これは執事ですか?はい、だけどゾンビです   作:放仮ごdz

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お待たせしました!・・・はい、一ヶ月開けてしまいました申し訳ございません。そうこうしている間にUAが60,000突破。ありがとうございます!まさか息抜きで始めたこの作品がここまで読まれるとは思いませんでした。これからも頑張って行きます!

一ヶ月も熟考したおかげで何とかまとまり、今回から新章、白皇学院入学編に入ります。アニメで言えば二期ですね。ギャグとカオス、そしてシリアスが入り混じった「これ執」らしい話になったと思います。では、どうぞ。


これは不登校ですか?はい、抵抗は無駄です

その兄妹…執事とメイドを倒せば、三千院家の遺産が手に入る!

 

その執事とメイドさえ亡き者にすれば…何兆円という資産は自分の物に!

 

しかし、その執事とメイドは難攻不落!

 

執事は自分を轢いた車を叩き潰し、虎を倒し、メカを退け、ヤクザを蹴散らし、巨大ロボすら撲滅!

 

メイドは大鎌を操り、音速で刀を振るい、空を飛び、手で触れるだけで傷を治す不思議な力を持つ!

 

 

執事の名は綾崎ハヤテ、メイドの名は綾崎ユー、共に16歳!お嬢様に肩代わりしてもらった借金総額、一億五千六百万の双子(自称)!お嬢様を傷つけた奴は、もれなく地獄を見る事になる!

 

 

 

 

 

 

 

と、今さらな基本設定(多分ギルバートのせいで今述べた情報は認知されたと思う)はさておき、夜。

 

私の目の前で、一人の少女は悩んでいた。…もっとも、馬鹿な理由だが。

 

 

「人生の意味って…なんなのだろうな…?」

 

『知るか』

 

「なんだと!」

 

「あの~…今、答えないと駄目ですかね?」

 

 

男子トイレの前で言い争う私とナギに、遠慮がちに問うハヤテ。あ、ごめん。

 

 

「だからな!生きた証と言うのは誰かに与えられるものではないと、人間として生まれて来たからにはもっとこう、自分らしい生き方みたいのがあると思うのだ!」

 

「それをゾンビな僕に言われても少し困るんですが…」

 

『馬鹿言ってないで歯を磨いて寝ろ』

 

「五月蠅い黙って聞け!」

 

「どうしたんですかお嬢様?急にそんな不登校の言い訳みたいなのを始めて…」

 

 

今時こんな言い訳、小学生でもしないと思うけど。

 

 

「い、言い訳ではない!私は哲学の命題についての話をしているのだ!」

 

『ソクラテス?』

 

「そ、そうだソクラテスだ!つまりソクラテスの話をしているのだ分かったか!」

 

「まあ分かりました。それで、入っていいですか?」

 

「勝手にしろ!そういうことで私は寝る!」

 

「はい、おやすみなさい」

 

『おやすみ』

 

 

ぷんすこ怒りながら自室に向かうナギ。せっかくハヤテが戻って来たのに、明日からまた一緒の時間が減るから嫌なのかな?

 

 

「どうしたんでしょうね、お嬢様。あんなこと言い出して・・・」

 

『明日からナギは学校。行きたくないんだと思う』

 

「ああ、なるほど・・・あの、その話長くなりそうですか?僕は御手洗いに行きたいんですが」

 

『どうぞ。行ってらー』

 

「あ、はい」

 

 

デリカシー?なにそれ美味しいの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、どういう事ですか?ユー」

 

『ここにマリアさんを用意した』

 

「こんばんわ、ハヤテ君」

 

「はい、こんばんわマリアさん」

 

 

ハヤテがトイレに行っている間に事情を説明してもらうべくマリアさんを問答無用で引っ張ってきた。さあ吐いてもらうぞ。

 

 

「何で取り調べみたいになってるんですか・・・はあ、何と言うかですね。ユーさんの言う通り、明日から学校が始まるんです。でもあの子、ほらちょっと・・・」

 

「ああ、流行の最先端」

 

『HIKIKOMORI』

 

「でしたね、お嬢様」

 

「格好良く言っても何のフォローになってませんよ二人共」

 

 

ギルバートの一件から何か無駄なコンビネーションが得意になった私とハヤテである。

 

 

「まあそうなった理由も分からなくはないんですよ。あの子は小さい頃から・・・」

 

『小さいって今以上に?』

 

「はい、今も小さいですけど・・・」

 

「お二人共・・・」

 

 

苦笑しながらも否定しないハヤテも同罪だと思う。

 

 

「小さい頃からですね。ナギは三千院家の一人娘として命を日常的に狙われてましたし、知っての通りSPはほとんど役に立たない上に、命を狙わないにしても近付いてくる大人は莫大な財産目当ての外道ばかり・・・」

 

「なるほど・・・」

 

『だからあんなに捻くれたと』

 

「まああの性格は元々だと思いますけどね」

 

 

いい性格してるよね。しかし役に立たないのにSPを置く理由とは・・・居ないよりマシだからかね?

