これは執事ですか?はい、だけどゾンビです   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。まず最初に、十数名の方々。まだ一話だというのにお気に入り登録していただき、ありがとうございます。ご期待に応えられるよう、全力で書こうと思いますのでよろしくです。


僕ですか?はい、借金まみれです

ハヤテside

僕はこの日、一時間前までは「最後に笑うのはきっとひたむきでまじめな奴だ」と、何時もの様に自転車便で仕事をしていた。だけどまたもや両親が僕の年齢をばらしたせいでクビになってしまい、その給料さえ持っていかれて全てに絶望した、20✕✕年12月24日。

サンタがろくなプレゼントもくれなかった、僕にとって「二人の主人」と出会うことになる運命の日。

 

もらったプレゼントは、「父さんにはもっと自分に相応しい有意義な仕事があると思うんだ」などと夢見がちなことを言って定職にもつかない父親と、「母さんは馬券を買っているんじゃないの。夢を買っているの♥」などと言って家事すらしない母親の二人が作った借金。その額156804000円。大体一億五千万。しかも両親二人は夜逃げするという始末。

 

そんな僕、綾崎ハヤテは切羽詰まっていた。両親からは一億五千万で売られ、借金取りに追いかけられて負け犬公園に逃げ込み、そこで見付けた少女を誘拐して身代金を取ろうと考え、たかっていたナンパを蹴り飛ばした。そこまではいい。僕は今からこの子を誘拐して、悪人になってやるんだ!もし失敗してもムショに捕まって、売られることはないだろうし毎日食べれるはず・・・!

 

そう思っていたんだ。だけども、その子・・・高そうなドレスを纏い、長い金髪をツインテールに纏めていて宝石のような緑のツリ目をした、中学生くらいの女の子。その子は笑顔で、こう言ってきた。

 

「あ、ありがとう・・・何か知らんが助かったよ・・・」

 

・・・おっといかんいかん。何感謝されているんだ僕は?僕はただ、「何でネロの命日にナンパしているんだ」とか「人の獲物に手を出すなぁ!」などと考えていただけなのだ。今からこの子を誘拐して身代金をたっぷり頂くんだぞ?そんな甘い顔なんて・・・。そんなこと考えていると、風が吹いて少女は震える。まあ薄い格好だし・・・。

 

「寒そうだね」

「ん?ああ、ちょっとな・・・色々あってパーティーを飛び出してきたんだ。だからコートを忘れてしまって・・・へくちっ!」

「・・・」

 

・・・何故だろう、親に売られて僕は確かに心が氷のように凍りついたはずなんだ。なのに・・・何で・・・

 

「女の子が体を冷やすといけないから、着てなさい」

 

僕は着ていたコートを彼女に掛け渡す。甘いよハヤテ!そんなんじゃ立派な犯罪者になれないよ!でも、犯罪者になる前にいいことができたからいいか・・・

 

「安っぽいコートだな」

 

いきなり少女がそんなこと言ってきた。振り向いて見てみると、ぶかぶかだ。

 

「造りは荒いし生地は重い。おまけにサイズはぶかぶかだ・・・でも」

 

この子はどんな贅沢な生まれ何だろうとか考えていると、少女が先程見せた笑顔でこっちを向いてきた。可愛い・・・

 

「でも温かい。気に入ったぞ。ありがとう、礼を言う」

 

・・・こんな温かい言葉をもらえるなんて、何年振りだろうか?でも、それでも僕は今死ぬか売られるかの瀬戸際なんだ。やるしかないんだよ・・・!

 

「助けてもらってばかりじゃ悪いから私からもお礼がしたい」

「お礼?」

「うむ、何でもいいぞ。言ってみろ♥」

「何でも?」

 

その魅惑の言葉に、僕は高揚感に襲われる。願ったり叶ったり、話が早くて助かる。助けたお礼に身代金を要求するための人質になってもらおう。

 

「・・・じゃあ、単刀直入に言うよ」

「うんうん♪」

 

彼女は嬉しそうに頷くが、次の瞬間固まることになった。

 

「僕と・・・付き合ってくれないか?」

「へっ?」

「僕は・・・君が(人質として)欲しいんだ」

 

この言葉が、一つ目の始まり。

 

 

 

 

 

 

ユークリウッド・ヘルサイズside

どうもユーです。どうやら私は「ハヤテにごとく!」の世界にいるらしい。第一話の、告白シーン(?)を見てしまったよ!めっちゃ嬉しいよ!胸が高鳴っているよ!・・・でも、その心の内を知っている立場からすると、確かにめんどくさい。

 

今の言葉、ハヤテ本人は「人質として」という意味だったけど、「君が欲しいんだ」と言ったせいでナギの方は「恋人として」捉えてしまっているんだよね。その証拠に・・・

 

「ばっ・・・イブの夜だからっていきなりそんな告白・・・自分が何を言っているのか分かっているのか?」

「分かっているさ!だがこっちだって本気だ!」

 

・・・あーあ、また余計なこと言ってナギの方が赤くなっているよ。

 

