はぁ…
えー、皆さんこんにちは。
搭城 小猫です。
何気に私の視点はまだ二回目だったりするんですよ?
それよりも、今日は何の日かわかりますか?
そうです。
今日はバレンタインデーなんです。
私も、えと、その、手づくりで渡そうかな?
なんて思ったり思わなかったり…
渡す相手は誰ですかって?
その、朧…先輩にです。
佑斗先輩は学校でかなり貰うと思うのでそこまで大きくない市販のものを、イッセー先輩はチロルチョコ一つで十分でしょう。
朧先輩には手づくりで渡しますって言ったら…
「ヤハ…ハ…。無理、しなくていいんだぜ?」
って言われてしまいました。
思わずハリセンでぶっ叩いた私は悪くはないと思います。なんでこういうときに笑顔が引きつるんですか⁈
さて、今は何をしているのかと言うと…
寝坊してしまったので急いで学校に向かっています。
なんで起こしてくれないんですか朱乃先輩!
と言うか寝坊したのも朱乃先輩のせいですよ!
それは昨晩のことでした。
「…できた」
明日、渡す為のチョコレートが完成した。出来栄えは可も無く不可も無くってところでしょうか?
「うふふ、私も完成ですわ」
私は隣でチョコレートを作っていた朱乃先輩を見ると…
テーブルの上には…
チョコレートで作られた…
ほ、う、お、うがあった。
でかっ⁈胸焼けなんてレベルじゃあないですよ⁈
しかし、つい自分の作ったものと見比べてしまいます。もう少し…頑張ろうかな…。
「…よし、できた」
さっきのものよりも完成度が高くなったと思います。鳳凰には勝てませんが…
「あらあら、完成ですわ」
朱乃先輩は鳳凰のほかにまだ、何かつくるのだろうか?また隣のテーブルを見てみると…
ほ、う、お、うが4体そこにあった。
何故?4体も…
えっと、他の男性部員の分でしょうか?
「…朱乃先輩、それは?」
「うふふ、全部朧くんに食べて貰おうと思って…」
どうやら明日の朧先輩は朝昼晩のご飯はチョコレートになりそうな気がします。
「…⁈他の部員には?」
「あらあら、ちゃんと別にありますわ」
鳳凰の横には三つの普通のチョコレートがおいてあった。美味しそうではありますよ。
しかし、鳳凰4体ですか…
やっぱり、もうちょっといい出来のものを作ろうかな?
こんな感じで昨晩は夜遅くまでチョコレートを作っていたので寝坊してしまいました。朱乃先輩、貴方は敵か!
翌朝、リビングにあった鳳凰の翼らしき残骸はなんだったのだろうか…
学校に到着しました。
朧先輩の下駄箱や机の中には置いたりはしませんよ?
と言うわけで朝のホームルームの前に渡しに行こうと思います。
「お、朧っ!」
「ん?どうしたゼノヴィア」
「こ、これを受け取ってほしい‼︎」
バシィ‼︎
え、これって拳のことですか?
朧先輩はゼノヴィア先輩の拳を受け止めてました。
「ヤハハ、チョコレートか?ありがとよ。家で渡せばよかったのによ」
「家でだと…朱乃さんの鳳凰チョコと一緒にたべれたか?」
「「………」」
「無理だな。悪いちょっと…胸焼けが」
「……牛乳飲むか?」
「サンキューゼノヴィア」
あ、朧先輩、ちゃんと4体の鳳凰チョコを食べたんですね。軽くすごいですね。さて私も渡しに行きましょうか。
「…朧せんぱ…」
「朧ぉぉぉぉぉぉ‼︎」
朧先輩に声をかけようと思ったらイッセー先輩が先に声をかけられてしまった。イッセー先輩、貴方も敵か!
「なんだよイッセー」
「ゼノヴィアからのチョコ羨ましい…じゃなくて、アーシアになんてこと教えやがる」
アーシア先輩に?
あの先輩はかなり純粋ですからね…
今度は何をしたんでしょうか?
「俺の好物が何故ハバネロなんだ⁉︎チョコの色が赤くなかったら一気に食うところだったぞ⁉︎」
「イッセー…ハバネロ入りでもお前のためのチョコなんだぞ。食わないのか?」
まぁ、確かにアーシア先輩はイッセー先輩の為に一生懸命になって作ったんでしょうね。
「うっ⁈そ、それは…」
「で?どうすんだ?」
「く、食ってやるよおおおおおおおお‼︎」
キーンコーンカーンコーン!
あ、チャイムだ。
チョコは渡せませんでしたけどまだ時間がありますし、クラスに帰りましょう。
「からぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」
イッセー先輩、食べたんだ…
時は過ぎて昼休み。
本当だったら、午前の休み時間に渡しに行きたかったんですけどクラスの友達からいっぱいチョコを貰ったので渡しに行けませんでした。
友チョコ、ありがとうございます。
さて、渡しに行きましょうか。
今日に限って、朧先輩は何故ラジオをしないんでしょうか?ラジオがあれば流れで簡単に渡せたはずなのに…
「…失礼します」
「あ、小猫ちゃん」
朧先輩たちのクラスにたどり着き挨拶をして教室に入るとイッセー先輩が話しかけてきました。あとクラスの男子の先輩がこっちを見てるのはなんででしょう?
