次の日の放課後。
なんでも、教会の関係者が部室を尋ねてくるらしいために俺たちオカルト研究部員は早くに部室に集まっていた。教会の関係者?まさかあの二人組か?木場が教会の関係者って聞いてからかなり怖い顔をしてる。つかれないのか?
コンコン。
しばらく部室で歓談しているとノックの音が聞こえた。
「失礼。ここがリアス・グレモリーのいるところだろうか?」
「…朧先輩?」
女性の声が聞こえてからすぐ様に俺はトビラの前に移動してトビラを開けた。
その珍しい行動に小猫が不信な声をだす。
ガチャ。
「む。すまない」
「ありがとう。って……あぁーーー!あなた間違えた道を教えた人‼」
ヤハハ、やっぱりあの時の二人組か!
「なに⁈イリナ、本当か!」
「ええ、そうよ!貴方の所為でお巡りさんに職務質問されたんだからね!」
ヤハハ、マジかよ。
不審者だから交番までの道程を教えたが警官に見つかって職務質問されるとは……
「そうかそうか。大変だったな。お帰りはあちらからどうぞ」
「ありがとう」
「ありがとう。じゃないよ!帰らないわよ!あとゼノヴィアはすぐに流され過ぎよ⁈」
「チッ」
「今、舌打ちしたわよねぇ⁉」
「チッ。してねーよ。あとうるさいぞお前。チッ」
「また舌打ちしたわよねぇ⁉今度は二回も!」
「確かにイリナ。少しうるさいぞ」
「あれ?なんでゼノヴィアもそっち側なのかしら⁈」
こいつら面白ぇぇぇぇ!
スパンッ!
「…朧先輩。話が進まないので黙りましょうか」
おっほー。
どう弄るか考えてたら小猫にハリセンで叩かれた。
「んんっ。まずはそこのソファに座ってちょうだい」
「わかった」
「ええ」
話の流れをグレモリーがもどし二人組にソファに座るように促す。
ちぇ、もう少しあいつらで遊びたかったぜ。
「それじゃあ、ここに来た理由を話して貰おうかしら?」
「先日、カトリック、プロテスタント、正教会側で管理されていた聖剣エクスカリバーが奪われました」
エクスカリバーが奪われた?
先に盗られちまったか。
「…朧先輩」
「俺が盗った訳じゃないぞ小猫。それよりエクスカリバーってのは複数あるのか?」
今の言い方からして一つではないのだろう。
複数あるなら一本くらい…
「…朧先輩、一本くらいって考えてませんか?」
「ヤハハ、そんなことないぜ」
最近、小猫が鋭くなってきてるな。
朱乃もまたしかりだ。
「ゴメンなさいね。エクスカリバーの説明込みで話しを進めてもいいかしら?」
グレモリーの申し出に茶髪のほうが頷いてイッセーのほうを向いて説明をする。
「イッセーくん、エクスカリバーは大昔の戦争で折れたの」
「今ではこのような姿さ」
髪に緑のメッシュを入れた女が傍にあったものを解く。
そこにあったのは一本の剣だった。
俺はなんともないがグレモリー達悪魔は少し冷や汗を流していた。
ってことは…
「へぇ、それがエクスカリバーか?」
「そうだ。よく分かったな?」
「まわりの奴らの雰囲気からな」
うーん。
しかし、あまり魅力は感じねぇな。
「大昔の戦争で折れたエクスカリバーの破片を錬金術によって新たな姿としたのさ。そのとき七本つくられた。これがその一つ」
だからか、あんま魅力を感じねぇのは。
要はエクスカリバー(劣化)ってことだろ。
「私の持っているエクスカリバーは
もう一人のほうは懐から紐のようなものを取り出す。
するとその紐が意思を持った様に動きだし一本の日本刀になる。
「私のほうは
自慢気に話しているが凄いのは剣であって、こいつらは対したことなさそうだ。
そこんとこ分かってんのかねぇ。
「イリナ…悪魔にエクスカリバーの能力を話すことはないだろう?」
「悪魔だからって信頼関係を築かないとダメよ。それに悪魔の皆さんには遅れはとらないわ」
へぇ。
随分と言ってくれるもんだ、しかも俺のことは眼中になさそうだしな。
つーか、さっきから木場からのプレッシャーがうっとうしいんだが。
「それでその話がなんの関係があるのかしら?」
「奪った連中はこの地に持ち込んだらしい。そして奪った連中はグリゴリの幹部、コカビエルだ」
「…コカビエル。聖書に記された者の名前が出されるとはね」
グレモリーは相手の名前に苦笑していた。
堕天使の幹部!
聖書に記された堕天使!
エクスカリバー!
