これは執事ですか?はい、だけどゾンビです   作:放仮ごdz

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半分以上できていたプロットのおかげで今回は一週間ぐらいで投稿できました、知り合いからいらないサンデーをもらって読んでいるため何時の間にか原作が終わってるとネットで知ってビビった放仮ごです。
・・・早く最終話見ないと(使命感) あ、僕の原作知識はヒナギクVS姫神の空中戦までです。面目ない。

今回はヒナギクに引き続き、桂姉妹とハヤテの邂逅。ユーの出番が珍しく少ないです。原作以上の衝撃的なヒナギクとハヤテのファーストコンタクト。では、どうぞ。


これは潜入ですか?はい、後は任せて先に逝け

「うわぁ・・・」

 

 

噂には聞いていたけど、本当に凄いなこれは。リーンゴーンリーンゴーンとここまで音色が響く巨大な時計塔を中心に広がる校舎と、その周りを覆う森しかここからは見えないがそれだけでも圧巻の一言だ。本当にここ、東京なのだろうか?

 

 

『この中からナギを捜すのは少し大変?』

 

「少しじゃないと思うよユー・・・」

 

 

僕の隣でのほほんとそう述べたユーに一応ツッコんで置く。まあ確かに、お嬢様の事だし教室か食堂なんかを見付ければ早いのかもしれない。でも絶対テラスとかそう言うのあるだろうしなぁ・・・そんな事を思いながら、門の奥へと入ろうとした時だった。

 

 

「お待ちなさい!」

 

 

呼び止められ、その方向を向くと居たのは緑っぽい髪をした女性が。出席簿を持っているところを見るに教師だろうか。

 

 

「貴方達、この学校の生徒じゃないわね!一体何者?正体を明かしなさい!」

 

「へ?あ・・・ここの先生ですか?あ、いや僕達はですね・・・この学校に通う三千院ナギ・・・へっ!?」

 

「嘘をつくなー!・・・ありゃ?」

 

『危ない』

 

 

一瞬の後、そんなメモを片手に持ったユーが教師(?)の振るった出席簿による僕へのダイレクトアタックを女性の腕を掴むことで防いでいた。まるで分かっていたかのような迅速な対応だ。さすがはユー。無理矢理ユーの手を振りほどいた教師はもう一度僕に向けてダイレクトアタックを仕掛けるが、今度はユーの足払いを受けて転倒して尻もちを着き、若干涙目でこちらを睨んでくる。

 

 

「とにかく!貴方がナギちゃんな訳ないでしょ!あの子胸は無いけど一応女の子よ!女の子!それにチビなのよ!そこの無口っ子がそうだと言うならともかく嘘とクレジットカードには限度があるのよ限度が!あと何でナギちゃんぐらい小さなその子がこんなに強いのよ!?」

 

「い、いえ・・・そうではなくて・・・」

 

『私が強いのではなく貴女が弱いだけ』

 

 

何やら無表情でドヤっているユーになめられたと思ったのかさらにブチ切れる教師。ユー、楽しいのは分かったけど少しは自重して・・・

 

 

「僕はその、ナギお嬢様の執事なんです。この子は僕の妹でメイドしてまして・・・」

 

「いい加減な事を言うなー!」

 

「!?」

 

「がはっ!?」

 

 

尻もち着いた状態からの、一気に飛び上がった事による唐突な昇竜拳にユーも反応できず、僕は顎を殴り飛ばされ宙を舞う。ゾンビじゃなかったら泣いてた。あの時の、轢かれた痛みに比べたらどうってことない。・・・あ、ユーが若干涙目になってる。僕は大丈夫だから気にしなくていいよとアピール。しかしこの教師、人の言う事を聞かないなぁ・・・

 

 

「そんな貧相な顔の執事がいるもんですか!まあ中にはいるかもしれないけど私は見た事無いもの!私、見た事の無い物は信じない主義なの!分かる?てか分かれ!確かにそっちの子なら有り得るかもしれないけど格好がどう見てもコスプレじゃない!なに?メイド服の上から鎧とかナギちゃんの趣味なの!?背丈や胸の大きさも似てるし、自分の代わりにコスプレさせて楽しんでいる訳?そんなことする子じゃないわよ!」

 

「いや、僕はコスプレされた事があったんですが・・・」

 

『これにはやむを得ない事情がある』

 

「知るか!てか説得したいなら言葉で話しなさい!」

 

「僕が説明しますので・・・」

 

 

駄目だ、聞く耳持たない。それに胸について触れられたからか、ユーがキレる五秒前だ。不味い。ブチ切れて鎌やミストルティンまで持ち出したらおつかいどころの騒ぎじゃなくなる。

