これは執事ですか?はい、だけどゾンビです   作:放仮ごdz

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今回は真剣バトル・ギャグ風味。普通あんなことされたらキレると思うのですよ。超パワーアップしたエイト大暴れ、ユーも本気を出します。


これはエイトリベンジですか?はい、私本気を出して見ます

12月27日AM4時:埠頭のゴミ捨て場

そこに、一つの捨てられた不燃ゴミがいた。それは、昨日の昼にとある男と戦い、その男が変態だったにも関わらず真っ二つにされ爆散し、その欠片がここに眠っている。しかしそれはロボだったため、無事だった最先端AIが周りの機械を操り、自分のボディを修復し始めた。

 

 

―――ここで終わるわけにはいかない・・・―――

 

 

先ず修復を終えたのは頭部、そこから伸びたコードが辺りの機材を漁る。

 

 

―――もう一度・・・もう一度俺は・・・―――

 

 

自分のボディを形成すると彼はさらに周りの機材を集め、巨大なシルエットを形成していく。それは全て、あの執事を倒す為。

 

 

―――奴と戦って勝利し、あの人の信頼を取り戻す。俺は最先端ロボなんだ!―――

 

 

全長4メートルを超えた彼は、自分が苦渋を決した屋敷へと足を踏み締めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

朝にはホワイトタイガーと出逢い、昼には小学生探偵に出会い、さらに夕方には女装をさせられた12月27日の午後11時30分。女性陣は全員就寝し、クラウスは書類整理をしている中。ハヤテは見回りをしていた。

 

「ふ~、ようやく今日が終わりか。それにしても七話くらい有ったから一日で色々あったなぁ・・・まぁ執事の仕事と言えば掃除とキッドから宝を守ったぐらいしか記憶に無いのが問題だけど」

 

地下室への階段の入り口の隠し扉も綺麗にし、一息吐くハヤテ。

 

「しかし、その中でも一番衝撃的だったのがお嬢様のあのペットだよな・・・ったく、何なんだあの不気味な虎」

「ほう、誰が不気味だって?」

「・・・うおっ!タ・・・タマ!?」

 

そして背後にゆらりと現れたホワイトタイガーことタマに驚き、大声を上げるハヤテ。

 

「夜中に大声出してんじゃねーよ。お嬢たちが驚くだろ、この新人執事がよ」

「てかお前、なんでふつーに喋ってんだよ!」

「あ?何か文句あるのか?こちとらお嬢が今よりもチビだった頃から一緒にいるんだ。言葉はおろか宅建2級にボイラー技師の免許も持ってるっつーの。お前みたいな糞と同じにすんな」

 

偉そうに滑らかに喋る虎を訝しみ、むすっとした顔で取り敢えず言い返すハヤテ。

 

「僕だって色々免許持っているさ。年齢偽って働いていた僕を舐めるな。というか宅建て何だよ」

「おっと!でも喋れることはお嬢たちに内緒だぞ!なんつーか少女たちの夢を壊したくねーじゃんか、ほら。俺っちみたいなマスコットキャラってイメージが大事じゃんか。まあ、ユーの姉御は最初からばれていたから別だけどよ」

「ユー、お前を最初から見破っていたのか凄いな。というかお前はどちらかと言うとゆるキャラだろ?」

「なっ、テメェ!俺っちのどこがゆるキャラだ!こんな巨大だけど可愛いマスコット何て他にいねーぞ!」

「何意味の分からないこと言ってんだこのトラ!?」

「ちっ!テメェはユーの姉御と違って一々ムカつくな、いっそ食い殺してやろうか・・・いやもうお前は死体だったか」

「死体じゃないゾンビだ。あとゾンビだからって痛みが無いわけじゃないんだぞ。決して死なないだけで痛みは普通に感じるんだし、貧血にもなる。まあ血がすっからかんになってもユー曰く生きられるらしいけど」

「それ生きてるって言えるのか?まあいい、じゃあ一度死ねや!」

「うおぅ!?」

 

