これは執事ですか?はい、だけどゾンビです   作:放仮ごdz

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ハヤテVSタマ!ゾンビなら虎に勝てるのか!?ユー(ネクロマンサー)でも怖いものがあったようです。

今回の最後にもう一人の主人公登場です。


これは修羅ですか?いいえ、マリアさんです

ユーside

「グルアァァァァッ!」

「ひぃっ!?」

 

迫りくるホワイトタイガー・・・改めタマに、ハヤテは怯んで思わず体が硬直する。うん、アレは怖いね。私は何か恐怖を感じないけど。

 

「こらタマ!暴れるのもいい加減にしろ!」

 

するとナギが叫び、タマはハヤテの目前で立ち止まり、にゃーにゃーとハヤテの頭を撫で始める。・・・うん。こいつ本当にナギの機嫌を損ねたくないんだね。にしてもナギも空気読んでくれて助かっ・・・

 

「まったく・・・朝っぱらから騒々しいな、ユー」

『そう。というか朝からスプラッタ映像を見るとは思わなかった』

 

私はクラウスさんの屍(笑)を見てそう書いたメモを突きつける。うん、朝から教育上悪いね。ナギは慣れているみたいだけど。お嬢様すげー。

 

「ありがとうございます、お嬢さま・・・」

「ゴロゴロニャー」

「タマ!お前も三千院家の猫ならわきまえろよ!」

 

うんうん、もし暴れても私が黙らせるけどね。そうナギに感心した瞬間、それは裏切られた。

 

「遊ぶなら外でやれ!」

「へっ?」

『えっ?』

「ガウッ!」

「のぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

ナギの台詞に頷いたタマは呆けるハヤテを咥え、窓を突き破って外に飛び出す。ってここ二階だって!?私はがらにもなく(もちろんこの体的な意味で)破れた窓に近寄り見下ろす。後ろからナギも見てきていた。

 

『ナギ、何であんなことを言ったの?』

「えっ?何でって・・・ハヤテなら楽勝だろ?たかが少しデカいだけの猫だ。それにゾンビだから死ぬことないだろうし」

『いや、ゾンビでも痛いものは痛いのだけど・・・』

 

そう言いながら見てみると、ちょうどハヤテがタマの鼻面に拳を叩き込んで怯ませていた。

 

「くっ・・・くそっ!あんまり調子に乗るな・・・!」

「ガルゥ!?」

「ゾンビを嘗めるなァァァっ!」

 

さらに空中一本背負いで庭に叩き付けられ、立ち上がったタマは怒りに燃えて着地したハヤテを睨みつける。その胸元はズタボロだけど気にしない。ついでに叩き付けられたタマの巨体が庭にあった「シクラメン」と書かれてある看板を折ったけど気にも止めない。今のはゾンビじゃないハヤテにもできたんだろうなぁ・・・。

 

「言っておくけど、猛獣と戦うのが初めてだと思うなよ!こう見えてもかつて両親に「肉を食わせてやる」と言われ侵入したサファリパークでライオンとかの肉食獣の餌を何回か強奪してきたんだ!主に逃げていたけど!」

 

・・・そいつは色々すごいね。でもハヤテ、それは自慢げに言うことじゃないよ多分。

 

そう叫んだあとハヤテは花を踏み締め地面を蹴ってタマの首筋を掴んで持ち上げるとお屋敷の壁に叩き付けて瓦礫が舞い、タマが叩き込まれたことによってできた横穴に瓦礫を蹴り込んだ。瓦礫は猛烈なカーブを描き、横穴に飛び込んで行ってズゴンッと鈍い音が響いた。

 

何かどこぞの香港映画のとんでもカンフー使いが火雲邪神相手に使った戦法と似ているけど気にしない。アレは意味不明で面白かった・・・じゃなくて、何屋敷を破壊しているんだろうかあの執事。生存本能で周りが見えなくなっているねアレは。

 

「ガウッ!」

 

すると瓦礫がぶつかったのか頭に大きなたんこぶを乗せたタマが姿を現し、ハヤテに襲い掛かってその右腕の爪でハヤテの腹部を抉り、そのまま体当たりを浴びせて吹き飛ばし、シクラメンの花が舞い散って木々を叩き折りながらハヤテは宙を吹っ飛ぶ。・・・どこのドラ〇ンボールだろうか?この戦い、ホワイトタイガーとゾンビじゃないと無理だね(笑)