 

 

「貴方達が何と言おうと、私には不審者から学校を守る使命があるの。多少、貴方を勢いでブッ飛ばしてこれで不審者じゃなかったら不味いな~正当防衛にするしかないな~とか思っているけど私は使命を果たさねばならないの。何故ならこれ以上お給料を減らされたらヒナに怒られるから。だから・・・不審者って事で帰れ!いや、帰ってください頼むから!」

 

 

・・・色んな意味で残念な美女である。ヒナと言う人が誰だかは知らないが、そんな理由で帰る訳には行かない。お嬢様はきっとお腹を空かせている・・・何が何でも通らなければいけない、ユーと一緒に。・・・ゾンビパワーでユーを連れて強行突入するか?それしかなさそうだ、まずは隙を見付けなければ。

 

 

「そうは行きません。僕達にもこのお弁当をお嬢様に届ける使命があるんですから・・・帰ったらマリアさんに何を言われるか分かりませんし!」

 

「なるほど・・・使命VS(たい)使命のぶつかり合いね。負ける気しないわ、伊達に何時も貧血で倒れている訳じゃないのよ!」

 

「ええ・・・そうですね。僕だって、貧血の頻度なら負けませんよ!」

 

『何を張り合っているのか』

 

 

このひと月で何度カラカラになったか!むしろ、ゾンビでもないだろうに何でそんなに貧血になるのか。え、もしかしてこの人ゾンビ?と言う意を込めた視線をユーに向けるが、ボケーッと何かを考えていたユーはそれに気付くとフルフルと首を横に振った。違うらしい。じゃあ本当に何でだ。

 

 

「ちなみに私がこの使命を帯びているのは、私の遅刻が多い事とは無関係よ。いいわね?」

 

「え・・・あ、はい。そうですか・・・気にしないで置きます」

 

「ありがとう。一応、名前を聞いておこうかしら?」

 

「ハヤテです・・・綾崎、ハヤテ」

 

「ふ・・・綾崎ハヤテか、いい名前ね。ちなみに私は名乗らないわ!何故なら個人のプライバシーだから!」

 

「ええっ!?」

 

 

ひ、卑怯な・・・なんか決闘みたいな雰囲気になっていたから乗せられて名乗ってしまったと言うのに・・・さすが汚い、大人汚い。

 

 

「くくくっ、引っ掛かったわね綾崎ハヤテ。戦いは既に始まっているのよ?」

 

「ぐっ・・・よく分かりませんが卑怯ですよ?」

 

「私の今後を懸けた勝負に卑怯もへったくれもあるかー!ところでそっちの名前は?」

 

『この流れで言う程馬鹿じゃない』

 

「ま、そうよね。まあいいわ、綾崎妹さんと呼ばせてもらうから!」

 

「・・・」『ユーと呼べ。綾崎悠。貴女は何と呼べばいい?』

 

 

さすがのユーも変な呼び方されるのは嫌なのか否応なく名乗るついでに問いかけた。すると教師は「確かに不便ね・・・」と少し考えると、何処からともなくサンバイザーを取り出して鼻から上を隠す様に装着した。いや、もう遅いですって・・・

 

 

「私の事は謎のユキジ仮面Xと呼びなさい!」

 

『長い。』

 

「だったら謎のヒロインYよ!」

 

『ローマ!と叫びながら正々堂々と闇討ちするのかそうなのか』

 

「ユキジ先生ですね、とりあえず分かりました」

 

「あれ?何かちょっとバレた・・・とにかく!さあ観念しなさい?貴方達ではこの私を抜いて校内に入る事はできなくってよ?」

 

「ぐぬぬ・・・」

 

 

どうする?このままではじり貧だ。どうにかして強行突破して校内に・・・

 

 

『ハヤテハヤテ』

 

「うん?どうしたのユー、何か作戦でも?」

 

『横を見て』

 

「へ?」

 

「ん?」

 

 

僕の反応でユーのメモに気付いた自称謎のヒロインYと共に横を向く。そこには、謎のヒロインYとその後ろにいるユーの方に向けられた「白皇学院」と書かれた大きな表札(?)・・・あ。気付いた瞬間、僕は踵を返して駆けだしていた。

 

 

「ああ!何だもう抜けてますよ!」

 

「しまった!何時の間にか入れ替わってたー!?」

 

『さっきの昇龍拳の時』

 

 

なるほど!って、このままではユーを置いて行くことに・・・そう思い、振り向くとそこにはクラウチングスタートの体勢を取ってた謎のヒロインYが・・・

 

 

「行かせるkぎゃふんっ!?」

 

 

次の瞬間、(>_<)の様な表情で精一杯跳んだユーのフライングボディブレスが炸裂!鎧の重さも相まって、ぐしゃっと潰れる謎のヒロインY。ユーの手には『後は私に任せてハヤテは先に逝け』と書かれたメモが。・・・その字は多分、間違っているといいなあ!

