ポケットモンスター鳴   作:史縞慧深

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前書きに書くことがないでござる。
それではどうぞ。


20話 リオとコジョンド

 バトルクラブはその名の通りポケモンバトルを楽しむ人たちに向けた施設でいろんな人がバトルするのに使っている。さっそく空いているバトルフィールドを借りる。周りを見てみると大会の訓練かマルチバトルをしている人が見受けられる。

 ん? あのあっちの方でバトルしている二人、やや癖のある薄紫のボブの髪にハートの飾りのついたカチューシャを付けている水色のシャツにピンクのセミロングスカートの女の子と薄く緑がかった癖のある灰色のセミロングの髪に帽子をかぶった黄色いシャツに緑のスカートの女の子、どこかでみたことがあるんだよな~。私の記憶が正しければとあるシューティングゲームに出てくるキャラクターにそっくりだ。……まあ気にしててもしょうがない、あなたはゲームに出てくるキャラクターにそっくりなんです、本人ですか? なんて聞けるわけがないからね。こんなことはいい。さっさとバトルを開始しよう。

 

「リオ! Start the Struggle!」

『おおおん!』

「出てきて、コジョンド!」

『ヒュイイイン!』

 

 私とMは互いに大会に出すポケモンを出す。

 

「さあいこうか! リオ! きあいパンチ!」

「こっちも! コジョンド! とびひざげり!」

『はあああああ!』

『しっ!』

 

 リオの拳とコジョンドの膝がぶつかり合い、衝撃波があたりに広がる。くっ! さすがMのコジョンド。リオのきあいパンチと同格とは。

 

「リオ! 両手で連続のはっけい! 攻撃がきたらみきりでかわして!」

「こちらも両手で連続のはっけい! みきりも使って!」

『おおおおお!』

『ふっ!はっ!』

 

 リオとコジョンドははっけいとみきりを駆使し、互いに攻撃と回避を繰り返す。ははは、すごいすごい! ここまで強いとは! リオと互角なんてね!

 

「埒が明かない。リオ、いったん距離をとって!」

 

 リオはコジョンドとの撃ち合いをやめ、コジョンドから離れる。

 

「さすがだね、メイ、リオ。でも負けない! コジョンド! とびはねる!」

『ふっ!』

 

 コジョンドは思いっきりジャンプし空中へと舞い上がる。

 

「そしてそこからはどうだん!」

『くらいなさい!』

 

 そしてコジョンドは空中から連続してはどうだんを撃ち込んでくる。

 

「リオ! しんそくで躱して!」

『くっ!』

 

 リオは次々と襲いかかるはどうだんをしんそくで動きまわることでかわす。

 

「コジョンド! 見切りのドレインパンチ!」

『はっ!』

 

 ! なに!? 合体技!? 一体どんな効果が? いやそんなことはいい。とにかく躱さないと!

 

「リオ! みきりで躱して!」

『くそっ!』

 

 空中から襲いかかるコジョンドの拳をリオはみきりでぎりぎり躱す。コジョンドの拳はそのまま地面にたたきつけられ、ドゴオ! という音とともに地面を割る。

 

「すぐ追撃して! コジョンド! とびひざげり!」

『しっ!』

 

 ! まずい! みきりは今やったばかり! 避けられない! リオにコジョンドのとびひざげりがせまる。

 

「リオ! ボーンラッシュで受け流して!」

『うおっ、らあっ!』

 

 リオはボーンラッシュで生み出した棒の先端をコジョンドの膝に当て綺麗に力が逸れるように棒を動かす。そして何とかコジョンドのとびひざげりを受け流しきる。攻撃を逸らされたコジョンドは空中で華麗に身を翻し、着地する。本来とびひざげりは躱された時は反動ダメージがあるのだが、こうも綺麗に着地してしまっているとダメージは望めないな。

 

「今のも躱されるなんて。でも、まだまだ! コジョンド! ねこだまし!」

『ふっ!』

 

 しんそくをも上回るスピードでコジョンドがリオに接近しリオの目の前で手をパアン! と合わせる。その衝撃でリオがひるむ。まずい!

 

「今! コジョンド! とびひざげり!」

『もらったわ!』

「リオ! 全力でガード!」

『くっ!』

 

 コジョンドのとびひざげりがボーンラッシュの棒を砕きリオの体に突き刺さる。リオはその衝撃で吹き飛ぶ。しかし幸いまだ体力が残っているのかリオはなんとか立て直す。ボーンラッシュの分でわずかに残ったらしい。よし、ならまだやりようがある!