 

「ううん・・・おお、綾崎ハヤテ。まさかタマと互角とはな」

「お、起きたのかクラウス」

『そのまま死んでればいいのに。この女の敵』

「綾崎妹、貴様本当に私の部下か?」

『私はナギのメイド。執事長である貴方の部下ではない』

「ごもっともで・・・」

 

何か目を覚まして頭の血を止血したクラウスさんに元気にメモで口答えする私。ぶっちゃけ嫌いだこの人。

 

「しかしさすがハヤテだ。やはりタマとも互角に遊んであげられそうだ♪」

 

ちょっとナギさん!?アレが遊んでいるように見えます!?

 

「それはどうでしょうな。姫神以来いったい何人の執事候補がタマに敗れ出て行ったことか・・・」

「そいつらはお前が選んだ執事候補だからだろう?ハヤテならタマにも負けないさ!何せゾンビだからな!」

「何を訳の分からぬことを言っているのですか!ならタマに勝てない時はお嬢様を護れないということで執事失格、彼には屋敷を出て行ってもらいます!」

「いいさ!タマに勝てなかったらクビにでも何でもするがよい!」

 

・・・この二人は何を言い争っているんだろうか?素手でタマに勝てなかったらハヤテ明日から無職か、それは私が困る。まあ負けることは無いだろうけど、というかクラウスさんは素手であの虎に勝てるんですかね?

一般的に人が素手で勝てるのって体重30キロぐらいの犬が限界なんだっけ?ゾンビはその限界を超えることができるが、タマは昨日ナギから聞いた話によるとおよそ300キロらしい。

 

大体、ハヤテもさっきかっこいいこと言っていたけど彼はゾンビとしては相川歩の原作開始の時の様に慣れてもいないし(多分メガロに出くわしたらミストルティンなしじゃ勝てないだろう)、よく聞いたらサファリパークではほとんど逃げ回っていたとか言っていたし、大丈夫かな?慣れれば痛覚を麻痺する筈なんだけど慣れる訳ないよね。

 

でも、隣のナギはハヤテが勝つと何の疑いも持っていない瞳で「頑張れー!」と笑顔で応援しているから、ハヤテは本来の実力以上の力を発揮するだろう。

 

「まぁいいか・・・どうせクリスマスに失った命、この体はユーとお嬢様に捧げると決めている・・・(ボソッ)」

 

その時、風に乗ってボソッとハヤテが呟いてきた言葉が聞こえてきた。う、うん。嬉しいこと言ってくれるじゃん。私は思わず『頑張れ、期待している』とハヤテの心に呼びかけてみた。するとハヤテは笑い、跳躍して飛び蹴りの体制となる。同時にタマも跳躍、こちらは右前脚を向けた。

 

「だったらいいぜ、やってやる!」

「グルオォォォォッ!」

 

そして、ハヤテのライダーキックとタマのライダーパンチがぶつかった。

 

 

 

「あの、ところでお嬢様・・・先程から少し気になっていたのですが」

「ん?何だクラウス」

『今更ハヤテを執事と認めた?』

 

何かクラウスさんが呟いたのでそう返してみると「違うわ!」と叫んでメモを突き飛ばし、クラウスさんは続けた。あ、何か嫌な予感がする。

 

「彼らの戦っている場所って・・・マリアの家庭菜園場では?」

「・・・私はここにいない、玄関で掃除している」シュン

「あ、狡いぞユー!?」ガビーン!?

 

その言葉を聞いて、私はそう呟いて玄関に瞬間移動し、ナギの叫びが木霊した。

 

 

 

 

 

 

マリアside

さてと、ハヤテ君がユーさんと寝ているナギを起こしに行きましたし(私の勘ではユーさんは恐らく朝に弱いと思いますし)朝食の準備もできました♪

 

「ナギが起きてくるまでにお花に水をやって軽く庭でも掃除しますか」

 

私はルンルン気分で裏庭に向かう。ふふ、ハヤテ君とユーさんが来てくれて助かりました。料理の時間が取れましたし。

 

「シクラメンの花、綺麗に咲いているといいんですけど・・・」

 

そう言って裏庭を覗きこんだ私が見たのは、綺麗な花畑ではなく花を荒らしながら暴れているタマとその口に咥えられ振り回されているハヤテ君だった。

 