「…朧先輩は?」
「あ、やっぱチョコ?」
「…にゃ⁈…はい」
イッセー先輩めデリカシーと言うものがまったくありませんね!ところで、さっきから私を見ていた男子の先輩がたは何故泣いているんでしょう?
「…で?朧先輩は?」
「あー。それなんだけど…」
歯切れが悪いですね。どうしたんでしょうか?
「朧は今、保健室で寝てる。いや、気絶してるが正しいかな?」
「…え?」
あの朧先輩が気絶?
コカビエルの時や白龍皇のときですらなんともなかったのに?
「…何故、そんなことに?」
「えっと、ソーナ先輩が手づくりのチョコをもってきたんだ」
それだとまだ普通ですね。
今日はバレンタインデーですし。
ソーナ先輩もやっぱり…
「そこまでは良かったんだけど…。ソーナ先輩のチョコがな…」
「…?」
「ヤバかったらしい」
「…え?」
ソーナ先輩のチョコが、ヤバイ?
完璧そうなあの人が?
「チョコを食べた瞬間に朧が倒れたんだ」
「…え⁈」
「朧がさ、寝言であの川を渡ればいいんだろう?って言った時はマジでビビったよ」
その川絶対に渡ってませんよね⁈
それ三途の川だと思いますよ⁉︎
「…今は?」
「ああ、保健室でアーシアの神器で一命はとりとめたよ」
アーシア先輩の神器で一命…
ソーナ先輩、どんな作り方をしたんですか…
と言うかソーナ先輩、貴方も敵か!
「…はぁ、帰ります」
「あれ?小猫ちゃん…義理でも俺には?」
ああ、そういえばまだイッセー先輩に渡してませんでしたっけ。私はポケットから取り出した物をイッセー先輩に渡しました。
「お、ありがとう小猫ちゃん…ってちっさ⁈」
「…はぁ」
「しかも中身はチョコじゃなくてキャラメルだよ⁈チョコですらねぇ⁉︎」
「…間違えました。こっちです」
「よかった…って消しゴム⁈チョコの形の消しゴムだよ⁈」
はぁ、中々朧先輩に渡せません。
放課後までには元気になっているでしょうか?
イッセー先輩はうるさいですね。
放課後になりました。
部活ですね。
朧先輩はいるでしょうか。
「…あれ?朧先輩は?」
「あら小猫。朧ならギャスパーと一緒に何処かに行ってしまったわよ。なんでもギャスパーが旅がしたいと頼んだらしいわ」
「…にゃんですと」
放課後でも渡せないのですか!
あ、ちゃんと蘇生はできたんですね。
あとギャーちゃん。貴方も敵だ!
「…はぁ、帰ります」
「小猫⁉︎今から部活よ⁈」
「…はぁ」
「小猫聞いてる⁈」
「…あ、木場先輩の分のチョコ置いときますから渡して下さい」
「ええ……じゃない!小猫聞いてる⁈」
「…はぁ」
後ろから部長が何かを言ってるような気がしましたが何の問題も無いでしょう。
ケーキバイキングでやけ食いでもしましょう。
チョコは家で渡せばいいです。
はぁ…どうせなら学校とかで二人のときにちゃんと渡したかったです。
ケーキバイキングは美味しかったです。
家に帰りましょう。
かなり遅くなってしまいましたね。
そういえば、ここは初めて朧先輩とあった場所でしたっけ。あの時はアイスをこぼしたはずでした。
ドンッ。
そうこんな感じでぶつかって…
「…って朧先輩?」
「ヤハハ、何してんだよ。こんなところで」
「…やけ食いを少々」
「そ、そうか」
なんで引いてるんですか!やけ食いの原因は貴方にもあるんですよ⁈それより今なら…
「…お、朧先輩」
「ん?」
「…こ、これチョコです」
両手でしっかりと持って渡す。
今の私の顔は多分、耳まで真っ赤になっているだろう。
「お、ありがとうよ」
「…いえいえ」
「んじゃ朱乃もメシ作ってるだろうし帰るか」
朧先輩はいつもの様に笑いながら、踵を返して歩き出します。あっさり、してるかもしれませんがこれがいつもの感じです。
でも…
「小猫?」
私は朧先輩の背中に抱きつきました。
正面からだと恥ずかしくてできません。
「…朧先輩、ずっと一緒です。これからもずっと…以前に約束した通りです。いなくならないで下さい」
私が一度にここまで話すのは初めてでは無いでしょうか?と言うか勢いで抱きついたのでかなり恥ずかしいです。
「ああ、約束したからな」
「…はい!」
「ヤハハ、今の告白か?」
「…にゃ⁈ちがっ、いや、でもその…」
「ヤハハ!帰るか?」
「…はい」
まだまだ寒い2月の夜ですけど、その時だけは少しあったかく感じました。
約束です。
いなくならないで下さい。
まだ、面と向かって言えないですけどいつか言います。
朧先輩…
大好きです。
ちなみに、家に帰ったら朧先輩には朱乃先輩の鳳凰チョコがまた出てきました。
はい、atsuya特性ブレンドコーヒーは100円ですよ?
壁ドンは一回200円だよ…