これは執事ですか?はい、だけどゾンビです   作:放仮ごdz

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今回は、これゾンの原作を見た時に思い付いて、これから一月編に入るからいつまでたっても書けないなーと思い書いてみた番外編です。セラフィムさん一体アンタ何考えてんだ。

※追記:お気に入り件数400突破!ありがとうございます!


これは手料理ですか?はい、ユーの三分クッkillングです

とある日。ナギとハヤテはユーに呼ばれて美味しそうな匂いが充満する厨房に来ていた。

 

『と言う訳で料理を作ってみた』

「「いやどういう訳で!?」」

 

キリッとした無表情で自信満々にメモを突き出すユーに突っ込むナギとハヤテ。ユーの右手には作られたばかりの「卵焼き」が乗せられていた。

 

『いやこういう訳で』

「はぁ・・・まあいい。で、何を作ったのだ?」

「見る限り卵焼き・・・ですね、シンプルながらに黄金に輝いていますが」

 

そうなのだ、何故かユーが作った卵焼きは普通の卵焼きと違い、キラキラと後光を浴び黄金に輝いていた。さながら秘宝の様である。

 

『これは私ハルナの得意料理。自信作。食べてみて』

「分かった。そこまで言うなら食ってやろう。な、ハヤテ?」

「は、はい。お嬢様」

 

ナギはひょいっと素手で卵焼きの一切れを掴み、ハヤテは箸で口まで運ぶ。そして口に入れると、どんな感想よりも飛び出た一つの思いが湧き上がった。

 

「「・・・美味い!」」

『ふふん♪』

 

理由とかそう言うモノ関係なく、とにかく美味い。それだけの味だった。ただ卵と砂糖と塩、普通の卵焼きと同じ調理法。違うのは、その分量のみ。料理が得意のハヤテ、今まで数々の料理を食べてきたナギ、その二人を唸らせる一品であった。

 

「どうやったらこんな美味い物が作れるのだ!?」

「塩加減と砂糖の加減が見事・・・いや、これは至高の一品・・・!素晴しいですよユー!」

『作り方は企業秘密。ただ言えるのは、これが私の実力だ(キリドヤァ)』

 

効果音を()内に入れる程調子に乗っているのであろう、無表情であれど嬉しそうにしているユー。彼女はまた料理を作り振る舞うと決めた。ただ、その時彼女は失念していた・・・今の彼女は至高の卵焼きを作る「ハルナ」ともう一人・・・セラフィムも混ざっているという事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日:マリアside

どうも皆さん、最近本編でユーさんに出番を盗られまくっているような気がするマリアです。えっ?メタ発言ですって?しょうがないでしょう、現実逃避しなければやっていられませんから。今の状況をご説明しますね。

 

 

「 」←白目で気を失い死に掛けている

「ゴフッ!ガフッ!グフゥッ!?」←気絶できないのか口を押さえて悶えている

『セラフィム←犯人=私じゃない』←吐いた血で床に書き俯せになり倒れている

 

 

・・・そして机の上に謎の黒い汁らしき物体が。何でしょうねこれは。・・・って現実逃避するのは止めましょう。これの正体はカレーです。・・・ええ、この焦げた様にしか見えない黒い汁と言っていいのか分からない物がかかったドロドロとした物は、カレーライスです。・・・ユーさん曰く。いや、これどうみでも有害物ですよね?何が在ったんでしょうか。

 

 

 

 

 

~回想~三人称side

『と言う訳で今日も料理を作ってみた』

「「は、はぁ・・・」」

 

エッヘンと無い胸を張りながらどことなく嬉しそうに主張するユーに対し、ナギとハヤテは苦笑いを浮かべる。彼女が意気揚々と作っている光景を偶然見てしまった二人なのだが、その内容がどうも可笑しいのだ。・・・意気揚々とイモリの黒焼きをカレーに入れていたのである。それを見た瞬間さっさと去った二人だったが、だからこそ頭の中では危険を告げるアラームが鳴り響いていた。

 

『今回は、カレー』

「「・・・(これがカレー?)」」

 

そしてユーが自信満々で出した鍋の中に入っていたのは、どろりとした黒い液体。ハヤテとナギはそれを見て顔を青くするが自信満々にその液体を皿に添え、無言で進めてくるユー相手にはどうしようもなかった。

