ポケットモンスター鳴   作:史縞慧深

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感想のツッコミに私は動揺しました。
突っ込まれるまで気付かないとは……。
それではどうぞ。


9話 感謝と実験

 下水道を抜けてポケモンセンターに着いた。そこで皆をジョーイさんに預け回復してもらい、それが終わったあとユウヒとイヴをリオとカティに紹介する。

 そして皆と一緒に昼御飯を食べる。

 

『ふう久しぶりに腹いっぱいになるまで食べたぜ。ありがとう』

『ほんとだね。わたしからもありがとう』

 

 ユウヒとイヴが言う。

 

「今まで苦労してたんだね」

 

 ユウヒとイヴはいったいどれだけ苦労してきたんだろう。まったく泣けてくるな、こんなことで感謝されるとは。

 昼御飯を食べ終わり宿泊する部屋に入る。

 

「皆、出てきて」

 

 リオ、カティ、ユウヒ、イヴがボールから出てきて私も含めて円状に座る。

 

「さて、これからカティにはある選択をしてもらいます」

『ん、なんだ、アタイに選択って』

「ねえカティあなた進化してみたくない?」

 

 カティに進化してみたくないかを問いかける。

 

『えっ、アタイ進化できるの!?』

 

 どうやら進化ができないと思っていたらしい。

 

「そうだよ~カティ、あなたは進化できるの。どう? 進化してみたくない?」

『うん! アタイ進化したい!』

 

 カティは進化にたいして乗り気のようだ。

 

「じゃあ……はい」

 

 ごそごそとバッグの中から炎の石を取り出しカティの前に差し出す。

 

「この炎の石に触ってごらん」

『うん!』

 

 そうしてカティは炎の石に触れる。するとカティが眩い光に包まれ姿が変わっていく。

 そして光が収まってそこにいたのは威風堂々とした佇まいのでんせつポケモン、ウインディになったカティだった。

 

『ウオオオン!』

 

 カティが歓喜の雄叫びを上げる。

 

『ふええ』

『すげえ』

『ほう……』

「う~ん、やっぱり進化は何回みてもすごいなあ」

 

 上から順にイヴ、ユウヒ、リオ、私の発言である。

 

『すごい、力が溢れてくる、こんな感じ初めてだ。今ならだれにも負ける気がしないよ!』

 

 うんうん、よきかなよきかな。さて次は今後の予定についてだな。

 

「はいはーい、じゃあ、次は今後の予定についてでーす。予定ではみんなの修業をしたいと思っているんだけど、反対意見のある人はどうぞ」

 

 みんなに意見を求めるが反対するものはいない。

 

「はい、反対の人はいませんね。じゃあ肝心の修業内容ですが、まず、カティ、あなたにはしんそくという技を思い出してもらう。今のあなたならどうやればいいかわかるはず」

『わかったわ!』

「そしてリオ、あなたもゆくゆくはしんそくを覚えてもらうけど、まずはそのためにレベル上げね」

『うん、わかった』

「次はユウヒとイヴだけどまずどんな技を使えるか確認させてもらうね」

 

 ポケモン図鑑を使い、まずはユウヒを見てみる。

 

 ピカチュウ:弱った仲間のピカチュウに電気をながしショックをあたえて元気を分けることもある。

 使える技

 こうそくいどう

 フェイント

 10万ボルト

 たたきつける

 かげぶんしん

 エレキボール

 でんこうせっか

 でんじは

 しっぽをふる

 でんきショック

 なきごえ

 あまえる

 

 ふむ、なるほど、なかなか技を覚えているな。しかしピカチュウの代名詞であるボルテッカーを覚えていない。

 確かボルテッカーはピカチュウにでんきだまを持たせて卵を産ませると子のピチューが覚えているんだったか。

 むう……どうにかしてユウヒにボルテッカーを覚えさせられないかな。条件的にでんきだまがカギを握っていることはまちがいないんだが……むう~……ま、考えてもわからないし仕方ないか、とにかくやれるだけやってみよう。次はイヴだ。

