これは執事ですか?はい、だけどゾンビです   作:放仮ごdz

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ユーさんマジ真っ黒。そして関西弁難しい。ハヤテとマリアさんはほぼ空気。そんな感じです。


これはツッコミですか?いいえ、どちらかと言うとボケですね

エイトの襲撃でボロボロになったエントランスもハヤテの頑張りで元通り、いやそれ以上に綺麗になった。そんな廊下を掃除中の私。うん、まだ三日目か四日目ぐらいだけど慣れたねこの仕事。

 

プルルルルルッ!プルルルルルッ!ガチャッ

 

私が掃除していたら目の前で高級そうな電話が鳴ったので取ってみて思い出す。…私、よく考えてみたら電話出られないじゃんどうしよう。此間のキッドの時は気が動転して話しちゃったけど。

 

≪「おっ、マリアさんかー?久し振りやな、ナギおるー?」≫

「…」

≪「っておい!お前ナギか?ナギなんか?もしマリアさんだったらマジで酷いで!ウチや、愛沢咲夜や!」≫

「…」

 

いやそう言われても誰?原作に咲夜ってキャラ居たっけ…ああいたな、えっと確か出番があまりない一番最初に出て来たナギの血縁者…だっけ。あれ?何か間違ってる?にしてもどうしよう…この人めっちゃ五月蠅いし離れるにしても一度断りを入れないといけないし…でも昨夜の出来事でだるいのに頭痛は嫌だしなぁ…。

 

≪「聞いとるんか!別の人間だったらせめて名を名乗らんかボケナス!」≫

「…ッ!」

 

今の言葉はカチンと来たよ、すっごい来たよ。よしっ、少し虐めてやろう。ゴホンゴホン、えっと…

 

「爆発しろ」

≪「はっ?誰や自分?えっ、何なん?…ギャァァァァァァァァァッ!?」≫

 

何か電話の向こうから爆音が聞こえると同時に、屋敷の外でも何か爆音がした。…もしかして近くにいるのかな。まあいいや。ただし私は耳がジンジン痛いけど。

 

≪「自分、一体何したんやァァァァァァっ!何かいきなり傍に在った車が爆発したで!?え、何々もしかして三千院家に立てこもっているテロリストかなんかですかァァァァァッ!」≫

 

五月蠅いなぁ…しかもなんか勘違いしているし、さらには暴走っぽくなってるしどうしよう。

 

「ん?どうしたんだユー、電話か?」

『あ、ナギ』

 

すると漫画書庫にでも行っていたのか台車にONE●IECE全巻を入れて自室に向かっていたナギが私に気付き、台車を置いて近寄ってきた。…いつも体力が無いくせにこういう時だけ力持ちなんだよねどういう原理だってばよ。まあいいや。

 

『そう。相手は愛沢咲夜って人。出たはいいけど喋れないから困っていた』

(サク)から?アイツ年明けまで伊澄とスイスにいるんじゃ…そうか、12月末スイスは寒いだろうしな」

≪「お、その声ナギか?おいこらどういう事じゃワレェ!ちゅーより黙ってさっさと代われ!こいつ全然何も話さないし車は爆発するしどういう事か教えんかい!」≫

「まったく、相変わらず私と違って計画性のない奴だ。ここは一つ言って置いてやろう。…正直面倒臭いがな」

 

だよねー。この人めんどくさいもんね、同感だよナギ。でもナギも計画性はほぼ無いと思うけどなー。そう思いながら私は無言でナギに受話器を手渡す。するとナギは冷めた目で、

 

≪「あ、もしもしナ―――」≫

「ピーンポーンパーンポーン。この電話は現在使われておりませぬ。御用のある様な方は発信音の後にメッセージを残さないでくれと命令してやる。もし残したらお前の家が火の七日間になりますのでありんす。と言う訳でさっさと失せてお前ん所のオタクパパにでも遊んでもらえってばよ。と三千院ナギの声をした誰かは散々罵倒した後電話を切りやがります、とミサカ妹の口調で最後まで馬鹿にしてやりやがります」

ガシャン!ツーツー…

 

そう言って受話器を下ろした。うわーwww これは酷い。言葉づかいもそうだけど(こんな体だから私は転生してから時々言葉と漢字を勉強しているのだ)、何より馬鹿にする言い方が半端無い。どんだけ嫌いなんだよって話だ。

 

「さーて、暇だから持ってきた海賊王に俺はなる!的な漫画でも全部見ちゃおっかなー。あ、ユーも仕事が終わったら来るか?」

『よろこんで、ナギお嬢様』

 

そう間延びしながら自室に戻ろうとするナギに私は答える。よし、さっきの電話は無かったことにしよう。眠いし考えたくない。と、その時。

 

「アホォ―――――ッ!一方的に電話切んなボケェ!」

 

私の視界の隅に映る、庭側の窓に影が現れた、あの勢いだと…ヤバい。そう思った瞬間、その何かは窓を蹴破って窓ガラスの破片が錯乱し、ちょうどその直線状にいた私の顔面に、彼女の足裏がめり込んだ。…そう、ヤバいと言うのはこの直線状だと窓を蹴破った蹴りがそのまま私に来るという事。これはさすがに痛すぎる、と私は涙する。同時に、その誰かは私の顔を踏み込んで宙に舞い、床に着地した。

