ところでいつの間にかUAが34000を軽く超えていましたありがとうございます!
今回は三千院本家編。原作の展開的な都合で伏字が多いです。前半はギャグ多数、ゾンビって便利ですね♪そう、前半はギャグですが後半は…お楽しみください!
これは実家ですか?はい、三千院本家へお邪魔します
年が明けて二日目(ちなみに一日目は私自らコナン君のいる探偵事務所に挨拶に行ったりするけど、その話はまた後にという事で)、ここはナギの自家用ヘリコプターの中。私はナギやハヤテ、マリアさんともうその他一人と一緒にとあるところに向かっていた。
「でも、年が明けたからと言って別に今更あのアホジジイに挨拶なんて必要ないと私は思うぞ…」
『そんな事言わない。その人は貴方の唯一の肉親でマリアさんの育ての親でしょ』
「まあそうだけどさユー…。ホント、あのクソジジイは何考えてるか分かんないから嫌いなんだ」
『アホからクソに変わるぐらい嫌いなのかい』
「ナギは昔からお爺様とは仲良くありませんでしたからね…」
思わずツッコんでしまった。うーん、確かに原作だとありとあらゆるトラブルの大元だけどさ…そこまで嫌わなくてもいいかと。クラウスさんよりはマシでしょ。…そう思っていた時期が私にもありましたってか。
「いやー、それにしても帝爺さんに会うのも久し振りやな。何ヶ月ぶりかいな」
「いやいやそれ以前に…
『何故普通に貴方がここにいる?』
するともうその他一人こと、十六夜…じゃなかった愛沢咲夜が口を開いた。原作主人公であるハヤテでさえまだ口を開いていないと言うのに、本当に空気読まんなこの娘。
「何や釣れないな~ウチかて三千院家の親戚やんか。ナギ、忘れたんか?そして相変わらずウチが嫌いなんかユーは」
『嫌い。大嫌い。どっか行け。口を開くな黙ってろ。せめて空気読め。再登場が早すぎるんじゃボケ』
「相変わらずウチの扱いひどっ!?」
「いやお前が悪いだろ」
ナギのツッコミが響く。まったく、その通りだよ。ヘリから突き落とさないだけでもありがたいと思って欲しいね。恐らく落ちたら間違いなく死ぬレベルの高度じゃなかったら迷わず蹴り落としていたし。そう咲夜を黙らせていると、ハヤテがおずおずと質問して来た。
「あの…盛り上がっているところに申し訳ないのですが…」
「何だハヤテ」
「そのお爺さんってどんな人なんですか?ユーは少し知ってるっぽいですけど…」
「ああ、ド●クエで言うとゾ●マだな」
『仮面●イダー5●5で言うと多分アークオル●ェノク?』
「ス●ブラXで言うならタ●ーやな」
「…何ですかその例え」
しょうがないじゃん、うちの作者はそこら辺しか知らないんだから。ちなみにゼル●の伝説で言うとム●ュラの仮面かな。いや、同名のゲームの話だけど。
「大丈夫ですかね、僕…そんな恐ろしそうな人に会って…いくらゾンビでも死んじゃうんじゃ…」
「ゾンビとか意味分からんけど大丈夫やないで。気分を損ねたら借金執事の人生ぐらい簡単に潰せる男や」
『借金はしてない。恩を返すために働いてるだけ』
咲夜の言葉に一応訂正を入れる。ハヤテの通称が借金執事なのはもうどうしようもないかな。するとナギがシリアスモードになる。
「まあ、何にしても…本当に妖怪染みた奴だから妙なことを言われて取り込まれないようにしてくれ、特にハヤテはな」
「は、はぁ…」
『大丈夫、私が目を光らせて置く』
さすがにこの私を出し抜けるとは思えないしね。…でも、コナン君の話だと私の情報は既に漏れているみたいなんだよな…彼の父、工藤優作にまで知られてるっぽいし。情報網は私の予想を軽く超えてるんだろうね。とりあえず、油断しないで置こう。何せ咲夜が例えで英雄等を瞬殺した禁忌の名前を出すぐらいだし。いや、ジョークなのかもしれんけども。
相手は世界一の大富豪・三千院家を「所有」している三千院家の現当主で、ナギ曰く何かヘマをしたらハヤテや私の命くらい、この世から簡単に消しちゃえる人らしいのだから。あ、もちろん普通の人間ならという意味で。
数分後。以前、ナギがあの広い屋敷を狭いと言っていたけれどその言葉は大袈裟で無かったと思わせる程、何処の国だよここはってレベルででっかい城の様な三千院家本亭に到着した。時代間違えてね?
