I・S~DC~ インフィニット・ストラトス~ダサシンクリード~ 作:凡人9号
大変!クリスが台詞を発してないの!
簪嬢を引きずっている本音嬢の隣を歩きながら、俺はある視線に追われていた。チラッと振り返れば居る・・・そう、奴だ。
「うううぅ・・・妬ましい、妬ましいッ!アサシンめ、アサシンメッ!」
「落ち着いてくださいお嬢様、確定したわけではないのでしょう?」
「でも簪ちゃんに近づくのよ!これは明らかな宣戦布告だわっ!」
「本音の話ではお嬢様が話しかけるよりも前に知り合っていたと言う話ですが・・・」
「それすらもブラフなのよ!だって相手はアサシンなのよ!いいかしら虚っ!あいつらはねっ――」
俺のことをアサシンとか言う変なあだ名で呼んで来る青髪外はね厨二女が茶髪の黄色いカチューシャでデコ出し姿に眼鏡が特徴な女子に叫んでいた。なんかもう・・・ご愁傷様です。
「ん~?ワシワシどうかした~」
「なんも」
・・・ってこの子はなんか知らんがなんだろうな、この笑顔の裏側が実はラスボスでしたーとか言われても納得しそうになったわ。
「・・・鷲津くん」
「簪嬢に関しては何も言うまい。飯は食え飯は。その内ぶっ倒れるぞ」
「大丈夫・・・十秒チャージ」
「アカン、この子ガチで言ってる。これはアカン」
「そうだよね~流石にご飯は食べないとね~」
「日本人のメイン食材だもんな。米は偉大だ」
「うん~色々かけて混ぜたらもっとおいしいもんね~」
「・・・・・・本音の食事は、おかしい」
「簪嬢が言うなら楽しみに待っとこう」
結果?
「ま~ぜまぜ、ま~ぜまぜ~」
ご飯の入ったどんぶりに納豆入れて、鮭の切り身を丸ごと乗せ、お茶入れて、卵入れて味噌汁入れて・・・え、なにこの・・・え?
「言ったでしょ・・・おかしい」
「ああ、これはおかしい。食欲が失せるレベルだ」
「と、言いつつ食べてる・・・」
「そりゃな、食べなきゃ腹減る。腹減ったら修行できなくなる!」
「・・・脳、筋?」
「まぁ脳筋ではあるな。体鍛えなきゃ動きも鈍るし、何よりなんか・・・朝と夜に体動かさなきゃ違和感があるしな」
「・・・・・・脳筋」
「やっべ、なんか弄られ方が確立しちまった」
「あ~なんか仲良くしてる~私もいれて~」
「・・・顔についてるご飯粒・・・とって」
「ダボダボの袖も捲ろうか、な?」
なんてやってると後ろから「ねぇ、君も噂の子でしょ?」と言う声がかけられてきた。
振り向いてみると胸元に見慣れない真っ赤なリボンをつけた女子生徒が二人いた。顔を戻してみると本音嬢と簪嬢のリボンは青色。
「リボンの色違うのは、何だっけ・・・入学式で説明で聞いたような・・・」
「学年ごとによって違うのよ、青色が一年生。黄色が二年生で赤色が三年生ってな感じにね?」
「あぁ、じゃあ先輩方でしたか、これは失礼」
「気にしないでいいのよ・・・で、これからが本題なんだけど。代表候補の子と戦うんでしょ?」
「一日で情報回ってるんですか。近所のおばちゃん並の伝達力ですね」
「それ位なきゃ女子高生やれないって。でさ、IS素人だよね?」
「まぁ確かに素人ですけど・・・ま、平気ですよ。勝つのが目的じゃないんで」
「へー、他の子達とは違うみたいね」
「ええまぁ、現状でとりあえずどの辺までやれるのかを知りたいなーって思ってまして。一応言っておきますけど助言とかは要りませんよ?」
「そのつもりで来たんだけどねぇ・・・やっぱり断られちゃったか」
「ま、先輩方の顔は覚えたんで何かあったら頼らせてもらいますよ。その時は全力で鍛えてやってください」
「うん、楽しみにしないで待ってるねー!」
このご時勢、なかなかに話しの通じる女性達だったな。どこぞのオルコットさんとは雲泥の差だ。まぁ外面に出てないだけかもしれないが、それでも十分違う。
「・・・・・・爽やか。脳筋、さわやか」
「脳筋やめれヒッキー」
「・・・ヒッキーやめて」
「む~二人とも私がご飯食べてる間に仲良くなりすぎ~!」
うん、ラス・・・ボス・・・?まぁあの感情は忘れよう、なんかまともに本音嬢と会話できなくなりそうだ。
午後の授業は何故か平穏に終わり放課後を迎えた今、俺は剣道場にいる。実際は二日前までよく通っていた場所にも関わらず何故か数ヶ月ぶりのような感覚に陥るが気にしない。ただまぁ違和感的な物は感じる、だってこの剣道場女の子大量に居るんだもん、俺とクリスは端っこで座ってるだけ。といってもなんか女子達が離れてて微妙な距離があるけど・・・それにしても俺の知ってる道場と違う。俺が知ってるのは『俺と師範と剣道場、時々師範代』だったからなぁ・・・
何故剣道場にいるのかって?そりゃ一夏君に「今から箒に稽古付けてもらうんだけど一緒に来ないか?」って誘われたからだ。
だがまぁ、あらあら。
「どういうことだ」
「いや、どういう事だ・・・って聞かれても」
