I・S~DC~ インフィニット・ストラトス~ダサシンクリード~ 作:凡人9号
あの時は、また目が覚めるなんてことになるとは思ってもみなかった。
最初は『また記憶が輸入されたのか?』と、少し考えてみたがどうやら違うようだ・・・
俺は、嬉しくなってつい泣いてしまった。泣き顔を隠すように、右手で顔を覆った。
いいや待てよ?俺は今、両手で顔を覆おうとしたんだ。なんで片方しか手の平の感触がないんだ?
とりあえず、体の上にかかっている布団を両手で・・・どかそうとしたんだが右手だけでどかした。
もうすでに嫌な予感がマッハで止まらないが、俺は決心して左腕があるであろう場所を勢いよく見た。
・・・・・・・・・。
「俺の左腕がぁぁぁぁぁああああああ!?」
どうも、熱血な感じで有澤社長を倒して、なぜか有澤社長が仲間になって、海底の遺跡に移動して、千冬さんに怒られて、リンゴを装置に設置してそのまま眠って、うどんを食べたいと心に抱いたまま死んだものとばかり思った鷲津翔です。
「なーんで生きてるんだろうなぁ」
どうやら俺の脇の下はなくなってしまったようだ。というかそもそも左腕が肩から指先までマルッと消失した。ノースリーブの入院服だから簡単に分かった事なのだが・・・しかし、意味が分からない。なんで生きてるん?叫んだことで来たナースさんは驚いてすぐどっか行って、その後で白衣来たおっさんが来て脈とか測られたり、目にライト当てられたりと一通り身体検査したら医者のおっさんどっか行った。
その間全部ポカーンとして何話したかとか覚えてないや、ってかどうなってんの?と混乱に苛まれている俺を救ったのはなんと・・・
「俺は先に起きたから色々聞いたけど、お前起きたばっかだもんな。鷲津」
横を見ればなぜかベットから上半身起こしてこちらを見ているデズモンド君。目を引くのは右腕がないってことかなー。デズモンド君・・・デズ、モンド・・・?
「死んだはずじゃッ!」
「さっき自分でも言ってただろ。なんで生きてるんだーって」
「いや、うん、ごめん。まだ整理がつかないんだ・・・」
「とりあえず、俺が篠ノ之束から聞いた事を教えるな」
「ああうん、お願い。もうなんか、駄目だわ。なんか泣きそう」
「正直言うと、俺も両親に会って泣いた」
「・・・とりあえず先に教えてくれないか?」
「わかった兄弟」
そしてデズモンドから聞いたことは纏めてしまえば実に簡単だ。
とりあえずIS学園は落ち着いた。国際連合が出てくるよりも先に落ち着いたらしい。
束さん、千冬さんと一緒に他の遺跡に行く。
しかし遺跡には世界滅亡を目論むアサシン達がッ!
しかし相手が悪かった、世界最強と天災だ。
まず一つ目の遺跡を攻略し、この前俺に嘘か本当か分からなかったが「量産した鍵とリンゴ」を使って一つ目の遺跡でまず千冬さんが。
二つ目も同じように無双して束さんが。
一方その頃!テンプル騎士団の誰かが同じことを!
太陽フレアは防げたが余波なのかISが機能停止に陥る。ここで束さんのネタ晴らしで「そういう風にISコアは設計した」とデズモンドから聞いて驚きも収まった。
しかし、第二世代ISコアは太陽フレア対策して作ったので大丈夫だったらしい。
そして機能停止に陥って落下していた初代ISコア製IS達は第二世代コアの連中が地面に激突する前に回収して操縦者達は無傷でした。
世界各国が「ISコア寄越せ」と脅迫を仕掛けるが束さんが「ISコアはこれからは宇宙進出に使うこと。守らなかったら強制終了してこっちから叩き潰しに行くから」と対応。
IS学園は宇宙飛行士養成学園となるらしい。
んで、デズモンドと俺のなくなった腕は燃えて炭化して壊死しかけてたんで急いで切ったそうな。そして代わりの腕は今束さんが作ってるらしい。
「まぁ、こんなところだな」
「あー・・・ご都合主義すぎるでしょう?」
「俺もそう思う。でも、現実って案外そんなもんなんじゃないか?」
「やだ、この子悟っちゃってる・・・!?」
「さっき俺が教えた事、あの篠ノ之束のテンションで教わったんだぜ?・・・もうどうにでもなれ、って奴だ」
「ああうん、束さんデズモンド君にあのテンションで接したんだ、なんというか、慣れてないとつらいよな」
「まぁ、教えたから俺はもう寝る」
「お疲れ兄弟」
「お互い様だろ」
布団手繰り寄せて頭から被って、よっぽど辛かったんだねデズモンド君。束さんの相手。
「鷲津、私が言いたいことは分かっているな」
しばらく窓の外をのんびり見てたらドアがノックされ、千冬さんがやってきた・・・うん、俺の現状的にアカンのが来た。
そして何がって、何がって・・・
「千冬さん・・・左手、ないじゃないッスか」
