今回はこれゾン的にも欠かせないあの名前の彼女が登場。ユーとの関係や如何に。では、どうぞ。
前回、マリアさんは私達に連絡しようと思ったけど携帯電話を持っていなかった(既にスマホを買っていた私は屋敷に忘れていた)からそれが叶わず、今時はどんなヒーローでもケータイで変身するから不便・・・じゃなくて、不便なのは確かなので、マリアさんがお金を出してくれてハヤテの携帯電話を買いに行くことになった私たち。
せっかくだからと最新機器を買ったハヤテが多すぎるアドレス帳を見て「そんなに友達居ないしいらないけどね♪」と自虐し勝手に落ち込んで私が呆れたりした。
『元の学校の友達は?』
「もう行くことはないしどうだろう?・・・最後に会ったのはクリスマスイブだったけど・・・」
『ごめんなさい』
「気にしなくていいよ。でも色々あってゆっくり考える暇なかったし、でも三学期分の学費は入れて置いたはずなのでまだ正式に止めた訳じゃないですし、戻ろうと思えば戻れなくも・・・学校、戻りたいのかな僕」
『行ってみる?』
「え?」
『ヒナが言っていた・・・少しぐらいわがまま言わないと幸せつかみ損ねると』
「なんで天道総司風なんですか・・・よし、行ってみますか。もし会えたらユーも紹介したいし」
『どう説明するの?』
「・・・・・・・・・・・・腹違いの妹?」
『屑の親なら有り得るかもしれないけども』
むしろ、よく原作にイクサさん以外のハヤテの兄弟が出て来なかったなと。・・・まあ、しょうがない。私は覚えているけど、現実見せないとハヤテの心が壊れそうで困るし。行きますか。
そんな訳でやって来たハヤテの母校、潮見高校。まあ何というか、よくある学校である。ハヤテは私服で、私はTシャツとズボンとラフな格好だ。もちろん頭部のプレートアーマー・・・ヘルムだっけ?は装着したままだ。これ外したら魔力がドバドバ流れてメガロの大群が押し寄せる可能性大なのである。そんなん来たらさすがに死んじゃう。ハヤテが。
「うーん、何となく勢いで来ちゃったけど・・・今日平日だし授業中かも・・・入り辛いなあ・・・」
『白皇と違ってここの生徒なら堂々と入れば問題ない』
まだここの生徒ならね(意味深)。すると背後に気配を感じて振り返ると、「あの・・・」とハヤテに声をかけようとしていた少女が一人。薄い黒髪を短いツインテールにしていてここの制服を着ている。もしかしなくても、ハヤテのごとくのヒロインの一人にして生粋の普通の人、
「綾崎君・・・よね?どうしたの、私服な上に女の子連れでこんなところに・・・」
「に、西沢さん・・・お久しぶりです」
「うん、久し振りだね。宗谷君達もみんな心配してたよ。綾崎君、新学期始まってから全然来ないから・・・」
まだ二日ぐらいしか経ってない気もするけど。ところで宗谷君って高校最速のスイマーにして微妙なトリビア大好きの「ハヤテのごとく前 海の勇者ライフセイバーズ」の主人公である南野宗谷でしょうか?ファンです、会いたい。
「いや・・・ちょっと色々あって・・・」
「色々・・・?この子と関係あるの?」
「あ、うん。この子は僕の双子の妹らしい綾崎悠。で、ちょっと親に売られてユーに助けられて、なんだかんだで今執事をやっているんだ~・・・あはは・・・」
『初めまして。私はメイドしてる』
「あ、はい初めまして・・・って綾崎君、双子の妹さんいたの!?似てない!」
『腹違いだから・・・』
「なるほど・・・それって双子って言うのかな? でもよかったよ。ようやく今年初めて綾崎君の顔が見れて、本当に嬉しいよ・・・」
顔を赤らめてそう笑う西沢さん。惚気かな?安心して、これから嫌でも何度も会うから。そして私の出自は気にするな。ぶっちゃけ私にも分からない。
「へ?」
「な!なんでもないよ!?別に深い意味は無いよ!?」
「何、朝からいちゃついてるんだお前等」
「ふあ!?そ、宗谷君!?」
噂をすれば現れたのは銀髪・・・?を逆立てた目つきの悪い少年。南野宗谷君ですね。ファンです。握手したい。でもそれは変人でしかないか、次プライベートで接触してみよう。・・・あっちの原作開始は今年の夏だっけ?長いなぁ・・・・・・・・・あれ、ギルバートも出ていたはずだけど時系列どうなるんだろう?もしかして去年の夏なのか・・・?それなら辻褄合いそうだけど。
「つーかハヤテじゃん。最後に会ったのはイヴだよな?それが女連れて・・・お前、学校やめたって噂になってるぞ」
「別にやめた訳じゃありませんよ・・・あと、そういうのじゃありません。妹です」
「妹居たのかお前。・・・ふーん、そっか。よかったな西沢、愛しの王子様が戻ってきて」
「ばっ!」
一発殴られて沈む宗谷君に「クラスメイトを心配するのは当然でしょ!」と捲し立てる赤らめた顔の西沢さんに、ハヤテは笑顔で礼を言う。・・・いっそ今言ってしまいたい。しかし私はどうしてもリアルハゲを見たいのだ。我慢しよう。とか言っていたら来たようだ。
「でも、だったら・・・やっぱり頑張って通ってみようかな・・・」
「は?何言っとんだ綾崎。お前、退学になってるぞ」
「「・・・・・・」」
通りがかりついでにそう言ったのはバーコードみたいなハゲ頭で眼鏡を書けたザ・先生の様な年配の男。というかここの先生だ。瞬間、ハヤテと一緒に黙った西沢さんが強烈な一撃を叩き込む。うわっ、痛そう。
「いいのかな?教師がそんな軽薄な嘘を吐いて・・・」
「や、やめろ西沢!ワシは事実を言っただけなんだァ!」
そうだとしてもタイミング読もうよ。ハヤテの絶望した顔ヤバいよ?