いやデカい、そこんじょそこらの屋敷何て目じゃないね。むしろ迷ったら出られないね、これ。そういや石油王だっけ。
『ナギ、やっぱり貴方の家は凄い』
「ん、そうか?」
「ユーに同じです…ていうかお爺様は一体どんな職業の方なんでしょうか?」
「職業?…えっと、石油王かな?」
「それは職業じゃありませんよ、ナギ」
何かそんな会話をしているハヤテたち三人。え、咲夜?私が無言で威嚇しているので喋らないよ。だって熊でも殺せそうな視線だもん。ユーの無表情+セラフィムの侮辱&軽蔑する目は凄いね。
まあ何にしても本当に今更だけど私は理解した、ナギはそこんじょそこらの金持ちの家のお嬢さんじゃなくて物凄い大金持ちのお嬢様だという事を。そしてそれと親友になれた私は明らかに勝ち組なのだと。あ、後半は余計だったね。
これまた凱旋門より明らかにでっかい門を五人で潜ると(ちゃんと咲夜も数えたよ、うん)、今度は30人近く居る執事とメイドの列がお辞儀してお出迎えしていた。
『『『お帰りなさいませ。ナギお嬢様!』』』
「ん…ああ、ただいま…しかし相変わらず暑苦しい連中だな」
『ナギさんこれ普通?』
「ああ、普通だぞ」
普通に呆れている様に受け答えするナギに思わず感嘆する。うん、やっぱりちゃんとお嬢様だったんだね。ただのオタクかと思ったよ。
「咲夜様もマリア殿もお疲れ様です」
「いえいえ♡」
「おおきに」
「そちらがナギ様の雇われた新しいメイドの綾崎悠ですね?」
『そ。よろしくお願いします先輩方』
『『『!』』』
そんなメモ片手にお辞儀したら何か執事&メイド群がビクついた。何だろう?と思っていたら気付いた。そだ、私今ユーだった。無表情の美少女でしたっけ。そりゃこんな容姿をしている女の子に先輩なんて言われたら私でも興奮するね。だがしかし、自分の容姿には萌えないこの悲しい現実よ。癒しを求む!そういやハヤテは?
「と、ところで…ご帰宅のところ早速で申し訳ないのですが…」
「何だ?」
「こちらの不審者はいかがしましょう?」
「HELP!ユー、お嬢様!HELPME!」
「ヘリに忍び込んでいました」
「物凄く怪しい奴め!」
…何か執事さんたちに縄で縛られていたハヤテ。いや、それぐらい自分で何とかしようよ…ゾンビでしょうが。普通の人間に何負けてんのさ。
「いや…気持ちは分かるがそれは不審者じゃないぞ」
「では一体…?」
「姫神の後任で私の執事をやってもらっている、そこのユーの兄、綾崎ハヤテだ」
『『『ええっ!?』』』
ナギが説明すると驚く執事+メイドの方々。いや執事服着てるでしょうに。そんなにハヤテは怪しいか。というか私の兄(嘘だけど)ってのがそんなに可笑しいか。もしここじゃなかったらすぐに大鎌で助けるところだけど…さすがに不味いから止めとこ。
「この、お金に縁の無さそうな貧相な男が新しい執事ですか!?」
「この、女顔でどちらかというと女にしか見えない男がですか!?」
「この、蒼白でゾンビと見紛う如き肌で太陽に当たって若干乾いてる男がですか!?」
「ほっといてください!特に最後の人!」
「そうだ、私の執事だ。何か文句あるか?」
「え!?だって…あの…そのっ!え…ええ~?ありません…」
結果。ナギに言われて渋々ハヤテを解放した執事さん達であった。いや何人かのメイドさんよ、信じられないと言った顔は止めなさい。ハヤテだって気にしてんだから。にしてもハヤテを「ゾンビみたい」と言った執事の人は鋭いね、確かに朝日を浴びて微妙にカサカサになっていたけどさw
そんな感じで、私達はナギの部屋に向かった。
「あっはっは!それにしても傑作やったなー、聞いたん?執事の連中の借金執事への感想、笑いしかでぇへんでwww」
『ハヤテは借金執事じゃない。あとそれ以上うちの兄を貶すんだったら容赦しない』
「い、いや冗談やってユーさん。だからその鎌しまってぇな」
「
ズーンと体育座りで落ち込んでいるハヤテを見て爆笑していた咲夜の首に鎌の刀身をかざすと黙った。やっぱり脅すのが一番楽だ。というか人の不幸見て笑うんじゃない、不幸で死んだ私はどうなるんだ。
