いやぁ、学校って友達に会う以外に目的あんのかな?
ペストと紅髪ショタと色々あった日から数日たった。
今、俺はシトリー家の執事として悪魔のパーティー会場にいる。
ソーナやグレモリー、イッセー達はタンニーンに乗ってくるらしいが、俺は先に会場入りをしている。
様々な準備があるしな。それにいくらグレモリーの協力者と言っても会場には人間なので招かれない。だから俺は執事としているというわけだ。
セラフォルーもこういう時は使えるなぁ。
そうこう回想に耽っている間にグレモリー達が来たようだ。
まぁ、挨拶にでも行きますかね。
「お飲み物はいかがですか?」
「あら?頂くわって、朧⁉︎ あなた姿が見えないと思ったら執事をやっていたのね?」
俺が軽く微笑みながら話しかけるとグレモリー達が反応する。執事の姿と口調はどうにも慣れないらしく、戸惑っているのが良く分かる。
「では、私は他の仕事がございますので。ちなみにお飲み物の中身はヤク○トにございます」
「馬鹿にしてるの⁈」
ヤクル○ではダメなのか……。
ふむ、代わりの飲み物でもわたすか。
「ノンアルコールカクテル、ビフィズス菌の囁きにございます」
「あら、ありがとうってヤ○ルトじゃない⁉︎ 名前をそれっぽくしてもだめよ⁉︎」
「おや、五本セットがよろしかったですか?」
「数の問題じゃないわよ⁉︎」
「ワガママな御人だ」
「あれ?私が悪いの?私がいけなかったのかしら?」
グレモリーはなんかこめかみをピクピクさせている。感情表現が豊かで大変素晴らしいね。小猫がチラチラと此方を見ているがスルーだ。わるいな。
「それでは、私は仕事がございますので」
「ねぇ⁉︎この○クルトは⁉︎ねぇ、どうすればいいの!」
後ろから俺の背中に向かって投げかけられる言葉は当然の事スルーだ。全く、ワガママなお嬢様だねぇ。
さてと、今度こそ仕事に戻るとしますかねぇ。
グレモリー眷属達との絡みをおえて、パーティー会場の仕事をこなしていく。テーブルの料理を片付けたりなどは面倒ではあるが仕方のないことだ。
若干、執事なのか? この仕事って、と思い始めていると横から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
どうやら俺に話しかけてきたらしい。
「おほん、そこの執事さん。少しよろしいかしら?」
「はい、これはこれは。えー……あー………ふ、フェニックス! のお嬢様ではございませんか」
「忘れてましたわね⁉︎絶対に私のことを忘れてましたわね⁉︎なんですの、その今、思い出しましたよ的な名前の言い方!」
「そんなまさか!この私が貴女様、レイ……あー、ドリヴェル・フェニックス様の事を忘れるなど」
ドリルの印象しかないんだけど、こういう時はどうすればいいのだろうか?
「ドリヴェル⁈なんですのその斬新な名前は⁉︎」
「失礼しましたドリル様」
「レイヴェルですわ!レ・イ・ヴェ・ル!全く、これだから庶民は……」
おお、流石にからかいすぎたかな?
名前を覚えてないってのは嘘だし。第一あんな個性的な髪型の奴そう簡単に忘れねぇって。
「ヤハハ、冗談だぜ金髪ドリル」
からかわれていたとわかったのかムスッとした表情になる。
「んで?何か俺に用でもあんのか?あん時の事ならライザーのことでも、チェスのことでも受けて立つぜ?」
「うっ、チェスはもういいですわ。お兄様についても私はいい勉強になったと思っていますし、関係ありませんわ」
おいおい、関係ねぇって。兄貴に対して冷たい妹だねぇ、フェニックスなのに冷たいとは、これいかに。
「なんだ、つまんねぇな折角また遊ぼうかと思ってたのによ」
「貴方とチェスはもう二度としませんわ。と、ところで執事さん」
「おいおい、今は執事の喋り方してねぇだろ?お前とはプライベートの三日月 朧で話してんだぜ?」
執事として喋っていたのならばこんな話し方はしないだろう。まぁ、あの喋りもタダのキャラ作りなだけなんだが。
「では、朧様と呼ばせてもらいますわ」
「キショい」
「キショい⁉︎とことん失礼な方ですわね⁉︎」
「様付けとかキモチ悪いっての。普通に呼び捨て、もしくはさん付けにしろよ」
想像してみろよ。
様付けで自分の名前を呼ばれるのよっぽどじゃなけりゃ絶対無理だぜ?
「無理ですわ!これは結構大事なことで…」
「様付けを辞めないとそのドリルが大変な事に……」
「ひうっ⁉︎何をしますの⁉︎何をしますのっ⁉︎」
俺の言葉に自分の髪の毛を抑える金髪ドリル。おおう、中々に嗜虐心をくすぐる顔だな。
「具体的に言えば」
「言えば?」
「天元突破します」
「天元突破⁉︎さあ、朧さん!この話はもうやめましょうか!」
お?俺の名前がさん付けになったな。今回はこれで良しとしてやりましょうか。
「んで?用事ってなんだ?」
「あのですね、私の執事に……ではなく、今度お茶でもご一緒にどうかと……」
「茶?いいぜ、そん時はチェスでもしながらな」
「ううっ、チェスは勘弁してくださいまし」
ヤハハ、絶対ヤダ。
しかし、茶とは一体どういう風の吹きまわしだ?
あまりいい印象与えて無いと思うんだけどな。もしやこいつ……
「マゾヒストか…」
「違いますわ⁉︎一体全体なんでそんなことになりましたの⁈」
俺の言葉に訳が分からないと言った風に叫ぶ。
世界ってのはいつだって理不尽なものなんだよ。
「まぁ、とりあえず茶は一緒に飲むってことでいいんだよな?」
「え、ええ、それでいいですわ。忘れないでくださいましてね」
「ハッ、俺は記憶力がいいんだ。忘れねぇって」
「さっき私の名前を忘れてたではありませんか!」
おろろ、痛いところつかれた。忘れてなんてなかったんだけどなぁ。
「そう怒んなよ。俺は仕事があっからもう行くぜ?」
「まったく……長いこと引き止めて申し訳ありませんでしたわ。では、また今度朧さん」
「おう、じゃあなレイヴェル」
「あ、名前を……」
グレモリー眷属達と同じように背を向けてその場を去る。
仕事をしなければならないなと思いながら、俺はある光景を目撃する。
小猫が一人パーティー会場を抜け出し、イッセーとグレモリーがその後を気づかれないように追いかけて行く姿を。
「こりゃまた、楽しい事が起きそうな気がするねぇ」
執事の仕事をせずに、俺もまた気配をけして小猫達の後をつけていくのであった。
今回もアホな詠唱を期待したかたはすいません。
また、いつかね。
あと新しい小説書いたんですけど、読み直したら全く面白くなくて消しちゃいました。三話まで書いたんですけどね?