床に倒れている、血だらけになった男。
学園ではイケメン王子として女子生徒からは多大な人気を誇り、男子からは嫉妬などの様々な負の感情を向けられる存在。一方ではリアス・グレモリーの騎士としての裏の顔も持っている。そんな木場佑斗が床に倒れていた。そして指元の床には血で書いたダイイングメッセージの謹賀新年の文字。
「…謎は全て解けました。この事件は私が解決します。じっちゃんの名にかけて!真実はいつも一つです」
「いや、小猫ちゃん。混ざってるから…」
俺たちオカルト研究部の目の前で小猫はそう宣言した。イッセーのツッコミと共に…
まずはこの状況を始めから思い出してみよう。
ハイスクール問題児⁉︎
年明けスペシャル、オカルト研究部の事件簿。
見た目はロッリロリ!力は悪魔!その名は!名探偵、小猫!
年明けのある日のこと俺たち三日月家の一員たちはリビングにあるコタツでくつろいでいた。外は雪がかなり降っている。窓の外にかなりデカイ雪だるまを俺と小猫で作ったぜ!
「さあ!雪山に行くわよ!……キャァ!」
「あー、なんだってお嬢様?」
「いきなり転移したのは謝るから!踏まないで⁈」
グレモリーがくつろいでいるところにいきなりコタツのテーブルの上に転移してきたので素早く床に倒し背中を足の裏で踏んでおさえている。
パシャパシャパシャ‼︎
「うふふふふふふふふふふふふふ」
「ちょ⁈朱乃⁈何撮ってるのよ!」
朱乃はいつのまにか持ってきたカメラでグレモリーを色々なアングルから撮影している。あ、今、ケータイのカメラでも撮り出した。
「ちょっと⁈話しを聞きなさい!」
「…あ、ゼノヴィア先輩。そのミカンとってください」
「ああ。それにしても日本のコタツは凄いな!ぬくぬくだぁ〜」
「本当ですねぇ〜。棺桶と同じくらい落ち着きます」
グレモリーが俺の足の下で何か言っているが家の奴らはスルーしている。
「私、貴方たちの主よねぇ⁉︎」
「んで?なんのようだ?」
「え?足はどかさないの?」
当たり前じゃん。さっきから頑張って抜け出そうとしてジタバタしてるグレモリーの姿に朱乃、超喜んでるし。
「いいから話せ」
「はい……。年も明けたし皆で旅行にでも行こうと思って…」
「お?いいんじゃないか?」
「本当⁉︎じゃあ、準備しなさい!転移で私の家の別荘にすぐ行けるから!」
グレモリーが俺たちにビシッと指を指して指示を出す。俺の足の下からだから全く迫力ないけどな。
「じゃ、準備するか。小猫、お菓子の貯蔵は十分か?」
「…もちろんです」
「ところで朧、イッセーを知らないかしら?私は朧たちを迎えに行くように行ったのにいつまでたっても帰ってこないのよ」
「ん?イッセー?イッセーなら…」
グレモリーがイッセーについて聞いてきた。俺は視線をまどの外に、そして小猫たちは指を指した。
「「「「あの雪だるまの中に」」」」
「イ、イッセェェェェェェェェェェェェェェェェ⁉︎」
グレモリーの叫びが三日月家になり響いた。
そして、俺たちオカルト研究部はグレモリーの別荘の雪山のコテージについた。最初は各々で自由に過ごしていたのだがそこで事件は起きた。木場がなんとケチャップまみれで気絶している状態で発見されたのだ。冒頭で血まみれって言ったがあれは嘘だ。そして、最初の場面に戻る。
「謎は解けたって…小猫ちゃんは犯人がわかったのか?」
「…朧先輩」
「ああ」
「「…犯人はイッセー、お前だ」」
小猫が俺のところをチラリと見て、二人で一緒に言葉を言う。
「ちょっと待てえええええええええ⁉︎」
「…?どうしましたか、イッセー先輩?」
「え?普通に返された⁈俺は犯人じゃねえよ⁈」