いきなり飛び掛かって来たタマの腹を蹴り付け、浮かび上がったその巨体を投げ飛ばすハヤテ。先刻のタマとの激突で対処法が分かって来たようである。そう、タマは不意打ちする時必ず飛び掛かるのだ。

 

「・・・ちっ、その首噛み千切ってやる!」

「そうは行くか!?」

〈まちな、ソイツをぶっ殺すのはこっちが先だぜ〉

「「!?」」

 

唐突に聞こえた機械的な声、二人が振り向くと、窓ガラス越しに如何にもアンバランスな巨大なボディを持った、不細工な面のロボット。エイトがそこにいた。

 

 

 

 

 

 

 

ユーはすでに寝静まり、その隣にあるナギの部屋で寝間着に着替えるナギとマリア。

 

「それにしても、今日は色々あったな」

「貴方は楽しかったでしょうけど、私はちょっと疲れました。壊したり暴れたり、わたしのシクラメンをめちゃくちゃにされましたし、怪盗に侵入されたりハヤテ君やコナン君に覗かれたり・・・三週分の仕事を一日でやった気分です。正直ユーさんが来てくれて助かりました、メイドが私一人では仕事が成り立ちませんでしたし」

 

着替えながら溜め息を吐くマリア、着替え終えてベッドに寝そべり漫画を開くナギ。これが主人とその従者の違いである。

 

「でもまあこれでハヤテやユーも執事やメイドの仕事がどんなものか分かったんじゃないのか?」

「・・・(ちゃんとした仕事なんてしてましたっけ?)」

「にしてもキッドを逃がしたのは惜しかったな、捕まえて鈴木財閥の相談役の爺を悔しがらせるのも面白そうだったのに」

「ナギ・・・次郎吉叔父様がいくら嫌いだからってそれは・・・あの人はキッドを捕まえるのが生涯の目的なんですから。ま、とりあえず明日からはもう少し物を壊さないようにしてもらわないと・・・」

 

マリアがそう呟いたその瞬間、ドーン!と言う爆音と共に屋敷が揺れ、埃が立つ。

 

「・・・聞こえなかったことにする?」

「・・・もういいです勝手にしてください」

 

マリアはそっぽを向いて布団の中に潜り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

その爆音の正体は、エイトが窓ガラスを壁ごとぶち壊した音であった。ハヤテとタマはいきなりの侵入者に構える。

 

〈ククク・・・久しぶりだな女装好きの綾崎ハヤテ〉

「なっ、お前は・・・女装好きは余計だ!」

「おい、アイツは一体何もんだよお前の友達か?だったら少しは選んだ方がいいぞ」

「いや、僕は基本バイト三昧でボッチだったから友達なんていないよ。それにアイツは昨日お嬢様の命を狙って僕とユーに倒された、介護ロボットの「8」だよ。見た目は物凄く変わっているけど」

「お嬢の命をだと!?」

 

全長四メートルの体で何とか窓から入り、両手の装甲を開いてマシンガンを出現させ、さらに胴体を開いて蜂の巣状のミサイルポッドを出すエイト。それに対しハヤテは200%の力を解放し、タマはその横で体制を低くして唸る。

 

「で、その介護ロボ・・・に見せかけた戦闘ロボが何の用ですか!」

〈ほう・・・何の用だと?決まっている。お前たちへの復讐に来たんだー!〉

「こんの!」

「うわっ、あぶね!?」

 

そして目が煌めき、弾丸とミサイルの嵐を放つエイト。ハヤテはミサイルを右手の甲で弾くが何発か被弾して後退する中、タマはさっさと物陰に隠れる。因みにその頃寝ようとしているナギは「中々ワクワクする効果音だな」と笑ったり、ユーが爆音で起きたりするのだがまあいい。

 

「復讐ってそんなの逆恨みじゃないですか!大暴れしたアンタが悪いんでしょ!」

〈うるさい!お前に負けたせいで俺は、俺は全てを失ったんだよー!〉

 

そして語り出すエイト。

 

 

 

※以下回想

 

「エイト・・・貴方は世界一の介護ロボットになるのよ・・・」

 

介護ロボとして開発者の期待を一身に受けていた俺は毎日実験に明け暮れていた。正直言って退屈だったが俺は頑張った。何故なら三千院家傘下の研究所「M.H.E」人型介護決戦兵器開発主任の牧村志織22歳・独身・・・彼女がいたから。彼女は俺の全てだった・・・しかしあの日!

