ポケットモンスター鳴   作:史縞慧深

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前書きって何を書けばいいかわからない私です。
それではどうぞ。


7話 ジムリーダーとバンド

「嘘でしょ。ホミカが負けるなんて」

 

 呟く声が聞こえる。どうやら周りは完全にホミカが勝つと予想していたようだ。

 

「いよっしゃあ! やったぜ! リオ!」

 

 リオに駆け寄り思わず抱きしめる。

 

『ちょ! 痛いって! あいたたた!』

 

 キズに障るのか痛がるリオ。

 

「ああごめんごめん。戻ってリオ」

『まったく……』

 

 リオはそう溜息をついてボールに戻る。

 

「ふう……戻れ、ペンドラー。よくやったな」

 

 そう言ってホミカはペンドラーをボールに戻す。

 

「メイ、ありがとう、いいバトルだった」

 

 ホミカは手を差し出してくる。

 

「こちらこそ。いいバトルだった。ありがとう」

 

 私は差し出された手を見て握手に応じる。

 

「あ~もうっ! 悔しい! まさか負けるなんて。アタシもまだまだだな」

 

 ホミカはそういって悔しがる。

 

「そんなことないよ。ホミカは強かった」

「ふんっ、嫌味か。勝者の余裕ってやつか?」

 ホミカはそう言って軽く睨んでくる。

「ごめんなさい。そんなつもりじゃ」

「ははっ、冗談だよ、気にするなって。それよりポケモンセンターにいかないか? ポケモン、回復させてあげたいだろ? みんな、午前の練習は終わりだ。アタシはメイといっしょにポケモンセンターにいってくる。さ、いくよ」

 ホミカの勢いに押されて私はとりあえず承諾する。

「えっ、ああ、うん、わかった」

 

 突然ポケモンセンターに誘われて若干驚いている。いったいなんだろう……。だめだ、まったく思い浮かばない。やっぱりさっきの言動を気にしているのだろうか。まあいいか。考えてもわからないし。原作キャラとお近づきになれたことを素直に喜ぶとしよう。

 考え事をしているとポケモンセンターに着く。

 

「ようこそ! ポケモンセンターへ!」

 

 ジョーイさんの元気な声がセンター内に響く。

 

「ジョーイさん、ポケモンの回復をたのむ」

 

 ホミカはジョーイさんにモンスターボールを渡す。

 

「あっ、私もお願いします」

 

 そう言って私もジョーイさんに渡す。

 

「はいわかりました。二人のポケモンをお預かりします」

「さあ、ポケモンも預けたし、一緒にご飯でも食べようよ」

 

 ホミカから昼食の誘いがくる。

 

「うん、わかった」

 

 それに同意して一緒に食事をすることにする。ポケモンセンターにある食堂に着いて料理を注文しホミカの向かいの席に座る。

 

「ところでどうして私を食事に誘ったのでせうか」

「ん? だめだった?」

「いやそんなことはないです。むしろ誘っていただいてうれしいです。はい」

 

 未来のジムリーダーと知り合いになれたのだから嬉しいのですよ。

 

「それならいい。で、なんで敬語になってんの? 敬語じゃなくていいよ」

「あ、うんわかった」

 

 しばらくすると料理ができた合図のベルがなったので料理を取ってくる。

 

「「いただきます」」

 

 私とホミカが合掌する。

 

「それで、なんで私を食事に誘ったの?」

「実はな、少し聞いてもらいたいことがあるんだ」

「え、会ったばかりの私に?」

「会ったばかりだからだよ。第三者の意見が聞きたいんだ」

 

 聞きたいこととは何だろう。あっ! もしかしてジムリーダーとバンドについてか! 原作じゃホミカはジムリーダーとバンドを掛け持ちしていたもんな。

 

「実はな、アタシ、ジムリーダーにならないかって誘いを受けているんだ」

 

 やっぱりか。よし、ここはホミカの背中を押してあげるとしよう。

 

「ジムリーダーになれるのはトレーナーとして素直にうれしい。けどバンドもようやく軌道に乗ってきたところなんだ。だからアタシはどっちを選べばいいんだろうってな。なあ、メイはどう思う?」

