朧サイド
聖堂の宙に淡い緑色の光が舞う。
どうやら、ベンチで死んでいるシスターの神器のようだ。
「さて、これをアーシア・アルジェントさんに返しましょうか」
「で、でもアーシアはもう…」
あいつ、自分がどうやって生き返ったか忘れてないか?
「…部長、みんな、俺とアーシアのためにありがとう。でも、もう…」
「諦めるのは早いぞイッセー」
「…どういう事だ、朧」
「お前、どうやって生き返った?」
「ッ!」
やっと気付いたか。あとはグレモリー次第だけど、あいつの事だから大丈夫だろ。
「…ぶ、部長」
「そうね、前代未聞だけどこのシスターを転生させるわ。この子の回復の神器はとても魅力的だしね」
グレモリーの身体を紅い魔力が覆う。
「我、リアス・グレモリーの名において命ず。汝、アーシア・アルジェントよ。いま再び我の下僕となるため、この地へ魂を帰還させ、悪魔と成れ」
駒が紅い光を放ちアルジェントの身体に入って行く。
完全に入り少しするとアルジェントが目を覚ます。
「あれ?」
グレモリーがイッセーに優しい笑みを浮かべている。
「イッセーさん?」
怪訝そうに眺めるアルジェントをイッセーが抱きしめ。
「帰ろう、アーシア」
涙をながしながらいった。
まぁ、これで納得出来るハッピーエンドかな?
イッセーにしてもやはりこいつらといるのは面白い。
そう、再確認させられる日だった。
「よう、木場、小猫」
朝からオカルト研究部で集まりがあるらしく朱乃に叩き起こされ、渋々旧校舎に向かっている最中に木場と小猫にあった。
「おはよう、朧くん、姫島先輩」
「…おはようございます。朧先輩、姫島先輩」
「朧くんが朝早くから来るとは思わなかったよ」
「…以外」
こいつら何気に失礼だな。
「朱乃に叩き起こされた…」
めんどくさいからいくつもりなかったのに。
二度寝しようとすると雷を落としそうだったしな。
「うふふ」
「部室についたよ。朧くん」
朝のことを振り返っていると部室の扉の前についていたようだ。
ガチャッ。
「おはようございます。部長、イッセーくん、アーシアさん」
「……おはようございます。部長、イッセー先輩、アーシア先輩」
「ご機嫌よう。部長、イッセーくん、アーシアちゃん」
「帰っていいか?グレモリー」
それぞれが挨拶をするが俺は寝不足のために今すぐ帰りたい。
「おはよう、皆。それと帰ってはダメよ朧」
ちっ。ダメか…
「さて、全員がそろったところでささやかなパーティーを始めましょうか」
グレモリーが指をならす。
すると、テーブルの上に大きなケーキが現れた。魔力って便利だなオイ。
「た、たまには朝からこう言うのもいいでしょう?あ、新しい部員も入った事だし」
お?まさかグレモリー……
「ヤハハ、照れてんのかグレモリー?」
「そっ、そんなことないわよ⁈」
いや、どう見ても照れてるだろ。
「照れてる顔も中々にイイぜ」
「なっ⁈」
スパンッ!
「……小猫。なんで叩いた」
俺は後ろから小猫にハリセンで叩かれた。
「………なんとなくです」
オイ。なんだその理由は。少しからかってやろうか?
「まさか、グレモリーのことを褒めたから嫉妬したのか?」
小猫の顔に自分の顔を近づけて尋ねる。
「…ち、違います」
「ほぉー。へー。ふーん」
「…やっぱり、朧先輩は意地悪です」
ヤハハ、こいつはやはり弄りがいがある。
「あらあら、私も少しはかまって欲しいですわ」
小猫で遊んでいると朱乃が後ろから抱きついてきた。
「おっ。胸の感触がわかっていいな」
「ストレートに反応されると困りますわ」
ヤハハ、俺をからかうのはまだ早いな。
スパンッ!
「……変態先輩」
「そりゃ、イッセーだ」
「おい、朧!」
イッセーの中々鋭いツッコミが入る。
目指せ、芸人。
「……否定できません」
「小猫ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉぁぁぁぁん⁉」
小猫もイッセーの弄りかたがわかってきたか?
「にしても木場ぁ」
「な、なにかな?」
「お前の神器はいつからハリセンを作るものになったんだ?」
「それ以上は言わないでくれるかな?」
「不憫だな」
「言わないでっていったよね⁈」
ヤハハ、木場ぁ。ドンマイ。
「アルジェントって言ったか?」
「は、はいっ!」
俺が急に話しかけたからかアルジェントは少し驚く。
「俺は人間だがよろしく頼むぜ。部員は変な奴らばっかりだけどな、堕天使の羽根を集めるのが趣味の部長とか……」
「はいっ!よろしくお願いします」
「朧。一回本当にお話ししましょう」
「ヤハハ、やだよ」
こうしてパーティーは始まっていった。
パーティーは終わり、授業時間。
俺は教室ではなく屋上で寝不足解消のため授業をサボって眠っていた。
「ーーなさい。おーーさい!起きなさい‼」
なんか、声が聞こえたので目を開けると鋭い目つきのメガネをかけたグレモリーや朱乃とはまた違ったタイプの美人がいた。
「寝起きに美人の顔とはいいね。じゃあおやすみ」
「だから、起きなさい‼」
「なんだよ一体。大声だすと美人が台無しだぜ?」
「どうも、ありがとうございます。それで此処でなにをしてるのかしら?」
「昼寝」
さっきの姿を見たらわかるだろ?
「そういうことは言っていません」
まぁ、そうだわな。
「んで。どちら様?みたところ悪魔っぽいけど」
「ッ!」
おおー、驚いた驚いた。
やっぱり、その反応は悪魔って事だねぇ。
「さすがはリアスの協力者と言ったところでしょうか」
「ん?俺の事知ってんのか?」
動揺したのを直ぐに持ち直したか。頭は結構良さそうだな。
「ええ、リアスから規格外な人間がいると」
「ヤハハ、規格外でオカルト研究部所属の三日月 朧だ。よろしく頼むぜ」
俺が笑いながら話すと向こうも挨拶を返してきた。
「私は生徒会長の
「ふーん。名前からして72柱のシトリー家の奴か?」
安着な名前だなぁ。
「ッ!ーー本当に規格外ですね。72柱まで知っているとは…」
「俺は勤勉なんだよ」
夜中とかに神話の本とかで調べたり朱乃から聞いたりしてるからな。
「そうですか。それよりなんで此処にいるのですか?今は授業中ですよ」
「シトリーもいるじゃねぇか」
「私は生徒会の仕事の息抜きです」
生徒会長って言ってたな。
「へぇ。じゃあ、俺も生徒会室に行こうかな」
「はい?何故ですか?」
「生徒会の手伝いって言えば堂々とサボれると思ったから」
今から授業はめんどくさいしな。
「ダメといったら?」
「此処で寝たまま」
「……わかりました。どうせサボるなら監視出来るところに置いて置きます」
「ヤハハ、ありがとよ」
「はぁー。ついて来て下さい」
また、面白い事が起きそうだなオイ。