そして更新遅くてごめんなさい。
この話しは時系列で言うと、以前書いた番外編のバレンタインの前日のお話です。
イッセーサイド
俺は何故か放課後の誰もいない教室に呼び出されていた。何でだと思う?
何と! ラブレターが入っていたのだった! 誰かのイタズラかと思ったがすごい可愛い文字だし! 何かすげェいい匂いがするし! これは本物だよな!
部長やアーシアなどのオカルト研究部員達にばれないように一日過ごすのは凄い緊張した。
しかし、夕日の中の告白か……。ふふふ、これはとうとう俺にもモテ期がきたのか? 相手はおっぱいが大きい人がいいなぁ。しかし、こんな可愛い字なんだからきっと凄く可愛いんだろうな。はっはっは。
よっし! 気合いは充分だ!
俺は扉を勢いよくあける。空き教室は夕方と言うこともあり窓からの夕日が眩しい。そのために目が眩み、中にいる人がよく見えない。
段々と目が慣れてきて相手の姿がハッキリしてきた。
そこにいたのは……
匙だった。
「「………」」
俺の目が死んだ。
そして匙の目も死んだ。
「……この、手紙お前か? 兵藤」
「……は?」
手紙? どういうことだ。匙の手を見ると俺が受け取った手紙と似たような物を持っていた。
ダニィ! 奴も同じ様な物を持っているだとっ!
「……違う、俺もこの手紙を受け取ってここにきたんだ」
「そ、そうか。俺はてっきりお前が……」
匙は突然、俺の顔から目をそらし言葉を詰まらせる。
何だよ。
「ハッキリ言えよ」
「兵藤、お前がホモに目覚めたのかと」
「ちげぇわ! 俺もお前が俺を呼び出したからホモになったかと思ったわ!」
「バッ、てめえふざけんな!」
「てめぇもだろうが! 誰が野郎なんかに!」
「「あぁ!やんのかテメェ‼︎」」
俺と匙は互いに胸ぐらを掴み合い、睨み付け会う。くっそ! さっきまでの俺のトキメキを返しやがれ!
「いや、チョットまて兵藤」
「なんだよ!」
「この手紙、俺でもお前でもないってのとは誰だ?」
「……確かに」
匙のところにも手紙、俺のところにも手紙。いったい誰が手紙を持ってきたのだろうか。いや、まさかの呼び出しの場所のブッキングか?
匙と俺がそれぞれ考えごとにふけっていると突如窓の外に影が現れた。
夕日の為かよく見えないが人のようだ。
ん? 窓から来る人っているわけが……いや、いる⁉︎
ガシャアンッ‼︎
「「うおおおおおおっ⁉︎」」
「ふうっ……」
窓をぶち破って入って来たのはこの学園が誇る問題児。三日月 朧だった。
いや、何やってんの⁉︎
「安心しろ、この窓ガラスは後で魔法で治るから」
「そうじゃねぇよ! そう言う問題じゃねぇよ!」
匙の言う通りだ。そう言う問題ではない。だが、先ずは何故朧がこの場所に来たかを聞きたい。まさか朧も手紙に呼び出されてきたのか?
「うし、ちゃんといるな」
「「は?」」
「その手紙、俺のイタズラ。OK?」
「「ぶっ殺す‼︎」」
「ていっ」
「「ごふっ‼︎」」
ぐおおおっ。
鳩尾に入った。軽い声のくせになんて威力のパンチを打ちやがるんだ。
「ヤハハ、クラスの女子に頼んで書いてもらったかいがあったな。お前達が一日中そわそわしてんのが超面白かったぜ!」
「「ち、ちくしょう」」
酷い酷すぎるぜ。バレンタインを前日に控えたこの時期にそんなイタズラをするなんて、男なら誰だって期待してソワソワするに決まってるじゃねぇかよぉ。
「ここからが本番。楽しむのは終わりだ」
「いや、楽しんでんの朧だけじゃん」
「うんうん」
「何か?」
「「なんでもねぇっす‼︎はい‼︎」」
やっべぇ!
朧のニッコリとした笑方ちょーこえーよ!
しかも顔の前で手をポキポキと鳴らすのやめてほしいわ!