「う~ん、どっちもやるってのはだめなの?」

「え?」

「だから、ジムリーダーもバンドもどっちもやるっていうのはだめ?」

「でもそれだとどっちかがおろそかにならないか?」

「でも多くのジムリーダーは何かを掛け持ちしてるよ。有名なところでいえばライモンジムのカミツレさんなんてモデルとジムリーダー掛け持ちしてるじゃん」

「そうは言ってもな」

「……ホミカは責任感が強いんだね。どっちも大事なことだと思っているからこそどちらもおろそかにはできない、だったら最初からどちらかをあきらめたほうがいい、そう思っているんでしょ?」

「……そうなのかもな」

「それでいてどちらもやってみたいことなんでしょ。だったらどちらもやってみるべきだよ。大丈夫だよ、他の誰かができてあなたができないなんてことはないよ」

「…………」

「最初はうまくいかなくて皆に迷惑をかけるかもしれない、でもあなたの仲間はそれを許してくれないほど心の狭い人たちじゃないでしょ。きっとあなたを応援してくれるよ」

「……そうかな」

「そうだよ。大丈夫。きっとあなたならできる」

「……ありがとな。相談したのがメイでよかった。おかげで決心がついたよ。どっちもやる。ジムリーダーもバンドも精いっぱいやり抜く。よし! 決めたらなんかやる気がでてきた!」

「そっか、力になれたのなら嬉しいよ」

 

 そして料理を食べ終わる。

 

「なあ、メイはこれからどうするんだ?」

「私? どうって、このまま旅を続けるつもりだけど」

「そうか、ならお別れだな。なあ、今夜、時間はあるか?」

「あるけど、どうして?」

「今夜アタシたちのライブがあるんだ、よかったら聞きにこないか?」

「うん、いくいく」

 

 おお、これから有名になるバンドの生演奏を聴けるなんて、こんな機会なんて滅多にないぞ。もちろん行くに決まっている。

 

「じゃあ今夜のライブ楽しみにしていてくれ。またな」

 

 そうして食堂を去っていくホミカ。さて、じゃあ夜まで時間をつぶすとするか。

 

 

 

 

 

 ポケモンたちは元気になり、夜になる。約束通りライブ会場へと向かう。ライブ会場に到着し中に入る。

 

「お客様、ライブチケットをお見せください」

 

 そう言われたのでホミカに招かれたことを伝える。

 

「あなたがメイ様ですか、かしこまりました。ではこちらへどうぞ」

 

 特別席に案内される。

 

「まもなくライブが始まります。それでは今宵は存分にお楽しみください」

 

 しばらくするとライブが始まる。

 

「みんなー! 今日はアタシたちのためにあつまってくれてありがとー! 今日はいっぱい楽しんでいってくれよな!」

 

 ホミカが観客に向かって感謝の言葉を述べる。

 

「さっそくいくよ! 一曲目……」

 

 そうして曲の演奏が始まる。ライブは大きな盛り上がりを見せ、大盛況のうちに終了した。私はライブが終わったあとホミカの下を訪ねる。

 

「やあ、メイ、どうだった? アタシたちのライブ。楽しんでくれたか?」

「うん、本当に楽しかったよ」

「そいつはよかった。楽しんでもらえてなによりだね。そういえば、明日、朝一番で出発するのか?」

「うん、そのつもり」

「そっか、なら明日見送りに行くから。それじゃ、また明日な」

 

 ホミカと別れると他のバンドメンバーが話しかけてくる。

 

「メイちゃん、今日はありがとう。ホミカから聞いたわ。ホミカ、ここのところジムリーダーとバンドのことで悩んでいたらしいじゃない。そのことで背中を押してもらったって言って今日は何か吹っ切れたような表情をしていたわ。ホミカの相談に乗ってくれて本当にありがとう」

「そんな、いいですよ。私はほんのちょっと後押ししただけですし」

「そう言ってもらえると嬉しいわ。明日、私たちも見送りに行くから。それじゃあね」

 

 そうして他のバンドメンバーとも別れる。さて、今日はもう疲れたしポケモンセンターにいって休むとするか。

 そして、次の日の朝、船着き場にて。

 

「じゃあね、機会があったらまたバトルしよう」

 

 ホミカが言う。

 

「それじゃ、旅、がんばってね」

「旅の無事を祈っているわ」

 

 他のバンドメンバーも労いの言葉をかけてくれる。

 

「みんな見送りありがとう。旅、がんばってきます」

 

 船が出港する合図の警笛がなる。

 

「じゃあなー! また遊びに来いよー!」

 

 手を振るホミカたちにこちらも手を振り返す。さあ、次はヒウンシティだ。

 




ありがとうございました。

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