーザーとアベサンが出張ってるし、戦闘が終わっていてもいい頃合いの筈―――
『ドゴォォォン!!!』
突如、後方から鳴り響く爆発音。
まさか、僕のポケモンの仕業じゃないよね! あは、あはははは!!!
『ライムさぁぁぁぁん!! 放火バカがやらかしましたぁ!!』
「」
サッちゃんが扉を開け、最悪の事実を僕に突き付けた。
のぉぉぉぉぉぉぉ!!!?? シャレなんねぇぇぇぇぇ!!!! これはマジでヤバぃぃぃぃぃぃぃ!!!
旅客機がガタガタと揺れる。この揺れ、明らかにヤバい感じじゃん!
「ど、どうしよう!? 操縦桿が動かないよぅ!?」
「」
最悪過ぎる状況に、一周回って頭は冷静になった。
うん、全部プラズマ団のせいにしちゃおう。今回はヒーローレベルの働きをした訳だし、誰も僕の仕業だとは思わないだろう。プラズマ団に疑いの目が向くに決まってる。つーか、こうなったのもプラズマ団が原因だし。
「ふ、不時着しないと……。あたしが、み、皆の命を助けないと……」
フウロちゃんの全身が震えていた。この旅客機に乗ってる生命全てが、フウロちゃんの操縦技術に掛かっているんだ。震えるのなんて当たり前だ。
ズキズキと心が痛む。こうなった原因は僕にもあるんだ。フウロちゃんに残酷過ぎる責務を課してしまった責任が、僕にも。
だから―――
「え?」
フウロちゃんの手と重ねて、操縦桿を握った。
「一人じゃない。僕も一緒だ」
僕にできるのは、彼女だけに責任を負わせない事だ。
フウロちゃんの目から恐怖が消えた。そこにあるのは、決意が秘められた強い目だった。
「……うん!」
これで、僕にも原因があると知ったらどんな顔をするんだろう。
「乗客の皆さん、当機はこれより不時着します! 前の席に頭を付けて、しっかり捕まってください!」
マイクのスイッチを入れ、フウロちゃんは毅然と指示を出す。
あっ、僕のポケモンは…… 大丈夫なんだろうな。何てったって、僕のポケモンだし。上手くやるでしょ。
「ライモンシティ管制局の皆さん、こちらはパイロットのフウロです! 今からそちらの空港に不時着します! 滑空路を空けてください!!」
フウロちゃんと管制局のオペレーターのやり取りが続く。専門用語は分かりませぬ。だけど、不時着するのはライモンシティの空港とだけ分かった。
「ライムさん、そろそろ不時着します。危険ですから、自分の席に戻ってください」
「……フウロちゃん、僕はこの手を離さないよ。君にだけ背負わせたりなんかしない」
「で、でも!!」
フウロちゃんの隣の席に座る。
シートベルトはよしっと。この距離なら操縦桿にも手が届く。
「大丈夫。絶対に離さない」
「……うん!」
ライモンシティの滑走路が次第に大きくなり、半端ないGが身体を押し潰す。
フウロちゃんの操縦桿を握る力が強くなる。僕にできるのは彼女の手を握るだけ。下手に動かして邪魔はできない。
さあ、いよいよ不時着だ!
「―――ッ!!!」
滑走路に着地したと同時に、巨大なポケモンがシェイクしているかのように旅客機が震える。
頼む、神様!! フウロちゃんに力を与えてくれ!!
次第に勢いが衰えていく。気づいた頃には、飛行機の動きが止まっていた。
「やっ…… たの?」
ポツリ、とフウロちゃんが呟く。
その頬には涙が伝っていた。席から立ち上がり、フウロちゃんの肩に手を置く。
「そうだよ。お疲れ、フウロちゃん」
「ライムさぁん!!!」
フウロちゃんが僕の腰に抱きついて――― 大きなおっぱいが、僕の股間にジャストフィートした。
あがごかかさまやはきまむはらつとはにえのややひ!!!
こ、言葉に! この感覚を言葉にしないと!! モチモチ、コリコリ、フニョフニョ!!!
左右のおっぱいが、僕の息子を交互に押し付けられる。服装が服装だからか、柔らかさがダイレクトであそこを刺激する。
や、やばい…… この場面じゃまずい! 泣いてる女の子に欲情なんて、本当にダメだ!!
「ぅぅぅっ……… うわぁぁぁぁぁん!!!!!」
泣きじゃくるフウロちゃん。身体を激しくと揺らし、でかぱいも激しく揺れる。
ぁぁぁぁぁん!!! 幸せだけど、泣きたいのはこっちだぁぁぁぁ!!!!
暫くして、我が息子とフウロちゃんを宥めるのにどうにか成功した。
その後、急いでポケモンたちの様子を見に行った。僕の予想通り、それはもう元気にホーカマをリンチしていた。まあ、これだけの事を仕出かしたから多少はね?
リンチも終わったようなので、全員をボールに戻す。当分、ホーカマは放火禁止だな。
あと、乗客の皆さんがめちゃくちゃ感謝してくれた。全てのモンスターボールも無事に戻ったし、万事オッケーってね!
「「「うぼぁ……」」」
あっ、プラズマ団忘れてた。ボッコボコになってんじゃん。
そうだ、早くこの旅客機から逃げ出さないと。マスコミに顔を映されたらお終いや!!
「ライムさぁん、どこですかぁ?」
おっと、長居するとマズそうだ。さっさと逃げるとしますかね。
ヒビ割れた窓から身を投げ出し、宙に舞った。
「ぶげぇぁ!?」
再び顔面から着地した。もっとかっこ良く着地しろよ僕!
さあ、マスコミが来る前にさっさと撤退だ!!
★☆★☆★☆
「この青い空はどこまでも繋がっている。きっとまた会えるよね、ライムさん!!」
初のライム以外の視点がプラズマ団という。
感想・評価をくれると嬉しいです。大学入って大変だけど、執筆にもマジ励みになります。