 

「ええ!?エイトが貧乏な人間の屑の変態に負けた!?しかも私の介護ミサイルも変形する両腕も効かずに真っ二つ!?」

 

〈ま、牧村主任・・・〉

 

顔が右半分だけ爆散せずに残った俺はこの敗北を期に改良してもらい、リベンジを果たして本当の最先端ロボットだということを証明できると思っていた・・・しかし、現実はそう甘くなかった。

 

「じゃあ、開発は中止ね」

〈・・・ガーン!?〉

 

その一言で、俺のロボ命は絶たれた。主任からの期待を、俺は裏切ってしまったんだ・・・

 

「そもそも何でもロボにやらせるって発想が間違っているのよ。大体、デザインも機能も超ダサイし・・・部長にはエ●ァンゲリオン的なデザインはどうですかって聞いたんだけどもう前に作ったセブンがそれに近い形状だから駄目だろって反対されちゃってねー。だから知り合いのイラストレーターにデザインを頼んだんだけど間違いだったわ」

〈そ、そんな・・・主任ー!〉

 

※以上 回想終了

 

 

 

〈こうして俺は全てを失い、不燃ゴミとして捨てられる始末・・・〉

「「・・・(ロボットって不燃ゴミじゃなくて粗大ゴミなんじゃ・・・)」」

 

泣きながら語るエイトに、心の中でゴミ分別が間違っているという感想を浮かべる一人と一匹。同情の余地は無いようである。

 

〈だから俺はもう一度彼女の信頼を取り戻すために綾崎ハヤテ、お前と銀髪無表情メイド、そしてツインテールのバカ娘をボコボコにしなくちゃいけないんだー!〉

「ではやっぱり倒させて・・・「ガルッ!」・・・ってタマ!?」

〈ギャー!?〉

 

その目的を聞いて構えるハヤテだったがそれよりも早く、今まで弾丸に当たらないように隠れていたタマが体当たりをエイトに浴びせ、吹き飛ばした。しかしエイトは難なく立ち上がる。どうやらボディの強度はそれなりに高くなっているようだ。

 

〈ペットの癖に貴様、何を・・・〉

「黙れスクラップ三太夫。ゾンビと言う人間の屑で哀れで間抜けな女装趣味の変態借金執事はいくらでも殺して構わんが、ユーの姉御とお嬢を傷つける奴は俺が許さねぇ。ユーの姉御は単純に気に入ったからだが、お嬢は違う。

確かにお嬢は我儘勝手で傍若無人・・・行動は思いつき、間違いを認めず、人一倍気が強くて世間知らずで、高飛車な割に真っ暗な部屋では一人で寝られない上にチビと言う弱点が在ったり、運動神経も本人はあると言っているが無かったりする駄目人間ではある。・・・が、俺にとっては命の恩人だ」

 

そのタマが言った言葉にまだ寝ていなかったナギが直感的に感じ取りイラついていたりしたのだがそれはさておき、タマは自分にとってもデカすぎるエイトに飛び掛かった。

 

「だからお嬢の敵になる奴は、俺が全部潰してやるぜ!」

〈ペット如きが俺に勝てるなどと思わないことだ!〉

「があっ!?」

「タマ!」

 

しかしあっさりとエイトに殴り飛ばされ、その眼から放たれたレーザーを喰らって白い体のあちこちが黒ずんで倒れ込むタマに駆け寄るハヤテ。そんな彼に向けて、エイトは拳を振り下ろした。

 

〈ゾンビだろうが何だろうが一片死にやがれ綾崎ハヤテ―――――!〉

「ぐっ・・・!?」

 