「どうしてここまで弱くなっている!?」
幼馴染にフルボッコにされる一夏君を見てるのは非常に面白かった。なんだろうか、本気になれてない一夏君は実に弱かった。
「受験勉強してたから、かな?」
「・・・中学では何部に所属していた」
「帰宅部。ちなみに三年間皆勤だ!」
「「ドヤ顔して言う事じゃねーよ」」
俺とクリスのダブル突っ込みに「あ、そう?」とか頭をかきながら返事してくる一夏君を置き去りにして「鍛えなおすぞ!」と幼馴染氏が叫んだ。
「これではIS以前の問題だ!これから毎日、放課後三時間!私が稽古をつけてやる!」
「え?いやそれよりもISの事について教えて――」
「だからそれ以前の問題だと言っている!」
まぁ実際にISについて付け焼刃で覚えるより元剣道経験者なら体の感覚を取り戻す方が先だろう。それに覚えるよりもそっちの方が早いだろう。実際早い。
「情けない、ISを使うならまだしも、剣道で男が女に負けるなど・・・悔しくないのか一夏!」
いや、勝てねー相手はいるだろ。千冬さんとか、千冬さんとか、千冬さんとか・・・
「そりゃかっこ悪いとは思うけどさ・・・」
「格好?格好を気にしている場合か!それともなんだ!そっちの二人と同じく女子に囲まれるのを楽しみに来たのか!」
「女子に囲まれたら気絶しちまうだろいい加減にしろ!」
「いや彼女は知らんと思うぞ・・・まぁ俺も彼女に言いたい事はあるが、まぁなんだ・・・」
「なんだ!言いたい事があるならはっきり言え!」
「・・・じゃあ珍しくはっきり言わせて貰うけどさ――」
俺は本当に、珍しく本当にはっきり物を言う事にした。
「オママゴト見るためにここに来たわけじゃないんだよね」
「なっ!ままごと!ままごとだと!」
「だって一夏君も本気じゃねーし、あー・・・君も本気じゃなかったし」
「私の名前は篠ノ之箒だっ!」
「あー、じゃあ篠ノ之さん。聞くが、一夏相手に本気で竹刀振ったか?手加減してなかったか?一本取れる隙はいくらでもあったのに?それで本気だとしたら笑わせてくれる。それ以前に意識がまず相手に向いてない、これだけでもう落第レベルだ」
剣道ならまだいい。だがな、ISってのはほぼ実戦だ。そんな場所で振るう剣が人を生かす『道』じゃ駄目なんだよ。戦いで振るうのは相手を殺す『術』じゃなきゃ駄目なんだ。ってのは師範の受け売りだ、師範あんたマジで何者だよ・・・
「一夏君も一夏君だ。久しぶりだからって手を抜いたろ?踏み込むべきところで踏み込んでないし、竹刀も弱い。いくらブランクがあるからってあまりにお粗末だろう。これはもうオママゴトだ、何も知らない子供が木の棒振ってるのと何も変わらない。お前も相手に集中してたか?本気で相手に向かって竹刀振ったか?・・・答えは言うまでもないだろ」
そこまで言うとひとまず立ち上がって、座り込んでる一夏君に近づいて手を伸ばす。俺の意図を理解したのか竹刀を渡してくる訳だが・・・なんで手離さないん?
「男の意地、みせてやれ翔」
「・・・本来お前が見せるもんだぞ、ソレ」
漸く離した竹刀を肩に乗せてから、一夏に千冬さんから渡された錘を全部外してから渡す。
「お、おもっ!なんだよこれお前コレつけて・・・ってあれ、これ――」
なんか後ろから敵意が飛んでくるがきっと女子の一人だろうと判断してから篠ノ之さんに切っ先を向ける。
「今から本気で打ち込む。精々防げ、半端者」
真っ直ぐ伸ばしていた腕をそのまま反転させて体の後ろに隠し、左腕を真っ直ぐ伸ばす。『今から攻撃しますよ』と言っている様な格好になるが別にその通りだし、竹刀を体で隠せばその分相手は次の一手を読みづらくなる。正直他の人がどう感じるかは知らないが、師範の剣から教わった構えの一つだ。
ワザとゆっくり敵意を出して行き、篠ノ之さんが構えたと同時に地面を蹴り飛ばす。
次の瞬間、目の前には竹刀の先を喉に突きつけられ、目を白黒させている篠ノ之さんの顔が目に入る。単純に竹刀で突きをしただけにもかかわらずこれだ。残念すぎるな篠ノ之箒、所詮剣道か。
「一夏君、俺はこれから別のところに行くからま、頑張れ」
「お、おう・・・翔って凄いんだな」
ポカーンとしたまま錘を体に乗せてる一夏君に竹刀を渡しながら錘を回収して装備していく。どこかで千冬さんが見ているかもしれない!・・・ねーか。
「なーに、師匠が良いんだよ。ただそれだけだ」
なんてったって訳分からん正体不明の師範に少しだけど世界最強からも指導を受けた身だぜ?剣道とかルールがある代物じゃ負けるだろうがそれ以外なら負ける気がしないな。
いつでもかかって来いよ生徒会長。不意打ち上等、むしろ得意分野だこのヤロウ。
ありゃ、何故か女子達がモーゼごっこをしている。そんなに泣きそうな顔しないでよ、俺の顔ってそんなにブサイク?こっちが泣くぜ?