 

『ささ、食べて食べて』

「で、では僕が・・・」ゴクッ

「お、おう・・・」

 

生唾を飲み込み、スプーンを構えるハヤテ。ナギはそれを固唾を飲んで見守る。そして・・・パクッと一思いに口に含み、飲み込んだ。その瞬間・・・

 

「んごばぁ!?」

「ハヤテ!?」

 

噴水の様に吐血し、ハヤテはそのまま俯せで倒れ伏し苦しむ。ナギは涙ながらに叫び駆け寄るが、ハヤテはフラッと立ち上がり・・・グッとサムズアップした。

 

「だ、(ゴホッ!)大丈(ゲフッ!)夫だ問(ガハッ!)題ない(ゲホッ!)」

「いや問題だから!何かキャラが違うくらいに問題だからぁ!そんな状態で大丈夫か?じゃないから!」

『え…?そんなに不味かった?』

 

チーンと「燃え尽きたぜ・・・」な感じで真っ白になって横になり咳き込むハヤテと、それを抱えてギャーギャー喚き散らすナギに、思わずシュンッとしてメモを持つユー。それを見て、ナギは選択を問われた。食べてハヤテと同じようになるか、それともはっきりと「これは危険物だ!」と言うべきか。迷ったが、ユーの親友としての答えは一つだ。

 

「大丈夫だぞ、あんな美味しい卵焼きを作ったお前が作ったカレーだ。不味いはずないもんな」

 

自分で言ってナギは気付く。そうだ、此間食べた卵焼きは美味しかったではないか。だから大丈夫なはずだ・・・そう信じ、カレーをすくったスプーンを口に含むナギ。その瞬間、強烈な苦味と辛味がどっと押し寄せてきて・・・

 

「くぎゅみや!?」バタンッ

『ナギ!?』

 

盛大に噴いて白目を向き、仰向けに転倒した。そして残るは未だにゴホゲホッと体内に入った異物を吐き出そうとする少年ゾンビと、気絶したその主人と、呆けた顔でそれを見つめる一人の少女。

 

『えっと…あれ?』

 

ユーは?マークを浮かべ、自分もカレーをすくってみる。そしてその時、アポロから聞かされた「君はユークリウッド・ヘルサイズとセラフィム、ハルナの融合体」という言葉を思い出す。

 

『まさか…卵焼きだけはハルナの得意料理という事で究極に美味しくできたけど、それ以外も得意だったはずの料理スキルがセラフィムの殺人料理スキルに変わった?』

 

自問自答してみるが答えは分からない。なので、自分も食べてみた。

 

「・・・ブフッ!?」

 

そして吐血し倒れ、ガタガタとその身体を震わせるユー。彼女は最後の力を振り絞り、ダイイングメッセージを大理石の床に自分の血で書き残した。

 

『セラフィム←犯人=私じゃない』

 

・・・ちゃんと自分の無実を主張するユーであったが、今回の事件は彼女の無自覚が起こした物なので、事実彼女のせいであることは間違いない。

 

~回想終わり~

 

 

「・・・とりあえず、三人をベッドに寝かせて掃除をしておきますか」

 

とりあえず、これからユーの料理には気を付けようと思うマリアであった。

 

 

 

 

 

 

 

因みにその後、ハヤテたちをマリアさんが寝かせている時。

 

「うん?何だこれは・・・どれ。・・・ゴファッ!?」

 

過去に、かつてのお嬢様にキャットフードを食べさせられた執事長もユーの殺人カレーを食べて盛大に吐血した後失神したりするのだが、気にしないでおこうか。




何時もより短いですね、はい。卵焼きは美味しい、でもそれ以外は殺人級に不味くなってしまうユーの料理スキル。さすがはハルナとセラフィムが合体したユー。恐るべし。

ちなみに、卵焼き以外にも卵を使った料理は普通に美味しく作れたりします。何でだろうね。あ、ちゃんとハヤテとナギとユーは息を吹き返しました。ハヤテはゾンビなだけに無駄に苦しみましたけど。

次回こそ正月編、多分二話か三話かかります。お楽しみに。

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