押し潰されることを覚悟し、タマを守ろうと覆い被さって目を瞑るハヤテだったが・・・エイトの拳は金属音と共に何かに防がれた。

 

〈なっ、貴様は―――――!〉

「ん?」

 

エイトの叫びで無事だと気付いたハヤテはゆっくりと目を開け、いつの間にかそこにいてペンが変化した鎌を構えてエイトの拳を防いでいた少女を見て、口を開いた。

 

「ユー・・・?」

『こんなのに後れを取るなんて油断しすぎ』

 

少女・・・ユーの懐から自動的に出て来てエイトが空けた穴から流れ込んでくる風で舞うメモに自動的に字が書き綴られる。そしてユーは無表情のまま右手で持った鎌を押し上げてエイトの巨体を突き飛ばし、外から流れ込んできた風に乗った複数の木の葉を左手に集束させて長い刀身の刀剣を形作り、鎌をペンに戻して構えた。

 

『しょうがないから私が戦う。そこで見てろ』

「ユー、大丈夫なんですか!?」

『大丈夫、私はこれでもネクロマンサーで吸血忍者で魔装少女』

 

再びそうメモに書き綴らせるとユーは木の葉の刀剣を軽く振るう。

 

『特技は卵焼き作りと秘剣燕返し』

〈グハッ?!〉

 

そうメモに書き綴られた瞬間、目に見えないほど速い斬撃がエイトを襲った。

 

 

 

 

 

ユーside

まさかの原作よりめちゃくちゃ強化されているエイトに驚いた上にハヤテが何かやられそうな状況になっていたから助けてしまったよ。ハァ・・・まあいいや、アポロさんから再確認した能力の試しにちょうどいい。本当にセラフィム得意の秘剣燕返しが使えたし。にしても喋れないのは痛い、秘剣燕返しは言ってこそかっこいいのに。メモで我慢するか。

 

『もう一撃、秘剣燕返し』

〈このクソアマ・・・!?〉

 

続けて放った斬撃を、右手を傘状の盾にして防ぐエイト。うわぁ・・・いくら何でも強化され過ぎじゃね?しょうがない、私は木の葉の刀剣を手放しアクセサリー状のミストルティンを取り出してクルクル回し、元の大きさに戻す。そして自らの心臓から無限に生まれる魔力で床に字を刻んだ。

 

『モノブヨ ヲシ ハシタワ ドケダ グンミーチャ デ リブラ』

 

すると私の体を桃色の竜巻が覆い、その姿をハヤテの魔装少女としての衣装を水色から桃色にした、だけどその上に甲冑を身に纏ったままの魔装少女としての姿に変えた。

 

『鉄屑には容赦しない』

〈誰が鉄屑だ~!〉

 

エイトの伸ばしたメカアームの拳が私に炸裂、するかと思われたが私は宙に浮かんでいた。そして縦に高速回転を始める。

 

〈ふん!またミストルティンキックとか言う名称詐欺な技か、もうそれは効かない!〉

 

そう言って両手をチェーンソーにし、身構えるエイト。・・・あ、なるほど。原作より強化されている理由はこれか。魔装少女に負けたからだ。圧倒的すぎる決着が、逆に強くしたんだ。でもそんなの関係ねーってね。おりゃっ!

 

『龍牙雷神衝』

〈なっ、アババババババババババババババッ!?〉

『続けてミストルティン・キック』

〈この・・・ってギャー!?〉

 

私はセラフィム・・・というよりは吸血忍者の能力である雷撃でエイトを痺れさせた後、前回見たく真っ二つにすべく回転を乗せたミストルティンを振り下ろし切断する。だけど爆散しない。何で?

