霊感少年の幽雅な生活 (完)   作:ケツアゴ

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閻魔大王って元人間らしいし、サーヴァントになれるのだろうか? 宝具は地獄を固有結界?

眠いので短めです 明日にはこの巻を完結させたい 四冊も漫画買ったので書くのも遅れました


三十九話

一誠は自らが赤龍帝である事を必死に隠している。それは刺客を避ける為であり、全て両親の為であった。戦う力を持ち頼もしい部下も常に傍に居る自分と違い、両親は普通の人間だ。一誠は常日頃からこう考えている。

 

「俺が敵ならまず両親を狙うよ。人質にするもよし、復讐に殺すもよし。あの二人は俺の宝でありアキレス腱だ」

 

昔から霊が見える事で一誠は普通の少年ではなかった。他人には見えないものが見え聞こえない声が聞こえる。そんな異常な状況化で精神をすり減らしていく一誠が完全に壊れなかったのは両親の深い愛情があったからだ。一誠も護衛として部下を付けているものの絶対はない。その思いを汲んだオリュンポスの神々や冥府の死神達も他の勢力の前では絶対に名を呼ばない様にしている。其のくらいの気を使われる程度には彼は慕われていた。

 

《あの龍神め、余計な事を言ってくれる》

 

ハーデスは骨だけの顔で苦虫を噛み潰したような顔をする。苛立ち紛れに襲ってきたテロリストの頭を握り潰しながら画面に映ったオーフィスを睨む。その少女は大勢に聞こえる場で一誠を名前で呼んだのだ。まだほかの神話の神なら良かっただろう。だが、アザゼルには完全に気付かれてしまったかもしれない。やはり兵藤一誠こそが赤龍帝なのだと。

 

《……そろそろ潮時なのかもしれんな。小僧には覚悟を決めて貰わねば……》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一誠、我あれを倒して次元の狭間帰りたい。協力して」

 

「……やだ。ってか、名前呼ばないで。此処の様子って中継されてるだろうから」

 

一誠は顔に手を当てて困ったように言う。その間にもグレートレッドは次元の狭間に帰って行き、オーフィスは不満そな目を一誠に向ける。そしてテロリストの少女は一誠か手を自分の顔に当てたおかげで解放され、一目散に逃げ出した。

 

『相棒、追わんでいいのか?』

 

「……別に良い。今は長年の苦労が水の泡になって気が沈んでるし……呪いはちゃんと掛けたよ。神代の魔女と最強の呪術師が一緒に作った特製の呪いその2をね。オーフィスも帰って。じゃないとサマエルの毒を喰らってもらうよ?」

 

「……分かった。でも我諦めない」

 

オーフィスはサマエルの毒という言葉に少しだけ反応し、少々名残惜しそうに消えて行く。

 

「……さぁ~て、さっさと向かうとしょうか。ディオドラを使って憂さ晴らしさせて貰おう……」

 

一誠はそんな物騒な事を呟きながら神殿に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アーシア!」

 

その頃、リアス達はようやく奥の神殿までたどり着いた。先程から神殿を素通りするだけで敵の姿がない。ならばこの一番奥の神殿で待ち構えているのか、と思いながら突入したその時、内部から悲鳴が聞こえてきた。

 

 

 

 

「ぎゃぁぁぁぁぁっ!! も、もうこんなの気持ち良くない! 年増に痛めつけられた所で……」

 

「誰が年増ですってぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

ディオドラは見えない十字架に貼り付けにされているような格好で宙に浮き、その体を雷撃や炎が焦がし、猛烈な冷気が凍らせる。そして見覚えのある白髪の少年が聖剣を何度も彼の体に突き刺していた。

 

「あひゃひゃひゃひゃっ! コールブラントの味はどうよ? 痛いよなぁ、死にたいよなぁ? でも残念でした! 君は死ねましぇん! なんてねっ!」

 

「フリード!? ……赤龍帝が聖杯で蘇らせたのね」

 

リアスがフリードを苦々しげに見つめているとその視線に気付いたフリードが振り返る。

 