「あ~ワシワシ~!も~どこ行ってたの~」
「ちょっと同士の観察に。こっちは変わらず?」
整備室に戻ってきたら戻ってきたで空中に浮かぶモニターを凝視する簪嬢と暇そうに袖を振り回している本音嬢。よう本音嬢、暇つぶし要因が来てやったぞ。
「うん、かんちゃんってば一回集中し始めたらとまらないからね~」
「飯の時間になったら強制停止だ。ソレまで暇だな」
「なにする~?トランプ?しりとり?」
「他に何か無いのか?」
なんて話をしていると「本音」と彼女を呼ぶ声が整備室の入り口から聞こえた。
「あ、お姉~ちゃん。ど~したの~?」
「お嬢様が呼んでいるから生徒会室に向かって」
「う~ん、あ!なにか仕事で失敗しちゃったかな~?」
「そう思うなら早く行きなよ本音嬢、仕事のミスは後に響くからね」
「う~ん、ワシワシもこういってるし~仕方ないな~」
なんて言いながら去っていく本音嬢と対照的に溜息をつきながらこちらへ近づいてくる・・・デコ出しカチューシャ眼鏡さん・・・この人リボン付けてねぇや、タートルネックみたいなの着てる・・・制服の下に服着るの有りならパーカーも有りそうだな、一安心だぜ。
「どうも初めまして、妹がお世話になっているようで、布仏虚です」
「これはどうも。初めまして虚さん。鷲津翔です。こちらこそ彼女には女子だらけの教室で助けてもらっていますよ」
「そう言っていただけると助かります。なにせ昔からあんな様子でして」
「個性的で良いと思いますけどね。少し個性的過ぎな気もしますが・・・それで、何か用でしょうか」
「・・・何故そう思うので?」
「いえ、ただ自己紹介してきただけ、な感じじゃなかったので」
「そうですね、実はそうです。先日はお嬢様が申し訳ありませんでした」
「・・・・・・お嬢、様?」
虚さんのどの言葉に反応したのか分からないが簪嬢がモニターから顔を動かしてこっちを見てきた・・・え、なにその無表情こわい。
「ええ、我が校の生徒会長です」
「・・・あ、あー・・・奴か。そう言えば昼休みになんか知りませんけどあの人に叫ばれてましたね」
「え、ええ・・・見てましたか?」
「あまりにも露骨にこっち見てたんでつい見ちゃいました・・・なんと言うか、お疲れ様です?」
「ええ、本当に。ですので、簪お嬢様が思っているようなことはありませんよ」
「・・・・・・そ、そう」
「え、なに、なにその会話。俺が知らんところで何が起こってるの・・・」
「何でもありませんよ、ねぇ簪お嬢様」
「・・・そう・・・脳筋くんは知らないでいい」
「脳筋言うなヒッキー、馬鹿にしやがってチクショウ、脳筋で悪いかよ」
「引き篭もりで悪い・・・?」
「引き篭もりは悪いでしょ」
「引き篭もりは悪いですね」
「もうふたりして・・・っ!」
うん、なんだろう・・・簪嬢は弄るとかわいいな。まぁ一人じゃ無理だろうけど。
主人公、なんか知らんが篠ノ之さんにキレるの巻。
戦い方は暗殺者っぽく「一瞬で殺す」短期決戦一撃必殺。IS有るとそれができないもどかしい。ひっそり零落白夜に憧れるでしょう。
今回の作者が自分自身でひどいと思った自分の誤植のコーナー
ISで別のネタが湧いてきたのでちょっと書いてみようかと思ってタイトル入力した結果そこには!
『インフィニック・ストラトス』の文字。
ニックって誰だよ!外国人?外国人なの!確かに日本人以外が主人公のIS作品ってあんまり無いよね!でもなんでニックなんだよ!ネーミングセンス!
そして出てきました本音嬢の姉こと布仏虚さん。作者的にはすっごい有情なお方な印象。同時にスッゴイ苦労人で大変そうな人。おい一夏、さっさと生徒会入ってさっさと書類仕事覚えろ。彼女助けてやれ、ついでに引きずり回されろ、部活に。
次回!
ようやく戦いますかね・・・日常的な小ネタでも思いつかない限りは普通に代表候補戦ですかね。さて、原作読んでISでの戦い方の勉強だ・・・
オリジナリティという名の駄文!