「ギブギブ!ギブだってタマ!頭が捥げる捥げるって!さすがに頭が取れたらゾンビでもヤバいって!ていうかいくらゾンビでも人が虎に素手で勝てる訳ないよ、戦うならせめて魔装少女は嫌だけどミストルティンを!もしくは僕の手首から蜘蛛の糸が出るようになってから!あとドラ〇もん、空気砲貸してくれぇぇぇぇぇっ!?」

 

・・・私の心内は色んな感情が渦巻いていますがとりあえず。私はスパァン!と今まで数々の執事を助けてきたように手に持った竹ぼうき(特注品)をタマの頭部に叩き付け、ハヤテ君を解放する。

 

「タマ・・・何やっているんですか貴方は」

「マリアさん、助かりましたよ・・・それにしてもよくコイツを気絶できましたね?」

「慣れているんですよこういうことは。にしても、もぉ・・・私が大事に育てている花があるからこの中で遊んでは駄目とあれほど・・・」

 

私はそこまで言ってから大事に育てていたシクラメンの成れの果てを見る。・・・これはまさか・・・私はそろりそろりと逃げようとしていたタマに精一杯の優しい声で呼びかける。

 

「・・・タマ、これは貴方がやったの?」

「が、ガルゥ・・・」ブンブンブン!

 

タマは凄い勢いで首を横に振る。そうよね、じゃあやっぱり・・・

 

「それとも・・・「タマに勝てなきゃ執事失格でハヤテ君はクビだー」とかユーさんを放ってそんなこと言って上の二人が嗾けたのかしら?」ニコッ

 

そう言って二階の窓を見ると、ナギとクラウスさんが大慌てで隠れようとしていたがすぐに弁解しようとしたのか直立する。

 

「や、何を言っていますやら!」アセアセ

「そ、そうだよ・・・そんなことある訳が…」ビクビク

 

そうですか、言い逃れするんですね・・・

 

「どうなの?ハヤテ君?」

「へっ?まぁ大体そんな感じですけど」

「ユーさん?」

『あの二人が嗾けた。私は関係ない。あとハヤテは私が治すので安心して』ブルブル

「ハヤテ、ユー!?」ガーン!?

 

傍にいたハヤテ君、玄関の方からやって来たユーさんに聞くと予想通りの答えが返ってきて、ナギはショックを受ける。ハヤテ君は多分気付いていませんけど、ユーさんは私が怒っているのに感づいているのか震えている。・・・そんなに怖いかしら。

 

「そうですか・・・ではすぐそちらに参りますので少し朝食は遅れますけど、ちょっとそこで待っていてくださいね?」

「イ、イエッサー!」ガクガク

「うん・・・まだお腹減ってないから大丈夫なのだ・・・」ブルブル

 

私はハヤテ君をユーさんに任せ、笑顔を保ったままナギの寝室に向かった。O☆HA☆NA☆SHI☆ですわ♪

 

 

 

 

 

ユーside

マリアさんが黒笑を浮かべながら去った後、私は左手をハヤテの傷口に翳して治癒を開始する。今更だけどこの力便利だね。

 

『大丈夫だった?ごめん、あの二人を止めれなくて』

「い、いえ・・・ユーだけは味方だと思っていましたから。それにしても、お嬢さまは何で虎なんか飼っているんです?危ないのに」

『それは昨日私もナギに聞いた』

 

私は左手で治癒しながら右手でメモを描き、話を続ける。

 

『管轄に纏めるとあのタマは行き場が無い』

「行き場が無いって野生に帰れないのは分かりますが動物園とかサファリパークは?何か問題でも?」

 

その質問はもっともだね。でもさ、ここは大富豪の屋敷だと忘れない方がいいよ。

 

『タマは元々アフリカで親と逸れて死に掛けていたのをナギに拾われてそのまま文字通り子猫の様に可愛がられて・・・』

「へぇ、お嬢さまは優しいんですね」

『牛は松坂、魚は大トロ、週に三日はマッサージというそんじょそこらのペットと比較にならない程の贅沢を覚えて野生はおろか動物園何て預けた時点で潰れるらしい』

 

思わずハヤテは呆れ、後ろに控えていたタマは満足げに笑った。あ、タマも治してやんないとね。そう思って傷口に手を添えると、タマは嬉しそうに唸った。

 