「いいですよユー、どうせ場違いなのは分かっていましたし…」
「あっはっは。まあ気にするな。奴らも悪気は無い訳だし。職務を全うしようとしただけだ」
「そうそう、気にするだけ損ですよ。ね、ユーさん」
『そう。ハヤテはちゃんと男らしいし強い。だから自信を持て』
私はナギやマリアさんと共にハヤテを励ます。いや涙目のハヤテは確かに可愛いんだけどね。ちょっと説得力無いかも。でも私やナギをキュンっとさせたのもハヤテだし。
「確かに僕、ユーが居なかったら一億五千万程の借金を作るところでしたし、親にバイト代を勝手に使われたりしましたけど…そんなにお金に縁が無さそうに見えるんですかね~…?」
「よ、世の中はお金より思いやりと心が大事だから、な。うん」
「一人一人が地球の未来を考えなくてはいけないんですよ、はい」
「目を逸らされてる!?」
『努力は多分報われるから…』
「ユーにも慰められた!?」
ハヤテのそんな疑問に、あからさまに目を逸らし話を変えるナギとマリアさんに、ハヤテは再びショックを受ける。私は一応励ますが、逆効果だったらしい。しまった、書く字を間違えた。
「ま、まぁいいじゃないか…私はちょっと着替えをするから男のお前は外の空気を吸って来い」
「…はぁ」
『私も行く、ハヤテが心配』
「分かった、ユー。ハヤテをよろしくな」
ナギが着替えるので追い出されるハヤテを、私は慌てて追った。…さて、いつ来るかな三千院帝。
「追い出された…って事でいいんですよねユー」
『多分。でもナギが着替えるのを見たい程ハヤテは変態じゃない』
「うん、ありがとうユー…」
落ち込みながら中庭を歩くハヤテの言葉に、私はメモを突きつけながら歩く。うん、綺麗だね。さすが世界一の大富豪の屋敷。ハヤテは近くに飾られている高級そうな壺を眺めながら続ける。
「しかし、今更ながら僕みたいな借金メイカーをこんなお宝満載な所に野放しにするのは不用心すぎるのでは?いくらユーがいると言っても…」
『それほどナギが貴方を信頼しているという事』
「そう…だよね。にしてもこの壺一個で…うーん、もしかして一億五千万ぐらいするかもしれないなぁ…そしたらちゃんとお嬢様にお金を返せるのに」
『だから返さなくていいってナギも言っていた』
もう、律儀だねハヤテは。せっかく借金から離れたってのにまたそんなことを考えて。そんな時だった、その声が聞こえてきたのは。
「いや、その壺はせいぜい五百万ぐらいしかしないから換金したとしても借金返すのは無理だよ」
「!! すみませんすみません!ほんの出来心でして…まだ未遂なのでどうか警察だけは勘弁して欲しいと言うかその!」
『ハヤテ、見っとも無い。少し落ち着け』
「ほっほっほっ…心配しなくても儂は見ただけでそいつがどんな人間か分かるから、君がそんなことをする人間でないのは分かるよ」
すると出て来たのは、如何にも庭師風な格好をした蓄えた髭が似合う優しい笑顔を浮かべた老人だった。その手に草刈り鎌が持っていることから察するに、庭師かな?そんな老人をハヤテは「このボケ老人は突然何を言っちゃってるの?」的な顔で若干引いてる。いや気持ちは分かるけども。
「おいおい。人をそんな目で見るのはよせ。ボケてはおらんわい」
「す、すいません…えっと、貴方は…?」
「この家の者だよ。今はこの庭の手入れをしている」
「あ…庭師の方でしたか」
「まったく、君は儂の眼力を信用しとらんな。それに比べ、そこの銀髪の子は興味津々と言ったところかの」
いや確かにこの爺さん何者だろうとか思ったけど。凄いなこの人、妖怪さとりなんじゃね?
「言って置くが儂の眼力は本物で超一流の…」
「ギャーッ!?」
『ハヤテ!』
スポッと老人の手から放られハヤテの肩に突き刺さる草刈り鎌。私は慌ててそれを引っこ抜き、地面に叩き付ける。一体何してくれんだこの人!草刈り鎌は錆が付いてるから、人体を斬ると病気になりやすという事を知らんのか!ゾンビだからよかったけど!