 

〈で、電撃は予想外だったが!〉

「っ!」

〈ちゃんと対策は立てているんだよ!〉

 

どうやら巨大なエイトは見せかけだったようで、中から出て来た本体(メカアームがかっこよくなっていて胴体のハッチに書かれている巨大な8のすぐ脇に小さく「.1」と書かれているところ以外変わっていない)が殴りかかってくる。

 

〈名付けてマトリョーシカ作戦!ってアババババババババッ!?〉

 

だけど私は冷静に、再び「龍牙雷神衝」を放ってエイトは感電黒焦げとなりその場に転倒した。何となくとどめを刺すべくミストルティンを振り上げる私。・・・原作でここ、どうなったんだっけ?そう思いながら、斜めに振り下ろした。

 

「待って!ギャァァァァァァァッ!?」

「あ」

 

しかしそれはエイトを真っ二つにすることはなく、代わりに割り込んできたハヤテを右斜めに真っ二つにしてしまい、分割されたハヤテは絶叫し血を噴きだしながらも難なくくっつけ、そのままエイトと私の間に立ちはだかる。・・・そうだ、タマの攻撃からエイトを守ったんだったね。するとタマが反応して叫ぶ。

 

「借金執事、テメェ!今直ぐにもユーの姉御が倒せていたかもしれないのに・・・お嬢の命を狙ったソイツを庇おうってのか!」

「違うんだタマ、こいつは僕たちと同じなんだ!見捨てられる悲しさや寂しさは知っている、だけど拾ってくれたり救ってくれた人がいたから、だから僕らは・・・ここにいる・・・!」

 

これは名言だよね、思わずゾクッと来るよ。あ、今魔装少女のミニスカートだからエイトが空けた穴から入り込んでくる夜風がこそぐっているのか。まあいいや。すると今まで黙っていたエイトが口を開いた。

 

〈俺の気持ちを、お前は分かってくれるのか・・・?〉

「ああ、僕も同じ経験をしたから、あのクリスマスの夜に・・・」

〈・・・そうか〉

 

すると流していた涙を引っ込め、両手を火炎放射やら機関銃やらに変形させてハヤテに向けるエイト。・・・まあ、ロボだしねー。

 

〈じゃ、ここで俺に殺されるってことで・・・〉

「え?ぬっは――――――――――――――――!?」

〈俺の気持ちが分かるなら、ここで俺に殺されろー!〉

「「『なんでそうなる?!』」」

 

その後、撃たれて燃やされ斬られて抉られて殴られながら逃げまくるハヤテだったが、その途中で変身を解除した私が投げ渡したミストルティンを手に取り魔装少女に変身、血塗れになりながらも300%を解放したパンチでエイトの胴体を蜘蛛の巣状の罅を入れながらぶち壊し、ブッ飛ばした。・・・おおう、やっぱりゾンビはパンチだよね、魔装少女になることで普通は身体が崩壊してしまう%まで上げれるし。

 

〈がはっ!?〉

「もうやめてください、君では僕とユーに勝てないんですから」

「言ってるわりには血みどろじゃねーかよ」

「うっさいタマ黙っとけ」

『でもやられすぎ』

「うっ・・・ごめんユー」

 

まあ確かにハヤテ、頭から普通は意識が飛んでるレベルの血が流れているけどね。ゾンビじゃなきゃ死んでたよこれ。もうボロボロなのに、それでも戦おうとするエイト。しかし私は、外から聞こえる足音に気付いた。おいでなすったか。

 

〈だが俺はそれでも、それでもお前を倒しても一度彼女に俺の力を―――――――!〉

「エイトォー!」

「「〈!〉」」

 

そこにやって来たのは、白衣を着た眼鏡の女性こと天然マッドサイエンティスト・・・げふんげふん、牧村主任であった。あーあ、エイトに同情するよホント。何故かって?すぐわかる。

 

〈しゅ、主任・・・!〉

「エイト・・・よかった、ここにいたのね。ゴミ捨て場から居なくなっていたから捜したわよ」

〈な、何をしに来たんですか・・・俺はもう見捨てられて・・・だから俺はまだ終わっていないということを証明するために綾崎ハヤテを・・・〉

「ごめんなさい!でもそれは違うの!ちょっとしたミスがあって・・・貴方の事を何も考えないで、不燃ゴミなんかに捨てちゃって・・・本当に悪かったと思ってるの。私が間違っていたわ」

〈主任・・・〉

 

ここまではいい話。だけど現実は本当に甘くない。

 

「貴方は不燃ゴミじゃなくて粗大ゴミよ♡」

〈え゛?〉

「「「・・・」」」

「家電リサイクル法って知ってる?電化製品をポイポイ捨てちゃ駄目なんだって♪貴方は介護ロボットだから立派な家電よね?

