ハイスクール問題児⁈   作:atsuya

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無限の問題児

さて、なんでこんなことになったんだっけ?

目の前には黒髪の無表情のゴスロリ少女…

たしか、グレモリーの領地から抜け出してぶらぶらと第三宇宙速度で散歩しているときにいきなり話しかけられたんだ。軽くびびったぜ。

 

「お前、何」

 

「いや、だからてめぇもなんだ」

 

「我、オーフィス」

 

「ッ⁈ヤハハ!マジかよ!」

オーフィスか!

たしか、グレモリーからかりた冥界の書物にかいてあったっけ?無限の龍神か…

 

「我、お前の力、知らない」

 

「まあ、俺自身もよくわかんねえからな」

 

「???不思議」

 

「お前も十分に不思議だけどな」

オーフィスは相変わらずの無表情で首をコテンと傾げる。そっち系の大人のお友達がみたら発狂しそうだな。

 

「我、不思議?お前、不思議?」

 

「そうだな。それよかやっぱ、てめぇ強そうだな」

 

「???我と戦う?」

 

「いや、やめとくぜ。勝てそうにねえ。今はな…」

やはり、ダメそうだわ。まだ、こいつには勝てそうにねえな。

 

「ま、いつか戦ってくれや。俺がもっと力をつけた時にな」

 

「わかった」

 

「お、マジか。約束だぜ?」

 

「約束?」

 

「ああ、約束だ」

話すことに慣れてないのか?つかなんで俺に話しかけてきたんだろうか?

 

「それで俺になんか用あんのか?」

 

「お前の力、我、わからない、だからグレートレッド倒すのに使えると思った」

 

「ヤハハ!グレートレッドか‼︎またビッグネームがでたもんだ!まぁ、タダで使われる気はねえな」

 

「お前も我のヘビが欲しい?」

も?

それにヘビ?

よくわかんねえな。

 

「ヘビってなんだ?」

 

「我の力の一部」

 

「へぇ、パワーアップの素敵アイテム見たいなもんか?」

そういや、この前の襲撃してきたテロリストの親玉がそれっぽいの使ってたっけ?オーフィスは首を縦にちょこりと降る。わかりにくいぜ…

 

「欲しい?あげたらグレートレッド倒すの手伝う?」

 

「いらねぇよ」

今の力だけで十分だ。あとは自分の工夫で強くなってやるよ。

 

「そう」

 

「あと、グレートレッドを倒すのも手伝いはしねえよ」

 

「……そう」

 

「グレートレッドとお前はいつか俺が一人で倒す」

 

「無理」

はっ!

結構はっきり言うじゃねーか。

いいぜ、絶対に倒してやるよ。

 

「無理じゃねーよ。吐き出した自分のツバを飲み込むなんてダセー真似はしねぇ。首洗って待ってろ」

 

「それも、約束?」

 

「ヤハハ!ああ、約束だ」

 

「ん、わかった」

素直?

なんだよな。この無表情は小猫とは違うからな。

 

「用はすんだか?まぁ、これから行くところあるし。アバよ」

もう、用はないだろうと思い踵を返してその場から立ち去る。

 

トコトコ。

 

テクテク。

 

トコトコトコ。

 

テクテクテク。

 

「……」

 

「……」

後ろを見るとオーフィスが俺についてくる。おい、なんでだよ。

 

ドンッ!

と地面を蹴り思い切り走り出す。

 

ダンッ!

やっぱついてくるな!

 

「……はぁ、なんか用か?」

 

「我、お前についていく」

いや、なんで?

まあ、面白いことになりそうだからいいけどよ。

 

「わかった。じゃあ、行くか。あとお前ってやめろよ。俺には朧って名前があんだ」

 

「朧?」

 

「ああ」

 

「我、オーフィス」

 

「ヤハハ、知ってる。さっきも言ったろ」

オーフィスが俺を指差しながら尋ねる。ずっとお前呼ばわりはなんか嫌だしな。

 

「よっと」

 

「???」

俺はオーフィスの首根っこを掴み、オーフィスを肩車する。さあ、ブラブラ行きますか。

 

「ヤハハ!行くか!」

 

「ゴー?」

なんで疑問系なんだよ。ヤハハ!