 

 

「お、重い……あ、待ちなさい綾崎ハヤテ!ぐぬぬ…覚えてらっしゃい!この借りは必ず返してあげるわ!てか私の給料減ってヒナに怒られたら貴方の所為だかんね!許さないんだから!聞いてる!?ねえ減ってるかな!?減ってたらちょっと貸してくれる!?それで許してあげるから!ねえ!ねえってば!」

 

『前言撤回速過ぎ』

 

「五月蠅い!貴方も早く退きなさい!綾崎妹ちゃんだっけ!?」

 

 

そんな声を背に受けながら、僕は全速力(90%)でお弁当を手にしてその場を去って行った。

 

 

 

 

 

 

『私の名はユークリウッド・ヘルサイズ。貴方と話がしたい』

 

「それって、ヒナの言ってた・・・!?」

 

 

そんな会話があったことなど気付かずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なるほど・・・小中高が一緒だからこんなに年齢の幅がある人達がいっぱい居るのか・・・)

 

 

どうやら不法侵入した不審者として僕の事が伝えられたらしく、ちょっとしたソリッ●・ス●ーク的な気分で何とか潜り込んだはいいが、どうしようか迷っていた。何時もはユーが決めてくれるからなぁ・・・どうやってお嬢様を見付けようか。とりあえず事務室にでも行って来客だと言う事を証明するか?証明書とかないけど、電話してもらってマリアさんに確認を取ってもらえれば・・・でも事務室ってどこなんだろう?それにユーは無事なのだろうか・・・

 

 

リーンゴーンガーンゴーン

 

 

「!」

 

 

授業が始まる鐘の音と共に、人の気配が去っていく。さすがは名門校。授業をサボろうと考える輩は居ないらしい。でもこれで少しは自由に行動できる。

 

 

「ようやく落ち着いて事務室を捜せる・・・ユーも待っている事だし、急がなくては。ていうかそもそも逃げる必要が無い気が・・・別に本当に不審者ではありませんし。・・・・・・いや、僕ゾンビですけど」

 

 

その一言を言った瞬間、一瞬だけ視線を感じた。ちらっと周りを見るが相変わらず人の気配はない。気のせいだろうか?

 

 

「やっぱり、借金取りに追われていた頃の癖ですかね。思わず逃げてしまわず、堂々としていればいいんです堂々と!だって僕は三千院家の執事なんですから!」

 

「!!」

 

 

・・・気のせいではない。やはり、誰かがいる。今の独り言・・・特に僕がゾンビだと言う事を聞かれていて、さらに冗談だと思わない人だったら不味い。ここは一つ、視線と息を飲む声の主を誘き出さなくては。・・・しかし、思いつかない。ユーがいればなあ・・・そう思いながら視線を動かすと、そこには巨大な時計塔が。どうやら中心部にまで来ていたらしい。その迫力に、思わず口から言葉が漏れ出していた。

 

 

「それにしても、近くで見ると圧巻ですねこの時計塔。せっかく来たんだから、ゾンビパワーをフルに使ってでも一度くらいは一番上まで登ってみたいな~」

 

 

だが、それが功を指していたらしい。

 

 

「駄目よ。時計塔ガーデンゲートの一番上は生徒会のメンバーしか入る事を許されないんだから」

 

「っ!誰ですか!?いったい何処から・・・気配なんて何処にも・・・!」

 

「クスッ。そんなに驚かなくてもいいじゃない?それに、気配を感じない様にしていたのは貴方から隠れる為じゃなくて、あくまで一般生徒に気付かれないようにするためよ。そう警戒しないで欲しいわ」

 

「そこですか!」

 

 

徐々に表れた気配を辿り、振り向く。そこには庭に生えている何の変哲もない木が。視界を上に上げていく。するとそこには、

 

 

「まったく・・・三千院家の執事さんがこんなところで何をしているのかしら?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・何よ、言いたい事があるなら言いなさい。聞いてあげるわ」

 

 

何やらまくり上げた制服の背からユーの持つ物と同じ黒い翼を生やして、ヒシッと枝の上で木にしがみついているピンク色の長髪と黄色の目をした美少女がこちらを見下ろしていた。・・・なんだろう、ツッコみたいところがいくつかあるけどとりあえず。

