いいやっほぉう!
小説ってやっぱ難しいですねぇ……。
朧サイド
「ハァーッ………」
大きく息を吐く。
たったそれだけの事なのだが、強張っていた身体から少し力が抜けて少し楽になるのがわかる。
「おい人間、名は何だ」
「んぁ?ああ、朧。三日月 朧だ。お前は何だ?トカゲ野郎」
「フンッ、貴様という奴は……まあいい、タンニーンだ」
「おう、よろしく頼むぜタンニーン」
「こちらこそな」
「「ハッハッハッハ!」」
殴り合って仲良くなる。なんてひと昔前のような青春ドラマの真似事をしてしまった。すこし恥ずかしいな。俺とタンニーンは心地の良い感覚と共に地べたに寝そべっている。
「ハッハッハッハ!じゃねぇよ⁉︎どーすんだよこれ!山が山じゃなくなってんだよ!おかしいだろ!」
せっかく一汗かいた後の何とも心地の良い感覚を味わっていたのだが、突如俺たちに怒声が飛んできた事によって台無しにされる。
「アザゼル?いたのか……」
「タンニーン、お前も気づかなかったか……ウチの顧問は影が薄くてしょうがねぇからな」
「ああ、大戦の時から影が薄かったからしょうがないさ朧」
「「ハッハッハッハ!」」
「ぶち殺すぞ⁉︎なんなんだよてめぇら!」
さっきから怒鳴ってばかりだなこいつ。
全く、何処でも先生と言う物は小うるさいと決まってんのか?
「それよりアザゼル……なんでイッセーを姫抱きしてんの?とうとう目覚めたか?」
「お前は大概失礼な奴だな⁉︎この問題児め!」
アザゼルの頭の上の草原は近いうちに無くなりそうだな。主にストレスと言った物によって……
「ドライグの宿主は何を寝ているんだ……」
「全くだぜ……」
俺とタンニーンは、アザゼルな腕の中でぐっすりと寝ているイッセーに向かってやれやれと言う風にため息を吐き首を振る。
「全部てめぇらのせいだ‼︎俺が怒鳴ってんのもイッセーが気絶してんのもな!くっそ、早めに喧嘩の仲裁に入った方がよかったか?」
「多分、三つ巴になったと思うぜ?」
「否定できんな。俺はアザゼルを中心に狙いまくるだろうしな」
「おぉぅ、仲裁に入らなくて良かったと思う俺がいるぜ……」
イッセーを姫抱きにしたまま空を見上げて目を細めるアザゼル。なんか影が入って良く表情が見えねぇや。それよりかこいつと俺って……
「何しに来たんだっけ?」
「イッセーと一緒にグレモリー家に一旦帰宅するためだろぉがぁ!それをお前はいきなりドンパチ始めやがるわ……山を壊しまくるわ……!」
「どうどう、落ち着けって……」
ヤバイ、アザゼルちょーおもしれェ。
そう言えばそんな理由だった気がするな、まぁ細かい内容は聞いてないから詳しくは知らないんだけどな。
「チッ、リアスにどう説明しようか……この山」
「そんなことよりアザゼル。どんな理由でグレモリー家に行くんだ?詳しく聞いてないんだが?」
「そんなことっ⁉︎……小猫が、倒れた」
「ッ!……へぇ」
俺のそんなこと発言に驚いたアザゼルだったが、しばし呼吸を整えて放った言葉は俺を驚かせるには充分なものだった。
「珍しいな、お前が戸惑った顔を見せるのは」
「うるせーよ。行くんだろ、直ぐに向かうぞ」
「はいはい。つーわけだタンニーン、少し修行は中断だ」
そのニヤケ面、殴りたい。
「む?まぁ仕方ないか……」
小猫が倒れた……ねえ。
そう言えばあいつ、この前から少し様子がおかしかったからな。
「イッセーは?」
「ん?小猫が倒れたのも理由だがもう一つ理由があってな。お前にもだからな?」
俺にも?
どんなことだ?
広いホールの一室。
そこに俺とイッセーはいた。
「そこでターン。キレが悪いわ。一誠さん、最初からやるわよ」
イッセーは現在進行形でお嬢様の母親、ヴェネラナとダンスの練習を行っていた。この手のダンスはイッセーは慣れてないからか動きがかなりぎこちない。
イッセーのダンスの練習……何と無くではあるが理由は分かる。だが俺もしなければならないのは何故だ?
「少し一誠さんは休憩ね。次は朧さんよ」
おっと、今度は俺がお呼びらしい。
ヴェネラナとはここに来て初めてあったのだがいきなりダンス練習と言われた。自己紹介は軽くではあるが済ませてある。
「では、レディ。お手を……」
「音楽を流しても大丈夫かしら?」
手を差し出す俺の動作に何か思うことがあったのか、音楽の有無を聞いてくる。イッセーの時は無かったな。
ヴェネラナの言葉に軽く笑うことで答えると、彼女は控えていたメイドに目を配らせCDを流す。
「行きますわよ?」
「お手柔らかに」
曲が流れ出すと共にカウントをとりステップを踏む。ターンなどの動きをこなしていく。ゆったりとした曲調のなか細かな部分を自分でも確認しながら踊って行く。派手さはないがこんなものだろう。
「曲調が変わりますわよ?ついてこれますか?」
「当然」
ゆったりとした曲調とはとってかわりアップテンポの曲調になる。先ほどとは違って移動もステップも激しくなる。所々アドリブを加えるのだがヴェネラナは直ぐに対処してくるのは流石と言ったところだ。
曲も終わりに近づいてきた、ヴェネラナも笑っているし評価を抜きにしても楽しんで貰えたのであれば上々と言ったところだろう。
そして最後の技を決めてダンスを終える。
ヴェネラナの手をはなして数歩後ろに下がり笑いかけて質問をする。
「内容は?」
「パーフェクト」
ヴェネラナも上品に笑いながらこちらに答えてくれる。
ありがたい事に満足した様だ。割と疲れるなダンスって。イッセーがすげェ勢いで拍手してるのが少しうるせぇ。
「何処でこんな腕前に?」
当然の疑問だろうな。
俺もイッセーと同じでダンスとは無縁の生活を送ってきたと思っているのだろうから。
そこで俺は口調を変えて言葉を放つことにする。
「セラフォルー・レヴィアタンの執事たる者、この程度の事が出来なくてどうします」
「……。フフッ、朧さんは問題ないわね」
「学校では問題ありまくりだけど……」
数瞬、ポカンとした表情になったヴェネラナであったが直ぐに切り替えて言葉を述べる。イッセーはあとでしばく。
「さあ!お次はイッセーさんよ!ビシビシ行きますわよ!」
「はっ、はいいいい!」
おい、イッセー。
なんかギャスパーみたいな口調になってんぞ?
まあ、これで俺がダンスは問題ないって分かっただろう。行きたい場所があるから、さっさと移動すっかな?
「あら?朧さん何処に行かれるのかしら?」
「ダンスは問題ないだろ?ちょっくらウチの猫とじゃれてこようと思ってな」
「ッ!……気づいておられで?」
「まあな、つーわけでイッセー。練習がんば」
気づいている……ねぇ。
小猫が純粋な悪魔ではなく妖怪からの転生悪魔ってことかな?
詳しくは知らねぇけどな。
とりあえず、あいに行きますか……。
次回、小猫ちゃん登場……。
うへへ……。
精霊使いの剣舞姫。
エストちゃんかわゆす……。
また、白髪ロリ好きが発動してしまった。