「なぁ、グレモリー、朱乃」
「なにかしら」
「なんですか」
「これはどういう事だ?」
今、俺たちは教会に跳んだ。
跳んだはいいのだが大量のはぐれの悪魔祓いたちに囲まれている。はぐれの悪魔祓いたちはいきなり現れた俺たちに戸惑っている。
「包囲されてるわね」
「包囲されていますわね」
「まぁ、いいや。さっさと片付けるからどいてろ」
グレモリーと朱乃が後ろに下がったのを確認し俺は地面を殴り、まわりにいる奴らを吹き飛ばした。
「無茶苦茶するわね」
「あらあら」
グレモリーたちは俺の行動にあきれぎみだ。
「ヤハハ、時間短縮できたろ?」
「……私たちも倒すつもりですか」
スパンッ‼
グレモリーたちと話していると後ろから小猫にハリセンで叩かれた。
「ヤハハ、避けれるだろ?あれくらい。それより、そのハリセンは?」
「……佑斗先輩の神器の
「木場おまえ……」
小猫の後ろにいる悲愴感漂う木場に話し掛ける。
「なにも言わないでくれないかな三日月くん」
「不憫だな…」
「なにも言わないでっていったよね⁈」
ヤハハ、木場も中々面白いじゃないか。
「たいへんだな。あとおまえも俺の事は朧でいいぜ」
「ありがとう。朧くん」
木場の肩に手を置き少し慰める。
小猫はハリセンをもって無表情でわかりにくいが満足気だ。
「さぁ、イッセーのところにいくわよ」
グレモリーが俺たちに声を掛けイッセーのところに向かうことになった。
俺たちが魔法陣で転移した場所はどうやら地下だったようで階段を上がるとイッセーが両足を女の堕天使の光の槍で貫かれているところだった。
「「ッ!」」
木場と小猫が反応し飛び出そうとするが俺が手で制する。
「どういうことだい?朧くん」
「これはアイツの喧嘩だ。イッセーの意地を汲んでやれ」
そういうことだから、小猫。ハリセンをしまえ。
さぁイッセー愉しませろよ。
朧サイドアウト
イッセーサイド
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁈」
俺の両太ももに光の槍が貫通する。
俺は絶叫をあげ、激痛が身体に響くがこんなところでひざをつくわけにはいかない。
俺が光の槍に手をかけ槍を抜く。
「ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
肉が焼ける音だ。超熱いぃぃ⁈
俺が槍を抜こうとする様を見て、レイナーレが俺を嘲笑する。
「アハハハハ!その槍に悪魔が触れるなんて!あなたのような下級悪魔ではーー」
「ぬがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉」
俺は槍をゆっくりと引き抜く。
痛みで意識がなくなりそうだ。だが、それがどうした。それがどうしたってんだ‼
「こんなもの!あの子が!アーシア苦しんだことに比べれば!」
痛ぇ。いてえぇぇぇよ⁉ちくしょうが!
けどこんなもの!こんなものがなんだ!
左手の籠手が音声を発する。
「……大したものね。光の槍を抜くなんて、でも下級悪魔のあなたはここが限界。普通なら死んでもおかしくないのに、本当に頑丈ね」
あーそうですか。治療が遅けりゃ死ぬかもな。でも関係ねえんだよ。
「こういうとき、神にたのむのかな」
「?」
疑問符を浮かべるレイナーレ。
「神様はだめだアーシアを助けてくれなかった」
「何を言い出しているのかしらね。ついに壊れた?」
「じゃあ、魔王様だ。いまから目の前のクソ堕天使を殴るんで邪魔が入らないようにして下さい。ーー一発だけでいいんで。……殴らせて下さい」
痛い。身体中が痛い。だけど動く。
「ッ!嘘よ!立ち上がれるハズがない!下級悪魔ごときがあのダメージで!」
「なあ、俺の神器さん。目の前のこいつを殴り飛ばすだけの力があるんだろ?トドメとしゃれこもうぜ」
その声はとても力強かった。
「あ、ありえない。嘘よ!そんなことが。下賤な下級悪魔ごときに私が!」
レイナーレが光の槍を創り出し勢いよく俺に投げ出してきた。
ブゥン。
俺はその槍を横薙ぎに拳で薙ぎ払った。
「い、いや」
おいおい、逃げる気か?