ヒラヒラしてる左の袖が、なんか、とても・・・
「命と引き換えだ、そう悪くはないだろう」
「千冬さん・・・理由は分かりますけど、なんで・・・」
俺は今、相当落ち込んでいる。命を懸けて守ろうとした相手が俺の命を救って挙句腕一本犠牲にしているのだ・・・いや、分かるよ。千冬さんもこの感情抱いてるって分かるけど、分かるけどさ・・・少しは成長したつもりでいるけどIS学園に来る前から変わってないのか、俺はそこまで大人じゃないんだよ・・・
「子供は大人に甘えればいい。なに気にする事じゃない、一夏は私のこれまでの人生の殆どを犠牲にしていたからな」
「多分それ、今後も続くかと思いますけど・・・ってか、多分それブラコンのせい」
「・・・ほう、言うようになったな鷲津」
「一回死んだみたいなもんですし、なんかもう、いいかなって」
「そうか。まぁなんだ、私はお前を助けるために傷物になったのだ・・・」
「いや、待って千冬さん?その言い方なんか違くないですか?」
「束も言ってくるぞ」
「束さんは好みじゃありません」
「真顔で言うな、束が哀れに思えてくる・・・・・・」
千冬さんはそう言ってため息を少しついた後、いきなりプッと、噴き出した。
「冗談だ鷲津。まぁどのみち相手などいなかっただろうからな、変わりないさ」
「自分で言ってて虚しくなりません?」
「だが、お前にも相手がいなかったら・・・その時はまぁ、傷でも舐め合おうではないか」
「心臓に悪いんで勘弁してくれませんかねぇ」
「これもまた冗談だ、独り身の方が落ち着く」
「とりあえず、相手を見つけるよりも先に一夏君落ち着けなきゃいけないですしねぇ」
「・・・思い出させるな」
「なんか、あったんですか?」
「・・・・・・IS学園防衛の際に、増やした」
「・・・・・・もう一夫多妻のどっかの国の代表にでもしません?」
「言ってみたが、嫌がったぞ」
「一夏君マジ何なんだよ」
「ああ、それで思い出した。金城だが、デュノアによくされているぞ」
「・・・聞きたくないです」
「安心しろ、お前の考えているようなことじゃない。説教を受けているという意味だ」
「あ、そっち」
「ついでに洗脳まがいな事もされているがな」
「誰か助けてあげてよ・・・」
「裏切り者にはそれ相応の制裁を与えなければ示しがつかないからな・・・周りの女子達も納得していたから許可した」
「クリス、強く生きろよ・・・」
俺にはもう、お前を助ける事なんて出来やしないよ・・・
「ところで千冬さん、もう一人いるじゃないですか。英雄」
「ああ、そっちの事はあまり知らないのだがな。まぁ、同じような状況と言っておこう」
「つ、ついでに・・・あれから何日たってます?」
「四日だ」
「通りで異様な空腹感が・・・・・・おうどんたべたいです」
「入院食でも食べていることだな」
ッハ、って感じで鼻で笑ってから「では、仕事があるのでな」と言って去って行った・・・絶対しばらくの間は根の持ってるよあの人。それで弄られ続けるんだ俺・・・耐えろよ俺、悪いのは俺なんだから。
一年専用機持ち達が来て女子陣がフルーツ持ってきてくれて嬉しかったけどなんか一夏君が拗ねてた。いや、なんとなくわかるし、話切り出したくないけど・・・うん、謝っとこう。
「・・・一夏君、千冬さんの腕の件は」
「いや、千冬ねぇが自分で決めたんだから翔のせいじゃないよ・・・それよりも、相手がいなかったら千冬ねぇと結婚するってマジなのか」
「一夏君まで言うのかよ・・・いや、勘弁してくれよ。相手いなかったらその時は素直に独り身貫くさ」
「違う!俺は責任を取れって言いたいんだよ翔!」
「え・・・えっ?」
え?やだ、このシスコン・・・何言ってんの?
「男なら千冬ねぇ傷つけた責任くらいとれよ!男らしくないぞ翔!」
「いや待て一夏君!本気で待て一夏君!お前は何を言ってるか理解できてるのか!?」
「本当は俺だってまだ割り切れてないさ!でも、でも・・・ち、千冬ねぇが決めたんなら仕方ないだろう!」
「誰だ!一夏君に酒飲ましたのはッ!」
そう叫んだ直後、病室のドアがガラッと開き、
「私だ」
そう一言だけ千冬さんが言って、ツカツカと歩いて一夏君の襟首掴んで引きずって帰って行った・・・え、いつからいたの?つーかマジで飲ませたの?
女子陣は俺の視線に対して首を振るだけだ・・・え、素であれなん?シスコン拗らせたらああなるん?
どっちにしろ、一夏君から「義兄さん」なんて呼ばれる趣味はないので忘れることにした。
「しょーくーんひっさっしぶっりー!!ついでにデズっちおひさー!」
病室のドアを蹴り飛ばして入ってきたのは右腕がメカニックな束さんだった・・・俺の腕もあんなんなるん?