やっべちょっと楽しくなってきた♪
よし、戦おう。そうと決まれば…
「ッ!朱乃!小猫!朧を捕まえなさい!」
「チッ」
部室から出ていこうと考えているとグレモリーが指示をだし朱乃と小猫が腕をつかんできた。
「…おとなしくしてください」
「あらあら、勝手に動いてはいけませんわ」
こいつらめ、反応が早くなってきてるな。
俺達の行動に教会側の二人は首を傾げている。
「んんっ。私たちの依頼は堕天使との戦いに一切介入しないこと。つまり関わるなと言うことだ」
「随分なものいいね」
「本部は堕天使と手を組んだ可能性があるとも言っていてね」
「私は堕天使とは手を組まない。グレモリーの名にかけて魔王の顔に泥を塗ることはしない!」
ヤハハ、グレモリーがかなりきてるな。
そりゃそうか自分の縄張りにズカズカときてんだしな。
「それだけで充分さ」
「貴方たち二人で戦うのかしら?」
「正教会は保留としてね、二人で戦うつもりさ」
「死ぬつもり?」
呆れ声のグレモリーだが、二人は決意の眼差しで言う。
「そうよ」
「私もイリナと同意見だが、できるだけ死にたくはないな」
「ッ!相変わらず、あなたたちの信仰心は理解できないわ」
「私たちの信仰心をバカにしないでちょうだい。ね、ゼノヴィア」
「まあね」
死ぬつもりねぇ。
たぶん犬死で終わりそうな気がするけどな。
「ヤハハ!いいじゃねえかお嬢様!こいつらの喧嘩だ勝手にやらせとけば」
「喧嘩って…。まったく朧は」
グレモリーは俺の発言に呆れた声をだす。
「それではそろそろおいとまさせて貰おうかな」
「そうね」
二人が立ち上がりその場をあとにしようとするが視線が一点に集まった。
アルジェント?
「まさか魔女のアーシア・アルジェントか?」
アルジェントが魔女の言葉に反応する。
イッセーもその言葉を聞き視線が少しきつくなる。
「あなたが教会で噂になってた元聖女さん?」
「…あ、あの…私は…」
二人にジロジロと見られ対応に困るアルジェント。
「悪魔となったか、堕ちるところまで堕ちたな。まだ我らの神を信じているのか?」
「ゼノヴィア。悪魔が主を信仰してるはずないでしょう?」
呆れた様子でもう一人が言う。
「いや、その子からかすかに信仰の匂いがする。私はこういった事に敏感でね」
「そうなの?」
匂い?
スンスンと自分の匂いと小猫の匂いを嗅ぐ。
「…お、朧先輩⁉」
「お菓子の匂いだな」
スパンッ!
顔をほんのり赤くしながらハリセンで叩かれた。
「…失礼です」
「…捨てきれないだけです。ずっと信じてきたので」
俺達のやり取りをスルーしてアルジェントが悲しそうに告げる。
「そうか、ならば今すぐ斬られるといい。今なら我らの神が救いの手を差し伸べてくれるはずだ」
「触れるな」
アルジェントに近づく緑メッシュからアルジェントを庇うようにイッセーが前に立つ。
「アーシアを魔女と言ったな」
「そうだ。今なら魔女と呼ばれる存在だ」
その言葉にさらにイッセーは怒り奥歯を噛み締めギリギリと鳴らした。
「ふざけるな!アーシアの優しさも理解出来ずに、友達になってくれるやつもいないなんて、そんなの間違ってる!」
「聖女に友人が必要だと思うか?友人を求めた時点で最初からアーシア・アルジェントには聖女の資格はなかったのだろう」
当然だと言う感じでゼノヴィアは口にした。
ヤハハ、狂信者だなぁ。
まったく…イラつくな。
「アーシアの苦しみもわからなかったくせに!」
「キミはアーシアの何だ?」
ヒートアップするイッセーに対して緑メッシュは冷静に返す。
「家族だ。友達だ。仲間だ。だからアーシアを助ける!俺はお前達全員を敵に回しても戦うぜ!」
イッセーの挑戦的なものいいに緑メッシュは目を細める。
「それは私たちへの挑戦か?グレモリー、教育不足では?」
「イッセー、おやめ…」
「ヤハハッハーッハッハッハ!」
イッセーを落ち着かせ用としたグレモリーの言葉に被せて俺の笑い声が部室に響く。
「……何が可笑しいのかな?」
緑メッシュと茶髪が俺を睨む。
「いや、人一人救えない神ならすぐに倒せそうだと思ってな」
俺が嗤いながら言うと二人組の目線が一層鋭くなり俺に殺気をぶつけてくる。
「神を倒すだと?」
「なんてこと言うのかしら?」
「ああ、楽勝だろうな」
あくまで俺は嗤いながら言う。
「人間とは言えその発言は許せない。今すぐに断罪してやる!」
おっ。
やるか?エクスカリバーの力も見たいからちょうどいいな。
「ちょうどいい、なら僕が代わりに相手をしよう」
横から特大の殺気を出して木場が剣を取り出す。
「誰だ?キミは?」
「キミたちの先輩だよ。失敗作だけどね」
その瞬間、部室には大量の魔剣が現れた。
オイ。
俺の獲物をとるつもりか?