霊感少年の幽雅な生活 (完)   作:ケツアゴ

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前回の四次ランサーに関する疑問の答えがたくさん来ました 感謝です!


あと、今回最後にとあるキャラへの暴言的発言があります ご注意を

粘土細工のあたり少し変えました


昨日今日でモンハン三回討伐して三回ともオトモにトドメ奪われました(つд⊂)


停止結界のヴァンパイア
一八話


「……ふ~ん。聖魔剣ねぇ。どうでも良いや」

 

「イッセーってそう言うとこ淡白よね。生きてる相手には興味が薄いっていうか。私も何時か興味が失せて捨てられちゃうのかにゃ?」

 

ベットの上で裸になった黒歌は一誠に甘えるように体を摺り寄せながら冗談交じりに囁く。その際に柔らかく重量感のある胸が半裸になっている一誠の胸板に当たり形を変えた。一誠はそれを少しの間眺めた後、黒歌の体をそっと抱き寄せて耳元で囁く。

 

「俺が黒歌を捨てる訳無いでしょ? 長い付き合いなんだからさ」

 

「にゃん♪ ……まぁ、あの時私の魂が美味そうだったら生きてない訳だけどね」

 

十年前に二人が会った時、霊達は黒歌の魂を不味そうだと判断して食べなかったのだ。もし美味そうだと思われていたら、彼女はこの世には居なかっただろう。ジト目で睨んでくる黒歌に対し、一誠は誤魔化すかのように話題を変えた。

 

「そ、そういえば白音ちゃんが俺と話したいんだって? 何か頼みがあるとか」

 

「あ、そうだったにゃ。……コカビエルの一件の顛末、聞いたかにゃ?」

 

エクスカリバーを強奪したコカビエルの襲撃。この一件によってリアスは次期当主としての資質を危ぶまれる事となった。短期間で堕天使に二度、はぐれ悪魔に一度の計三回も縄張りへの侵入を許し、あまつさえ好き勝手に行動されたのだ。元々彼女は甥が成人するまでの場繋ぎでしかないが、それでも次期当主には変わりない。次期当主が無能と言う話が広がれば冥界にあるグレモリー領への信用も下がり、商人の投資も減ってしまう。これに困ったサーゼクス派やグレモリー家に関連する貴族達は今回の件を次のように発表した。

 

『現地住民の協力もあってリアス達がコカビエルを撃退。眷属の木場祐斗は首謀者の一人を討ち取った』

 

確かにリアス達はコカビエルの手下のケルベロスを撃退した。しかし、この発表ではリアス達が活躍したように聞こえ、実際にそれを聞いた民衆はそう思い込んだ。なお、この一件でかなりの金額が冥府に渡り、その何割かが一誠の懐に入り込んでいた。

 

「あ、うん。爺さんが少し話してたよ。それで白音ちゃんは俺に何の用なのかな?」

 

「それについては後で電話番号教えるから詳しくは本人から聞いて。……ねぇ、そんな事よりも♪」

 

黒歌は右手を一誠の首に絡ませ空いた左手をズボンにかける。そして脱がそうとした瞬間に二人の頭に激痛が走った。

 

「痛っ!」

 

「……忘れたの? 玉藻が言ってたじゃん。『火遊びは見逃しますが本番は許しませんよ』って。浮気防止の呪いかけてたでしょ?」

 

「……あの駄狐が時々忘れるように呪ってるのよ。あと、『ま、私とご主人様の間に子が出来たら解いて差し上げますよ、二号さん』とか言ってたにゃ。……あ、これ電話」

 

「うん、有難う。……もしもし白音ちゃん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葛木メディア。ここ数年で一気に脚光を浴びた恋愛小説家である。主に悲恋物の得意とし、時たまに別の名で少女同士の百合小説を書いているのは秘密である。なお、苗字は偽造だが、何故その苗字にしたのかは自分でも分からないらしい。

 

「それで何の用かしら、坊や」

 

メディアは突然訪ねてきた一誠に対し、迷惑そうな顔で出迎える。

 

「実はお願いがあって……。あ、ありす達を連れてきたよ」

 

「「メディアさん、こんにちわ」」

 

「さぁ、入りなさい。今お茶入れるわね♪ あ、ちょうどケーキがあるから食べていきなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……三すくみの会談? 面倒な事になりそうね。絶対襲撃が有るわ。それに色々集まるだろうから気分転換の散歩もできないわね。締め切りも近いっていうのに……」

 

床の上には丸められた原稿用紙が幾つも転がっている。どうやら彼女はパソコンは全然使えな……パソコンではなく手書きこそが一番だという古風な考えの作家のようだ。テレビの前ではありす達が、何時来ても良いようにとメディアが用意したアニメのDVDを見ていた。一誠は留守電のチェックをさせられながら要件を告げた。

 

「いや、締め切り前なら執筆に集中しようよ。また担当の藤村さん泣くよ? 俺の事を甥っ子だと思ってるから愚痴が五月蝿くってさ」

 

「はっ! その程度がどうしたってのよ。締切直前は寝れないからお肌がピンチなのよ? それでお願いは……赤龍帝のオーラが感知されないようにしろってのね。……はい、終わったわよ」

 

赤龍帝のオーラを隠している一誠だが、流石に魔王や堕天使総督、ヴァーリは誤魔化しきれない。故に神代の魔女であるメディアに頼みに来たのだ。彼女なら完全に隠す事ができ、もし道端でバッタリ会っても気付かれる事がない。

