ハイスクール問題児⁈   作:atsuya

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うぁー。
今回は難産でした。


その執事……

おぼ……セバスチャンサイド

 

執事の朝は早い。

温泉バトルの後、私は直ぐにシトリー家に向かい仕事の準備をした。

 

何故ならば我が主であるセラフォルー様がシトリー家、すなわち実家に泊まっているからである。

魔王であり多忙な主に普段通りに過ごして頂けるようにすること、それが私の仕事。

 

屋敷の誰よりも早く行動する。

まずは、モーニングティーの準備を素早く行い次に毎朝確認するソーナお嬢様の厳選写真を選ぶ。

 

「セラフォルー様、セラフォルー様!朝でございます」

 

「ん、んー。おはよう、朧くん」

 

「オイオイ、折角演技してんだからセバスチャンにしとけって」

 

「私と二人の時くらいイイじゃない☆」

全く、慣れない敬語や丁寧語と言ったものを使って話していたっていうのによぉ。この主様は…

 

「ほら、モーニングティーと今日のソーナの写真だ」

 

「ありがとう!やっぱ、朝は紅茶とソーナちゃんの写真だよね〜」

 

「ティーカップは飲んだら其処に置いておけよ。流石に着替えは手伝わねぇからな。…俺はソーナでもおこしてくるかな?」

 

「んふふ!了解!朧くん、らしくするんだよ?」

 

「イエス・ユア・ハイネス」

俺は一礼しながらセラフォルーの言葉に答える。確か、姫に限定するときはハー・ハイネスだったっけ?

おっと、この喋り方はいけませんね。治すとしましょうか。

 

 

 

 

 

コンコン、コンコン。

ふむ、ノックしても返事がありませんね。確かに実家にいるとセラフォルー様からお聞きしたのですが。

 

「……失礼します。おやおや、まだ眠っておられましたか」

ふふふ、少しイタズラ心が湧いてしまいました。誰でもソーナお嬢様の気持ちよさそうな寝顔をみたらイタズラしたくなるでしょう?

 

「ソーナお嬢様、お目覚めのお時間ですよ」

 

「んむぅ、んんん⁈お、お、朧⁈」

指で頬っぺたをグリグリとする。おや、柔らかい。いい感触ですね。

 

「はい、モーニングティーにございます」

 

「え?あ⁈え‼︎あ、ありがとうございます」

戸惑いながらも私にお礼を言うソーナお嬢様。ああ、そんな困惑した顔をされてはもっと虐めたくなるではありませんか。

 

「本日のモーニングティーはイングリッシュ・ブレックファストに冥界のミルクを入れたミルクティーとなっております」

 

「……ん、すごく美味しいです」

 

「感謝の極み」

 

「そのキャラ、まだ続けるんですね……」

キャラとは失礼な……

私はただ完璧である執事のことを模倣しようとしているにすぎません。

 

「それより、何故シトリー家に?」

 

「ソーナお嬢様に会いたいがために」

 

「んなっ⁈え…えと、それは…」

 

「嘘でございます」

ああ!

その羞恥に赤く染まった頬にプルプルと震える身体、なんともからかいがいのある人なのでしょう。

 

「な、ぜ、シトリー家に‼︎」

 

「我が主であるセラフォルー様がご滞在中でございまして」

本当だったらグレモリー領の温泉に浸かった後に眠っても良かったのですがセラフォルー様がワガママ……お願いしてきたので。

 

「ああ、なるほど理解しました」

 

「ソーナお嬢様を起こしに来たのは暇つぶ……お仕事でございます」

 

「気のせいでしょうか?変な単語が聞こえた気がします」

 

「ああ!ソーナお嬢様、難聴でございますか?私、とても心配にございます!」

 

「違いますよ!」

朝からそんなに声を荒げるとは元気がよろしいようで何よりでございます。

 

「さ、お嬢様。朝食の準備がありますのでお早めに着替えを」

 

「あ、はい。……釈然としません」

私は先ほどのセラフォルー様の時のように部屋を出て行こうとする。お嬢様にも羞恥心は確実にありますからね。

おや?

 

「お嬢様?少し顔色が悪くありませんか?」

 

「なぁっ⁈」

ソーナお嬢様の額と私の額をくっつける。ふむ、かなりとまではいきませんが熱がありますね。

 

「今日はお休み下さい、ソーナお嬢様」

 

「で、でもレーティングゲームの為に特訓を……」

 

「お嬢様」

 

「うぅっ。しかし、リアスに勝つ為には…」

 

「お、じょ、う、さ、ま」

 

「……休みます」

素直にベッドに横になってくれて幸いです。

顔色が悪いので今日一日は安静にしてもらいましょう。

 

「私は家の皆様と眷属の方々に知らせてきますので、くれぐれも安静にしていて下さいね。ましてやレーティングゲームの為の本など読まないように」

 

「うっ……分かりました」

ほほう、その反応では私が部屋を出た瞬間に何かするつもりでしたね。しょうがないですね。

 

「では、ソーナお嬢様が眠るまでここで監視しましょうかか」

 

「ええっ⁈……はぁ、分かりました。分かりましたよ」

じーっとソーナお嬢様の顔を見る。中々お休みになりませんね。

 

「ああ、何か本でも読みましょうか?」

 

「子供扱いですか……」

 

「では、タイトルはベルセルク」

 

「絶対に眠れなくなります⁉︎」

おや?そうでしょうか?

面白いと思いますよベルセルク。もし、私に子供が生まれたら寝かしつける時に音読したいですね。

 

「気に入りませんか?じゃあ、不思議の国のジョジョ」

 

「スタンドでもでるんですか……。と言うかアリスは何処に?」

アリスは何処にいったんでしょうね?

では、これを読みましょうか。え?これもやめてほしい?

 

「わがままなお嬢様ですね」

 

「すごく理不尽ですね⁉︎」

 

「ふぅ、本はやめて子守唄にしますか」

 

「また子供扱いされてます」

子供扱い?

いえいえ、執事たるものお嬢様に快適に過ごしていただくために一生懸命なのでございます。

 

「それでは私の自作の子守唄を初音ミクに歌わせたものを」

 

「普通に貴方が歌いなさいよ……」

 

「これもダメでございますか……。どうしましょうか?」

本も歌もダメ……。

困りましたね、ここまで苦労するとは予想外でした。

 

「ああ!セラフォルー様の写真集でも見ますか?」

 

「何故⁈」

 

「セラフォルー様が体調が悪い時はソーナお嬢様の写真集をよく見ておられましたよ?」

 

「お姉様っ⁈」

ソーナお嬢様の写真集を見せればどんなに疲れていたとしても一発で元気になるので、大変便利にございます。

なんどこの手で書類仕事を行ったことか……。

 

「どうしますか?ソーナお嬢様」

 

「手を……」

 

「手?」

 

「手を握っていて下さい」

 

「御意に」

ソーナお嬢様の手をそっと握る。少し顔が赤くなった気がするが安心したのかそのまま目をつむると一定の寝息が聞こえる。

 

「お休みなさいませ、お嬢様」

さて、私はこの後もお仕事ですね。

しばらくはここでサボらせてもらうとしますがね。

 

お嬢様が快適になるようイタズラしつつも動く。

これが、執事であり問題児の私の美学。




新小説の一話が完成!
オオカミさんと七人の仲間達の設定でハイスクールD×Dが舞台です。
まだ、投稿してませんがね。

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