 

 

「ちなみに、学校はどちらなんですか?」

 

「一応、白皇学院ですけどね」

 

「白皇!?」

 

『吐く、oh?』

 

「違いますよユー!白皇はお金持ちがいっぱい通っている、しかも超頭のいい名門校ですよ!」

 

「まああの子、頭だけはいいですからね」

 

 

興奮気味のハヤテに、慣れているのか冷めている声でそう語るマリアさん。そんなに興奮されてもね。私、生前は普通の高校だったし、九州生まれで近くに名門なんてないし何が凄いのか分からんのよ。まずこの世界の名門校なんて知らないし、金持ち高って何かイメージ的にも嫌だ。偏見なんだろうけどね。

 

 

「曲がりなりにも名門校ですからね、校内の安全面は問題ないと思うんですよ」

 

『巨大ロボットや怪物を持ち込んでくる人いるけど』

 

「・・・まあ、そんなのが来たらどうしようもないとは思いますけど。伊澄さんやワタル君、それに桂さんも一緒ですし・・・おじいさまのあのバカげた遺産相続の条件もハヤテ君とユーさんが代わってくれましたし」

 

「桂さんとは?」

 

「史上最強の生徒会長さんです」

 

「は、はぁ・・・」

 

『何で高校で史上最強なのか』

 

 

ハヤテは知らないもんね、桂ヒナギク。彼女がいればまあ安心だろう。アレはマジモンのチートだ。オバケに弱いから今のハヤテは天敵かもしれないけどね!・・・あれ、私もじゃね?嫌だなぁ・・・木刀で殴られるの・・・ただでさえ頭痛いのに。

 

 

「なるほど、学校内は安全だと言う事はつまり、問題は送り迎えの安全性と言う事ですね!」

 

『馬鹿か。普通に車だから一番安全』

 

「そう言うことならおまかせください!」

 

『聞けよ』

 

 

また私のメモを見なくなったな。思い込みが激しいからねハヤテ。あとでお仕置きしてやろうか。

 

 

「お嬢様の執事としてこれから毎日この僕が、お嬢様の送り迎えを引き受けましょう!」

 

「あ、はい・・・」

 

『移動手段は?』

 

「それは無論、大晦日の時の自転車があるのでそれで」

 

 

そう言って明日早いからか駆けて行くハヤテ。お嬢様を自転車の後部座席に乗せるのか。問題あり過ぎじゃね?まあ、ナギもハヤテと一緒なら行くんだろうけど・・・

 

 

「あの、ユーさん」

 

『なんですか?』

 

「ハヤテ君が一緒ならあの子も毎日通うとは思うのですが一つ疑問が・・・」

 

『何で自転車なのかですか?それは私も疑問』

 

「いえ。ハヤテ君の自転車が速いのはよく知ってますので、そうではなく」

 

 

マリアさんがぼやいたのは、至極真っ当な疑問。

 

 

「ハヤテ君、学校はどうしたのでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝

朝から太陽が眩しくいい天気のこの日。低血圧で朝に弱い私はナギに揺り起こされた。

 

「なあユー」

 

「・・・なに?」

 

「太陽って、何で毎日昇るんだろう・・・?」

 

『この星が丸いから』

 

「そんな正論は求めてない」

 

 

朝からいちゃもん付けてる人よりマシだと思う。寝惚けて喋ってしまった上にあまり考えられないんだ、勘弁して。

 

 

「まったく、大体分かっていないのだ太陽の奴は・・・マメに落としたり休んだりするからこそ・・・載っている時にありがたみを感じる様になると言うのに・・・!」

 

『色んな意味で恐ろしい話はヤメロ』

 

「こんな朝日!こうしてくれる!」

 

 

ベッドから飛び降りたかと思うと何時の間に用意していたのか暗幕の様な分厚い黒のカーテンを引くナギ。真っ暗になると同時に灯りが点けられる。夜の様だ。うわぁ・・・無駄な抵抗を。よし、ならば。

 

 

「ノモブヨ ヲシ ハシタワ ドケダ グンミーチャ デー リブラ」

 

 

懐からキーホルダーミストルティンを取り出し、しょうがないので直接喋って魔装少女に変身する。驚くナギ、右手を掲げる私。行くぞ・・・!