 

 

「えっと・・・貴方こそそんなところで何を・・・?」

 

「さ・・・さすがは三千院家の執事。いきなり核心を突いてくるわね」

 

「いえ、本当はその翼とか聞きたいことは色々あるんですけどまず気になったのがそれなんで。白皇学院では最近木登りが流行っているんですか?」

 

「これが遊んでいるように見えるかしら?」

 

「でも、危ないですよ?そんなヘタレた翼じゃ飛ぶこともままならないんじゃ・・・」

 

「そんな事言われなくても分かっているわよ!?」

 

 

ユーだったらポンコツ可愛いとか言いそうな言動だなーとかのほほん考える。落ちて来たら受け止めればいいし。

 

 

「こ、これは要するに・・・えーと、えーと・・・木って意外と滑りにくいし、この翼で少し浮かべるし枝もあるからスルスル登れちゃうんだけど、上ばかり見ていると下が疎かになると言うか…この翼じゃ重力にはあんまり逆らえないと言うか・・・」

 

「なるほど。平たく言うと猫が高い所に登ったはいいけど怖くなって降りられなくなったみたいなもんですね?」

 

「ひ、平たく言うな!なんか私、馬鹿みたいじゃない!確かに「馬鹿と煙は高い所に登る」と言うけど私は馬鹿じゃないわ!」

 

「そこまでは言ってません・・・」

 

 

駄目だこれ、ユーが知ったら絶対弄られる。そんな感じのするポンコツな人だ。墓穴をどんどん掘って行くショベルカーみたいな人だ。どうしよう。

 

 

「と、ところで貴方!最近ナギのところに来た噂の執事君よね!?ナギと貴方の妹さんから話は聞いているわ!物凄く丈夫でガン●ムの生まれ変わりとの噂でゾンビだとか・・・」

 

「あ、はい。やっぱりユーの知り合いだったんですね。その噂がどうかは知りませんけど」

 

「ならその・・・同じ人外のよしみで、ちょっとお願いがあるのですけど・・・」

 

「はい?えと・・・なんでしょうか?」

 

 

そうだ、言われてみればユーを除いて初めて出会った僕以外の人外(?)仲間なんだ。そう思ったら言われれば何でもしたくなってきたぞ。何か、人外になった苦労とか色々語り合いたい。

 

 

「だからその…えっと」

 

「遠慮なく言ってください!何だってやりますよ!」

 

「だったら遠慮なく言うけど・・・う、受け止めてね・・・?」

 

「え?」

 

 

ちょっと待ったそれは待った。せめて弁当箱を遠く安全な所に置いてから・・・僕の返事を待つことなく、「たぁ!」と小さく掛け声を上げてピョンッと跳躍する美少女。

しかし、狼狽える僕に受け止める事が出来るはずもなく。さらに、彼女は跳ぶことに慣れていなかったのか、枝が折れる勢いで全力で跳んでさらに翼を羽ばたいて加速していて。

 

 

「え!?やっ!?えええーっ!?」

 

 

その瞬間、僕はメキョッと首が折れる感触と共に頭から地面に叩き付けられていた。見事なライ●ーキックだ。ぽっきりと首が折れた状態で地面にめり込んでいた。視界が土色一色とか一生お目にかかれないだろう(遠い目)

 

 

「ん?あ、ごめんなさい!だ、大丈夫?」

 

「い・・・いえすおふこ~す・・・」

 

 

とりあえず、助けてください。呼吸ができないのは辛いです。ユーの「先に逝け」はフラグだったようです、ガフッ。




なお、これまでで一番重傷な模様。ユーと謎のヒロインY(自称)が何やら邂逅しました。

原作の桂先生は抜けられた時に文句を言わずに突撃していたらハヤテを捕まえられていたと思うんだ。なお、この作品の桂先生はユーとハヤテが追い付けないぐらいの身体能力持ちです。尻に敷かれている(?)妹の影響。
ユーのフライングボディブレスは装備的に常人じゃ耐えられないと思うんだ。それに耐えて見せた桂先生は何なのか。

原作でも顔面キックはかましていましたが、吸血忍者の力も相まって大惨事となってしまったヒナギク。次回は彼女視点から始まります。ユー、ハヤテ、ナギ、コナンに続く新たな主人公格ですね。

次回は時計塔での決戦。ハヤテVS謎のヒロインYこと桂先生。もうプロットは無いですが筆が乗っている為できるだけ早く更新する所存なので次回もお楽しみに!感想や評価などをいただけると励みになります!

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