「どうも束さん、個人的にはあんまり久しぶりって感じはないですけどね」
「あ、ああ、久しぶり」
「というわけで、持ってきたよ義手!」
そういってベットの上にポンッと乗せたのは・・・
「久しぶりだな、相棒」
いつぞやの成金ドックタグだった。まさか、また会うことになるとはな。
「デズっちにはこれねー」と渡していたのは首紐を通した遺跡の鍵・・・そっちの方がよかったなぁ。
とりあえず首にかけて、右手でコンソールを呼び出して『しょーくんズ義手』をタッチする。
「IS技術を流用して部位展開みたいにしてみたんだよ!これがあれば工具も重機も何もいらないよ!だってIS並のパワーがあるからね!」
「ぎ、義手って言うくらいだから腕に付けるのかと思ったけど」
「でもデズモンド、それじゃ風呂入りにくくね?」
「・・・ああそうだった、鷲津は日本人だったな」
「え?何?忘れてたん?」
「あまりにも自然に会話出来過ぎてて忘れてた。そうだった、日本人は風呂が命だったな」
「食事もだが・・・病院食はなんか、駄目だ」
「そうか?俺が作ったオートミールより全然マシだろ」
「・・・そうか!しょーくんの義手だけ普通の義手にすれば・・・むふふ」
「やめてくださいね束さん」
「じょ、じょーだんだよー。束さんってそんなに信用無い?」
「食えない相手だなぁと」
「あ、しょーくんしょーくん!TUIの副社長の席はいつもで空けてるからね!」
「今すぐ業務に出ろ!とかじゃないんですか」
「え?そうして欲しい?」
「ずっと眠りっぱなしより動いてる方が気が晴れますって」
「そう!じゃあちょっと待っててね!」
そういってドアのない出入り口からタッタカ出ていく束さんを見送りながら・・・
「あんなこと言ってよかったのか?」
「いや、本気で気が滅入るのよ。体動かしてなきゃ落ち着かないって言うの?」
「ああ、噂に聞くジャパニーズ脳筋ってやつか」
「お前までそれで弄るのか、兄弟」
「兄弟だからな」
容赦ねぇな兄弟って。
「鷲津様、先日はお疲れ様でした」
「あー、うんただいまクロエ」
束さんが来た翌日、俺は束さんのラボ『吾輩は猫である』に来ていた。というか、入院服からジャージに着替えさせられて連れてこられた。
正直、あのまま病室にいたら絶対に面倒なことになるから逃げ出したかったところに渡りに船だったから乗ってみたと言うのもある。
どうあがいてもクリスとか来るだろうし、クローン達だって来るだろう。俺は面倒事が大っ嫌いなんだ。
「デズっちから聞いたと思いますが!TUIは改めて!ISの当初の目的『人類の宇宙進出』を目指して奮闘していく次第でございます!」
「束さんなんですかその口調」
「そのためにはまずしょーくんが設計してくれた宇宙空母の作成から入ろうと思います!」
「おぉ、ついにあれが来たか」
「その資金集めとして、まずは宇宙関連の技術を一通り宇宙に一番近い連中に売っぱらいます!」
「あ、束さん、その前にその連中に第二世代ISコア渡しておいた方がいいんじゃないですか?」
「ッ!そうだねしょーくん!ながれいしだねぇりゅうせきだねぇ流石だねぇ!」
「と、言うよりも宇宙進出を目指している所にISコアを渡してしまったらどうでしょう束様」
「うんうん、三人寄れば文殊の知恵だねぇ!二人ともギューってしてあげるっ!」
「く、苦しいです束様」
「主に、首に二の腕がジャストフィットして・・・息が・・・」
その僅か半年後、TUIは本当に宇宙空母『
「さぁしょーくん!クーちゃん!私たちの冒険はこれからだよっ!」
「ええ、宇宙は何が待ってるか分かりませんからね。束様」
「あー、千冬さんからの連絡履歴が大変なことになってる・・・宇宙空母開発で全然出れなかったからなー」
卒業生の先輩方はノリノリで思い思いの気合の言葉を発していた。
先行き不安なのは俺だけなのだろうか・・・ま、世界も救ったしもう何も背負うものはないし。楽しけりゃそれでいいか!
よく考えたら俺ってIS学園から逃げ出したから中卒扱いなんだよなぁ・・・やっぱ先行き不安のお先真っ暗だわ。
これにてI・S~DC~インフィニット・ストラトス~ダサシンクリード~完結であります!ご愛読ありがとうございました!(打ち切りエンドとか言わない。欠片もアサシンしてなかったとか言わない)
突っ込みどころも多いでしょうが、もはや語ることもあるまいて。
いや、凡9の脳内だけで作内に出せてない設定とかありますけど・・・今話みたいに蛇足になるだけでしょう。
次回作はまだいつ書くかも何書くかも未定ですが、いつか活動報告でアンケートみたいなの取りたいなーと思ってるのでその時はよろしくお願いします。まぁ、書きたくなったら票がなくても決行するでしょうけどね!
ではまたいつか!