I・S~DC~ インフィニット・ストラトス~ダサシンクリード~ 作:凡人9号
戦闘なんて無かったや!
授業っぽい何かを受けてたら呼び出し喰らったり、千冬さんに自分設計の兵器の説明をしたり、一夏君が残念だったり、束博士がオタッキーだったり、懐かれたり、篠ノ之さんのISが真っ赤だったり、渋々俺もIS起動したりしようとしています俺ですが・・・割とアンニュイな感じです。
そして起動した俺の機体、俺も3Dデータでは見たけど実物を見るのはこれで初めてだ。
白地の機体で外縁が黒く、そして縁から黒いラインがあちらこちらに走っている。
腰の周りには棒状の装甲が所狭しとスカートの様にぶら下げられており、頭はまったく覆われてなくチョーカーの様な物が首に巻かれている。首輪付き・・・ではないな・・・。
「なんというか・・・似合わんな」
「ですよね、俺もちょっとそう思います」
千冬さんに苦笑いでそう言われたが自覚はしている。白黒が似合わないんだよ、白黒がさ。
多分、もう一つの方なら希望はあるんだろうけど・・・あっちは使うなって束博士に言われたしなぁ・・・しかし、見れば見るほど厨二ってるなぁこの機体。
「このスカートなんて表現すればいいんだ?」
「騎乗様の鎧の様な、それでいて違うような」
「パク・・・おおっと、リスペクトしますた!」
直後、個人通信で『リスペクト先は赤い弓兵さ!』とか言われたが・・・ああそうか、どっかで見た覚えがあると思ったらあの腰布みたいなのか・・・そう言えば某格ゲーのラスボスがこんなの愛用してたよな。
「武装の方は一通り目を通してると思うけど常備展開装備はまだ分からないだろうから移動中に連絡するよ」
「なんというか、オペレーション頼みます」
「この束さんにまかせんしゃい!」
頼りがいのある返事を聞きながら紅椿の隣に立つ。少し遅れてやってきた白式を纏った一夏君が丁度白と白で紅を挟む形になった・・・なんだこれ?新手の戦隊物か?やだ・・・ドロドロしてそう・・・
バレないように現実逃避している俺の隣は隣で「男が女の上に乗るなど認められないが、今の私は気分がいい。許してやろう」「お、おぅ・・・頼む」とか、「私とお前だ、何でもできるさ」とか、まぁなんだ・・・自称スーパーサイヤ人2時のMハゲ並みの篠ノ之さんに一夏君もついていけてない模様。
俺も油断したらあんな感じに慢心しちまうのか・・・IS専用機、おそろしい娘ッ!!とか遊んでたら『織斑、篠ノ之ついでに鷲津。聞こえるな』と千冬さんからの開放回線ことオープンチャンネルで通信が入った。
『作戦の要は織斑、お前の零落白夜による一撃必殺だ。初接敵時にミスをしても焦るな、そのための鷲津だ』
俺の扱いどうなってんの?千冬さんの中で俺どんな扱いされてるの!?パシリ?体の良いパシリだよね!
『篠ノ之はそのサポートだ。勿論、鷲津が着く前に倒しても構わないが・・・初めての実戦だ、抜かるなよ』
『はい、自分の出来る範囲で対応します』
『よろしい』
通信が終わったと思ったら直ぐに『織斑、鷲津』と二人を指名して通信をしてきたのでそのチャンネルに合わせる。
『はっはい』
「どうかしました?」
『鷲津には先ほど言ったが、篠ノ之は現在浮かれている。何か仕損じるかもしれないから注意しておけ、いつでもサポートに入れるようにな』
『分かりました・・・』
「まーた俺の仕事が増えたー、勘弁してくださいよやだー」
『ほう?では更に増やしてやろうか?』
「本気で勘弁してくださいお願いします」
通信が終わったら背中に一夏君を乗せた篠ノ之さんが空に浮き上がり、隕石みたいな速度で飛んでいった・・・作戦通りに俺も同じ位の高度まで浮き上がる篠ノ之さんが向かった方向を向きスラスターの準備に入る。
いい景色だなーとか言ってたら今度はプライベートチャンネルでかかってきた・・・なんなの?なんなの・・・?まぁチャンネル合わして出るけどさ。
『錘は外していいぞ。むしろ外せ』
「・・・そんなヤバいんですか?銀の福音って」
『広域殲滅型の機体としてオールレンジ攻撃をしてくる。と言うか、ほぼそれだけの機体でもある』
「ファンネル?またファンネルなんですか?」
『ビット兵器ではない。背部に背負った大型スラスターとエネルギー射撃武装を融合させた移動砲台だ』
それと同時に俺に銀の福音のデータが送信されてきた・・・カタログスペックと実験時の映像データを見てみたが・・・
「これもう砲台ってか爆撃機じゃないんですかねぇ・・・」
『軍用だからな。それ相応の機能が無ければ設計すらされなかっただろう』
「誰だよこんなIS考えた奴馬鹿じゃねぇの?」
『それを超える奇妙な発想の武器を設計したのは誰だ』
「僕です本当にすみませんでした」
『まぁ敵機体のデータは渡した・・・後は、気をつけろよ』
「任せてくださいよ、錘を外した俺の戦闘力は2.4倍くらいですよ!」
『やけに中途半端だが・・・まぁ期待しておくぞ』
そんな言葉を残して通信を切られたので篠ノ之さんの後を追う・・・チラッチラッとなんかテレビ電話みたいなモニターが視界の端で束博士の顔を写したり写さなかったりなんか忙しい事になってる。構ってちゃんかな?