 

「喋れへんやないかっ!」

『痛い』

「へっ?へぶっ!?」

「ちょっ、ユー!?」

 

その人物…緑のかかった灰色の直髪を短めに揃えた緑色のツリ目で低身長の少女の態度に、私はムカついたのでペンを瞬時に鎌にして少女の襟元に刃先を引っ掛け天井に投げ飛ばす。少女は天井に叩き付けられ、そのまま落ちてきて気絶した。

 

『ムカついた。という事で誰?』

「お、おう…こいつは十六夜…じゃなくて愛沢咲夜。三千院家の分家に当たる愛沢家の長女で私の親友の一人だ」

 

・・・さっきの私の説明は地味に間違っていたらしい。あれ?分家って従姉でいいんだっけ?というかいいとこのご令嬢か、アレ?これヤバくね私。

 

『なるほど。…それを気絶させた私はクビ?』

「いや、同感だったから別にいいぞ。今回はこいつも悪いしな。あーあ、どうすんだこれ。見事なまでに粉々だ」

『任せて』「めんどくさいからさっさと窓ガラス直れ」

 

そう言うとガラスが自動的にパズルのように修復されていく、同時に頭痛が奔った。痛いけど、これは便利だよね。するとガラスを割った音を聞きつけたのかハヤテとマリアさんが遅れてやって来た。遅いよ…と言いたいところだけど、この屋敷は広すぎるからしょうがないか。

 

「どうしたんですかナギ!…って咲夜さん?一体どうして…」

「ユー、一体何ごと?」

『ハヤテ、彼女を担いで着いて来い。ナギ、説明を』

「…はぁ、分かったよ。私の部屋に来い」

 

そんな感じで私たちはナギの部屋に向かった。さーて、どうなるかな?ホント退屈しないよこの世界は。

 

 

 

 

 

 

take1

「はっ!ウチは豊臣秀吉か!?」

「…」

ボコッ

「「「ユー(さん)!?」」」

 

ヤバい、どうしてもこの面白くないボケは鎌で殴ってしまう。と言う訳で。

 

 

 

 

 

take2

「はっ!ここは天国かそれとも地獄!?いや、ウチはどちらかと言うと現世がいいなぁ神さんや」

「…!」

「ユー、抑えて抑えて!?」

 

一度死んだ人間からしてみたら全然ジョークとは思えないことを言う咲夜に私は鎌の刃の方を振り下ろそうとするがハヤテに止められた。離せ!こいつは一度生死の境を彷徨わせてやるぅ!

 

「って何やこの人!?大鎌持っとるなんて危なすぎやろ!まあそんなことよりマリアさん、目覚め用にアールグレイ持って来て!早く!」

「お前ホント、黙ってろ」

 

そう言ってナギはマリアさんがコップに注いだ紅茶をぶっかけ、咲夜は床をゴロゴロと転がり悶絶する。

 

「熱っ!?マジで熱いって!あかんそれ熱湯やん熱湯!少し温めにしといてくれんとリアクション取りにくいやろって、マジでほんま!」

「十分取れてるから安心しろ。あとそろそろユーが危険だからついでに死んでくれ」

「なんでやっ!?」

 

そのツッコミは正しい。だけど無駄な台詞が多くてウザい、ウザすぎるってばよ。いや可愛いけどさ。さすがの私でもミストルティンでスプラッターしたいレベルでウザかったよ。よかったね、私をハヤテが止めてくれて。

 

「で、親戚である所の愛沢家の長女が一体何の用だ。もし年末の挨拶だったらしばくぞ、ユーが」

『Yes,mymaster』

「いやそれやめい!痛いから!何度も叩かれたら痛いんやから!」

「大体年明けまでスイスにいるんじゃなかったのかよ」

「無視!?まさかの無視か!?それにその後ろのメイドどっから鎌出したんや!?しかもなんで笑顔でメモ片手にギラギラ目を輝かせているんや!…ゼハァ、ゼハァ。ああ、チーズフォンデュは食べ飽きちゃって…それに一緒に行くはずだった奴がドタキャンしよるし、そりゃテンション下がるわアホ」

「だって(サク)と一緒じゃ飛行機落ちちゃうじゃん。私13歳だしまだ死にたくない」

 

ははぁ…なるほど、つまり咲夜はクリスマスをナギや伊澄って人と過ごすつもりだったけど、その前日にナギがドタキャンして構って欲しいから帰国したと。…子供だねぇ。精神年齢17歳の私から見たら十分お子ちゃまだよ、うん。いや私もナギ達と同年代な容姿なんだけどさ。そんなことを想っている間にも、ハヤテとマリアさんはいつの間にかこの部屋を出て家事に戻り、ナギと咲夜の言い合いはエスカレートしていく。

 