 

 

「シャラララララーンっ!」

 

べちゃっ

 

「ギャッ!?」

 

 

・・・あれ?何かにちゃにちゃする。見てみると、私の掌から何か豚汁らしき物が出てナギの顔にかかっていた。…これは失敬。間違えたか。

 

 

「馬鹿!なにをするんだ!」

 

『間違えた。ラの数が違うから別の意味になった』

 

「どういう意味になったんだ!?何をしたかったんだ!?」

 

 

えーっと。

 

 

―――すみません、追加で豚汁を・・・

 え?ブラジル?

・・・いえ、豚汁です

 ・・・・・・・・・ブラジル?

・・・トンジルをお願いします

 あっ、ちょっと耳が遠くて。申し訳ございませんでしたーっ!

いえ・・・こちらこそ、すいません

 けんちん汁が御1つですね!

・・・・・・・・・ええ。

 

 

『って、意味』

 

「凄く実話っぽいぞ!?」

 

 

だってそう言う意味なんだもん。これゾンの魔法はよく分からんね。

 

 

『じゃあ改めて』

 

「何をだ!?」

 

「シャララララーンっ!」

 

「ギャー!?目が、目がーッ!?」

 

 

今度こそ放たれたのは、光魔法。原作「これはゾンビですか?」で夜の王を倒すべく相川歩がハルナから習った太陽光を出す呪文だ。魔装少女に変身していないゾンビには大ダメージを与えることができる。凄く印象に残っていたので使ったが、部屋を明るくする代わりにナギがムスカ大佐になってしまった。どうしよう。

 

 

「おはようございます、ユー。お嬢様。ハヤテです、起きてますか?」

 

「目が!目がー!」

 

「お嬢様!?入りますよ!」

 

 

あ。ヤバい。

 

 

「どうしたんですkグアーッ!?」

 

「ハヤテ!?どうした、何も見えないぞハヤテー!?」

 

「一体何事ですか!?」

 

 

二人の悲鳴に、慌てて入って来たのはマリアさん。その目にした光景は。

 

 

 

ナギの制服を持って床で悶えていて、現在進行形で干乾びて行ってる執事。

 

目を押さえ、ふらふらと締め切られているのに昼の様に眩しい室内をうろうろして「あいたっ、いたっ、ぎゃっ」と椅子やら出したままのファ●コンやらに引っかかったり、散らかっている漫画の原稿を踏んですっ転んでいるお嬢様。

 

そして、好奇心の赴くまま自分のやった事に反省し、現実から目を逸らす様に土下座している私の三つだった。…えっと、マジですみませんでした!

 

 

 

 

 

数分後。光が消え、普通にカーテンを開けてマリアさんは出て行き、日陰で回復しているハヤテに問い質している、通販で買ったと言うターミ●ーターなサングラスを装着したナギと、もう何もしないようにと簀巻きにされベッドに転がされている私が残された。何もしないって!こんな仕打ちはあんまりだ!

 

 

「ユーはそこで反省しておけ。それで何でハヤテが私の制服を・・・?」

 

「はい、お嬢様。今日から学校と聞いたので、ご一緒させてもらえるだけではもったいないので、お嬢様の制服をピカピカにクリーニングして置きました!」

 

「バカか!どうしてそんなデリカシーのない事を普通にできるんだお前はぁあ!!」

 

 

理解するや否や赤面してハヤテを蹴り飛ばし、制服を取り上げるナギ。さすがですお嬢様。ところでわざわざ喋ってギルバートの事で夢を見ないようにしてあげたんだしさ、解放して。いやメモも書けないしハヤテ以外にテレパシーする訳にもいかないから、伝えることができないんだけど。

 

 

「うわーお嬢様、朝から元気ですね。この間の後遺症が無いようで何よりです」

 

「お前の妹のおかげでな・・・!…ん?「ご一緒させてもらえる」ってなんのことだ?」

 

「はい!お嬢様の安心のために今日から僕が、学校の送り迎えをさせていただきます。それなら学校行ってくれますよね?」

 

「な!?ハヤテが?登下校を!?・・・お前、陽の光は大丈夫なのか?」

 

「直射日光でなければ帽子と、この執事服をユーに弄ってもらったので大丈夫です!」

 

 