「まあ、聞けよ。お前を呼び出したのは他でもねぇ」
先程までの巫山戯た雰囲気とは変わり、朧の表情が真剣なものに変わる。コカビエルに小猫ちゃんがやられそうになった時と似たような顔だ。
俺と匙はその様子に思わずゴクリと唾を飲み込む。
「俺の命の危機だ。お前達に助けを求めたい」
「「ッ‼︎」」
朧の命の危機?
ど、どういうことだ? あの朧に何かあったのかよ!
「どういうことだよ三日月! お前程の奴がどうしたってんだ!」
「匙の言う通りだ! お前が俺達に頼む程の事なのか?」
「ああ」
どうやらマジでヤバイ状況にいるようだ。俺達に頼るってこと事態が特別な状況なのに、一切朧が笑っていねぇなんて。
「俺は恐らく、あと一日で死ぬだろう……」
「「ッ‼︎」」
一日? 朧があと、一日で死ぬって言うのかよっ!
まさか、一人でそんなにヤバイ敵と戦っていたってのか?
「これまでに俺は一人で幾度と無く、その敵と戦ってきた……。だが俺にはどうしようもできねぇようだ」
朧がどうしようも出来ない敵……。
少なくともコカビエルや、ライザーよりは確実に強いってことか……。
「そ、そんなにヤバイ奴なのか」
「ああ」
匙の質問に対して朧は深妙に頷く。
苦虫を噛んだ様な表情を浮かべて目を伏せている。
「俺が一発で死にかけたレベルだ」
「お前が一発で⁉︎」
嘘だろう⁉︎ 朧が一発で死にかけたレベル? ヴァーリの拳にだって笑いながら反撃をしていたあの朧が?
とてつもないレベルの敵に間違いないようだ……。
「そ、そうだ! 部長達にも話そう!」
「それが良いな! 俺も生徒会メンバーに話してみるぜ!」
朧の危機だと知ればオカルト研究部の皆も、生徒会役員の人達も全員協力してくれるハズだ! それに、小猫ちゃんや朱乃さんなら進んで協力してくれるだろう。
「いや、ダメだ。そんなレベルじゃねぇんだ。木場にも頼んであいつらには話が行かないようにしてある」
「なんでだ! 人数が増えれば増えるほど良いだろう!」
「そうだぜ朧! 皆お間の力になってくれるハズじゃねぇか!」
なんで俺達には頼れて他のメンバーにはダメなんだ? 皆も仲間の頼み事なら断る奴なんいない位の人達じゃないか!
「ダメな物はダメなんだ。だから、俺はお前達に頼むんだ」
朧にとっても俺達に頼む事はとても苦渋の判断だったんだろう。
「……わかった」
「兵藤?」
「俺達に出来ることをやろう。匙も協力してくれるよな」
「ああもう、わかった。わかったよ」
「すまねぇな」
あの朧が俺達を頼ってくれたんだ。協力しないわけがねぇよ。例え相手がすげぇ奴だって俺達だったらなんとか出来るハズだ!
「それで相手は何なんだ? 堕天使か? エクソシストか?」
「先ずは俺達にも敵の正体を教えてくれ」
朧のことだから、相手のこと事態はわかっているだろう。タダで終わる奴じゃないしな。
「敵は日本の半分を支配している奴だ…」
「日本の!」
「半分⁉︎」
スケールがデカすぎる!
朧はそんな奴に戦いを一人で挑んでいたのかよ!
それに、俺達だけで勝てるのか?
いや、違う勝つんだ! 勝たなきゃいけねぇんだ!
「敵の正体を言うぞ……」
「「ああ……」」
言葉を一旦途切った朧に集中する。俺達が今から戦う相手のことを聞き漏らさないために。
どんな奴なんだ……。
「ソーナの手作りチョコだ」
「「………」」
空気が死んだ。
窓の外でカラスがカーカー鳴いている声がよく聞こえるほど静かだ。
「ソーナの手作りチョコだ」
「「はあぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」」
なんっじゃそりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎
あと二回も言わなくてもいいからな!
聞こえてたから! そりゃもうバッチリ聞こえてたからな!