「クリスマス・イヴの昼頃、綾崎の両親が来て・・・、あの子はもう学校に来ないから学費の残りを返せって・・・」
「学費ってハヤテ君、自分で働いて出してたんじゃ?親が出してくんないから」
「う、うん・・・まあ、ね・・・」
「それでお金渡して退学って・・・!あんまりですよ!それでも教師ですか!」
「いや、でもな西沢、御両親が・・・」
知ってた。・・・知ってたからこそ、怒りが募るね。コナン君に依頼したけど、あの二人の居場所を捉えるには三千院家を使わないと無理かもしれない・・・それほどに狡猾だ。あと屑だ。
「ユー、帰ろう。やっぱり僕は、学校に行けないみたいだから・・・」
「・・・」
ハヤテ、そんな悲しい顔をしないで。ああ、学校に行きたいと思わせるためだとはいえ、私は知っていたんだから連れて来ない方がよかった。私一人で確認しに行って、後で伝えればよかった話だ。こんな、希望を持ったところに不意打ちで伝えなくてもよかった。
そのまま黙って去ろうとするハヤテに付いて行くと、後ろから西沢さんの声が上がった。
「綾崎君!どこに行くの、まさかこのまま本当に居なくなっちゃうの!?そんなの駄目、大丈夫!教育委員会とかで問題にすればきっと・・・!」
『今さら教育委員会なんかにどうにかできるとは思えない』
「そ、それは・・・そうかもしれないけど・・・」
そうだ、教育委員会やらがちゃんと働けばハヤテは早い段階であの両親から離れられたはずなんだ。それを、あの親共は自分達が働かずに
「それに、そんな事をしたら僕の親の我儘のせいで先生たちに責任を取らされてしまいます。僕の事なら心配いりません。ちゃんと居場所もあります、ユーもいますし・・・だからもう、さよならです。西沢さん」
「ッ・・・待って、綾崎君!」
「・・・はい?」
寂しそうな笑顔で離れようとしたハヤテの背中を、私を追い越した西沢さんの手が触れて止める。おおう。これはまさか。と思うまでもなくその顔は真っ赤で。
「綾崎君が好きです!」
ハヤテside
「このまま・・・お別れなんてイヤ、だから私と・・・付き合ってくれませんか?」
西沢さんは、宗谷君達と同じでただのクラスメイトだった。・・・いや、よく気にかけていた気がするけど正直忙しすぎて覚えていない。だから、そんな子にいきなり告白されて、一瞬ユーに助けを求めようと思うぐらい混乱したけど、次の瞬間不思議なことが分かった。
無意識に、ハラハラとこちらを窺うユーを見て、その隣に何故かその人の顔が瞬間的に頭をよぎって・・・その人の、やたら悲しそうな表情が何よりも印象的で・・・少なくとも、その時僕の目に告白して来た少女は映っていなかった。
「・・・付き合って、くれませんか?」
「え・・・、あ・・・その・・・」
ハラハラを通り越して何故かオロオロし始めたユーを見て、どうすればいいのか考える。・・・嫌われるように断る方が男らしい、かな。嫌われる様な言い方・・・さすがに二次元にしか興味は無いんだ、は駄目だと思うし何より信じられるような理由が無いと・・・あ、そうだ。
「ご、ごめん・・・・・・実は僕、そこのユー・・・妹に恋しちゃったんだ」
「「「「!?」」」」
その瞬間、全てが凍り付いた音がした。というか全員、凍り付いていた。西沢さんは蒼白で、宗谷君達や先生はショックを受けた様な顔、そして言い訳にされたユーは・・・
「!?!?!?¢£%#&□△◆■!?○×☆♯♭●▲★※!?―――――――・・・/////!?」
何故か、顔を紅くして無言で悶えていた。・・・あ、もしかして爆弾発言?や、ヤバい・・・早く訂正しなきゃ死ぬ・・・世間体もだけど物理的に・・・!