 

 イーブイ:不安定な遺伝子のおかげでさまざまな進化の可能性を秘めている特殊なポケモン。

 使える技

 バトンタッチ

 あまえる

 とっしん

 ほしがる

 かみつく

 でんこうせっか

 なきごえ

 スピードスター

 すなかけ

 しっぽをふる

 たいあたり

 てだすけ

 

 あれ、結構技を覚えている。ということは結構レベルが高いな。というかここまでレベルが上がっていてエーフィかブラッキーに進化していないなんていったい前の持ち主はどんな風に育てていたんだ。まあイヴはレベル上げだな。

 

「よし、決まった。ユウヒはボルテッカーの習得とレベル上げ、イヴもレベル上げね」

『わかったぜ』

『はーい』

 

 さあ今後の予定も話したしこれで今日はもう何もしないぞ。

 

「はいじゃあみんなボールに戻って」

『『『『はーい』』』』

 

 よしよし皆いい返事だ。さて晩御飯の時間になるまで昼寝でもしよう。

 

 

 

 

 

 次の日になって例のごとく日課となっている体操と波導の訓練、朝御飯を済ませ今はヒウン下水道を抜けユウヒとイヴをゲットした広場にやってきている。

 

「さあ、皆出てきて!」

 

 そう言ってリオたちをボールから出す。

 

「さてと、じゃあさっそく修業を開始しまーす。まずはカティ、あなたには昨日言った通りしんそくを習得してもらうよ」

『わかった!』

「しんそくはね、こうそくいどうよりも更に速く動いて相手に攻撃する技だ。全身に力を滾らせて突進するんだ」

『わかった! やってみる!』

 

 カティはさっそくしんそく習得のために行動を始める。

 

「さて、次はユウヒ、あなたにはボルテッカーの習得とレベル上げを並行してやってもらう。ボルテッカーは体に電気を纏って相手に体当たりする技だ。そしてこのことを意識してリオと組み手をしてもらう。イヴもユウヒと一緒にリオと組み手な。リオはユウヒとイヴに稽古をつけてあげて。二人がかりならリオも本気にならないとだめでしょ。あとリオは手加減してあげてね。ユウヒとイヴは本気でリオを攻撃してもいいからね。初めは私が指示を出すから。じゃあリオいくよ! イヴはとっしん! ユウヒはボルテッカー!」

 

 こうして今日の修業は昼休憩を挟み、夕方まで続いた。

 

 

 

 

 

 修業を終えてポケモンセンターの泊っている部屋に戻ってきた。さて今日の修業の成果を発表しよう。

 まずはカティだがなんと今日だけでしんそくを会得してしまった。こういう言い方だと何か悪いことのように聞こえるが私にとってそれほど驚くべきことだったのだ。もっと時間がかかると思っていたのだが思いのほか早く思い出すことができた。

 こんな簡単に思い出すことができるのなら技思い出し屋の人が必要なくなるんじゃないか。というかこの世界に技思い出し屋っているのかな。あのハートのウロコで技を思い出させてくれる人。

 よく考えてみると技思い出し屋の人って全てのポケモンの技を思い出させることができるのだからすべてのポケモンの覚える技を知っているということになるよな。うん、ありえないな。ふむう、となるとポケモンを見てそのポケモンの潜在能力みたいなものを見抜くことができる、といった感じかな。まあ実際にそんな人がいるかはわからないけど。

 まあそんなことより修業の成果だ。リオとユウヒはこれといって成果がなかったが、カティのことよりさらに驚くべきことがあった。それは実際に見てもらったほうが早いだろう。

 

「さあ、皆出てきて」

『ガウ』

 

 これはリオ。

 

『ウオン』

 

 これはカティ。

 

『ピッカ』

 

 これはユウヒ。

 

『フィー』

 

 これがイヴ……言ってもわからないか。なんとイヴがイーブイからエーフィに進化したのだ。これがおかしなところなんだよな。ゲットしたばかりでなつき度はあまり上がってないはずなんだけどな。

 