そう言ってハヤテが見せたのはよくあるハンチング帽と、何時もの執事服。昨日、さすがに朝はゾンビは不味いと思ってナギと一緒に寝る前にハヤテの部屋に行き、説明して処置を施した物だ。「この執事服は光を通さない」って喋っただけだけどね。まあ着ぐるみ着たりするよりはマシだとは思う。ところで解放して。

 

 

「大体な!そんな手に私が・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あっさりとまあ乗せられた様です。ナギは制服を着てハヤテの運転する自転車の後部座席に乗って行ったんだけど・・・その一時間後、放置された私がハヤテに解放されナギの昼食を作った後に軽く作った私達の昼食を食べていた時に聞いた話。

ハヤテのお小言に耐えかねて逃げ出したナギが迷子になった挙句猫の大群に襲われたらしいけど、駆け付けたハヤテが盾になった事で解決。・・・したかと思ったのだがハヤテは白皇学院の場所を知らず、車で送り迎えされていたナギももちろん知らず、二人揃って帰ってきてしまい結局新しい学校生活は始まらなかったんだとか。…まあ、今日は始業式だろうし多分問題ない。ところで気になる事が一つ。

 

 

『行きたくても行けないハヤテだからこそ、ナギに行ってもらいたかった?』

 

「いえ。確かにそれでお嬢様を説得したけど、思い入れはないよ。高校行ったのも俺は高校生だったことがあるって至極当然の事を言う親父の自慢が鬱陶しかっただけだから」

 

『友達とかは?もう学校はいいの?』

 

 

私の記憶では、そろそろ登場すると思う彼女も含めていっぱい居たと思うのだが。するとハヤテは遠い目になった。あ、察し。

 

 

「・・・ほら、そんな親だから夜逃げも多かったし友達もできないしできてもお別れ言えなかったし。授業参観とか来ないから凄く嫌だったし、来られても皆に犯罪者って呼ばれてたから嫌なんだけど。運動会とかも他の子の両親見せつけられながら一人で自作のお弁当食べるの虚しかったし、お母さんに作ってもらいなさいって言う雑巾も自分で作ったし、運動会だけでなく遠足のお弁当だって自分で・・・だからもう、学校なんて学校なんて・・・」

 

『辛い事聞いて、ごめん』

 

「気にしないでいいよ。だからまあ、お嬢様には行ってもらいたいけど・・・僕はもう、いいかな」

 

「・・・」

 

 

ヤバい、現在コナン君に依頼して捜してもらっているハヤテの両親・・・見付けたら、私は理性を保てるか分からないかもしれない。ただ反省させたいだけなのに。…しかし、ここまで学校にトラウマを抱いているとなると・・・これは前途多難だなぁ。どうしようか。私、ハヤテの妹名乗って年齢も言った時点で白皇学院に通う気満々だったんだが。

 

 

『マリアさんに頼まれたおつかい、行ってくる』

 

「うん。気を付けていってらっしゃい」

 

 

私を見送るハヤテの表情は、こんな話するんじゃ無かったなと言う後悔が見て取れた。…話してもらえて嬉しいのに、そんな事も分からないかな。…とりあえず、白皇学院をちょっと見に行ってみるかな。

 

 

 

次回に続く・・・よね、これ。




ギャグかなカオスかなシリアスかな。どれでもないのがこの作品の作風です。ユーの大失態でした。ナギが原作で光云々言っていたので思い付いたネタ。そしたらハヤテが犠牲になってナギが大佐になっていた。訳が分からないよ。

そんな訳で夜の王が出ている訳でもないのに登場しました光魔法と豚汁魔法。ついでに、記憶操作魔法の呪文を見付けたのでコナン君回に追記していたりします。「シャラララララーン」って、結局どうなんでしょうね?コミックス4巻だとこの呪文、光が出るはずが豚汁で「ラが一つ足らない!」って言っているんですが、その後夜の王戦で出した光魔法は「シャララララーン」と、一つむしろ減っているんです。
アニメ&コミックス勢なので何が正解か分からないのでそのままにしました。Fate関連買い過ぎて予算が足りない。

そしてシリアス。ハヤテにとって学校とは、と言う話でした。ユーは自分勝手にハヤテと一緒に入ろうと当初思っていたんですが、ハヤテにとっては・・・まあ行きたいんでしょうけどね。ユー的にはどうすればいいか分からない、そう言う事で「そうだ、学校に行こう」とこうなりました。

次回、あの生徒会長が登場!オリジナル展開です。次回もお楽しみに!感想や評価などをいただけると励みになります!

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