「あらら~♪ その赤髪は無能姫さんじゃあ~りませんか? 何? 今頃お出ましな訳? ぐひゃひゃひゃひゃ!」

 

「悪いけど、あの小僧は私達の獲物よ。貴女はあの子を助けてきなさい」

 

メディアはリアス達の方を向かずにそう言うと右手の人差し指を振る。するとその指の動きに合わせるかのように身動きが取れないディオドラが動き、まるでピンボールの様に壁を跳ね返る。既に顔面を何度も強打した事で歯は折れ鼻の骨は砕け。顔中腫れ上がっていた。そして手足は折れ曲がり、体には先程受けた魔術による火傷や凍傷、聖剣による傷など明らかに致命傷という物があるにも関わらず彼は辛うじて生きていた。

 

「殺し……てく……れ……」

 

血を吐きながらか細い声で彼は懇願する。だが、帰ってきた答えは非情だった。

 

「あら、無理よ。その呪いは私には解けないわ。掛けるのは何とか出来たけど、解くのは専門外なのよ。それに権力者の夢でしょ? 折角の不死を楽しみなさいな」

 

「悪いな。いくら反逆者でも魔王の身内を殺したら面倒なんでな」

 

メディアが掛けた呪いは彼女と玉藻が作り出した呪いその1。効果は彼女が言った通り不死。それだけなら良い様に思えるが、受けた傷は絶対に治らず痛みも消えなく気絶もできない。死んでない方がおかしく、死んだ方が良い、という状態で生き続けるというものだった。

 

 

 

なお、フリードが言った理由は建前でしかなく、本当の理由は彼が気に入らないでしかなかった。今も彼の頭を壁に擦りつけながら動かしている。既に想像を絶する痛みを感じているディオドラだが呪いのせいで気絶も気を失う事も許されず、ただ彼女の気が変わって死なせてくれるのを待つばかりであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うわ~、こりゃひっどいねぇ」

 

「あら、殺してないんだから別に良いじゃない。約束は守ってるわ」

 

どうせ正体はバレているだろうが最後の悪あがきにと、一誠が禁手状態を保ったままが到着すると其処にはディオドラだった物が横たわっていた。どれほどダメージを受けても命を保つ最低限までは治癒され、再び拷問のように痛めつけられる。心が壊れることすら許されないを見て一誠は口では同情したような事を言うも、そのトーンは彼の事などどうでも良いと語っている。そしてその視線はアーシアの方に向けられていた。

 

『相棒、あの装置はおそらく神滅具で作られている。覇龍を使って体力を消耗した今の状態のお前では少々骨が折れるぞ。最悪禁手が解ける』

 

 

 

リアス達は装置に埋め込まれたアーシアを助けようと装置を破壊しにかかるもビクともしない。

 

「お願い、この装置を壊すのを手伝って!」

 

リアスがそう叫ぶも一誠は面倒くさそうに首を振った。

 

「いや、その装置って神滅具で作られてるっぽいってドライグが言うんだ。俺の覇龍って生命力は無事だけど体力は結構食うし、破壊できる保証はないよ? 別にその装置ごと持って帰って魔王にでも壊して貰えば?」

 

「アーシアが言うには、この装置はアーシアの回復の力を反転させて観覧席に向かって発動するらしいのよ!」

 

今、観覧席には同盟相手の神々や三大勢力の者が大勢いる。もしそんな事になれば大惨事となるだろう。ソレを聞いた一誠はフリードの方を向いた。

 

「了解っ!」

 

それだけで彼の言いたい事を察したフリードはコールブラントを構えアーシアに近づいていく。

 

「ちょっと、何をする気!?」

 

「決まってんだろ? 下級悪魔一人と他神話の神を含む大勢。天秤に掛けるまでもないってな!」

 

フリードはそのまま聖剣をアーシア目掛けて振り下ろした……。




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漫画版エクストラ 結局殺すならなぜ二人共助けたのだろうか? 心情を聞く為? それとも平和男と戦う動機付けかな?

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