「ねえイヴ、どうしてあなたは進化したの?」

『そんなこと言われてもわからないよ』

 

 イヴに聞いても芳しい答えは返ってこない。質問を変えるか。

 

「う~ん、じゃあ進化するときなに考えてた?」

『えっと、ユウヒと一緒にリオに向かっていってるときにね、なかなかリオに攻撃が当てられなくて、ユウヒとのコンビネーションもあまりうまくいかなくて、それでもっとユウヒの役に立ちたいって思ったの、そしたら急に体が光りだして進化したの』

 

 ふむ、ユウヒの役に立ちたいねえ……もしかして私に対するなつき度ではなくユウヒに対するなつき度で進化したのではないだろうか。うんこれなら辻褄が合うな。なるほどな、まさか人とのなつき度で進化するものだと思っていたがポケモン同士のなつき度で進化することもあるんだな。あれ? そしたら自然界にはエーフィやブラッキーで溢れてるんじゃないか? でもそんなことはないし。むむむ、また分からなくなってきたぞ。う~ん……。

 

『どうしたの? 考え込んで』

 

 考え事をしているとリオが声を掛けてきた。

 

「いや、なんでもない。まあとにかく進化できてよかったねイヴ。これでもっとユウヒの役に立てるよ」

 

 そう言って私は笑いかける。

 

『えへへ、そうだね』

 

 するとイヴはとても嬉しそうに笑った。この反応はもしかしてユウヒに惚れてる? まあパーティ内恋愛は自由だからとやかく言わないがユウヒに一つ言いたい。リア充爆発しろ!

 閑話休題。

 

「さて次は今後の修業内容についてだね。まずは全員に言っておくけど次からは技の習得を中心にレベル上げを並行して行っていきます」

『技の習得?』

「そう。技の習得。まずはリオだけどあなたにはきあいだまときあいパンチを習得してもらう。きあいだまは、はどうだんよりさらに力を込めるとできるぞ。きあいパンチはおもいっきり手にパワーを込めてパンチするんだ」

『うん、わかった』

「次はカティ、あなたにはしんそくとフレアドライブの同時使用に挑戦してもらう」

『しんそくとフレアドライブの同時使用?』

 

 カティは不思議そうに首を傾げる。

 

「そう。しんそくの速度でフレアドライブを撃てたら必殺の一撃になると思わない?」

『へえおもしろそう! わかった。やってみる!』

 

 カティは楽しそうに頷いた。よしよし、まあこれはできるかどうかわからないがやってみる価値はあると思う。もしできれば切り札になるし同じくしんそくの使える可能性のあるリオやユウヒにとっても大きな希望の星となる。

 

「そしてユウヒ、あなたはひき続きボルテッカーの習得に努めてもらう」

『わかった。でも今日一日頑張ってみたんだがあまりいい結果は得られなかったぞ』

「うん、そのことなんだけどもう少しだけ頑張ってみてくれないかな」

『まあいいさ、あんたがそういうならもう少し頑張ってみよう』

「最後にイヴ、あなたにはサイコブーストを覚えてもらうよ」

『え? 今日覚えたサイコキネシスじゃなくってサイコブースト?』

「そう。サイコブースト。サイコブーストはサイコキネシスのパワーを限界まで高めて球状にして打ち出す技だ。それを習得してもらう」

『ふ~ん、わかった、やってみるよ』

 

 まあ技のイメージはしんそく、ボルテッカーなんかもそうだが私の憶測にすぎないから習得できる可能性が高いとは言えないと思うがカティのしんそくの例があるしやらせてみる価値はあると思う。

 サイコブーストは、まあ、習得するのは無理だろうと思う。これはあくまでも実験だ。ポケモンがゲームで覚えることができなかった技を習得できるかどうかの。出来れば儲け物。出来なくとも何の問題もない。そんな感じだ。

 

「さあ今日の会議は終わり。みんな晩御飯食べにいこう」

 

 さて晩御飯を食べ終わったらやることやって寝るとしよう。

 




ありがとうございました。

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