ん、じゃあ第三宇宙速度で周りに被害をほどほどにだしながら行きますか!

 

 

 

 

 

「おー、ここがグラシャラボラス領か。悪魔の街並みって意外と普通なんだな」

 

「普通?」

俺とオーフィスは今、グラシャラボラス領に来ている。途中に関所?的なものとかがあったが…まぁ…ヤハハ。

 

「にしても、なんだ?でけぇ街のわりには人が余りいねぇな」

 

「静寂、好きー」

 

「お前どんなキャラしてんだよ」

 

「???」

好きーって言うにしても、もう少し声に抑揚を持たせてくれや。それよりも街に全然人がいない?ちらほらいるがガキの姿が全く見えない。

 

「あ、あんたなんで子供がおるんじゃ?」

 

「あ?なんだじーさん。子供?どういうことだ」

俺が少し考え事に集中しているとじーさんが話しかけてきた。

 

「最近のことじゃ、街では冥界ネズミの被害が増えてしまってのう。なんどネズミを駆除してもネズミの数は減らず、それどころかネズミは儂等を全然恐れなくなったのじゃ。領主様も困り果ててのぅ。そんな時にじゃ、派手な服の男が街に現れたのじゃ」

 

「派手な服?」

ネズミの被害に派手な服装の男…

似ている…ある物語に酷似している。

 

「そうじゃ、その男はネズミを完全に駆除してみせると言ってのぅ。領主様は渋ったのじゃが背に腹は変えられんくての」

 

「そりゃそうだ。たかがネズミってもかなりの数なんだろ?」

日常生活にも支障をきたすぐらいだったのか?

数が減らないってのもネックだな。

 

「うむ、夜には鳴き声で眠れないくらいじゃ。続きを話すぞ?」

 

「ああ、頼む」

 

「男は一夜にして、ネズミの駆除に成功したのじゃ。その男に当主様は報酬を渡そうとしたのじゃが、もう貰っていると言って断ったのじゃ」

一夜にしてか…

ますます、俺の知ってる物語と酷似してやがる。しかし、報酬の件については違うな。

 

「万々歳じゃねぇか」

 

「いやの、ここからが本題じゃ。男がさってからの、街の子供達のあいだで舞踏病が流行ったのじゃ」

 

「舞踏病だと⁈」

チッ、さっきからあの物語に似通っている点が多いと思いきや所々で違ってやがる。

 

「そうじゃ。段々と街の子供達に病気が広がっていっての。4日前にいきなり子供達がいなくなってしまったのじゃ」

 

「この街にいる子供達、全員か?」

 

「いや、耳の悪い子供や足に障害のある子供などは無事じゃ」

なるほどな。だから、肩車をしているが足をブラブラさせていたり、俺との会話を普通にしているオーフィスに注目が集まっていたのか。

 

「おい、じーさん。子供達はいなくなる前に笛の音とかを聞いてなかったか?」

 

「いや、全くそんな話しは聞いたことが無い」

 

「そうか……」

手を顎に当てて考えてみる。やはり、知ってる物語とは僅かばかりとは言え違ってやがるな、

 

「じーさん、他に街で変わったことはないか?」

 

「うむ?そうじゃの、次期当主のカーシャモラル様がいなくなったことくらいかの。まぁ、これは関係ないじゃろ。もともと現当主とは仲が悪かったしの」

 

「そうか、ありがとよ。じーさん」

 

「気にするでない。それと早いうちにこの街から出ることを進めるぞい」

まぁ、そうだろうな。

今のこの街の様子からして観光とかには向いているとは思わない。じーさんはそれを言うと立ち去ってしまった。

 

「………ヤハハ」

 

「朧?」

 

「いいねぇ、冥界。退屈しないですみそうだ」

 

「朧?何故笑う?」

何故笑う?

決まってんだろ、面白いからだ。

 

「オーフィス。とりあえず、グラシャラボラスの屋敷に行くか」

 

「我、朧についてく」

 

「ヤハハ!じゃあ行きますか!」

街で起こった奇怪な出来事に首を突っ込むためによ。

 

この、ハーメルンの笛吹きの伝承に酷似した出来事のな!

 


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