俺はレイナーレが飛び立とうとした瞬間に駆け出しその手を引く。
「逃がすか、バカ」
「私は、私は至高の!」
「吹っ飛べ!クソ天使‼」
「おのれぇぇぇ!下級悪魔がぁぁぁぁぁぁ!」
「うおりゃぁぁぁぁぁぁ」
拳に力を乗せ憎むべき相手の顔に正確に打ち込む。
ゴッ‼
レイナーレが拳の一撃で後方へ吹き飛ぶ。
ガシャァァァァァァァン‼
堕天使は壁を壊しでかい穴を生んだ。
一矢報いた。
「ざまーみろ」
思わず笑みが零れたが涙も流れた。
「……アーシア」
彼女はもう笑わない。
力を使い果たした俺はその場に倒れこむように……。
とん。
俺の肩を抱く何か。見れば木場だった。
「お疲れ。堕天使を倒しちゃうなんてね」
「おせぇよ、色男」
「ふふふ、朧くんがキミの喧嘩を邪魔するなってね」
朧が?
「よくやったわ、イッセー」
部長が紅い髪を揺らしながらこちらへやって来た。
「ハハハ、なんとか勝ちました部長」
「あらあら、教会がボロボロですわ。どうします部長?」
朱乃さんもそう言いながら歩いてくる。
「え?なんかヤバイんですか?」
「普段なら報復されるでしょうが、今回は大丈夫よ」
「なんでですか?」
「ここは捨てられた教会で堕天使とのただの小競り合いだからよ」
なるほどね、ものは言いようだね。
「……部長。もって来ました」
「引きずって来たの方が正しいんじゃねぇか?」
小猫ちゃんと朧がレイナーレを引きずってきた。
「ありがとう、朧、小猫。朱乃お願い」
「はい。部長」
朱乃さんは魔力で水を作りレイナーレにかける。
バシャァッ!
「ご機嫌よう。レイナーレ」
「…グレモリー一族の娘か…」
「はじめまして私はリアス・グレモリーよ短い間だけど、お見知り置きを」
部長は和かにあいさつするが、レイナーレは部長を睨んだままだ。
「してやったりとおもってるんでしょうが私が危なくなった時に協力者たちが私をーー」
「無理だな」
「あなたはッ!」
レイナーレの言葉に朧が口を挟む。
「そうね、他の堕天使は来ないわ」
朧の言葉に部長も肯定する。
「う、嘘よ!」
「この羽根が分かるかしら?朧が1人で三人を倒してしまったわ」
は?
俺がボロボロになってやっと倒した堕天使を無傷で三人?
規格外すぎるだろう。
「私と朱乃が上層部に確認してる内に倒すなんて」
部長が「用事がある」って言ったのはそれだったのか…
朧も堕天使を倒しに行くなんて…
やべえ。感動して泣きそうだ。
部長が俺の左手の籠手に視線を向ける。
「…赤い龍。レイナーレ。この子の神器はただの神器ではないわ」
部長の言葉にレイナーレが怪訝そうな顔になる。
「
「…神滅具の一つがこんな子供に」
マジで?
なら、俺の悪魔出世伝説は約束されたものか?
なんか、朧がめっちゃ笑顔で俺をみてくる。
戦わないよ?
「さて、そろそろ死んでもらうわ」
「ッ!イッセーくん私を助けて⁈」
こいつっ!どこまで……
「私、あなたのこと愛してーー」
ドゴオツッ‼
レイナーレが俺に言い寄ると朧が横から殴り、地面に叩きつけた。
「こいつ、つまんねえな」
「そうね、私の下僕に言い寄るな!」
部長の手から魔力が発しレイナーレを消し飛ばす。
ーーグッバイ俺の恋。
あとに残ったのはなんとも言えない気持ちと無数の黒い羽だった。