「で、なんです束博士」
『やっと構ってくれた!ひどいんだよみんなして!いっくんにも通信送ったのに出てくれないし!ほーきちゃんもそうだし!ちーちゃんはアイアンクローしてくるし!あの緑色の子のおっぱい揉んだらちーちゃんにアイアンクローされるし!もう束さんの頭蓋骨のライフはゼロよっ!』
「日頃の行い、プライスレス」
『・・・やっぱりしょーくんもそう思う?でも束さんは束さんである事をやめないよ!現実に屈してなるものか!?』
「現実とは上手く適度な折り合いをつけて過ごしましょうねー・・・ところで束博士、コレってタイミング良すぎません?俺にリンゴ寄越したときみたいに」
『こっ今回は束さん本当に何も関わってないんだよ!嘘じゃないよ、信じてよねっ!だってこんなのと戦ったら紅椿あるとはいえほーきちゃんでも負けちゃうし』
「あ、そんなやばいんだこの銀の福音。名前の割りに悪魔みたいな性能してるしな」
『ほーきちゃんがまだ紅椿に慣れてないって言うのもあるけど・・・相手の方は凡人の努力の結晶、かなー・・・まぁ束さんやしょーくんまでは行かないけどいい発想してるよね。オールレンジ攻撃なんてロマンあるねー、わかるねー』
「多分こいつ等効率しか見てないと思いますけどねー・・・で、俺の武装について教えてくれるんじゃなったでしたっけ?」
『せっかちな男は嫌われるよー?まぁ束さんは好きだけどね!じゃあ早速いってみようか!まず腰のスカートみたいになってる棒、全部で三十個あるんだけどー・・・聞きたい?ねぇ聞きたい?』
「なんすか、もしかしてマルチプルパルスなんすか?一夏君達巻き込んじゃう感じですか?」
『しょーくんの設計図通りにそれしても良かったんだけどねー・・・それ、ファンネルだよー』
おかしいな、『三十個のファンネル』が腰についてるって理解したんだけど・・・そんな使えないだろ。リンゴ?あれは純粋に知識与えてくれるだけだし、脳の回転よくするわけじゃないし。
『音声コードで色々な働きをしてくれるよ。用意しておいたのは『操影』で任意の個数のファンネルを思い通りに動かす。『撃影』で三十のファンネルが自動的に相手の攻撃に対して標準を合わせて落としてくれる迎撃システム。『爆影』で全部のファンネルが敵に向く火力一点集中モード。『追影』で五つのファンネルが相手を自動で追尾して攻撃してくれるよ』
「すごい自然にファンネルって呼んでるけどコレ本当にファンネルでいいの?ビットとかじゃなくてファンネルなの?」
『束さんの中じゃファンネルだよ!ビットなんてダサい呼び方なんてした覚えないよ!いいね!!』
「アッハイ」
なんだかしらんが、自分の作品が変なところで勝手な呼び名を付けられてたらそりゃ嫌な思いもするよな。前世の記憶の奴は文化祭で友人達とノリで作ったキャラクターが奇妙な名前で呼ばれていて憤死しかけたらしいからな、そういうもんだろう。
「そろそろ接敵みたいだ、切ってもいいか博士」
『いいよー、衛星の目を奪ってみておくから』
さらっとすごい事を言いつつも消えたモニターに溜息をつきつつ、ハイパーセンサーで強化された目に映るのは銀色が放つ弾幕の間を縫って飛ぶ紅と、青い水面に向け落ちていく白だった。
そのままの勢いで一夏君が一つの弾幕に追いつき、を切り裂いたが意味が分からん。と混乱している俺の感情を代弁するかのように開放回線で『一夏!何をしている、せっかくのチャンスだと言うのに!』と言う篠ノ之さんの叫びに対して『船が居るんだよ!会場は先生達が封鎖したはずだってのに!』そう返すイチカ君の言葉に従って海上に目を移してみたら確かに船だ。コンテナとか積んでるし、各国には連絡行ってるはずだし・・・ああ、密輸か。
と結論を下したところで一夏君の持つ白いエネルギー刃が消えていく。プランCへ移行とするか。
『馬鹿者!犯罪者共のためにチャンスをふいにしたのか!』
『箒ッ!・・・そんな寂しい事は言うなよ。刀を手にしたら弱い奴の事が見えなくなるなんて・・・どうしたんだよ、箒らしくないぜ』