「巫山戯んな朧! 何が日本の半分を支配しているだ!」
「うるせぇ! バレンタインでチョコは日本にいる男性以外の人口、女性を支配してんじゃねぇか!」
そうだけども! 確かにこの時期はお菓子業界の人達の陰謀でさ、女性達は支配されているけども!
「お前が一発で死にかけたって意味は⁉︎」
「ソーナの手作りシリーズを知らねえのか⁈ 人の食えたもんじゃねぇぞ⁉︎」
ひでぇ……。
つかソーナ会長の料理ってどれくらいやべぇんだよ。
あ、匙が「俺は手作りなんてっ……」って言って教室の隅でいじけだした。
「じゃあ部長達に話せないって理由は⁉︎」
「ソーナにこの会話がバレたら……。ソーナの性格からして意地でも手作りにするだろう」
確かに!
朧といるときのソーナ会長ってなんか負けず嫌いな感じがする。
「だからお前達に助けを求めてたんだよ!」
「知らねぇよ⁉︎」
俺が朧に叫んでいると、朧の制服のポケットから着信音が鳴った。
「ソーナから? 何のようだ?」
どうやら電話の相手はソーナ会長らしい。こんな会話していた時だからちょっとびっくりした。
「ん? イッセーと匙? ああ、一緒にいるぜ。わかったスピーカーにする」
何だろう。俺と匙の名前が会話に出てきたな。ソーナ会長が朧や匙はともかく、俺に用事なんて覗きのことを注意する時以外ないと思う。
『少し質問していいですか?』
「大丈夫だぜ。イッセーと匙にも聞こえてる」
朧はスピーカーからのソーナ会長の声が聞こえているかと、俺と匙に目を向ける。その視線に俺と匙は頷くことで答える。
『では、朧から。納豆とイクラどっちが好きですか?』
「納豆とイクラ? どっちも好きだが……しいていえばイクラかな」
納豆? イクラ? 何の質問何だろう。
『では次に匙。唐辛子と山葵どちらが好きですか?』
「えっと……山葵っすかね会長」
匙には唐辛子と山葵? ダメだ全くもって質問の意味がわからねぇ。
『最後に兵藤くん。マグロとウナギどちらが好きですか?』
おっと。
俺に対しての質問だ。
「俺はマグロの方が好きっすよ」
『そうですか。三人とも参考になりました。ありがとうございます』
「なぁ、ソーナ。さっきから何の質問だ?」
俺と匙も気になっていた質問の内容を朧が問いかけた。好きな物のことをいきなり聞き出して一体どうしたんだろう。
『いえ、バレンタインのチョコレートの具材に何を入れれば良いか迷っていたもので。おかげで参考になりました。では……』
プツッ。
その言葉を最後に朧のスマホから声が途切れた。
「待て待て待て⁉︎ ソーナの奴、今の具材をチョコに入れるつもりか⁉︎」
朧が慌てている、なんて珍しい。……じゃない! 俺の事も聞かれたってことはまさか!
「ああ、イッセー。十中八九お前と匙の分のチョコの具材だな」
「「うおおおおおおいっ⁉︎」」
え? マジで?
なんかチョコレートには絶対に合わないであろう食材を聞かれた気がするんだけど!
「クソッ! 遅かったか! いや、今からでも折り返しで電話をかければ……」
そう言って朧はスマホを弄り、恐らくソーナ会長に電話をかける。
『おかけになった電話番号は現在電波の届かない場所にいるか、電源を……』
朧はそっと自分のスマホの電源を切り。
窓の外の夕日を眺めだした。
「……終わった」
こんなにも覇気が無い朧の声を聞いたのは初めてだった。
イッセーサイドエンド
オマケ
バレンタイン翌日。
学校の出席確認時にて。
とある教師の呟き。
「あれ? 今日は三日月と兵藤は腹痛で欠席なのか。あいつらが欠席とは珍しいこともあったもんだ」
以上。
更新が遅いのはドラゴンボールゼノバースやゼスティリアが面白いのが悪い!
え? 違う? 俺が悪い?
な、なんだよ……俺が悪いってのか! みんなして……みんなしてよ!
俺は……俺は悪くねぇ!