『一体何のつもり…?』
「刺さりましたよ!ねぇ刺さりましたよお爺さん!?」
「おっと…すまんすまん。にしては無事そうにしてるの」
「僕だからです!もしユーに当たっていたらどうしていた事か…」
『ハヤテ…』
あ、地味に嬉しい。ハヤテなりに私の事も考えてくれてるんだ。ちょっと頬が赤くなるじゃん♪
「じゃが儂の眼力は本物じゃ、死んだ婆さんも「貴方の瞳にメロメロよ」と常に褒め称え、二人の熱い夜は…」
「は、はぁ…」
『いや聞いてないし』
「よし、では儂の眼力がどれ程のものか見せてやるから…着いて来い!」
そう言った老人の笑顔は少年の様に輝いていて、私達はその笑顔に吸い込まれる様に着いて行き…
「見よ!」
彼の指差した先には、ナギが「なぁマリア、この服ちょっと大きいぞ」などと言っている光景が丸見えの窓があり、私は無言でペンを大鎌に変え老人の頭を鎌じゃない方で殴り付ける。
「へぶっ!?何をするのじゃ!」
『ただの覗きじゃん』
「眼力の修行は毎日の積み重ねが大事で…」
「積み重ねた先でどんな犯罪者になるつもりですかー!」
ズリズリズリ。ハヤテは老人を引き摺って丘の方まで歩き、私もそれに着いて行く。まったく、油断の隙もない。クラウスさんと同種だこの人。
「まったく・・・洒落の分からん奴等じゃのう、戯れただけだろうに」
「お爺さん…庭師の仕事、クビになっちゃいますよ…?」
『というか逆に何故クビにならない?』
「気にするな。しかし分からんのぅ…先程の話が聞こえたが、何故お主の様な奴が一億五千万もの借金を作っていたかもしれない羽目になるんじゃ?」
「元々は親が博打で作った借金なんですよ…」
「ほ…?親の借金とな?」
そう呟く老人の目が、明らかに変わった。優しそうな目から、ギラギラした目へと。まさか…?
「ええ…僕の親は本当に凄い駄目人間で、借金の型に僕をヤクザに売り飛ばしたんです。で、その借金をナギお嬢様が肩代わりしてくれて…今それの恩を返済しているところです」
「なるほど、確かにあの屋敷の給料なら40年で一億五千万程じゃからのぅ…」
「はい。でも、僕はそれが終わったとしてもお嬢さまから追い出されない限り辞めるつもりは毛頭ありませんけどね」
そう笑顔で言うハヤテ。…だから返済しなくていいのにね、ナギからしてみたら一緒に居てくれるだけでも嬉しいみたいだし。…にしても、この老人やっぱり…
「だからここにいるユーはもちろん、ナギお嬢様にはとても感謝しているんです。お爺さんも覗きとかしちゃ駄目ですよ♥」
「うむ、分かった。しょうがない」
「じゃ、僕達はもう行きますね。ユー、行こう?」
「…(コクッ)」
ハヤテがそう言い、頷いた私の手を握って走り出そうとしたその時だ。老人が意地悪そうに口元を歪めて笑ったのは。
「…つまり、綾崎ハヤテ」
「えっ…?」
「お前の人生は…もう限りなく無意味という事じゃな…いや、その身体的な意味でももう死んでいるからしょうがないか…なぁ、WALKING THE DEAD。ゾンビとはいえナギの見込んだ男にしては…随分つまらん男じゃのぅ…」
「何故…僕の名前、それにゾンビだという事を…?」
ヤバい、ハヤテがゾンビだという事が見破られた!?この老人…まさか…!
「ふん、儂の眼力は本物じゃ。バブル崩壊も、政権交代も、ト●ちゃんが禿げるのも、アメリカの大統領が初の黒人になるのも、仮面●イダーの放送日時が二月から九月に変わるのも、儂はこの眼で全て見抜いてきた!空前の妹ブームやポ●モンに代わる妖怪ブームでさえ!儂は眼前から予測していたぁ!もちろん、そこに居るネクロマンサーの事だってクラウスの報告書を見て直ぐに人ならざる者だと見抜いたわい」
私の事まで!?そうか、工藤優作に伝わるのがいくら何でも速過ぎると思ったけど、クラウスさんの報告書を見てこの人がすぐさま見抜いたから…だったのか。何ちゅう眼だ、もはや魔眼と言っても差し支えない。
「その儂の眼が言っている…綾崎ハヤテ、お前の人生は…お前のそのゴミの様な親の人生よりも無意味だとな。そこにいる綾崎悠よりも存在価値は無いなぁ。この「
「貴方が…ナギお嬢様のお爺様…!?」
『三千院帝…!』
やっぱりこいつが、石油王にして世界一の大富豪を牛耳る男…!ただ者じゃないと思っていたけど、本当に油断ならない…!
「おいマリア。今回何時にも増してシリアスなせいでオチが無いぞ?」
「嫌ですわ、今までだって大したオチはありませんでしたよ?」
「ユーがシリアスなだけでこうも変わるんかいな」
次回に続く…!
はい、新キャラ・三千院帝登場。後半は珍しくシリアスでした。相変わらず咲夜はボケキャラです。
三千院家の執事&メイドさん達も登場。ユーはすぐ受け入れるのにハヤテの扱いは何なんだ…
次回は多分三千院本家編、新たな敵・ラッキークローバーの一人ギルバート、そしてついにメガロ登場!ハヤテとユーはナギを守れるのか?
気分が乗ってるので多分早く書けると思います。今度こそ一週間以内に投稿して見せますので、お楽しみなのです。