エクスカリバーを破壊することの許可をもらってから数日間。俺たちは木場が出会った神父のフリード・セルゼンを捜索しているが、全く見つからないでいた。
グレモリーにそろそろ勘付かれ始めているしソーナも少し動きだそうとしてるから早くみつけないとな。
「ふう、今日も収穫なしか」
「…そうみたいですね」
俺と小猫と木場だけならいくら探しても大丈夫だが、匙やイッセーが不振に思われるとまずいので大抵は夕方くらいに解散している。
「ヤハハ、今日はそうでもない見たいだぜ?」
「上だっ‼」
俺が全員に告げ匙が叫ぶと上空から長剣を構えた白髪神父が降ってきた。
「神父の一団にご加護あれってね!」
「ヤハハ、拒否」
ドゴッ!
「かはっ⁈」
素早く飛び上がり白髪神父を蹴りつける。
ありゃりゃ?
反応できなかったのか?
「くそがぁぁぁぁぁ!何してくれるんだ!殺していい?」
お?
割と耐久力はあるようだな。
口からめっちゃ血がでてるけど。
「朧くん!ここからは僕がやるよ‼」
「伸びろラインよ!」
匙の手の甲にカメレオンのデフォルメされたものが表現れそこから触手の様ものがでて白髪神父の右足に絡みつく。
「うぜぇっす!」
手に持ってる聖剣で斬ろうとするが実体がないのかすり抜ける。
へぇ、匙もイイもん持ってんな。
でも俺なら千切れそうな気がするんだよな。
「木場ぁ!これでそいつは逃げられないぜ!」
「ありがたい!」
木場が手に二刀の魔剣を創り出し白髪神父を攻め立てる。
「チッ、めんどくせえっす!でも俺さまのエクスカリバーちゃんはイケメン君の魔剣じゃ…」
ガキィィィン!
「相手になりませんぜ!」
白髪神父の一振りによって木場の両手の魔剣が砕け散る。
腐ってもエクスカリバーか。
「木場!譲渡するか!」
「まだ、いけるよ!」
イッセーのサポートを断わり、手に新たに魔剣を創り出して白髪神父と切り結ぶ。
「小猫!スタンバイ!」
「…OKです。朧先輩」
「え⁈なんで俺持ち上げられてんの!あれ⁈」
俺の号令で小猫がイッセーを持ち上げる。
ヤハハ、戸惑うなイッセー。
「イッセーロケット発射!」
「…GOです」
「うぉぉぉぉぉっ!小猫ちゃぁぁん!朧ぉぉぉ!」
イッセーを便利アイテムの如く木場に向かって投げ飛ばす。
「木場ぁぁぁ!譲渡するからなぁぁぁ!」
「うわっ!イッセーくん!」
木場にイッセーが飛びついて赤龍帝の力を譲渡する。
「…もらった以上使うしかない。魔剣創造!」
周囲から魔剣が現れる。
辺りの魔剣と木場のスピードを利用して縦横無尽に動き回る。
なかなかのスピードだな。
「うっは!これは面白いサーカス芸だね!この腐れ悪魔がぁぁ!」
キン!キンキン!キィィィィン!
様々なところから飛んでくる魔剣を白髪神父は打ち落としていく。
「ダメか!」
「はっ!じゃあ死ね!」
「やらせるかよ!」
匙がラインを引っ張ることによって白髪神父の体制を崩した。
「うおっ!なんか吸われるっす!」
「へっ俺の黒い龍脈はお前の力をぶっ倒れるまで吸い続けるんだよ!」
へえ。
なかなかに面白い能力もってんだな。
使い方によってかなり強力なもんになりそうだな。
「木場!とりあえず今は先にフリードを倒せ!エクスカリバーの問題は後にした方がいい!」
「不本意だけどそうするよ!」
「ほう、魔剣創造か使い手の技量しだいでは無類の力を発揮する神器だな」
木場が白髪神父に斬りかかるときに第三者の声が聞こえた。視線を向ければ神父の格好をしたジジイがたっていた。
「……バルパー・ガリレイッ!」
あいつがか…
「フリード何をしている。そんなラインなど聖剣の因子を使えば簡単に切れるだろう」
「へいへい!」
ズバッ!
おおっ!今度はなんか簡単に斬られたな。
「はっ!」
「とおっ!」
俺たちの背後から現れた緑メッシュが白髪神父と切り結んだ。今来たのかよ。
「ヤッホー、イッセーくん!」
「イリナ!」
どうやら茶髪のほうもいるらしい。
イッセーとしゃべっている。
「おっと、バルパーのじいさん!撤退だ!」
「致し方あるまい」
「あばよ!教会と悪魔の連合軍がっ!」
ボンッ!