「落ちるかぁ!意地でも落ちて堪るかぁ!さすがのウチでもそこまで笑いの神は降臨しとらんわい!確かに事故に遭うことは多いなけれど!」

「五月蠅いわ!それに一緒に行った伊澄はどーしたんだよ!一緒に帰って来たのか?」

「伊澄さんは毎度のごとくボーっとしながらどっかに行ったんでマッターホルンに捨ててきました。まあいつも通りいつの間にか日本に戻っとるやろ」

「お前な!人の親友捨てて来るな!」

 

その親友を落ちるかもしれない飛行機に乗せたって…ナギも大概だと思うなぁ。

 

「そんなことよりウチとの旅行はバッくれて置きながら…新しい執事とメイドを雇って面白おかしく過ごしているらしいやん。執事はアレやろ、さっき居た貧乏そうな執事。で、アンタがそうか?新人メイドさんってのは。物騒なもん持っとるようやけど…ヒッ!?」

 

何時もの無表情でギロッと睨んでやった。いくらナギの親戚でもこれは駄目だ、我慢できない、ハヤテも居なくなっているし好都合だ。今ここで………止めとこ。アホらしいし私も馬鹿じゃない。

 

『私とハヤテはもうこの屋敷の使用人。主人でもない奴にどうこう言われる筋合いはない』

「ほほう…いい度胸やないけ。執事の方は後で確かめるとして、アンタの方からナギの相方に相応しいか見させて…!」

 

何か飛び掛かって来たので、やることは一つ。

 

ヒョイっ←咲夜の飛び掛かりを避けた音

ガスッ←私の鎌の刃先が咲夜の襟を引っ掛けて首を絞めた音

ブンッ←ぶん投げて咲夜を扉に叩き付けて廊下に出した音

パチパチパチっ←あまりの早業に感動してナギが拍手する音

 

瞬☆殺!口だけだねホント。これならほっといてもハヤテに害はなさそうだ。

 

「ごふっ、ウチの突っ込みをそんな方法で返り討ちにするとはやるやないか…ツッコミを自爆させるというそう言うボケか…ウチも所詮ボケ役という事かいな…」

『そう。激しく突っ込んでくる人間が相手じゃないとできない戦法。咲夜(こう呼ばせてもらう。異論は認めない)が分かりやすくて信頼に値するからできた芸当』

 

何か乗ってしまった私はメモにそう書き綴る。嘘は言ってない、本音だ。なのに咲夜はフッと笑い、ナギに笑いかけた。

 

「…さよか。良い相方を見付けたな、ナギ」

「メイドだっつーの。まあ、私のパートナーかもな、こいつは。ぶっちゃけ(サク)、お前より気が合うしな♪」

「ほう…ウチからナギを奪うとはいい度胸やなメイド…いや、綾崎悠!次が決着やからな!次は自分にもノリツッコミ教えたる!」

『100年後にお願いする』

「まあ近いうちになぁ!」

 

そんな感じに咲夜は去って行った。騒がしい嵐だったなぁ…

 

「あ、咲夜さん。お帰りですか…え?僕はそのツッコミじゃ死ねませんよ?だから殺人かぁ!とか言われても…え?ああはい、車に轢かれても平気だったり、得体のしれないロボと戦ったり、虎のような野獣とガチンコバトル繰り広げたりしましたけど何か?というか執事さん?貴方方一体何処から…なんで逆刃刀ってその勢いで振り下ろされるとゾンビでも骨が折れるっ!?もしかして咲夜さん、お嬢様と同じで負けず嫌いじゃ…ギャァァァァァァァッ!?」

 

庭の方からてな感じのハヤテの断末魔が聞こえて来たけど気にしない。そう、気にしない。というかもうあの咲夜に関わりたくない。疲れる。

 

「で、何でアイツあんなに荒れていたのだ?」

『多分一緒に行くはずのスイス旅行をナギにドタキャンされて寂しかったんじゃないかと思う。さすがに約束をドタキャンするのは悪い』

「ああ、それは悪かったな…あとで謝っておこう」

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに。

 

「…何故か今回の私の台詞を殆んどユーさんに取られた気がします…」

 

マリアさんがそんなこと言っていたけど気にしない、今回の私が原作におけるマリアさんorハヤテポジだったなんて私は本当に知らない。




最近東方ウィザードの方で鬱展開ばかり書いていたのでいい気分転換になりました☆
だからギャグオンリーになったわけですけど…無表情で暴れようとしてハヤテに抑え込まれる悠の図…何故か可愛く思えてしまったのは僕だけじゃないと信じたい。

新キャラ、愛沢咲夜さん登場。東方ウィザードの方のメインキャラである十六夜咲夜と被るのでかなりややこしいのでうすけども。彼女にはこれからもお笑い要因として頑張ってもらいましょう。ただしユーの苦手キャラとして。

次回は大晦日の話になりますかね…季節はずれですけど出来うる限り早く更新をしようかと思います。会長を早く出したい自分がいるので。その前にナギの幼馴染二人も出さないといけないですけれども。
でも現在それぞれの作品の感想の多さで執筆を優先しているのでどうなることやら…一週間に一回は投稿していく所存ですのでどうぞよろしく。

ところで今回使ったネタを全部わかった人は本当に凄いです、ええ。

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