『わ・・・私は・・・』
「口論してる場合じゃないぞご両人!プランCだ!撤退しろ!」
実戦だってのに武器はなして顔を覆ってるんじゃないよ!・・・って、篠ノ之さんが手放した刀が消えた。具現イジ限界、つまりエネルギー切れです。
視界の端では銀色が翼の様な装甲を動かしその先端に光を溜める。
それを見かねたのか一夏君が刀を捨てて加速した・・・ふえぇ、作戦がめちゃくちゃだよぉ・・・
「ともかくコード『撃影』!」
一夏君が勢いそのまま篠ノ之さんを抱きしめ、背中で銀の福音の弾幕を受けようとしているのを見て先ほど聞いたばかりのファンネル迎撃モードを機動する。
棒状の装甲が腰から離れ、俺を中心に円を描き、各々が緑色のレーザーを白いエネルギー弾に向かって放つが、手数が足らないのか、火力が足らないのか、一夏君の背中を白い弾幕が襲っていく。
「弾幕薄いよ!何やってんの!・・・ああくそ、自前の力に頼らないからか!やっぱ与えられたばっかの物じゃうまくいかないよな!」
水面へと落ちていく抱き合った二人の姿を見ながら、拡張領域に入っていたワイヤーガンを取り出し、まだ装甲の残っている白式に向けて引き金を引く。装甲にがっちりと爪が掛った事を確認してワイヤーを巻き取りながら全力で撤退する。時々白い弾が掠ったり背中にぶつかったりするけど気にしない!背中が焦げるような感覚がするけど知らん知らん!
ワイヤーが完全に巻き取られた事を確認してから、一夏君の名前をずっと呼んでる篠ノ之さんと、グッタリしている一夏君を両手に抱えて速度を落とす。
プランA、プランCも失敗・・・プランB?んなもんねぇよ!プランD、所謂ピンチです。
コレ帰ったら俺の失敗にもなるんですかねぇ・・・連帯責任ですよねーわかります。
意気消沈で戻ったら攻めるような言葉は無かった。むしろ皆揃って密輸船(仮)をディスって行くスタイル。友人落とされた原因なんだからそれなりに恨みつらみもあるだろうけど、それはそれでイヤだったがまぁ仕方無い。ぶっちゃけると、篠ノ之さんの言うとおり犯罪者なんだから放って置けばよかったんだ、そこで攻撃に巻き込まれ死んだとしても自己責任という奴だ。にも関わらず庇いに行った一夏君・・・人間として善人で信頼できる彼だが、実戦で背中を預けるのは無理だ。口論してる間に背中から敵にズドンとかシャレになんねぇ。
「おかげで俺まで負傷だよ・・・地味にグロかった、ジャージもオシャカだしついてねぇ」
治療してくれた山田先生はなんか涙ぐんでたし、その時鏡越しに見たけど背中はR-18だったし、ジャージは熔けて丸い穴が出来ちまった始末。
「ま、しゃーなしだな。悪いのは誰でもない、運が無かった全員だ」
そう割り切って、教員室で一人、ISのモニターを弄っている俺です。
今回の俺の悪い点は、ファンネルに頼った事だ。いや、ファンネルに頼るのは悪い事じゃないが、過信しすぎた。
故に!俺は今威力の底上げを行っている!具体的にはエネルギー消費を増やして火力強化、音声コードによる役割も増やす、まだだ、まだたりんよ・・・
「ゴスペル殺すべし、慈悲は無い」
次、会ったらアイツ問答無用でデロリアンでデストロイ。
「殺すな。人も乗っているのだぞ」
「あ、千冬さん。尻尾丸めて逃げ帰ってきてすみませんでした」
いつの間にか部屋に入ってきていた千冬さんに、頭を下げる。作戦の一端を任された人間として、作戦を果たせなかった事に対する謝罪だ。
「妥当な判断だろう。あの状況で囮も無くあの武装で一か八かに賭けるより、次のアタックに向け人員の確保に向かうべきだった、故に間違いではない」
その後、少し溜めてこう言い放った。
「お前を少しでも引き止めた私の責任だろう」
いやそのりくつはおかしい。
というわけで、主人公出陣&撤退です。
囮無しで濃厚で高火力の弾幕搔き分けてグラインドブレード当てるのは流石に無茶でしょう。
マルチプルパルスの中にグラブレで突っ込めますか?作者は無理です。
次回
セカンドシフト