 

「有難う、メディアさん。……所でどうしたら此処までFAXをイカレさせれるの?」

 

FAXからは止めど無く紙が溢れ出し、異音が鳴り響く。もう、直しようがなかった。

 

「うっさいわね! 魔術師は機械が嫌いなのよ!! あ~、もう! こうなったら憂さ晴らしに、ありす達で着せ替えゴッコをするわよ! ちゃんと家に転送するから坊やは出て行きなさい!!」

 

「……やれやれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、一誠は神器の中に意識を潜らせドライグの魂の修復を行っていた。一誠が霊力を送ると欠けていた魂が徐々に戻っていく。

 

『全く、お前はとんでもない相棒だな。俺の魂を削るわ先代達の残留思念を全て喰らうわ……』

 

「いや、しょうがないでしょ? 俺の能力のせいで常に怨嗟の声が聞こえてたんだからさ。まぁ、食べたせいでドラゴンのオスに多い特徴である女好きが強まっちゃったけど、ドライグみたいにロリペドにならなかったし、新しい覇龍にも目覚めたしで良い事尽くめでしょ?」

 

『……これでマトモに戦ってくれればな。なんでお前はそんな外道なんだ……』

 

ドライグは嘆きのあまり忘れていた。ロリペド扱いを否定する事を失念していたのだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お前が兵藤一誠か?」

 

「違うよ? 俺の名前は名無野権兵衛だよ。じゃ!」

 

「お、おい!? 仕方ねぇな……」

 

次の日の放課後、浴衣を着た中年男性と銀髪の少年に呼び止められた一誠は明らかな偽名を名乗るとその場から立ち去っていく。慌てて男性が呼び止めようとするも一誠は遠ざかっていった。

 

「行き成り話しかけるから警戒されたんじゃないかい、アザゼル。……彼からは赤龍帝の気配はしなかったよ」

 

「あ~、そうか。なら、放って置いて大丈夫だな、ヴァーリ。ったく、調査に出た奴が勝手な事して死んじまうから余計な手間がかかったぜ。……にしても名無野権兵衛はねぇよな」

 

「ああ、アザゼルの厨二臭いネーミングセンスと同じレベルだな」

 

「……うるせぇよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良いですか~。今から配る紙粘土で好きな物を作ってください。貴方達の脳内のイメージを表現するんです。そんな英語もある」

 

「(……ないよ)」

 

「(ありえませんねぇ)」

 

「(無いネ……)」

 

「(無いわね)」

 

「(ソンナ英語ガ有ルカァァァァ)」

 

駒王学園の授業参観。一誠は玉藻とポチを除く死霊四帝と共に英語担任の教師に言葉に脳内でツッコミを入れつつ紙粘土に手を伸ばした。一誠はやる気のなさそうな無表情ながら手をテキパキ動かして行き、終了時間間際に完成させた。

 

「……これは凄いな」

 

一誠の作品を見た教師は思わず感嘆の声を上げる。彼の目の前に置かれているのは地獄の亡者を思わせる粘土細工。苦悶と絶望の表情を受けべた亡者達は互いを押しのけ、倒れた者を踏みつけて天へと手を伸ばす。まるで仏に慈悲を縋っているように……。まるで今にも苦悶の声が聞こえてきそうな表情に誰もが飲まれそうになる中、チャイムの音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……魔法少女のコスプレ? また痛々しいのが居るんだね」

 

「いや、凄く似合ってんだって。お前も見に行けば?」

 

「まぁ、授業参観の日にコスプレで来るような変人なんて、そう見れるもんじゃないし……」

 

 

昼休み、クラスメイトからコスプレしている人がいると聞いた一誠は興味本位で見に行く。すると其処には松田や生徒会長達と何人かの保護者らしき者達が居て、先ほど聞いたコスプレ少女も居た。

 

「うわ~、本当に居るよ。ねぇ、松田。あの痛い人って誰? グレモリー先輩と話ししてるけど……」

 

「あ、ああ。支取会長のお姉さんだよ」

 

「私はソーナちゃんのお姉ちゃんのセラフォルーだよ。ヨロシクね☆ も~! 初対面の人に痛いなんて失礼だよ? プンプン!」

 

魔法少女の格好をした少女はその場でクルッと一回転してポーズを決め、蒼那……いや、ソーナは先程から羞恥心で赤くしていた顔をさらに赤らめる。そして一誠は腕を組み考え込んだ。

 

「あれ? 名前の事は置いとくとして、三年生の会長のお姉さんって事は仮に双子の姉としても18位だよね? それが校内でコスプレしてるんだ……。しかもあの話し方……、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うわキッツ!!」

 

その瞬間、場の空気が凍りついた……。




意見 感想 誤字指摘 アンケート二種類 お願いします!!


このオチの為に少し短めでした



この巻のクライマックス予告 少々セリフは変更するかも

「あはははは! 戦いが楽しいと思ったのは初めてだよ! この戦いはどちらが善か悪か決める戦いではなく、どちらが綺麗か汚いか決める戦いでもない! どちらが先に倒れるかを決める戦いだ! さぁ、互いに覇龍で決着を決めようよ!」

「……やっとマトモに戦う気になったか。良いだろう! それでこそ俺のライバルだ!!」


さて、どうなる?

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