 

『ぐっ! はあ、はあ』

「ちっ、仕留め損ねたか。コジョンド! まだ油断しちゃだめ。メイとリオは何してくるかわからないから」

『わかってるわ』

 

 コジョンドとMは油断のない瞳で肩で息をするリオを見つめる。どうする、もうこちらは満身創痍。次の一撃で決めないと確実に体力がもたない。なにか一撃で相手に致命傷を与える技はないか。しんそくとカウンターの同時使用でいけるか。だがこちらの攻撃に合わせてみきりを使われるとおしまいだ。どうする……! そうだ! さっきMはみきりを攻撃技と組み合わせて使っていた。もしみきりが攻撃技と組み合わせて何か新たな効果が表れるのだとしたら。もしみきりがその名の通り相手の動きを見切ることができるのだとしたら。もしみきりが相手のみきりすら見切ることができることができるとしたら……! さっきひるんだおかげですばやさが上がっている今ならいける!

 

「リオ! いくよ……!」

『うん!』

「くる……! コジョンド!」

『くるわね』

 

 リオは全身に波導を滾らせて構える。コジョンドもこちらの気合を見て感じ、攻撃に備える。

 

「リオ! 見切りのカウンター!」

『はあああああ!』

「! 見切りのドレインパンチ!」

『ふっ!』

 

 リオとコジョンドは互いの攻撃を避け、また当てようと接近し、そして……互いの攻撃が当たり、両者は反対方向に吹き飛ぶ。

 

『ぐああああ!』

『がはっ!』

 

 コジョンドは吹き飛んだあと倒れて動かない。そしてリオも倒れている。これは……

 

「引き分け、だね」

「そうね。……ふう。いい勝負だった。戻って、コジョンド。よく頑張ったね」

 

 Mはふうっと息を吐いてコジョンドをモンスターボールに戻す。

 

「戻って、リオ。お疲れ様。あーそれにしても危なかった。もう少しで負けるとこだった」

 

 私もリオをモンスターボールに戻す。

 

「まさかあの土壇場で私の技をまねるとは思わなかった。あ~あ、せっかく思いついたのにもう盗られちゃった」

 

 Mは残念そうに呟く。

 

「ねえM、みきりを攻撃技と組み合わせるとどうなるの?」

「わからないでやったの?」

 

 私が尋ねるとMは若干呆れが混じった声色で返してくる。

 

「いやあ、簡単な推測はしたよ? もしかしたら攻撃技と組み合わせると新しい効果があるんじゃないかなーとか、相手の動きを見切ることができるんじゃないかなーとか」

「後者が正解。説明すると、もともとみきりは相手の技を見切ることで攻撃を躱す技だよね。それで私は聞いてみたの、みきりを使うとどんな感じになるのって。そしたらコジョンドはこう答えた。“周りの動きがスローに見えて視界に死角がなくなる”って。そして私は思った。これは攻撃にも生かせると。周りの動きがスローに見えるということはより正確に相手をとらえることができるということ、相手を正確にとらえられれば命中率だって上がるし、的確に急所も狙える。相手のみきりすら見切ることができる。今回はみきりの精度がそっちが上だったのか失敗しちゃったけど」

 

 へえ、そう考えるとそうだな。それに私の推測は当たっていたんだね。

 

「その感じだとカウンターのように使えそうだね」

「そうね。まあ、どちらにせようまく使えば切り札になりうる必殺の技には違いない」

 

 やったぜ。またリオが強くなれた。

 

「それはそうと、どうだった? リオの動き、わかった?」

「そうね。だいたい理解できた。そっちはどう?」

「こっちもだいたいわかったよ」

 

 よし、成功だね。

 

「じゃあ、あと細かい連携はポケモンセンターに行って確認しよう」

「そうね。コジョンドを回復させてあげたいし」

 

 そうして私たちはバトルクラブを出てポケモンセンターに行く。この日はもう訓練することなく、細かい連携について話し合いをするだけで終わり、ポケモンセンターで休んだ。次の日は二人でリオとコジョンドのコンビネーションを高めるための修業に費やして終わり、ついに大会当日を迎えた。

 




ありがとうございました。

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