「…最初は誰しもそう言いますよね」
イッセーのうろたえる様子に小猫は片手をおでこに当てて、やれやれと言った風に首をふる。
「本当にやってないからね⁈」
「ヤハハ、動機は普段のイケメンを恨んでか?」
「ちげぇよ!だからやってないって⁉︎ねえ、部長、アーシア」
「「…」」
イッセーは俺たちの追求から逃れるためにグレモリーとアルジェントに話しをふるが二人は顔を背けてしまう。
「ちくしょう!なんだこのアウェイ感!」
「イッセー、自首しましょう…」
「イッセーさん、素直に話せば主もお許しになるはずです。もう死んでますけど…」
「部長、アーシア⁉︎だからやってないって⁉︎」
グレモリーとアルジェントがイッセーに自首を進めている。あちゃー、もう完全にイッセーが犯人の空気だな。
「ヤハハ、とっととゲロっちまえよ」
「うっせえよ!だ、だったら証拠はあるのか小猫ちゃん!」
「…ハン」
「鼻で笑われた⁈」
イッセーが小猫に証拠はあるのかと聞くと小猫は当然だというがの如くイッセーを鼻で笑った。イッセーの扱いはかなりのもんになったな。
「…当然です。証拠は赤い文字で書かれている謹賀新年です」
「えっと、まさか赤い文字だから赤龍帝の俺が犯人とか?」
「…Yes」
「………いやいやいや⁉︎安直!証拠にもならないよ⁈第一赤い文字だったら部長や朱乃さんにも共通するだろ⁈」
グレモリーは紅い髪、朱乃は朱が赤いってイメージでかな?
「あらあら、朧くん。イッセーくんが私を犯人呼ばわりしてきますわ」
「ヤハハ、大変だな。イッセー、女のせいにするのか?」
朱乃が笑いながら俺に抱きついてくる。ヤハハ、なかなかノリが良くなったな。
「「…サイテー」」
「ああっ!俺のメンタルがガリガリ削られるぅ」
小猫とギャスパーがイッセーに向かって罵倒を吐く。ドンマイイッセー。
「…じゃあ、認めますね?」
「は、は。言わねぇよ⁈危ねぇ、もう少しで認めるところだった」
「…チッ」
「舌打ち⁈悪魔か小猫ちゃん⁉︎」
「…悪魔ですがなにか?」
「そうだったよ⁉︎俺も悪魔だよ!」
ヤハハ、小猫は俺が関わらなくてもイッセーをよくいじれるようになったな。
「イッセー、大丈夫だ」
「ゼノヴィア…」
「今なら私のデュランダルで斬り捨ててやろう」
「ちくしょう、お前もあっち側かよ!」
上手い!
あげて落とすの法則か!
「イッセー先輩!モイじゃいますか?」
「何をだぁぁぁ⁉︎ギャスパー恐えよ⁉︎」
ナチュラルは怖いな。ギャスパーの変化を喜ぶべきなのかな?
「さあ、イッセー。詳しくはあっちの部屋で聞くわ。皆、手伝ってちょうだい」
「うふふ、楽しみですわ」
「ぶ、部長!いゃぁ!俺は無実だぁぁぁぁ!」
グレモリーがイッセーの首根っこを掴み違う部屋へ引きずっていく。それに俺と小猫、倒れている木場以外がついていく。
さて、今回は俺の問題行動が少なく感じたと思う。なぜなら俺が木場を気絶させた犯人だからな。いやぁ、楽しかったぜ!イッセー弄りは。
「ヤハハ、楽しかった」
「…悪魔ですか?」
「小猫もノリノリだったじゃねえか」
「…」
小猫は俺の指摘に顔を赤くしてソッポを向く。全く面白い反応をする奴だな。
「ま、一番ノリノリだったのはこいつだけどな」
「…そうですね」
「あはは、酷いなぁ。無理矢理イタズラ計画に誘った癖に」
今まで、気絶しているふりをしていた木場がむくりと起き上がる。
「たまにはいいだろ?」
「あはは、たまにはね」
ヤハハ、木場もいい感じになってきたと思うぜ?
「ギャァァァァァォァァォォ‼︎」
イッセーの悲鳴で始まる新年でも悪くないだろ?
ヤハハ!