白髪神父が地面に閃光弾を投げつけ俺たちの視界を奪う。
視力が回復した頃には二人の姿はなかった。
チッ、めんどくせえことしやがって。
「追うぞ、イリナ!」
「うん」
「僕も追わせてもらう!」
三人が白髪神父を追ってその場から駆け出す。
「ヤハハ、そろそろ俺も動きたいんだ。俺も行くか!」
「…あっ、朧先輩!」
「おい、朧!」
後ろで小猫とイッセーがなんか言っていたが無視をして三人の後をおった。
「追い詰めたぞ!バルパー・ガリレイ!フリード・セルゼン!」
「同志たちの恨みここで返させてもらう!」
ヤハハ、二人とも元気だなぁ!
俺たち四人は街外れの廃屋に来ていた。
はぐれ悪魔といい、この手の輩は廃屋が好きだな。
「全くしつこいでござんすねぇ!」
「行くぞ!」
緑メッシュが白髪神父に斬りかかるために剣を構えたときに廃屋の屋根を突き破って無数の光の槍が俺たちに降りかかってきた。
「なにっ!」
「くっ!」
俺は拳で砕き他の奴らはエクスカリバーで軌道をそらしたりよけたりした。
「ほう、この程度ならば問題ないか」
「ッ!コカビエル!」
へえ、あれが…
壊れた天井から黒い羽を五対十枚はやした堕天使が降りて来た。
「バルパー、フリード先に行け。俺は少しこいつらと遊んでいく」
「りょーかい!」
「わかった」
白髪神父とバルパー・ガリレイは廃屋から出て何処かに行った。
「待ちなさい!」
「おっと」
「イリナ!」
「えっ⁈きゃあっ⁉」
ガキィィィン!
白髪神父達を追おうとした茶髪は背後に移動したコカビエルの一撃をくらってしまう。その際にエクスカリバー折ってしまう。そして折れたエクスカリバーの核を拾いながらコカビエルはつぶやく。
「ん?いくらなんでも脆すぎるな。ヒビでも入っていたか?」
やっべ。
心当たりあり過ぎるんだけど。
「イリナッ!」
「コカビエルッ!」
緑メッシュと木場がコカビエルに切り結ぶ。
緑メッシュはエクスカリバーを木場は魔剣を二刀つくり攻め立てるがコカビエルには全く効果が見られない。
「つまらないな!もういい」
「ガッ」
「くっ」
コカビエルは二人を地面に叩きつける。
「まてよ」
「聖剣使いでもない唯の人間に興味はない」
あ?
こいつ今なんつった?
コカビエルは宙に浮かび光の槍を無数に創り出す。
「先ほどよりも数も威力も上だ。精々、生き残ることを願うんだな」
「チッ!木場ぁ!緑メッシュ!茶髪!さっさと逃げろ!」
「朧くん!」
「邪魔なだけだ!」
あの数はこいつらを庇いながらじゃキツそうだ。
「くっ、グレモリーの騎士、イリナ!一旦引くぞ!」
「仕方ないっ!」
「わかったわゼノヴィア!」
さーて、どのくらい強いのかな?
聖書に記されし堕天使様は!
「ハハハハハハッ!人間は翼が無くて不便そうだな!」
そう告げると同時に展開していた無数の光の槍を俺たちに振り下ろして来た。
「きやっ!」
光の槍が茶髪の足を掠る。そのために茶髪はそのまま地面に倒れ込んでしまう。
「チッ!」
「イリナッ!」
「朧くん!」
俺はすぐさまに茶髪の前に立ち光の槍を砕く。
チッ、以前の堕天使と違ってスピードも威力も桁違いだな。
「イイからテメェらはさっさと行け!茶髪は俺が後で連れて行く!」
茶髪はどうやら足に掠ったせいかその場から動けないでいる。
「ッ!でも!」
「でもじゃねえんだよ!テメェらをこれ以上庇う余裕はねえんだよ!」
ちなみに会話しながらも光の槍を砕きまくっている。
「くっ!無事でいてね!」
「すまない、イリナを頼む!」
よし、あいつらは逃げきったようだな。
「ほう、聖剣使いでもない人間がよく持ちこたえる。追加だ」
あの野郎ッ!
俺が動いたら茶髪に当たるように投げやがって!
クリーンヒットこそないが腕や顔、脚に幾つもの槍が掠り血がふきだす。
「私はイイから貴方も逃げて!」
「ヤハハ!聖剣のヒビは俺のせいだからな!そのせいでオマエがくたばっちゃあ後味がわりぃんだよ!」
光の槍を防ぐのにエクスカリバーを使えなかったからな。
「ハハハハハハッ!これで最後だ」
「この野郎ッ!」
廃屋ごと潰す気かよ!
めんどくせえなぁ!
ドガァァァァァァァァァァァァン‼
特大の光の槍が俺たちと廃屋を包み込んだ。