「・・・と、言うのは冗談で・・・今はその・・・放っておけない人達が・・・」
「あ・・・あ・・・綾崎君のバカーーーーー!!」
「たーーーー!?」
瞬間、西沢さんから強烈な平手打ちを受けて僕は思いっきり吹き飛び、彼女はそのまま走り去って行った。・・・ああ、泣かせちゃったな・・・
「・・・あー、なんだその・・・ハヤテ・・・?」
「・・・なにかな、宗谷君?」
「立てるか?」
「今はまだちょっと・・・」
「じゃあ、お前の妹が何か何時の間にか鎌を構えて近付いてきているけど大丈夫か?」
「大丈夫じゃない、大問題だ・・・!?」
宗谷君の言葉に慌てて飛び起きると、今の今まで僕の胸があった場所・・・背中すれすれに大鎌が突き刺さった。振り向くと、そこには涙目で頬を膨らませて顔を真っ赤にしたユーが・・・あ、不味い・・・なんか激怒してる・・・?
『Hayate Must Die!』
「いや、その・・・ごめんってユー!?」
そのまま西沢さんを追う様にして全力で逃げる僕と、何時も以上の速度で目を光らせて追って来るユーの追いかけっこが始まった。
結局その後、夢中で横から来るのに気付かなかったトラックに、轢かれた勢いでジャンピング土下座を決めた僕にユーもさすがに許してくれて、落ち着いてから何で怒っていたのか聞くと「恥ずかしいから冗談でも言うな」だったとか。いや、初対面で目を釘付けにされたのは本当で・・・はい、反省してます。ごめんなさい。
・・・西沢さんにも悪いことしたなぁ・・・あ、後で宗谷君にメール送って謝っておかないと・・・・・・・・・メルアド、知らないや。
ユーSide
さ す が に 怒 る ぞ 。
二次元が好きなんだと言う迷台詞を期待して待っていたら唐突に告られて、恥ずかしくなって混乱していたら冗談だと言われて。泣くわ。ナギでも泣くわ。というか告白されて冗談だと言われたら誰でも泣くわ。根本的に女の子が苦手でお笑い漫画の主人公だと言うのは知ってるけど、何でよりにもよってそんな台詞を選ぶかなー!?
これから西沢さんとは長い付き合いになると言うのに次会ったらどんな顔をすればいいのか。・・・結局私の大鎌は当たらなかったけど、殴るぐらいはしといた方がよかったかもしれない。
「た、ただいま戻りました・・・」
「お、ハヤテとユーか。おかえり・・・ってハヤテ、どうしたのだその顔?あと何か轢かれたみたいにボロボロだが」
「いやちょっと・・・ユーを怒らせてしまって・・・」
『自業自得』
顔は私じゃないけどね。半月前には居なかった自称妹が好きだと想い人に言われた恋する乙女の心を考えればまだ足りないくらいだ。あ、思い出したら蹴りたくなってきた。えいっ、えいっゲシッゲシッ
「いたっ、痛い、痛いよごめんってユー!?」
「お、おう・・・ここまでユーが怒っているのはギルバートの件以来だな」
あの時はナギの為に怒りました。今回は割と私的な理由で怒ってます。えいっ、えいっゲシッゲシッ
「ところで二人共、ケータイ買ったんだってな?ちょっと貸してみろ」
「「?」」
待ちきれないと言った様子で近付いてきたナギに、喧嘩を止めて言われた通りそれぞれのスマホを手渡す私達。なんだっけ?
「お嬢様、何を?」
「ん~~~?・・・っと、よしっ!」
手慣れた操作で何やら打ち込んだナギは、ニパッと笑顔で返してきた。
「はい♪アドレス帳に私の番号を登録しておいたぞ♡ハヤテのは一番だ、嬉しかろう?」
「・・・あは。ありがとうございます、お嬢様♡」
『そう言えばマリアさんとこの屋敷とヒナの番号しか登録してなかった』
「友達少ないんだなユー・・・うむ!これからはメールでも電話でも好きなだけするがよい!まあ、こんなもの無くてもお前達は私のピンチに駆けつけてくれるだろうがな?」
そう、信頼しか籠ってない笑顔に、私達は自然に顔を見合わせ、満足気に頷いていた。
「はい、お任せくださいお嬢様」
『私の電話はあまり気にしないでね?』
「うむっ、信じているぞ二人共!」
なんやかんや会ったけど。やっぱりこの関係が一番だ。・・・次、告白して来たら問答無用でブッ飛ばそうそうしよう。
・・・西沢さん、やっぱり諦めてないんだろうなぁ。絶対接触して来るよ・・・ま、是非も無いよネ!
ユー、色んな意味でブチ切れ回でした。二次元にしか興味は無いんだはナイワーとか考えていた結果がこれだよ!ハヤテはギャグ漫画の主人公だから・・・
今回初登場、西沢歩は名前繋がりでゾンビにしたいですがさすがに保留です。何故かって普通の人だから魅力があるのと、ただでさえ超人染みているのにこれ以上パワーアップさせるのは・・・と言う理由。ユーとの関係は恋敵、に納まりました。これからどうなって行くのかこうご期待!
次回は再び、白皇学院!今度の内容は薄いのでできるだけ早く更新したい・・・次回もお楽しみに!感想や評価などをいただけると励みになります!特に、感想をいただけると感無量です!