「で、でも!」

「こんなこと、冗談じゃ言わないよ・・・命がけさ、一目見た瞬間から君を・・・君を(人質として)攫うと決めていた」

 

うおぅ、無意識かもしれないけど吐息のかかる距離だ!初めて見たよ私!にしてもハヤテ君ハヤテ君、その言葉は普通にプロポーズだってば。13歳の女の子がそう聞いたら普通に勘違いしちゃうってば。ある意味だけど、本気の想いは伝わるってほんとだね。ナギはOKしたよ。あ、ハヤテが電話するために移動し始めた。確かこの後、また失敗してマリアさんに轢かれる運命だから・・・その前に接触しようそうしよう。もちろん、ユー(本人)と相川歩の出会いみたいな感じで。どうせこの体は感情を表に出すなんてそうしないし、大丈夫っしょ。

 

「・・・」

 

私は彼を追いかける。無駄にある体力を駆使して辿り着くと、ちょうどハヤテが数少ない小銭で電話を掛けていた。

 

「あ、もしもし綾崎ですけど―――――・・・」

 

あ、馬鹿だ、誘拐犯(仮)なのに自分から名乗っちゃったよ。彼はガシャンと受話器をかけ、絶望した顔で雪道をシャツ一枚で歩く。アレは寒いね。・・・えっと、確かハヤテが倒れるのはアイス棒が落ちている場所だから・・・あそこか。私はそのすぐ傍の茂みに潜み、邪魔者(マリアさんとか)を入れないためにハヤテしか入れない結界を、無駄にある才能を駆使して生成する。・・・便利だ、喋れないこと以外。私はメモ帳に書いて、スタンバイする。あ、アイスを見付けて「当たれ」とか書いてあったから崩れ落ちた。うん、意味分かんないね。それじゃあ・・・

 

ツンツン

「うん・・・?」

 

私は茂みから出てハヤテの死体(生きている)を突っつき、起き上がった顔の目の前にメモを突きつける。それには『そこにいると邪魔』と書いてある。

 

「君・・・は・・・」

 

ハヤテは私の全体像を見て顔を赤らめる。何でだ?・・・ああそうか、今の私はユーだった。絶世の無口美少女がいたらそりゃ赤くなるよね。

 

『貴方は何でそんなところに倒れている?』

 

私は大体知っているけど、一応尋ねる。するとハヤテは起き上がり、私に笑顔を見せた。

 

「何でもないよ、ただお腹が空いただけさ」

『つまり行き倒れ?そうには見えない、私にはあなたが絶望しているように見える』

 

取り敢えず長々と書いてみた。するとハヤテは暗い顔になる。

 

「・・・君、何者?もしかして借金取り?」

『あんな悪徳チワワと一緒にするな。私はネクロマンサー、ユークリウッド・ヘルサイズ。だから気にしないで』

「はぁ・・・」

 

一応自己紹介してみると、ハヤテは困った笑顔を浮かべていた。格好も格好だし、痛い子と思われたのかな?だとしたらめっちゃ嫌だ。と、その時。

 

「ぐっ!何をする!離せ!」

 

そんな可愛い聞き覚えのある声と

 

「うるせぇ!」

「ちっ、大人しくしろ!」

 

そんな汚い声が聞こえ、見てみるとナギちゃんが誘拐されていた。・・・しまったお(てへっ☆)

 

「大変!あの子ったら!また誘拐されているわ!」

 

後ろを見ると、マリアさんがちょうど居て、ママチャリ片手に驚いていた。・・・よし、マリアさんと会わない様にしたのは私だし、後押ししないとね。

 

「あ、あの子・・・僕以外に誘拐されるなんて・・・」

『貴方に人生をやり直す気はある?』

「えっ?」

『神は貴方に天の遣い・・・つまりは私を送った。だから言わせてもらう、貴方に後悔はないのか?あるなら急げ、まだ間に合う』

「・・・あの!」

 

ハヤテは私に言われて、慌ててマリアさんに話しかけた。・・・これでよしっと。

 

「な、何ですか?」

「あの子の知り合いですよね?自転車・・・ちょっとお借りしますよ。あと警察に連絡を」

「え、ちょっ君・・・」

「御心配なく。僕が必ず追いついて、あの子を助けて見せます!」

 

ハヤテはそう言い切り、ママチャリに跨った。安心していいよ、マリアさん。綾崎ハヤテは「業界最速の自転車便」。だから・・・

 

「で、でも相手は車よ!そんな自転車なんかじゃ・・・絶対に追いつけるわけが・・・」

 

マリアさんがそう言い切った瞬間、彼は加速した。助走も無しに、スタートダッシュでいきなり車並みの速度を出したのだ。

 

・・・私も急ぎますか。そう考え、吸血忍者の翼を出して私は夜空に舞った。お手並み拝見だよ、綾崎ハヤテ。




と言う訳で、準主人公であるハヤテsideも入れてみました。ユーはハヤテの最大の理解者にしようと思っています。

にしてもハヤテって、普通にチートですよね。自転車の速さは異常だよ。

あ、感想お待ちしています。

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