「それは何と言うか・・・色んな意味で具合が悪いですね」

『私もそう思った。でもこいつはナギを絶対に傷つけないしナギの為なら貴方と同じように命をかけて戦う。そこはよく理解しているらしい、もしナギと出会えなければ自分は確実にのたれ死んでいたということはね』

 

私がそう言うと、ハヤテは察したように笑う。そう、ハヤテと同じなのだ。いくら私でも財力は用意できなかった。だから、ナギがいないとハヤテは永遠に苦しむことになっていただろう。主に空腹と日光で。因みにここは木陰だから問題ない。

 

「そっか・・・お前も僕と同じなんだな」

『・・・そろそろ喋っていいぞ、タマ』

「え?」

 

私がそう書いたメモをかざすと、ハヤテは呆けタマは満足げに頷くと口を開いた。

 

「お前みたいな人生の負け組と一緒にするんじゃねぇよバーカ」

「・・・」

「ったく貧乏臭い顔しやがって!トラックに轢かれて死んだならそこでのたれ死んでろよボケ!」

 

タマはそう叫ぶと屋敷の中に入って行った。うん、ハヤテ。アンタの気持ちはよく分かる。あとでアイツを躾けておくから。

 

「・・・ユー、金持ちの家のペットって喋るんですね」

『そんな訳あるか』

 

思わずツッコむ私であった。・・・あ、そうだ。このシクラメンマリアさんの大事なモノらしいし・・・

 

 

 

 

「いやまぁだから、これでハヤテがタマと一緒に遊べるというか…世話ができるというか?」

 

私とハヤテが寝室に戻ると、ナギがマリアさんに弁解している姿と、水が満面に入ったバケツを頭の上と両手に持って立っているクラウスさんの姿があった。クラウスさんザマァwww

 

「そしてその代償として、私が大事に育ててきたシクラメン達は全滅と」

「いや、だからそれはその・・・本当に悪かったですハイ。お、ユーにハヤテ。おかえり♪」

 

するとナギが私たちに気付き、近寄ってきた。ハヤテは無言だ。

 

「な!ハヤテもすっかりタマと仲良くなったよな?」

「・・・三千院家のペットって喋るんですね」

「「はっ?」」

 

何かハヤテがそんなこと言ってきて二人の目は点となり、私は溜め息をついて書いたメモをハヤテだけに見えるように見せる。

 

『ハヤテ、その事実はこの二人は知らない』

「えっ?そうなんですか!?・・・えっと、何でもありませんよ二人とも」

「そ、そうですよね。ナギが無茶をさせたからすっかりアレな感じになったわけじゃないですよね?」

「ハヤテ!私が悪かった!」

「い、いえ違いますよ・・・?」

 

テンパる二人に戸惑うハヤテ。私はそれを見てクスリと笑い、とあることを思い出してそれを書き三人に見せる。

 

『そうそう。シクラメンなら私が戻しておいたので安心しておいていい』

「ええっ!?」

「おおっ!ユーの能力は本当に便利だな!」

 

そう伝えるとマリアさんは驚き(やっぱ私の話信じてないんですね分かります)、ナギは目を輝かせ二人揃って窓を見て一面に咲くシクラメンを見下ろす。ふふっ、私の能力どうやら命を戻すこともできるみたいだからね。やっておいてあげたよ、ハヤテを救ってくれたお礼。

 

私は心の中でそう呟き、こっそり笑ってみた。

 

 

 

そうそう、昨夜タマに聞いた話なのだが愛情に囲まれて育ったタマはいつの間にか喋れるようになったらしい、愛情凄いね☆

 

 

 

 

 

 

???side

ここか?俺を元の姿に、「工藤新一」に戻す可能性があるって少女がいる場所は・・・。

 

「父さんからの情報。信じて来てみたけど・・・ここ、三千院家の屋敷だよな?どうやって入るか・・・こんな小学生を入れてくれそうにないし」

 

とりあえず、張り込んでみるか。冬休みだから蘭には博士んちに泊まると言えばいいしな。

 

 

 

 

 

ユーside

その時私は知らなかった、この世界が「ハヤテのごとくの世界」ではないことを、もう既にその少年が私を求めて屋敷の傍に来ていたことを。

 

 

次回、新章。




やっと出せたよあの少年!・・・でも中身は本物とは違うんですよね←どういう意味か分かるかな・・・。

ネタを出しまくれて満足ですね、この頃バトルしか書いていませんので。マリアさんって怖いよね。タマ以上に強いよね。恐ろしいよやだなもー。

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