〈え?〉

「超ビックリよもー、貴方を不燃で捨てましたーって部長に言ったらコラーって」

〈あの・・・〉

「でも安心して!ちゃんと業者の人が分解して捨ててくれるって!」

 

そこまで言うと、エイトの青筋がブチッと切れた。あ、キレた。

 

〈勝手を言うなー!〉

「きゃあっ!?」

「ちっ、あぶねぇ!」

 

私が切断したアーマーを再び装着し激昂、メカアームで牧村さんを掴んで投げ飛ばした。それを何とか跳躍したタマが受け止め、ミストルティンを手にしたハヤテとと共に私は木の葉の刀剣を手にしてエイトに飛び掛かった。

 

〈俺は、貴方のためにこんなにも尽くしてきたんだー!なのにこんな仕打ち、あまりにも酷いじゃないですか!〉

「言い分は分かりますけど、300パーセント!」

『とりあえず落ち着け』『秘剣燕返し!』

 

ハヤテのミストルティンと、私の木の葉の刀剣が同時に振り上げられてエイトを吹き飛ばす。しかしエイトはすぐ足を踏み込んで止まり、慌てて逃げる私とハヤテを追いかけメカアームが伸びて辺りを破壊しながら迫る。ヤバい、これ完璧にキレてるね。ぶっ壊すか。私はペンを鎌にし、木の葉の刀剣と共に構え、空気を歪ませて字を描く。

 

『上等!』

「たあっ!」

 

私は鎌と刀剣を使って襲い掛かってくるメカアームを弾き返して行き、ハヤテは階段を上って飛び出し、シャンデリラを掴んで遠心力を使ってスピードに乗りエイトの脳天にミストルティンを叩き付けた。

 

「ミストルティン・キーック!」

〈ンな物・・・ぬあっ!?ギャァァァァァァァァっ!?〉

 

そしてその顔面を蹴り飛ばし、倒れ込むエイトをその勢いで真っ二つにするハヤテであった。・・・マジでキックしたよ、ある意味技名詐欺だね。

 

〈・・・くそっ〉

「・・・ってことで、それじゃーねー!」

〈ちょまっ、ギャー!?〉

「「「・・・」」」

 

しかも、何時の間に取り寄せたのか業者の人にエイトの残骸を縛り上げ、牧村さんが連れて行った。・・・マジで同情するよ、うん。しかも牧村さん私たちに関してはツッコミ無しかい。侮れぬ。

 

「・・・僕たち、拾ってくれたのがユーやお嬢様でよかったね・・・」

「まったくだ・・・」

 

何か執事服に戻ったハヤテとタマが語り合っていた。・・・にしても、やっぱり私の影響で何か可笑しくなってきているね。どうしようかホント。とりあえず寝ようか。

 

『お休みなさい』

 

私はそう書いたメモをハヤテに見せ、ミストルティンを回収して鎌をペンに戻した後自室に戻った。




ホント、三千院家のSPは仕事しませんね。エイトはもうせっかく何で出来るだけ強化しました。普通に強いです、凶器の塊です。

ハヤテとタマはどちらとも親に捨てられ、ナギに拾われたという共通点があります。だから微妙に仲がいい訳ですね。

そして天然鬼畜なマッドサイエンティスト、牧村さん登場。今まで名前は登場していました。失敗作のエイトも近くのゴミを集めて再生、強化できるのでかなりの天才といえます。

ユーは今回魔装少女に変身、セラフィムの能力を多数使用しました。十分強いですね。

次回は新キャラ、ナギの姉貴分の従姉が登場です。ツッコミが凶器な人。お楽しみあれ。

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