ハイスクール問題児⁈   作:atsuya

33 / 84
投げていいのは…

イッセーサイド

 

 

球技大会当日。

さっきまで部長と会長がテニスで勝負をしていた。結果はめちゃくちゃにやりすぎて引き分けになった。今は体育館で部活対抗戦であるドッジボールをしている。オカルト研究部の一回戦の相手は野球部だなんだけど…

 

「狙え!兵藤を狙うんだぁぁ!」

 

「うおっ!てめえらふざけるな!」

飛んでくる豪速球をよけながら俺は叫んでいた。

開始そうそう俺だけが狙われていた。

単純だ、俺以外には当てられないんだ!このチキンどもめ!

部長、朱乃さん、学園のアイドル。当てられない。

アーシア、二年生の癒し系ナンバーワン。当てられない。

小猫ちゃん、学園のマスコット。当てたらかわいそう。

木場、当てたら女子に恨まれる。当てられない。

朧、魔王にレベル一でいどむの?なんて無理ゲー。当てられない。

俺ことイッセー、当てろ!むしろ殺せ!

 

「イッセーを殺せぇぇぇぇ!」

究極の消去法で全校の悪意が集中していた。

これがエロレクイエムなのか⁉

 

「奴を殺せぇぇぇぇ!」

「お願い!お姉さまのためにも」

「学園生徒に命じる!イッセーを……殺せっ!」

「その願い…受け取ったっ!」

「ヤハハ、顔を狙えよ」

 

ギャラリーからの死ね死ねコール。

ちくしょう!同じ学園の生徒なのにアウェイかよ!

あと、朧⁉

なんでコールに混ざってんの⁈

 

「恨まれてもいい!イケメン死ねぇぇぇぇ!」

豪胆な野球少年が木場に向かってボールを投げた。

そのままあてられちまえ!

ってぼーっとしすぎだろ!

 

「なにぼーっとしてんだ!」

 

「あ、イッセーくん」

俺が腕を伸ばしボールを取ろうとしたが…

グキッ…

いってぇぇぇぇ!突き指したぁぁぁ!

そして、取り損なったボールは魔王……いや朧の顔に向かって…

え…。

 

バシィッ!

流石は朧!とっさのことだったが見事に片手でボールをキャッチした。

けど……

 

「「「「……………」」」」

体育館が異様な沈黙に包まれる。

他のコートで試合をしていた生徒やギャラリーもすべてが朧に注目している。

 

「ヤハハ、俺か…。イッセーが弾いたとはいえ投げたのはお前だよなぁ」

 

ガタ……ガタガタガタガタガタ‼

うおっ!野球少年がものすごく震えてる!産まれたての小鹿並みに震えてらっしゃる。

 

「あ、あの朧…」

 

「ヤハハ、野球はチーム競技だよなぁ。一人のミスは全員のミスだ」

あ、ダメだ。

相手のチーム全員の身体が震えてる。

 

「まぁ、ワザとじゃないのは分かってる。でもこれは死合いだからなぁ。痛ぶるのは……」

朧が言葉を一旦とめ、相手のチームを見渡す。

 

「朧、お前…」

 

「気のりしないぜ」

 

「「「「ノリノリだ‼」」」」

体育館にいた相手チーム以外の生徒全員が叫んだ。

だって朧、めっちゃ笑顔だもん!

満面の笑顔だよ!

 

「ドラァァッ!」

 

ドンッッッッ!

 

「かっ⁈」

…………………。

あれ?今って球技大会だよな?

あれ?

人ってあんなにボールがあたってすぐに気絶したっけ?

ボールは相手選手の腹にあたってはね返り朧の足元にころがってくる。

 

「ヤハハ、怒襲死暴流(ドッジボール)の始まりだ……次は……お前だっ!」

 

「え!」

 

ドンッッッッ!

朧の投げたボールはまたもや命中した。

今度は俺の腹に…

なんでぇぇぇぇ!

 

「「「「「……え!」」」」」

オカルト研究部員が朧の行動に唖然とする。

 

「よし、元凶どもは潰したな……で、次はお前ら

 

「「「ギャァァァァァァァァァ‼」」」

あ、目が霞む……

俺の球技大会は相手チームの悲鳴を聞きながら終了した。

できれば小猫ちゃん……朧を止めて欲しかった……。

 

イッセーサイドアウト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朧サイド

 

球技大会が終了しオカルト研究部員は部室に集合していた。

パンッ!

乾いた音が部室に響き渡る。

 

「どう?少しは目が覚めたかしら?」

 

「もういいですか?球技大会も終わりましたし夜の部活まで休ませて下さい。昼間は調子が悪かったようです。申し訳ございませんでした」

グレモリーが今日の木場の行動について怒る。

しかし、いつもの爽やかスマイルはなりを潜め木場は淡々としてかえす。

 

「木場、お前マジで最近変だぞ?」

 

「君には関係ないよ」

木場が作り笑顔で冷たくイッセーに返事をする。

 

「俺だって心配しちまうよ」

 

「ヤハハ、俺はしないけどな」

 

「…朧先輩は少し黙ってましょうか」

小猫にわき腹をビシッと叩かれてしまった。

 

「心配……ね。イッセーくん僕は基本的なことを思いだしたんだ」

 

「基本的なこと?」

 

「そうさ、僕がなんのために戦っているのか、を」

 

「部長のためじゃないのか?」

イッセーの質問に木場は迷うことなく答える。

 

「違うよ」

 

「ちなみに俺も違うぜ」

 

「あらあら、朧くんは少し黙ってましょうね」

今度は朱乃に言われてしまった。

 

「僕は復讐のために生きている。聖剣エクスカリバー。それを破壊するのが僕の戦う理由だ」

木場の強い意志をこめた瞳。

そう言って木場は部室を出て行った。

ヤハハ、なかなか面白いかんじじゃねえか。

にしても…

 

「オイオイ、エクスカリバーってなんだよ。超欲しいじゃねえか!とりにいこうかな…」

 

「…ダメに決まってるでしょう!この問題児先輩!」

スパンッ!

今日も小猫のハリセンは調子がいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聖剣計画?」

木場が部室を出て行ったあとグレモリーから木場が聖剣エクスカリバーを恨む理由を話してもらっていた。

 

「そう、彼はその計画の生き残りなの」

 

「なんだそれ?」

 

「数年前にあった人工的に聖剣を使えるようにする計画よ」

 

「へえ、じゃあ木場は聖剣を使えるんですか」

グレモリーの言った言葉にイッセーが質問をする。

 

「祐斗は適応できなかったの、それどころか祐斗と同時期にいた者たちも適応できなかったらしいの……」

へえ、そうなのか。

 

「ヤハハ、でもそれだけであそこまでの憎悪を抱いたわけじゃないんだろ?」

 

「…そうよ、適応できなかったと知った教会関係者は祐斗達を処分したの」

チッ。

どこの組織にも腐った奴らはいるんだな。面白くねぇ。

 

「……そんな、主に仕えるものがそんなことを」

 

「なるほどね、木場も大変だわ」

今日の部活はこうして終わっていった。

聖剣か…

俺は使えるかな?

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。